伝説の投資家シリーズ13 −Peter Lynch

 伝説の投資家シリーズも第13弾となりました。本日の投資家はピーター・リンチです。これまでの伝説の投資家はほとんどがヘッジファンドマネージャーでした。買い持ちだけでなく、空売り、つまり売り持ちのポジションも自在に使いこなすことで、大きなリターンを目指すのがヘッジファンドの特徴ですが、本日ご紹介するピーター・リンチは、ミューチュアルファンド(投資信託)のファンドマネージャーなので、買い持ちオンリーです。その意味では、個人投資家の皆様にも十分可能な投資手法で、大きな成功を収めた人物だと言えます。

 ピーター・リンチは、大学卒業をしてすぐに、フィデリティに入社し、約10年後にマゼランファンドという、フィデリティが運営するミューチュアルファンドのマネージャーに就任します。マゼランファンドは、リンチがマネージャーを務めていた1977−90年の14年間、年率平均リターン26.4%という高いリターンを上げます。同時期のS&P500の利回りが13.3%であったので、それを13%もアウトパフォームする素晴らしい実績でした。

 上記のように、ミューチュアルファンドはヘッジファンドと異なり、空売りやデリバティブを使った複雑な取引を行うことはできません。株式を購入して保有するという単純な手法でこのように高いリターンを上げられたのは、リンチの銘柄選択能力が優れていたからにほかなりません。

 リンチのマゼランファンドは、1977年には1,800万ドル(約14億円)の規模しかなかったところから、1990年には140億ドル(約1.1兆円)という規模にまで成長しました。リンチは、この間なんと15,000以上の銘柄を売買したようです。リンチはこの膨大な数の購入銘柄と、その何倍もあったであろう検討銘柄について、ほとんどを自身でレポートや財務諸表を読むことで評価していました。

 その猛烈な働きぶりは伝説的となっており、彼はファンドマネージャーを務めていた14年間、わずか2週間しか長期休暇を取らなかったようです。そして、2週間のうちの1週間は、アジアへの新婚旅行でしたが、なんとハネムーンの間も、日本や香港、タイなどの滞在先で投資先の検討をするために会社訪問を繰り返していたようです。

 この鬼気迫る働きぶりと、リンチの才能が合わさり、大きな成功をもたらしました。彼の投資スタイルは上記の取引銘柄数の多さからも分かるように、非常に柔軟なものでした。成功を収めた銘柄や業界にこだわることなく、低迷していて割安な株式であれば、なじみのない業界であっても積極的に検討しました。

 リンチ曰く、一つの業界にこだわっていると、いつかその業界が低迷期に入った時に大きな損失を出してしまうため、数年サイクルで柔軟に投資対象を見直していたようです。この柔軟な姿勢と共に、リンチの投資スタイルを参考にする上で重要なのは、「他の人はその株式を買わない理由を探しすぎる」という言葉です。

 投資セミナーをやっていると、どのようなアイデアを説明しても、リスクがあると反応する方が居ます。世の中には、誰が見ても有望な投資対象など存在しません。特に、今はネットから膨大な情報が入ってくるのでうまく信頼できるものを選別しなければ、プラス・マイナス双方の情報により、判断できなくなってしまいます。出来る限りの努力はもちろん必要ですが、どこかで果断に決断することの大切さをリンチの言葉は教えてくれます。

 日本でも人気の高いリンチにまつわる書籍は、多くの数が日本語にも翻訳されていますので、皆さんもお読みください。ただ、最後に気をつけたいのは、リンチが1990年に40代半ばにして、「死ぬ間際になってもっと働いておけば良かったと後悔する人間は居ない」という言葉と共に引退したことです。ファンドマネージャーという仕事に人一倍愛情を持っていたリンチのこの言葉。ワークライフバランスを考えるうえでも参考になりそうです。

S&S investments
岡村 聡

【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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伝説の投資家シリーズ12 −Victor Niederhoffer

 ここまで、伝説の投資家シリーズとして、10回以上に渡り様々な投資家を紹介してきましたが、どの投資家も非常に成功した投資家ばかりでした。伝説の投資家だから、成功していて当たり前と思うかもしれませんが、成功だけでなくその失敗により世界に知られている投資家達も存在します。日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」のコラムが非常に人気であることからも分かる通り、ビジネスや投資では成功だけでなく、失敗からも多くの事を学べます。本日はそうした敗軍の投資家、Victor Niederhoffer(ヴィクター・ニーダーホッファー)を紹介したいと思います。

