このコラムでは、最新グローバル投資ということで、グローバル投資の最前線についてのシリーズです。本日は4回目で、個人投資家が新興国投資で陥りがちな罠について書かせていただきます。
本日Moody’sによる日本格下げのニュースがありました。日本の信用不安から生じるインフレリスクより資産を守るために、海外投資は有効な手段になります。また、日本国内に投資するより、より高いリターンが見込め、海外にバランスよく分散投資をすることで、リスクも軽減できます。
私たちは、証券会社や証券取引所、大学やセミナー運営会社による講演や雑誌への寄稿という形で海外投資を中心とした投資についての解説をしておりますが、日本の個人投資家の海外投資への関心が高まってきたと実感しています。しかし同時に懸念される個人投資家の新興国投資の傾向があります。それは、メディアなどで取り上げられている個別市場・個別株への関心が非常に高いことです。
1月11日に、ラオスの株式市場がスタートしましたが、早速、ラオス市場に投資をするにはどうしたらいいでしょうか?と質問を受けました。ラオス市場にはまだ2銘柄しか上場しておらず、日々の売買量も少ないので、投資初心者にはお勧めできません。
また、過去ドバイやベトナムなどが国内メディアでもクローズアップされ、多くの個人投資家も関連商品に殺到し、しかしそのときにはすでに市場が過熱しており、直後におとずれた暴落により大きな損失を出したことは記憶に新しいところです。このように個人投資家が、熱した、しかも時価総額の小さい個別市場・個別株に参入するのは非常に危険です。個人投資家が新興国投資を始める際に、簡単に危険を回避できる2つの方法を紹介します。「株式時価総額」と「一人あたりのGDP」を確認することです。
グローバルで最もメジャーな株式指数であるMSCIによる分類によると、グローバルの市場を3つのカテゴリに分けています。注目していただきたいのは、日本では新興国としてひとくくりにされている国々が、エマージングとフロンティアの2つに分けられていることです。フロンティア市場は、エマージングカテゴリの時価総額の10分の1程度しかないことがわかります。過去のリターンをみると、時価総額の小さな市場、特にフロンティアの市場のボラティリティが高く、リスクが高くなっていることがわかります。
先進国:
アメリカ、日本、イギリス、香港、フランス、ドイツ、カナダ、スペイン、シンガポール、イスラエル、ギリシャなど
新興国(エマージング):
中国、インド、ブラジル、ロシア、韓国、南アフリカ、メキシコ、トルコ、インドネシア、タイ、エジプトなど
フロンティア市場:
UAE、カタール、アルゼンチン、ナイジェリア、ヨルダン、ベトナム、レバノン、ケニア、バングラディッシュなど
この株式市場に合わせて、一人当たりのGDPもみることが大切かと思います。例えば、2009年の一人当たりのGDPをみると、ベトナムは市場規模も小さく(フロンティア市場)、かつ一人当たりのGDPも1,000ドルと非常に低いのでリスクも高いといえます。エジプトは、一人当たりのGDPは2,450ドルとインドより高く、エマージング市場に属するのでベトナムよりはリスクも低いと思われます。
個人投資家が新興国投資を検討される際には、先進国市場もしくはBRICsに代表される新興国でも時価総額の大きな市場に注目するとよいと思います。ほかに、各カテゴリ全体をカバーしたMSCIコクサイ指数や、MSCIエマージング指数に連動して値動きする国内ETFもありますので、そうした手数料が安く幅広い市場をカバーできる商品を使って投資をすることをおすすめします。
(岡村さとみ)
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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私たちは、証券会社や証券取引所、大学やセミナー運営会社による講演や雑誌への寄稿という形で海外投資を中心とした投資についての解説をしておりますが、日本の個人投資家の海外投資への関心が高まってきたと実感しています。しかし同時に懸念される個人投資家の新興国投資の傾向があります。それは、メディアなどで取り上げられている個別市場・個別株への関心が非常に高いことです。
1月11日に、ラオスの株式市場がスタートしましたが、早速、ラオス市場に投資をするにはどうしたらいいでしょうか?と質問を受けました。ラオス市場にはまだ2銘柄しか上場しておらず、日々の売買量も少ないので、投資初心者にはお勧めできません。
また、過去ドバイやベトナムなどが国内メディアでもクローズアップされ、多くの個人投資家も関連商品に殺到し、しかしそのときにはすでに市場が過熱しており、直後におとずれた暴落により大きな損失を出したことは記憶に新しいところです。このように個人投資家が、熱した、しかも時価総額の小さい個別市場・個別株に参入するのは非常に危険です。個人投資家が新興国投資を始める際に、簡単に危険を回避できる2つの方法を紹介します。「株式時価総額」と「一人あたりのGDP」を確認することです。
グローバルで最もメジャーな株式指数であるMSCIによる分類によると、グローバルの市場を3つのカテゴリに分けています。注目していただきたいのは、日本では新興国としてひとくくりにされている国々が、エマージングとフロンティアの2つに分けられていることです。フロンティア市場は、エマージングカテゴリの時価総額の10分の1程度しかないことがわかります。過去のリターンをみると、時価総額の小さな市場、特にフロンティアの市場のボラティリティが高く、リスクが高くなっていることがわかります。
先進国:
アメリカ、日本、イギリス、香港、フランス、ドイツ、カナダ、スペイン、シンガポール、イスラエル、ギリシャなど
新興国(エマージング):
中国、インド、ブラジル、ロシア、韓国、南アフリカ、メキシコ、トルコ、インドネシア、タイ、エジプトなど
フロンティア市場:
UAE、カタール、アルゼンチン、ナイジェリア、ヨルダン、ベトナム、レバノン、ケニア、バングラディッシュなど
この株式市場に合わせて、一人当たりのGDPもみることが大切かと思います。例えば、2009年の一人当たりのGDPをみると、ベトナムは市場規模も小さく(フロンティア市場)、かつ一人当たりのGDPも1,000ドルと非常に低いのでリスクも高いといえます。エジプトは、一人当たりのGDPは2,450ドルとインドより高く、エマージング市場に属するのでベトナムよりはリスクも低いと思われます。
個人投資家が新興国投資を検討される際には、先進国市場もしくはBRICsに代表される新興国でも時価総額の大きな市場に注目するとよいと思います。ほかに、各カテゴリ全体をカバーしたMSCIコクサイ指数や、MSCIエマージング指数に連動して値動きする国内ETFもありますので、そうした手数料が安く幅広い市場をカバーできる商品を使って投資をすることをおすすめします。
(岡村さとみ)
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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