(11)携帯電話が出来るまで(2)
テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うのですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。
そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやすく技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。
何回かにわけて、携帯電話機の開発の流れをシリーズでお話ししています。
この開発の流れはほとんど量産品を製造している企業にあてはまりますので、これさえわかってしまえば、投資する際の大変有効な武器となります。
では、前回にひきつづき、携帯電話の仕様決定の後半を簡単に説明します。
通信事業者から中長期的なビジョンが示された後に、今度は、
今年度の携帯電話はどういう機能で?
どういうラインアップで?
価格帯はこのぐらいで?
という大くくりのものが出てきます。メーカはこれらを持ち帰り、企画、営業、デザイン、設計などを交え具体案を作成していきます。モノをつくる前のコンセプト固め、納入しようとする商品の全体像と仕様が細かく決められていきます。
ここがフラフラしていると、例えば、
色々な機能がありすぎてユーザにわかりにくく、商品の魅力につながらないもの→出来上がった商品の狙いがボケてしまう
出来上がってみると、あまりに機能が特化しすぎて、市場の一部分しか取り込めない様なもの→商品の狙いの絞込みすぎ
など、機能の割り切りが必要になってきたり、取捨選択を判断しなければなりません。
ここは大変重要です。
商品の機能を限定して、開発のボリュームをコントロールしたり、機能を限定することによって、携帯電話のサイズを小さくすることができますので、その判断を商品企画部門はしなくてはなりません。
他メーカとどこで勝負するのか?機能で勝負するのか?サイズで勝負するのか?
その両方でいくのか?等の判断ができなくてはなりません。
ここが重要なポイントとなります。
商品の根本にかかわってくるこの商品の構想段階に時間や人をかけることは、もちろん費用対効果の関係ですが、もっとも重要で、商品の寿命や商品の競争力に直結します。
そのメーカに投資する際に、いままでの商品を比較して、商品の機能で勝負しているのか?サイズで勝負しているのか?デザインなのか?その時のトレンドにのっているのか?
ここまでをしっかりやっている企業は、商品企画に人と時間とお金をかけているといってよいでしょう。
ただ単に他社の真似なのか?
このような商品を出している企業は、商品企画に人、時間、お金をかけていないといってよいでしょう。もっとも2匹目のドジョウをねらって、売り上げが上げっているのならば、立派な戦略です。
費用対効果はバツグンですが、どのメーカを真似するか?という別の判断能力が問われるところです。ちょうどこれから流行る洋服を着ている女の子をみつけて、いち早く真似する能力に似ているかもしれません。
ただ、真似したメーカが売れなければ、悲惨なことになります。
次へすすみましょう。
次の段階が、通信事業者への提案となります。提案できるような商品の構想が出来上がるまでは、一回の提案では決まらず、提案しては事業者との意見交換をし、修正を加えていきます。この期間が短いもので3ヶ月、長いもので6ヶ月ぐらいですが中にはもっと長いものもあります。ここで商品の仕様が決定します。
通信事業者は、色々なメーカから提案を受け、今年度のラインアップを決めていきますが、そのときには、ショップ、量販店の店頭に他の事業者がどの様な商品を置いてくるか、自分の処は、どうしたらエンドユーザが目にとめてくれるか、など全体のバランスを考えなくてはいけません。
もちろん、どこのメーカのものに力を置くか、どのメーカのものをアイキャッチ(店頭でエンドユーザがアッと言って足をとめてくれること)とするか、デザイン、色の展開を決めていきます。エンドユーザをどの様に囲い込み、どの商品を売っていくかという、売上を左右する根本となる戦略が必要となってきます。
これに対して、メーカ側は、通信事業者のイチオシの商品を提供するために、営業、企画、デザイン、設計が一体となって提案を繰り返していきます。もちろん、売上、販売台数をあげることが至上命題ですので、事業者の意図をくみ提案するスピードと、事業者の戦略とのバランスが必要になってきます。
ここが、そのメーカの重要な能力となってきます。
それは提案のスピードとバランスです。通信事業者のニーズに対してどれだけ応えて、売上をあげるか?通信事業者のニーズにすべて応えていては、時間がかかってしまうため、売上はどんどん先延ばしになってしまいます。これではいけません。
限られた時間内での提案を行い4半期で売上をあげる提案のスピードとバランスがその企業の商品開発能力なのです。
以上が商品仕様の決定までの流れです。次回は設計から量産立ち上げ、出荷、フィールドでの対応についてお話したいと思います。
彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うのですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。
そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやすく技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。
何回かにわけて、携帯電話機の開発の流れをシリーズでお話ししています。
この開発の流れはほとんど量産品を製造している企業にあてはまりますので、これさえわかってしまえば、投資する際の大変有効な武器となります。
では、前回にひきつづき、携帯電話の仕様決定の後半を簡単に説明します。
通信事業者から中長期的なビジョンが示された後に、今度は、
今年度の携帯電話はどういう機能で?