 ニーダーホッファーは、統計学についてハーバードで学士号を取り、シカゴ大学で博士号を取得した後に、弱冠24歳の時にUCバークリーで金融工学の教授になるという早熟型の超エリートでした。また、ハーバードの学生時代から、スカッシュの学生チャンピオンに輝き、全米チャンピオンに5度もなるなど、まさに文武両道の天才でした。

 ハーバードの学生時代から未上場企業の買収を手掛ける企業を設立し成功をおさめていたニーダーホッファーは、1960−70年代にかけて、マーケットの非合理性についての重要な論文をいくつも発表し、学界でも高い評価を得ます。まさに、アメリカンスーパーエリートの典型のような人物です。

 1972年に自分の投資ファンドを設立し80年に掛けて高いリターンを残したことで、ジョージ・ソロスからの誘いを受けます。そして、1982年から90年までソロスのファンドでも大成功をおさめ、最終的には債券と為替部門の責任者まで務めました。1990年にソロスのファンドを退職し、自らのファンドを立ち上げますが、その時にソロスは「私のファンドから、私が首にしたのではなく去った初めての人物だ」と残念がりました。ソロスは自分の息子の投資教育にニーダーホッファーのファンドに就職させるほど、彼の手腕を極めて高く評価していました。

 この完璧とも言える経歴と、ソロスからの高い評価を元に、ニーダーホッファーのファンドは順調に資金を集め、運用成績も1996年に掛けて年率35%と極めて優れたものでした。しかし、97年に全てが暗転します。国内に有効な投資機会を見つけられなかったニーダーホッファーはタイの株式に資金を投じますが、アジア通貨危機でタイ株式は大きく値を下げます。ただ、そこは相場の天才ニーダーホッファーです。ただでは諦めず、一時的な危機ですぐに反発するとして、さらに追加投資を行います。

 実際に、ニーダーホッファーの読みは当たっており、株式は大きく反発するのですが、なんとその前日に彼のポジションは、追証を用意することができず強制決済されて、大きな損を被りました。この損失をきっかけに彼のファンドは解散します。

 ニーダーホッファーは、この損失を自らの判断ではなく、証券会社の判断ミスとして、自己資金の運用を98年にはすぐ再開し、02年からは海外投資家向けのファンドも立上げます。彼のファンドは再び大成功をし、01年から05年にかけて年率50%という信じられないリターンをあげます。しかしながら、まるで前回のファンドをなぞるかの如く、07年のサブプライム危機の発生により75%もの資金を失い、ファンドは解散してしまいます。

 ニーダーホッファーは、辛口で知られる「ブラック・スワン」の著者タレブをして、「今までにこれほど頭の良い人物とは会ったことがない」と言わしめるほどでした。彼の華やかな経歴もそれを裏付けています。しかし、その能力が成功を保証しない所に投資の奥深さがあります。彼の師匠、ソロスの名言にある、「投資においてはまず死なない事を考えるべき」という謙虚さがなかったことが、彼の敗因ではないでしょうか。

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岡村 聡

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伝説の投資家シリーズ11 −Edward Thorp

 本日の伝説の投資家はEdward Thorp(エドワード・ソープ)です。ソープは、”クオンツ”と呼ばれる職種の先駆けとなった人物です。1980年代以降、博士号を持つ、数学や物理、情報学の天才たちが、複雑なコンピュータシミュレーションを元にトレーディングで莫大な収益をあげるようになりました。こうした、数理分析によるトレーダーの事を、クオンツと呼びます。

 28歳にして、MITでの数学教授の座を射止めた、数学の天才ソープは、その数学的処理能力を活かして、まずカジノで大儲けをたくらみます。2進法での情報処理理論を確立した、情報学の草分けにしてMIT教授の大先輩Claude Shannon(クロード・シャノン)に協力を仰ぎ、ルーレットの球の速度と球を入れた位置から瞬時に、37(0〜36)の目を8つに分けたエリアのどこに球が入るのかを判断する、コンピュータモデルを作り上げます。

 それを靴に仕込んだ超小型コンピュータに実装し、出力結果を超小型インカムで聞くことで、カジノで大儲けをします。ルーレットの次に、今度は「ブラックジャック」についての数学的研究を進め、絵札の枚数をカウントすることでの必勝術を編み出します。この話は、ハリウッド映画「ラスベガスをぶっ潰せ」にも描かれています。映画と違い、カジノで大金をせしめることに成功したソープは、次に株式/債券投資に打って出ます。

