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株の玉手箱 老後資産1億円達成への相場道#3



〜株式投資において欠かせない基礎知識〜


 皆さん、こんばんは。
 あすなろ投資顧問の加藤です。


 今回は前回でお伝えしきれなかった実践的な銘柄選定で役立つ「企業の分析」や「相場の需給分析」あとは目配せしておきたい「リスク指標」などについて書いていきたいと思います。

前回:「老後資産1億円達成への相場道#2」http://okuchika.net/?eid=8746


■企業分析編


 足元では中間期の決算発表シーズンがちょうど千秋楽を迎えたところですが、まず企業業績は株価の位置関係を判断する上でも非常に重要な部分を占めます。

 企業のファンダメンタル分析は証券会社のアナリストレポートなどを参考にすればよいと考えますが、個人投資家が手がける銘柄、とくに中小型株はカバレッジされていないものが多いのが事実です。

 では、銘柄選定の上でどのように企業を分析していくのがよいのか、投資家の方は日々試行錯誤されていることでしょう。


 前回10/10に取り上げたキーエンス(6861)やインソース(6200)はその後の決算上放れでそれまでの長期上昇トレンドから一段高しました。

 さらに、主力株や先行業種の上昇にならい取り上げた日本冶金工業(5480)、大平洋金属(5541)、田中化学研究所(4080)のその後のパフォーマンスも素晴らしいものでした。特筆すべきはフルヤ金属(7826)や黒田精工(7726)で、それぞれ30%を超える大幅上昇を見ることができました。

 相場全体がブル相場だったということもありますが、これらの業種や事業内容はそれぞれ特色に違いがあり、直近の決算発表でも好悪入り交じりであったことがお分かりいただけたことと思います。


 ここで一つ、高成長株・大化け株を探り当てる目安をお伝えしておきますと、業績面において【売上高が前期比10%以上成長】、利益面は【営業・経常・最終いずれも同30%以上増益】であることが条件になります。

 これにならって単純に前期との業績比較で増収増益の銘柄を片っ端から探していくのも手ですが、あくまでもこれは1つの目安に過ぎません。

 そして、そうした観点で選んだ銘柄はおそらく今回の決算発表では事前の想定と違った反応を示したものが多かったのではないでしょうか。

 とくに内容が良いものでも売られ、反対に足元の内容が悪いものでも買われるといった傾向が見られましたから、決算プレイを中心に売買する短期トレーダーは思ったよりもこの1か月間のパフォーマンスは伸びなかったのではないかと思います。

 それは『景気拡大期でのアプローチ』であると言え、成長期待が高まりやすい相場の地合いがあって本領発揮する銘柄選定法となるからです。


 今は違います。
 各国の経済指標が軒並み悪化して、世界経済の成長率は鈍化、しまいには景気後退懸念が市場センチメントの重しとなっている環境です。

 私は企業分析において最も重きを置いていることは時節に応じた銘柄を選定した上で、その企業のことをより深堀りしていくことだと考えています。
 つまり、私のやり方はある程度市場の動向からストーリーを組み立てるトップダウン型のアプローチを心がけています。優先順位の付け方が多少異なるといった方が分かりやすいでしょうか。もちろんそれが正解というわけではありません。

 むしろ今回の決算シーズンでは証券会社のアナリストレポートにみられますように細かく事業セグメントを分析し、ボトムアップ型のアプローチの方が有効だったのではないかと思います。でなければ、業績が悪化して下方修正が続出している市場環境下で、決算が悪くて売られた銘柄を積極果敢に買い向かっていくことはできなかったことでしょう。


 個人投資家の方とお話していて、よく「業績が良いのになぜ売られているのか?」というご相談を受けますが、それは足元の市場でグロース株ではなくバリュー株重視で物色されている傾向から読み解くことができます。

 これは前回書いた相場サイクルにも通じてくるのですが、資本市場ではこれまで債券がしこたま買われてきました。今まで安全資産とされてきたところから急にグロース株だ!と急旋回することは難しく、まずはリスク感応度の低いバリュー株から攻められるのは至って自然な流れと言えるのではないでしょうか。

 さらに言えば、上記の高成長株を発掘するにあたり、連続増収増益銘柄などは某株式情報サイトなどで一覧で探し出すことも容易にできますので、そこにはもはや市場に対しての優位性を確保することは難しくなってきています。

 ですから、決算発表前に目先の利益を追う短期筋の期待買いが入り、株価が上昇したところで決算発表を迎え、投資家の期待感に届かず売られるというパターンが多くみられるのです。

 これが業績が良いにもかかわらず株価が下落する市場メカニズムなわけです。


 では、足元の環境下でどのように企業分析を行っていけばよいのか?

 まず、今回の中間期決算は前期の過去最高益が続出した最も良いところの数値との比較になりますので、悪化しているのが既定路線です。とくに昨年10月より景気後退懸念が深まりましたので、昨年の4〜9月までは景気敏感株の事業環境は良かったという前提に立ち、足元は捨てて業績の底打ち時期がいつになるのかを見極めて買いか売りかの判断をしていく必要があると言えます。

 前回取り上げた銘柄にはこうした観点からシクリカルの、中でも素材株を中心に選んでいったという背景があります。

 もちろん今後の相場においても応用が効くところで、今年の1−3月期と4−6月期、さらに7−9期と四半期ベースで改善傾向にある景気敏感株は過度に売られ過ぎたところからの水準訂正が期待されます。

 弊社あすなろ投資顧問ではこうした銘柄を『本日の厳選株』というかたちで、多くの投資家の方々にファンダメンタルに着目した銘柄を日々無料でお届けしています。


■相場の需給分析


 よく「株価の変動は需給で決まる」というのを目にするかと思いますが、この一見よく分からない表現について読者の方はどのように認識されているでしょうか?