どういうラインアップで?
価格帯はこのぐらいで?
という大くくりのものが出てきます。メーカはこれらを持ち帰り、企画、営業、デザイン、設計などを交え具体案を作成していきます。モノをつくる前のコンセプト固め、納入しようとする商品の全体像と仕様が細かく決められていきます。
ここがフラフラしていると、例えば、
色々な機能がありすぎてユーザにわかりにくく、商品の魅力につながらないもの→出来上がった商品の狙いがボケてしまう
出来上がってみると、あまりに機能が特化しすぎて、市場の一部分しか取り込めない様なもの→商品の狙いの絞込みすぎ
など、機能の割り切りが必要になってきたり、取捨選択を判断しなければなりません。
ここは大変重要です。
商品の機能を限定して、開発のボリュームをコントロールしたり、機能を限定することによって、携帯電話のサイズを小さくすることができますので、その判断を商品企画部門はしなくてはなりません。
他メーカとどこで勝負するのか?機能で勝負するのか?サイズで勝負するのか?
その両方でいくのか?等の判断ができなくてはなりません。
ここが重要なポイントとなります。
商品の根本にかかわってくるこの商品の構想段階に時間や人をかけることは、もちろん費用対効果の関係ですが、もっとも重要で、商品の寿命や商品の競争力に直結します。
そのメーカに投資する際に、いままでの商品を比較して、商品の機能で勝負しているのか?サイズで勝負しているのか?デザインなのか?その時のトレンドにのっているのか?
ここまでをしっかりやっている企業は、商品企画に人と時間とお金をかけているといってよいでしょう。
ただ単に他社の真似なのか?
このような商品を出している企業は、商品企画に人、時間、お金をかけていないといってよいでしょう。もっとも2匹目のドジョウをねらって、売り上げが上げっているのならば、立派な戦略です。
費用対効果はバツグンですが、どのメーカを真似するか?という別の判断能力が問われるところです。ちょうどこれから流行る洋服を着ている女の子をみつけて、いち早く真似する能力に似ているかもしれません。
ただ、真似したメーカが売れなければ、悲惨なことになります。
次へすすみましょう。
次の段階が、通信事業者への提案となります。提案できるような商品の構想が出来上がるまでは、一回の提案では決まらず、提案しては事業者との意見交換をし、修正を加えていきます。この期間が短いもので3ヶ月、長いもので6ヶ月ぐらいですが中にはもっと長いものもあります。ここで商品の仕様が決定します。
通信事業者は、色々なメーカから提案を受け、今年度のラインアップを決めていきますが、そのときには、ショップ、量販店の店頭に他の事業者がどの様な商品を置いてくるか、自分の処は、どうしたらエンドユーザが目にとめてくれるか、など全体のバランスを考えなくてはいけません。
もちろん、どこのメーカのものに力を置くか、どのメーカのものをアイキャッチ(店頭でエンドユーザがアッと言って足をとめてくれること)とするか、デザイン、色の展開を決めていきます。エンドユーザをどの様に囲い込み、どの商品を売っていくかという、売上を左右する根本となる戦略が必要となってきます。
これに対して、メーカ側は、通信事業者のイチオシの商品を提供するために、営業、企画、デザイン、設計が一体となって提案を繰り返していきます。もちろん、売上、販売台数をあげることが至上命題ですので、事業者の意図をくみ提案するスピードと、事業者の戦略とのバランスが必要になってきます。
ここが、そのメーカの重要な能力となってきます。
それは提案のスピードとバランスです。通信事業者のニーズに対してどれだけ応えて、売上をあげるか?通信事業者のニーズにすべて応えていては、時間がかかってしまうため、売上はどんどん先延ばしになってしまいます。これではいけません。
限られた時間内での提案を行い4半期で売上をあげる提案のスピードとバランスがその企業の商品開発能力なのです。
以上が商品仕様の決定までの流れです。次回は設計から量産立ち上げ、出荷、フィールドでの対応についてお話したいと思います。
彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)