 ノーベル経済学賞の対象にもなったオプション価格の計算式、「ブラック=ショールズ方程式」について、経済学会での公式の発見者とされるFischer Black(フィッシャー・ブラック)とMyron Scholes(マイロン・ショールズ)
よりも先に、ソープはこの理論を見つけていたようです。この方程式を使いながらも全面的には信頼をせず、非常に慎重なスタイルで主に転換社債の運用を続け、30年弱の間平均リターンで20%という素晴らしい運用実績を残しました。

 50歳を超え、かつ他のファンドへの捜査の一環として、当局から捜査も受けたことにより、1990年に資産運用の一線からソープは退きます。その時の後継者が、当時弱冠20歳のハーバード大学の学生であった、Kenneth
Griffin(ケネス・グリフィン)で、彼はその後世界最大級のヘッジファンドCitadel(シタデル)を築き上げました。

 しかし、グリフィンを始め、ソープの後継者のクオンツ達はコンピュータモデルに信頼を置き過ぎ、大きなレバレッジを使って投資をした為、07年後半のサブプライム危機で大打撃を受けます。そのことに業を煮やしたソープは何と御年75にして、2008年から運用を再開し、大暴落の相場の中、18%というリターンをあげました。

 彼のモットーは、投資の際にレバレッジ(借金)を使わないということです。それは、マーケットではコンピュータモデルが想定するよりはるかに大きな変動があるからです。数学の才能をいかんなく発揮し、大儲けをしながらも、常にコンピュータモデルが想定しないリスクへの備えを怠らないソープは、真に偉大なトレーダーと呼べると思います。私自身、この点を見習いながら、投資を行っていきたいと考えています。

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岡村 聡

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伝説の投資家シリーズ10 −Stanley Druckenmiller

 先日、ここ20年常に世界の先頭を走ってきた、天才投資家が引退を表明しました。その名はStanley Druckenmiller(スタンリー・ドラッケンミラー)。この伝説の投資家シリーズでも紹介したGeorge Soros(ジョージ・ソロス)の右腕として知られた人物です。

 ドラッケンミラーは、24歳のとき(1977年)に博士課程を中退し、銀行の株式調査部に就職します。金融の仕事に天職を見出した彼は、弱冠28歳のときに自らのファンド”Duquesne Capital Management(デュケーネ・キャピタル・マネジメント)”を設立します。良好なパフォーマンスを継続していた彼は、ソロスに見出され、1988年にはソロスが運営しているQuantum Fund(クオンタム・ファンド)の投資責任者に抜擢されます。

 それ以降、1992年に1日で約10億ドル(約800億円)のリターンをクオンタムにもたらしたポンドの空売りなど、マクロ経済の動向を的確に予測した上での巨額取引により、非常に大きなリターンをもたらし続けました。00年代に入り、IT株式へのポジションをソロスの言う通りに減らさず、バブル崩壊による損失を受けた責任を取って、ソロスと袂を分かちます。そして、自分のファンドの運営に専念しますが、00年代も非常に優秀な成績を残し、1986年以降20年以上に渡って30%以上の平均リターンという人類史上最高クラスの数字を残してきました。

 08年のリーマンショックの際も、マーケットを的確に予想し、ヘッジファンド全体のパフォーマンスが−19%と沈む中、11%のリターンをあげましたが、09年はヘッジファンド全体が20%のリターンをあげる中、10%のリターンと平均を下回りました。そして、10年は年初から7月末までで−5%と、彼のキャリアで初となるマイナスリターンの危機に瀕したことをきっかけに、外部資金の償還を発表しました。

 彼のデュケーネ・キャピタル・マネジメントは、運用残高が約120億ドル(約1兆円)と非常に巨大になり、自らの投資により相場全体が動いてしまうため、一方向に大胆に掛ける投資スタイルを継続することが難しくなったことが、ここ2−3年、以前ほどのパフォーマンスをあげられなくなった主因であるようです。

 もちろん、一般のファンドマネージャーにとっては、08年の実績なども非常に立派なものですが、長らく30%以上のリターンを継続してきたドラッケンミラーにとっては満足できない数字だったようです。

 彼は、「顧客のために勝負に勝つ喜びは非常に大きなものだが、ここ何年もの間に経験した、一時的な不振からくる失望感が積み重なって私には大きな打撃となり、これ以上持ちこたえることができなくなっている」と、引退に際して述べているようです。

