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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界2




 前号のセラミックスの種類に続き、2回目の今回は製造工程の混錬まで。


【ファインセラミックス製造工程】


 原料 → 混練 ⇒ 成形 → 乾燥 ⇒ 焼成 ⇒ 加工 → 製品

 ファインセラミックス製品を作るのには、天然に存在する原料の人工的処理が必要で、ファインパウダー(微粉末)の研究がまず第一にある。

 ファインセラミックス製品に使われるファインパウダーの条件は、
 1)微粒子であること
 2)粒子の凝集がないこと
 3)粒子径が揃っている(狭い範囲での粒子径分布)
 4)球状であること。
 5)化学的に高純度

 上記条件を満たすために気相・液体・個相反応により合成され、必要なら精製を行う。
 微粉末にする際は粉砕法と合成法が使われる。


【混練工程】


 混練工程は原料・水・バインダーを調合して練り、成形で付きやすい(くっつく)混合物とし、成形後は保形成の良い原料とする工程。
 練る工程は均質に分散させた粘土やバインダー、水、その他をなじませ、原料中の空気を充分抜いて成形しやすい塊にする。水が粘土粒子とバインダーの間に入り込み潤滑油の役割をし、滑りを出すとともに水の密着で粘りを出し、粘土内粉末の摩擦力に打ち勝つ必要がある。
 練りの時間を加えることで硬さと粘り度合に変化が現れるが、成形方法に合わせた硬さと粘りのバランスを取る必要から、微妙な力加減と時間の調整が必要。
 バインダーが加わった原料は練時間を加え続けると、粒子同士の滑りは向上するが、バインダーがズタズタに壊れ乾燥後の糊(のり)としての性能が低下するため割れてしまう。
 実際のファインセラミックス練り工程では餅つき機のような小さなものから、圧力をかけながら大小2枚の羽根でかき混ぜるタイプなど、様々な練りを行っている。
 滑りやすい、粘り強い、という相反する特性のバランスが粘土の優劣を決めるが数値化が難しく職人芸の世界であったが、日本ガイシではNGK式硬度計や各種のレオロジー測定(変形させるときの必要な力)の科学的分析を進めた。

(以下、流体説明は一関高専の資料から)

 ここでレオロジーというものを考えてみるが、その中で重要な要素は粘度であり、これは流体の流れ難さを表現するもの。

 水を入れたグラスを傾けると水は何の抵抗もなくこぼれ落ちて行くが、蜂蜜を入れた場合はグラスを傾けると、ゆっくりこぼれ落ちて行く。これは水と比較して蜂蜜の粘度が高いから生じる現象である。

 では次にマーガリンと蜂蜜(一般的な)を考える。
 マーガリンをグラスの底に入れて傾けても形を保持して流れ出ることはない、つまりマーガリンは蜂蜜より粘度が高く、マーガリン>蜂蜜の関係。
 今度はトーストの上に蜂蜜を、もう一枚のトーストの上にマーガリンを載せて塗ってみるとほぼ同じ力を加えただけで塗ることが出来る。
 粘性はマーガリン イコール蜂蜜となる。

 では2つのボールにマーガリン、蜂蜜を各々入れて攪拌すると蜂蜜は結構な力を加えないとかき混ぜられないが、マーガリンは徐々に小さな力でかき混ぜることが出来るようになる。つまり粘性は蜂蜜>はちみつとなり、グラスに入れた時と逆になっているではないか!!!

