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株の玉手箱 味付けによる差が出そうな自動運転技術




 2017年夏、レベル3の自動運転をアウディが手掛けるとの新聞報道には驚いたが、日系自動運転技術者にとっては大変悔しい想いをしたに違いない。

 自動車先進国のドイツなら仕方ないとの考えもあろう。だが日系技術者からすれば技術では負けておらず、規制によるものから苦杯を喫することになったからだ。ジュネーブ条約に縛られる日本やアメリカの道路交通法に対し欧州先進国はウイーン条約がベース。加盟国の少なさから先にウイーン条約が改正され、ジュネーブ条約では加盟国の多さから三分の二の同意が得られず改正出来ないジレンマがあった。


 ところが2018年1月には米GMがハンドルやブレーキペダルのないレベル4の車両を2019年に実用化すると発表。同じジュネーブ条約国ながら日本より先行することになる。規制を遵守する志向から日本はどうしても遅れ気味になってしまう傾向があるらしい。州毎に規制を作り完成車メーカーはアメリカ各州で申請許可の形式になるであろうと当時業界関係者のコメントであった。

 しかし苦汁を嘗める結果となったのはこれだけではない。アクセルやブレーキペダルのない自動車は現在生産されている車両部品を流用するだけで完成させられることに言及していた。だが日本の動きも顕著となり各地でバスの無人運転による実証試験が開始されている。

 だが一部乗用車メーカーがなぜバスで実験するのか?
 運転手不足から商業車が目標なのか?
 様々な理由が考えられるが、技術優位性のアピールというものがありそうだ。


 特に目を引くのが停留所でのバスの幅寄せ技術。
 内閣府戦略的イノベーション創造プログラムでは5cmの幅寄せを披露し、同プログラムでトヨタグループは最短3cmの実用化を早急に目指すとしている。いくら熟練ドライバーでも各停留所で3cmの幅寄せを実現させるのは困難だろう。ストレスで胃潰瘍になってしまいそう(笑)


 乗用車でボディサイズの大きいレクサスLSシリーズやマツダのCX−8でも全長は各々5.2m、4.9m、全幅1.88m、1.84mに対し、大型バスでは全長10m、全幅は2.5mもある。
 乗客の立ち乗りを考慮し、足回りはエアーサスペンションを使用したクッション性を持たせた柔らかいセッティングである。加えて車重は10トン強だが乗客を乗せると総重量は15トン強に達し、ボディは左右に揺れやすい。

 車両が大きいため各部品も長く大きい。そのためクリアランスも大きくなり乗用車に比べ応答性に劣るステアリング機構ながらたった3cmの幅寄せを実現させるという凄い技。センサ、カメラ、GPSなど各社多様なハードを搭載するが、ソフトウエアによる制御が腕の見せ所だろう。


 数年前、某完成車メーカーがバイワイヤ方式のステアリング機構搭載車両を発表した。たまたま某部品企業の工場見学が行われた際、見せたかったのだろう。そのバイワイヤ式のステアリング製品が建屋のド真ん中に置かれており、センサとモーターの組み合わせとは別に、万が一の安全を担保するため従来の機械機構も備わる2重機構であった。先行きはバイワイヤが主役になろうと実感した。
 自動車は“走る”“止まる”“曲がる”の3つは基本で、オートクルーズによる“走る”は歴史が長く、自動ブレーキによる“止まる”も熟成されつつあろう。だが自動運転技術の進展で“曲がる”が加わり一番重要な開発事項である。
 レベル2車両の高速走行ではステアリングに手を添えないのは違反だが、車両によっては事実上自動運転が可能だ。


 かつて上場企業及び未公開企業の社長と話す機会があった。
 ハイブリッド車両の研究開発は数十年前から開始したが、自動運転は更に長い開発期間と言う。それだけ長期に渡って開発を続けながら実用化されなかったのは、半導体技術の革新を待つ必要があったと過去に聞いたことがある。
 現在ではハードの技術革新が相当進んだ。

 日産がレーンチェンジ可能なプロパイロットを発表。最近の日産は自動運転で先手を打って来る。しっかりとしたボディ剛性のスバルはきちんと止まると定評のアイサイトを備える。だがコーナーのR(半径)がキツイと突然自動ステアが解除されたり、割り込みでは多少のギクシャク感も仕方なかろう。ソフト面の改良に期待したい。


 回生の関係からブレーキの効き具合が変化するプリウスには困惑するオーナーもいよう。だがフルハイブリッドシステムの完成度は素晴らしい。

 機械工業界で公知な遊星歯車と2モーターを組み合わせた動力分割機構に特長がある。トヨタの特許取得から他社はクラッチ式のワンモータータイプが多く、内外完成車メーカーを取材する評論家からはフルハイブリッドはトヨタしか出来ないとのコメントも過去にあった。確かに市場はマイルドばかり。

 そのトヨタもTHS(トヨタハイブリッドシステム)方式の特許無償開放を宣言。THS−IIのエンジン再始動は低振動で、タコメーターがないためエネルギーモニターを見なければ再始動に気付かないこともある。
 でも他社がTHS−IIを採用したとしてもトヨタ並みの滑らかさが実現出来るのだろうか?


 自動運転関連はやりつくした様にも見えるが、新アイディアは尽きそうにない。


(あすなろ産業調査部)


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