 30年以上に渡り、運用の最前線で戦ってきたことで心身ともに限界まで来ていたこともあるのでしょう。最近、著名な投資家である、Carl Icahn(カール・アイカーン)も彼のファンドに投資をしている全ての外部資金を償還するという発表をしましたが、どんなに手練の投資家であっても外部資金を預かっての運用は非常にプレッシャーがかかるようです。

 いずれ、夫婦でヘッジファンドを創設したいと考えている私達ですが、なかなか身が引き締まるニュースでもあります。

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岡村 聡

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伝説の投資家シリーズ9 −John Templeton

 東日本大震災で被災された方へのお悔み・お見舞いを申し上げます。福島原発など、まだまだ予断を許しませんが、投資家として貢献できることはリスクマネーの金融市場への供給です。皆さんも、パニックに陥らずに冷静に対応をお願い申し上げます。

 さて、本日の伝説の投資家ですが、John Templeton(ジョン・テンプルトン)です。テンプルトンは1912年に米国に生まれ、1940年に本格的に投資を開始し、2008年に95歳で亡くなる直前まで約70年間、投資を続けたことで知られています。

 彼の投資スタイルは70年間一貫していて、PER・営業利益率・清算価値・利益の成長率といった、企業の収益性と株価の割安度を図る指標を重視して、成長性が高いと考えられる小型企業に、3〜5年の長期間投資をするという、グロース投資の典型でした。

 インフレが起こっていない国であれば、どのような新興国も投資対象とするというスタンスを持ち、米国人がまだほとんどの資金を国内にしか投下していない時代から、世界中に資金を展開し、その柔軟な投資姿勢は際立っていました。新興国と言う言葉が一般的になるはるか以前から、新興国投資を実践していたということで、最終的には約700億円という巨額の個人資産を築いたようです。

 この非常時にある日本に生きるものとして心強いのは、1960年代、まだ戦火の爪痕が残り、世界的には投資対象としてみなされていなかった日本の成長性に着目をし、米国人として初めて大々的に日本に投資を行っていたことです。この日本への投資は、その後の高度経済成長による、日本経済の爆発的な成長により大成功をおさめます。このテンプルトンの日本への投資こそ、まさに投資家の真髄と言えるでしょう。周囲がパニックに陥っている、もしくは見向きもしていない市場を丹念に評価し、本質的な価値からみて株価が割安だとして、大きく成長する可能性を感じ取り、そこに大きな資金を投下する。そして、その投資ストーリーが実現し、巨額のリターンをあげる。

 これこそ、投資家にとって最大の名誉とされる偉業だと思います。本日も、日経平均が10%以上下落するなど、外国勢を中心に激しい売り攻勢により、日本の株式市場は大きく下げています。もちろん、やみくもに投資をしてはいけませんが、このように大きく株価が下がっているときこそ、テンプルトンのような長期の成長資金を提供する、真の投資家にとってはチャンスのはずです。

 日々の生活もままならない方も多くおられるでしょうが、安全な地域に居る投資家は、是非、投資のチャンスとして、リスクマネーを金融市場に提供して下さい。私も含めて投資家にできることは適切な判断に基づく投資を行い、日本経済を元気にしていくことだと考えています。BBCやCNNなどを見ていても、このような巨大地震の後とは思えない、日本の規律を保った社会と、復興への意思は高く評価されています。一緒に頑張りましょう!

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岡村 聡

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伝説の投資家シリーズ8 −Prince Al-Waleed bin Talal

 本日の主人公は、Prince Al-Waleed bin Talal(アル=ワリード・ビン・タラール王子)です。今までの伝説の投資家で初の王族です。

 アル=ワリード王子は、サウジアラビアの初代国王Abdul Aziz al Saud(アブドゥル・アジズ・アル・サウド)の孫にあたります。こう書くと、生まれながらの大富豪なのに伝説の投資家と言えるのか不思議に思われる方も居るかもしれません。まずは、アル=ワリード王子の背景となる、サウジの王族について説明します。

 確かに、サウジアラビアの国王と皇太子は、世界一の莫大な原油収入により、それぞれ年間3−4兆円を自由に使うことができるという、途方もない富豪です。しかしながら、初代国王アブドゥル・アジズには男子だけで37人も居り、伝統的に男系を重視する中東の文化から、正確な女子の数は集計もされていません。現在の第6代国王Abdullah bin Abdul-Aziz(アブドゥラ・ビン・アブドゥル・アジズ)は、初代国王の息子にあたり、本日の主人公であるアル=ワリード王子たち、初代国王の孫世代は直系だけで1,000人近くも居ますが、未だ政治の表舞台に出てきていません。