 需給、つまり需要と供給なわけですが、私は「売りたい人と買いたい人のバランス(均衡)」と捉えて説明することが多いです。


 ある銘柄の需給を見る上で、買いたい人が多いのか、売りたい人が多いのか、それはつまり株価の動向に直結してくるものです。そんなことが手に取るように分かるなら誰も相場で苦労しないのですが、完璧ではないにしてもその時々における投資判断の目安となるものは少なからず存在します。


 需給を探る上で最も重要なものは“出来高”です。

 つまり、その銘柄に参加している投資家たちが実際に売買した“事実”がこの“出来高”に表れており、どの価格帯で参加したのかが一目瞭然です。

 ここから分かることは、出来高が膨らんだところというのは圧倒的多数の投資家たちがポジションを取っていることでもあり、この投資家たちが売りたいと思っているのか、さらに買いたいと思っているのかをイメージすることで方向感を見極めることにつながってきます。

 例えば、直近で大きな出来高が積み上がったところから、その後に安値を切ってくるような現象がみられた場合には出来高を多くつけた日に買った投資家が売りたくなっているであろうことが想像できます。
 反対に、下値を切り上げる動きがみられる場合には、次から次へと参戦してくる投資家が多いことや、出来高を多くつけた日に打診買いした投資家が後から追撃買いをしているであろうことが読み取れます。

 つまり、下値を切り上げるという値動きは買い需要の多さを示していることが分かります。反対に、下値を切り下げるという値動きは以前にその株価水準で喜んで買っていた投資家がいなくなり、安値でしか買いたくない投資家が多いということが分かります。


 そんな“弱気の投資家”で溢れる銘柄の株価はどうなるでしょうか?


 その答えはカンタンで、元々が“弱気の投資家”ですから「安く買って高くなったら売りたい」という他力本願な投資スタイルです。
 高くなったら売るつもりだったのに、自分の買値よりもさらに値下がりした場合はどうしますか?やっぱりダメだ!と思って投げ売りしてきます。
 こうして“弱気の投資家”同士で安値を譲り合って、株価はなかなかアク抜けしないままにズルズルと値下がりしてしまいます。

 したがって、下値を切り上げている間は“買い”、下値を切り下げ始めたら“売り”の投資判断を下すのが妥当ということとなります。


 また、『高値ブレイク投資法』というのを聞いたことがある方も多いかと思います。
 これも需給に着目した投資手法の一つですが、“年初来高値更新”、“上場来高値更新”など相場の強さを表した表現が多くみられるかと思います。

 これを需給面に置き換えると、それまでの株価推移ではその高値まで買う投資家は存在しなかったにもかかわらず、新たに高値でも買いたいと思っている投資家が出てきたことを意味しています。しかも、その高値を買う投資家はもっと値上がりすることを見越して買っているわけですから“強気の投資家”ということになりますね。

 “強気の投資家”はつまり売りたい人ではありませんので、この“強気の投資家”が集まれば集まる程に株価が吊り上がっていきます。


 このような市場のメカニズムがあることを理解しておけば、他の市場参加者よりも優位性のあるポジションを構築することが最も重要だということが改めて認識いただけることと思います。


■ポジションを取る前にチェックしておくべきリスク指標


 今回も上記2項目でだいぶ紙幅をとってしまいましたので、詳しい解説は次回に譲るとして簡単にキーワードだけお伝えしておこうと思います。

 足元の相場環境でリスクと呼ばれるものは多くありますが、実際の判断材料として目を向けておかなければならないのは資本市場全体のマネーの動きです。

 現在はリーマン・ショックから10年以上が経過し、その間に採られた金融緩和策での膨大な資金供給により過剰流動性相場となっています。

 一にも二にもこのマネーの行き場探しが相場のゆくえを見定める上での重要なファクターとなることは言うまでもありません。


 さて、今このマネーはリスク選好でしょうか、リスク回避でしょうか、この辺りを見極めることができれば目先の株価動向に対しても冷静に立ち回ることが可能になります。

 そこで必ず見ておいていただきたいのが、前回でも書いた“米10年債利回り”と、市場の暴落を事前に知らせる「炭鉱のカナリア」と呼ばれる“ハイ・イールド債”、そして“金価格”の動向です。

 今回はこのあたりで、次回はこのリスク指標などについて詳しくお話できればと思います。

 お楽しみに!


(あすなろ産業調査部 加藤あきら)

[加藤あきら氏の過去コラム]
 老後資産1億円達成への相場道#1 http://okuchika.net/?eid=8729
 老後資産1億円達成への相場道#2 http://okuchika.net/?eid=8746


[加藤あきら氏プロフィール]
 国内・外資の大手金融機関で経験を積んだのち、あすなろ投資顧問に在籍。
 市場動向分析、市場心理分析、チャートだけでは語らない「大局的な視野」を持ち日々銘柄を分析する。顧客に寄り添うアドバイスに定評がある。


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株式会社あすなろ/関東財務局長(金商)第686号/加入協会 一般社団法人日本投資顧問業協会

(提供情報はあくまでも情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘及び、売買指示ではございません。株式投資には価格の変動等によって損失が生じるおそれがあることをご理解の上、投資にあたっての最終判断はご自身の判断にてお願い致します。信頼できると思われる各種情報、データに基づいて作成しておりますが、その正確性及び安全性を保証するものではありません。)


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