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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界4




 セラミックス製造方法は前号で終了し、今回は排ガス規制についてです。


 日本ガイシ・日本特殊陶業ともガソリン、ディーゼル車両の排ガス、燃費規制強化により、ビジネスが大きく育ってきた。

 1963年に米国で酸性雨、オゾン層保護が目的の大気浄化法が制定され、自動車排ガスや二酸化硫黄排出の制限やフロン、四塩化炭素全廃の規制が成された。
 その後、1970年に改正法であるマスキー法が提案され、、1970年以降製造される車両の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の排出量を10分の1以下に、1976年以降の車両では窒素酸化物(Nox)を10分の1以下とする世界一厳しい内容であった。

 技術的に高い壁となったものの本田技研工業がCO、HC、Noxを同時に低減させるには燃料を完全に燃焼させる以外に方法はないと判断し、希薄燃焼実現に漕ぎ着けた。完成したエンジンはCVCCと名付られ、主燃焼室の上部に設けられた副燃焼室で若干濃い混合気を燃焼させたあと、希薄燃焼させる主燃焼室に火炎を伝播・燃焼させることでCO、Nox、HC低減を図った。
 だがHCは1975年の規制値以下に低減することは出来ず、その後の技術研究で排ガスの保持熱による排気管での酸化反応によるHC低減が可能となり、酸化触媒を用いずにマスキー法をクリアする目処が立った。

 余りに厳しい規制から米国ビッグ3が反発し、実質的に廃案となったが、その後先進国中心に規制が強化されて行くことになった。


 日本では昭和48年規制(1973年)が制定され、その後昭和50年規制、そしてマスキー法を達成するレベルの昭和53年規制を迎えることになり、この53年規制が100年に一度とも思える大きな転換点化になったと個人的には今でも思っている。

 昭和53年規制では従来のベルヌーイの定理によるベンチュリ管を利用したキャブレターでの燃料噴射では規制をクリアー出来ず、レースや高級車の一部で採用されていた電子制御による適切な燃料噴射と燃焼室を出た排ガスをクリーンにするためHC、CO、Noxを同時に浄化できる三元還元触媒が利用されるようになった。規制前の電子制御ではボッシュのDジェトロやJジェトロが有名である。

 この燃焼度合いを測る装置として登場したのが酸素センサーで1976年にボッシュが初めて世に送りだした。
 完全燃焼となる理論空燃比1:14.7(燃料対空気)をある程度図るための部品である。ボッシュより1年後の1977年にデンソーが、6年遅れの1982年(昭和57年)に日本特殊陶業が酸素センサーの製造販売を開始した。

 昭和53年以降、日本ではガソリン、LPG、軽油など燃料ごとや、車両(大型、小型)毎、ほぼ毎年のように規制が強化され、2000年(平成12年)には現在のベースとも言える、昭和53年以来の厳しい規制が図られ(海
外も同様に強化)、2000年の排出ガス規制は昭和53年規制値のCO、HC、Noxを70%下回る数値となり、スカイラインGTR、スープラ、RX−7などのスポーツカーやターボ車両、直列6気筒エンジンなどが生産中止となっていった。


 昭和53年以降に順次導入された三元還元触媒は規制強化が成される毎に新製品が投入されてきた。三元還元触媒には触媒金属を担持するセラミック製などのハニカムが用いられる。
 ハニカムは細かい蜂の巣状の微細なセルが設けられておりセル中の表面に触媒金属が担持され、排気ガスが通過することで無害な物質に還元され仕組み。
 規制が強化される毎にセルの壁厚は薄くなり、上市当初壁厚12milで200cpsi(ミルとは千分の一インチ、cpsiは1インチ平行当たりの穴の数)であったが、その後6mil/400cpsiが登場。薄壁化するこ
とで触媒金属が早く温まり浄化機能が改善する他、排気ガスの圧力損失も低減する。またセル数を多くすることはセル内部の表面積を増すこととなり、通過する排ガスが分解される面積が広くなることで浄化性能の向上につながる。
 1999年にはティッシュペーパー1枚分の厚さの2mil、1インチ平方当たり900cpsiの製品が日本ガイシより投入された。


 2000年以降、東京都の石原知事がディーゼルエンジンの粒子状物質が問題だとして、ペットボトルを振りかざし国に先駆けて規制を強化する記者会見をきっかけに2003年には粒子状物質の規制が開始され、ススを一旦フィルターで捕獲し熱で焼く仕組みのDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)が登場する(日本ガイシ、イビデン)。

 1990年以降、特に1996年の米国LEV法や、当時導入予定であった日本の2000年法を鑑み、HCの特に厳しい規制強化から自動車会社は冷間始動時での空燃比制御を開始することでHCを低減させる効果を狙い、酸素センサーでは不十分であった空燃比制御を、精密な測定可能なセンサーに置き換えていった。
 1996年に世界で初めてデンソーがAFセンサーを上市し、日本特殊陶業は1991年に上市。

 1997年に気候変動枠組条約に関する京都議定書が採択され、1998年にUEとAECA(欧州自動車工業会)の間で二酸化炭素排出に関する自主規制の合意があり、2008年までに欧州で販売される乗用車の平均二酸化炭素排出量を140グラム/Kmまで削減することになり、日本、欧州の自動車メーカーでは燃料噴射をより精緻にコントロールするための手段としてAFセンサーの搭載比率が上昇していった。


 以上、排気ガス規制についてでした。


 余談になりますが、日本のガソリンエンジン量産車輛でいち早く電子制御燃料噴射を採用したメーカーは?
 1970年に他社に先駆けて117クーペなんですね。

 いすゞ イコールトラックメーカーになってしまいましたが、私が幼いときは父親と友人の会話で117は良いらしい、ベレG(ベレット)も良かったからなあと良く言っていたもんです。
 その後はジェミニを投入し、特にガソリンエンジンのZZはファンも多く正に走り屋仕様。欧州で撮影されたCMでは2台でのドリフトや、バックスピンターンを決めて地下鉄構内のホームに進入した時に電車が来るシーンなどなど、今も当時も考えられないCMです。是非ともユーチューブで御覧ください。

 実はいすゞ自動車、レースの最高峰のF−1用の12気筒ガソリンエンジンを独自に作っています。初めてのタイムアタックは他社本番のレース車輛より遅かったですが、熟成されていない状況下で初のテストとしては驚きであったと言われています。

 私の免許取り立て当時は初心者マークを付けてジェミニでした。その後、2トントラックのエルフや4トンのフォワード7,000ccも運転し、完成度の高さが感じられるメーカーでしたね。
 個人所有では3.1リッターのディーゼルに乗ってましたが、三菱自動車の2.8リッターよりカタログ表記の馬力では負けてますが、実際の加速はいすゞが上。メーターベースで180キロは無理ですが、結構出ましたね。燃費もいいし、いすゞディーゼルエンジンの凄さを感じました。


(山田順一)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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