 特に、アル=ワリード王子の父親は有力な王族ではなく、サウジの王族のイメージとはかけ離れた富裕ではない環境で育ったようです。王子は、アメリカの大学/大学院を卒業した後、実業の世界に入りますが、最初に会社を興す費用の数百万円は父から借りました。すぐに、投資や不動産売買で実業の才能を発揮し始め、起業費用はすぐに返済し、投資規模を順調に拡大していきます。

 特に、サウジアラビアの首都リャドにおける不動産投資は10年で価値が約1,000倍になるという大成功を収めます。90年からは、シティグループを始めアップルやモトローラといった大企業が苦境に陥って株価が低迷しているタイミングで、数百億円単位の投資を大胆に行い、株価の反発局面で大きなリターンをあげ、世界的な富裕層の仲間入りをしました。ブランド力のある企業に対して、割安タイミングで投資を行うスタイルから、彼は”アラビアのバフェット”と呼ばれています。本家のバフェットからも、私が”オマハのアル=ワリード”だと言われるほど、投資家としての手腕は世界的に認められています。

 彼の資産は、2010年のフォーブスの富裕層ランキングで世界19位となる2兆円弱と推定されていますが、お金の使い方は世界一として知られています。世界最大の飛行機であるエアバス380(全てエコノミー席で使用すると850人乗れるサイズ)を、世界で初めてプライベートジェットとして使用するようです。機体費用300億円に加えて、100−150億円の改造費を掛け、機内に巨大なダイニングルームや、キングサイズベッド、ジムや大浴槽まで備えた、まさに”空飛ぶ宮殿”とするようです。

 また、プライベートヨットも世界最大となる全長200メートルサイズの船を建造しているようです。ここまで大きくなると、もはや巨大豪華客船や空母のサイズなので、普通の港には着岸できず、かえって不便なようですが、それでも世界一の称号が欲しいようです。アル=ワリード王子は現在55歳ですが、ウォーレン・バフェットが同い年の頃よりはるかに金持ちだと公言するなど、消費の面だけでなく、資産においても世界一の座を狙っているようです。

 このような過激な言動により、ともすれば偏った人物だと見られがちなアル=ワリード王子ですが、今回の中東・アフリカでの政変がサウジアラビアにまで波及することが懸念される中で、堪能な英語を活かして、欧米のメディアにサウジアラビアに必要な改革の方向性を語るなど、注目は高まっています。現国王や皇太子も、実力によりのし上がり、国民的な人気を誇る王子に、国庫の運用や経済・政治改革の方向性についてアドバイスを求めているようです。

 世界経済に大きな影響力を持つサウジアラビアの未来のかじ取りをしていく、アル=ワリード王子の動向から今後も目が離せません。

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伝説の投資家シリーズ7 −David Tepper

 本日の伝説の投資家David Tepper(デービッド・テッパー)は57歳で、前回ご紹介したジョン・ポールソンと同じで、第2世代のヘッジファンドマネージャーです。

 テッパーは、MBAで製鉄会社の財務部門に就職したという、ヘッジファンドマネージャーとしては異色の経歴です。製鉄会社は2年で辞めて、投資信託ファンドのアナリストに転職し、28歳のときにゴールドマン・サックスに入社しました。通常、ゴールマン・サックスにはMBAを取ってすぐ就職する人が多いため、かなり遅めの入社です。

 ゴールマン・サックスには8年間在籍し、企業破たん時に安値で、債権や株式を買い取るディストレスト投資で頭角をあらわします。このゴールドマン時代に、後の超逆張り投資と呼ばれるスタイルが確立したようです。その後、36歳のときに自らのヘッジファンドAppaloosa Management(アパルーサ・マネジメント)を立ち上げます。

 テッパーが世界中に名前を知られたきっかけは、09年のヘッジファンド報酬ランキングで、1位に輝いたことでした。1年間で、約40億ドル(約3,300億円)という天文学的な収入を得て、これがヘッジファンドの歴史上の最高額だったことから大いに話題を呼びました。