 つまりかき混ぜる力によってマーガリンの粘度が変化する訳で、簡単に言ってしまえば加える力によって粘度が変わるものを非ニュートン流体、蜂蜜や水の様に変わらないものをニュートン流体と呼ぶ。
 水、食用油、水飴は粘度の違いはあるがニュートン流体に含まれ、マヨネーズやヨーグルトは非ニュートン流体に含まれる。
 この非ニュートン流体が単純でなく、加える力によって粘度が上がるものもあれば下がるものもあり、経過時間によって変わるものもあり、大きく3つに分類される。

[ビンガム流体]

 マーガリンやバターは少しの力では動き出さないが、一定を超えると動き出し、バターを流動させるに必要な力を降伏応力と呼び、その値を降伏値と言う。
 降伏値を超えるとニュートン流体の様に一定の粘度となるものをビンガム流体と呼び、別名塑性流体。

[擬塑性流体]

 降伏値を持たず力を加えると粘度の低下するものを言う。
 力を加えるまでは高い粘度を持ちビンガム流体の様な振る舞いをすることから頭に“もどき”“擬”が付き、マヨネーズ・ケチャップなどチューブに入った身近な食品がこれに当たる。

[ダイラタント流体]

 力を加えると粘度が上昇する流体を言う。例を挙げると、片栗粉に水を加えかき混ぜると徐々に粘度が上昇して行くのがこれに当たる。

[チキソトロピー」

 かき混ぜると粘度が低下すると言う点では擬塑性流体と同じだが、低下したあと一定時間経過すると元に戻ったりする。
 そのような性質をチキン性と言い、チキソ性がある、チキソ性が強いなどの表現を使う。ペイントがこの性質。

[レオペクシー]

 力を加え粘度の低下したチキソ流体に緩やかな振動・攪拌を加えると、放置したままより粘度が上昇する。または流体に力を加え続けた時に時間の経過とともに粘度が上昇して行く現象で、逆チキソトロピーと呼ばれる。


【流体の弾性について】

 薄い鉄板にある一定レベルの荷重を与えると曲がるが、その荷重を取り除くともとの形に戻る現象を弾性と呼ぶ。
 ゴムは大きく伸縮する弾性を持つ傍ら、オイルの様な流動性も持ち合わせ、これを粘弾性と呼び樹脂など高分子系や、食品だとネバネバ系がこのような性質。これらネバネバ系の非ニュートン流体をビーカーに入れて攪拌すると、攪拌棒に沿って這い上がって行く現象が起こるがこれをワイゼンベルグ現象(効果)と言い、ニュートン流体でこれを行うと遠心力により攪拌棒近郊の液面は低下し、外側のビーカーに近付くほど液面は上昇するため、非ニュートン・ニュートン流体では反対の事象が生じる。

 粘度とは流体の動かし易さの度合いであり、傾けたとき、指で触れたとき、攪拌した時など場面によって捉えることがことが出来るが、これを数値化したものであり、細い管に通して流れる時間と両端の圧力差から計測したものを細管式粘度計、静止流体に球を落として落下時間から計測するものを球形式粘度計、流体を回転させてその時に加えるトルクから測定する方式を回転式粘度計などがある。
 細管式や球形式はニュートン流体以外に向かず回転式が一般的に用いられ、この回転数を自在に制御できる装置をレオメーターと呼ぶ。レオメーターでは回転数を自在に操れるため、その瞬間ごとの粘度を測定することが可能だ。
 急激に流動させた場合、徐々に流動化させた場合などに対応可能で、ニュートンか非ニュートンか?ビンガムか?など。
 こうした特性を良く理解したうえで、混ぜ合わせた粘土が自重で形が崩れないような硬さを図るために、日本ガイシではNGK式硬度計を発明し使用している。このNGK式硬度計は製造販売されており、名古屋に本社を置く大蔵商事が扱っている。


 今回は混錬までとし、次回は成形工程に移ります。

 セラミックスを理解するため高校の理科の教科書を読むだけでも大分違いますね。

 日本ガイシをカバーしている証券会社勤務アナリストでも流体の勉強している方も何人かはいることでしょう。でもバイサイド(投資家)では結構います。


 億近読者の方には本業が職人芸の世界の方も多数いらっしゃると思いますが、コミュニティサイトでも立ち上げたいものです。


(山田順一)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)


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