 テッパーは、09年の前半、まだ金融危機により市場が冷え込んでいて、シティバンクやバンク・オブ・アメリカのような世界的金融機関の破たんすら騒がれていたころに、彼は金融機関に投資しまくりました。上記のような金融機関を破たんさせると、世界経済全体に大打撃を与えるようなショックが起き、必ず政府がサポートし続けるという冷静な読みがあったようですが、彼の目論見通りシティバンクやバンク・オブ・アメリカの株式はわずか数ヶ月で数倍に跳ね上がりました。

 09年の投資は、世の中が悲観一色に染まっているときに、その悲観の震源地である金融機関の株式を買うという、まさに”超逆張り投資”と呼ぶべきものです。彼は、他にも、97年のロシア経済危機の際に、ロシア国債を買い漁り巨額のリターンを上げるなど、常に逆張り戦略で収益を上げてきました。

 テッパーは、自らの投資スタイルを称して、”落ちているお金を拾う”と表現しているようです。価値はあるにもかかわらず、ほとんどの人から見放され、タダ同然の価格になっているものを購入し、それが本来の価値に見合うまで価格が上昇することで、リスクを小さく儲けられるということが言いたいのでしょう。

 テッパーは、ミーティング中に、彼が財布から出して床に置いた20ドル札を若手に拾わせることが良くあるようです。実質の価値に対してはるかに価格が下回っている商品のみに手を伸ばすべきだと、彼の投資思想を体感させるための行動です。

 もちろん、本当に価値がなくて価格が低迷している資産がほとんどなので、実際に超逆張り投資で成功するには、経済全体への大局観と地道な分析が必要であることは説明するまでもありません。

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伝説の投資家シリーズ6 −John Paulson

 本日の伝説の投資家John Paulson(ジョン・ポールソン)は55歳で、ヘッジファンドの第1世代とされ、このコラムでも既に紹介した、George Soros(ジョージ・ソロス)Julian Robertson(ジュリアン・ロバートソン)とはちょうど1世代違います。

 ポールソンの経歴はまさにビジネスエリートの典型です。ニューヨーク大学で金融の学位を得た後、ハーバード・ビジネススクールに進学し、そこで世界中から集まった1学年800−900人の秀才たちの中からTop5%だけに与えられるBaker Scholar(ベイカー・スカラー)を受賞します。卒業後は、経営コンサルティング会社の名門ボストン・コンサルティングに就職した後に、投資ファンド黎明期の大立者Leon Levy(レオン・レビー)が創業したファンドOdyssey Partnersに就職し、その後Bear Stearnsなどを経由して、39歳で自分のヘッジファンドを創業しました。

 しかしながら、彼の創業したファンドは、資金集めに苦労します。最初100万ドルを最低投資単位として資金を集めますが、誰ひとり出し手が見つからず、この投資単位を引き下げます。それでも、投資家が見つからない為、ポールソンは自己資産の200万ドル(約1.7億円)で仕方なくファンドを始めました。ようやく、ファンドを開設してから半年くらい経過した後に、約50万ドル(約4,000万円)を投資してくれる友人が見つかったようです。このファンドが僅か15年後に人類史上最大のリターンをあげ、世界最大級のファンドにまで成長すると誰が想像できたでしょうか。

 このエピソードは、ヘッジファンド業界のダイナミックさを表していると共に、いずれ、ヘッジファンドを立ち上げたいと考えている私達夫婦にとって、勇気と簡単にあきらめてはいけないという心構えを教えてくれました。

 ポールソンが名を上げたのは、08年の金融危機を見越した逆張り投資で莫大な収益を上げたことによります。05年頃から、住宅担保証券の格付け基準の甘さや、銀行の過剰融資により、いずれ深刻な金融危機が起きると予測し、サブプライムローンを含んだ商品のCDS(Credit Default Swap;ベースとなる金融商品がデフォルト(破綻)した時にその損失を補償するオプション)の価値が急騰すると考え、大量のCDSに投資を行います。

 しかしながら、住宅バブルはなかなか弾けず、このCDSへの投資は損失を出し続け、多くの大手投資銀行からこの取引をやめるように忠告を受けます。社内でこの取引を主導した人物まで弱気に転じることもありましたが、ポールソンは米国の住宅価格の下落と共に、大量のサブプライムローンが焦げ付くと予測し、この取引をやめようとするどころか、拡大を命じます。

 投資を開始してから2年以上が経過した、07年後半に、サブプライムローン問題が表面化したことで、目論見通りCDSの価値は急騰し、08年の儲けは約150億ドル(約1.3兆円)に上り、彼自身も約40億ドル(約3,400億円)の報酬を得ました。この150億ドルと言う儲けは、ファンドが1年間にあげたリターンとして、人類史上最高の金額です。

 その後も、ポールソンは成功をし続けており、09年は金融機関の株式が一転して上がると的中させ、10年は金価格の上昇により巨額のリターンをあげたようです。10年のポールソンの報酬は、ファンドサイズが成長した事もあり、50億ドル(約4,100億円)以上という天文学的な金額にのぼっているようです。この金額は、約3.6万人のゴールドマン・サックス全従業員のボーナス金額の約7割に相当する金額です。多くの人から馬鹿にされながらも、自らの見立てを信じて、偉大な勝利を収めた証です。

 ウォーレン・バフェットは、「潮がひいたときに、誰がちゃんと水泳パンツを履いているかがわかる」というフレーズで、危機が起きた時こそ投資家の真の実力が分かるという事実を表現したらしいですが、まさにポールソンはサブプライム危機という未曾有の暴落相場の中で、その実力を見せつけました。05年に危機を予見してから、2年以上損失を出しながらも自らの信念を貫き通したポールソンは、その偉業により伝説の投資家として永遠に語り継がれるでしょう。

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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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伝説の投資家シリーズ5 −Julian Robertson

 伝説の投資家シリーズ第5弾は、90年代の後半に自ら創業したヘッジファンドTiger Management(タイガー・マネジメント)を、史上最大級の運用資産約210億ドル(約1.8兆円)にまで成長させたJulian Robertson(ジュリアン・ロバートソン)です。ロバートソンは、以前に紹介したGeorge Soros(ジョージ・ソロス)と、こちらは未紹介ですがMichael Steinhardt(マイケル・スタインハート)と合わせて、ヘッジファンドの草創期の三巨頭と呼ばれています。

 いずれも、70〜80年代初頭にヘッジファンドを創設し、爆発的な成功を収めたヘッジファンドマネージャーです。ロバートソンは、名門投資銀行Kidder Peabody(キダー・ピーボディ)で20年以上働いた後に、投資銀行でのサラリーマン生活に疲れたとして、ニュージーランドに行き休暇を取ります。そこで、じっくりと今後の自分の人生について考えたロバートソンは、組織で働くことではなく、自らヘッジファンドを作り、自分のパフォーマンスのみによって評価されることが最も自分がやりたいことだと考えます。余談ですが、この経緯は同じ決断をした私達にとって、非常に良く分かるものです。

 80年にウォール街に戻ったロバートソンは、48歳とヘッジファンドの世界ではかなり遅いスタートを切ります。自己資金800万ドル(約7.2億円)でスタートしたタイガー・マネジメントは、ファンドを解散した00年には上記のように220億ドル(約2兆円)にまで成長しました。新規投入資金によるファンド規模の増加や様々な諸経費を除いた後のタイガー・マネジメントの平均リターンは約32%で、ファンド創設時に1ドル投資しておけば20年後には250ドルになっているという素晴らしいパフォーマンスでした。

 00年のITバブルの頂点のときに、ロバートソンが得意とした、割安株を丹念に探し出して値上がりを待つバリュースタイルの投資は古いと、多くの投資家に見限られ、タイガー・マネジメントは解散することになりました。皮肉であるのは、タイガー・マネジメントの解散直後に、ITバブルは崩壊し、ほとんどのIT銘柄が何十分の一に暴落したことです。タイガー解散の引き金となった投資家達の多くは、大きな損失を出しました。

 一方、ロバートソンは、タイガーの解散後も、オフィスやシステムを弟子たちに引き継いでファンドの創設を助け、さらには自己資金を投入することで、後進の指導を積極的に行っています。また、自己資金による投資も継続しており、直近では、サブプライムローンの崩壊も的確に予測し、03年には約3億ドル(約250億円)だった彼の自己資産は09年の段階で約22億ドル(約1,800億円)にまで増えているようです。このロバートソンの弟子達のファンドは多くが成功をおさめており、この点でもロバートソンの偉大さが再評価されています。残念ながら、ロバートソン本人は、タイガーの解散の時のゴタゴタに辟易して、他人の資産を運用するつもりは全くないようです。

 ロバートソンは投資家だけではなく、趣味の世界でも、グローバルに知られる存在です。彼は休暇を過ごしたニュージーランドを気に入り、現地にゴルフコースとワイナリーを作りました。Kauri Cliffs(カウリ・クリフズ)とCape Kidnappers(ケープ・キッドナッパーズ)という2つのゴルフコースは、世界的な評価を受け、ゴルフ界のミシュランと呼ばれる、Golf Magazineの世界名コース100選にも選ばれています。特に、ケープ・キッドナッパーズは、ゴルフ場から見える全ての景色をコントロールしたいというロバートソンの理想を体現するために半島のほとんどを買取り、敷地に入ってからクラブハウスまで車で30分近くかかるという巨大な規模らしいです。いつの日か訪ねてプレイしたいと夢見ています。そして、ロバートソンの80歳近くになっても投資で勝ち続ける手腕と胆力、巨大なスケールの趣味は、私達にとって憧れです。

S&S investments
岡村 聡

【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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伝説の投資家シリーズ4 −John Arnold

 伝説の投資家シリーズ第4弾はJohn Arnold(ジョン・アーノルド)です。
 これまで、バフェットシモンズソロスと、70歳以上の投資家ばかり取り上げてきましたが、本日の投資家はまだ30代とはるかに若い、新進気鋭の人物です。

 アーノルドは、ヴァンダービルト大学を21歳で卒業した後に、エンロン社にトレーダーとして入社しました。天然ガスなどのエネルギー取引で、約7億5,000万ドル(約600億円)もの巨額の収益を01年の1年間で会社にもたらし、エネルギー取引の天才としてその名を轟かせます。

 エンロン社は、全米を震撼させた巨額不正会計事件で02年に破たんしました。アーノルドは、上記の巨額リターンを上げた見返りとして、01年に受け取ったボーナス800万ドル(約6.5億円)を元手に、Centaurus Advisers(ケンタウロス・アドバイザーズ)という自分のファンドを立ち上げます。

 ケンタウロスは、05年に160%、06年に200%、07年に50%、08年に50%、09年に29%という史上例を見ないリターンを継続しました。この成績を見て、新規資金が殺到したことにより、ファンドを立ち上げてからわずか8年で、約5,000億円の規模にまで成長しているようです。

 ケンタウロスが05年から09年に挙げたリターンは、平均で年率87%という驚異的なもので、ヘッジファンドの歴史上、他に例を見ないものです。
 08年に15億ドル(約1,300億円)の収入をあげて、ヘッジファンドマネージャーの報酬ランキングで3位に入ってから世間の注目を浴びるようになりました。

 毎年、このように素晴らしい成績を残しているアーノルドは、36歳で約40億ドル(約3,300億円)の個人資産を築いており、まさにアメリカンドリームの体現者です。

 ケンタウロスは、Commodity Trading Advisor(CTA)と呼ばれる、資源・エネルギーなどの先物商品を取引しているという戦略以外は謎に包まれています。エンロン社の頃から、一貫して天然ガスの先物の取引を得意としているようで、今後、ケンタウロスがエネルギー市場にどのような見立てを持っているかは誰もが知りたいところですが、公の場で発言することはほとんどありません。

 そのアーノルドが、2010年は苦戦しているというニュースが流れました。年初から10月末の段階で−2.7%となっており、10月単月では7.9%のリターンを上げていたことから、9月末の段階では二桁パーセントのマイナスに苦しんでいたと騒がれています。

 もちろん、通常のヘッジファンドであれば何年かに1度はこのような不振もあるのですが、上記のような驚異的な数字を残していただけに、”驚異の天才”と呼ばれるアーノルドが残り2ヶ月でどのように巻き返し、10年通年でどのような成績を残すか注目を集めています。

 自らは、公の場ではほとんど発言しないアーノルドですが、金融危機後の先物市場の規制などについて政府から意見を求めているなど、今後も色々な場で意見を求められそうです。本人も自分の影響力を意識し始めたのか、最近、ビル・ゲイツとウォーレン・バフェットが始めた、世界中のビリオネア(個人資産が10億ドル(820億円)以上の大富豪)に、自らの資産の半分を寄付することを約束させる活動”Giving Pledge”への参加を表明しました。

 若くして大富豪になると、奢りそうなものですが、自らの影響力を意識して社会貢献にも目を配るなど、謙虚な姿勢に感心させられます。

 私達も、こうしたアーノルド達、アメリカの新世代のスターファンドマネージャーの振る舞いから学んでいきたいと思います。

S&S investments
岡村 聡

【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
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