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為替市場動向〜魔の8月と利下げの夏〜




 8月は、バカンスシーズンで閑散などではなく、びっくりの”事件”も多い、「魔の8月」と言われ、ネガティブなサプライズに伴ったショッキング相場が過去に多く起こっています。

 外国人投資家が、日本株を9年連続で8月に大きく売り越しているのは需給関係や決算を意識してもあるでしょう。しかし、そればかりでなく、歴史的にみれば、1971年8月15日には当時のニクソン米大統領によるドル・ショック(金とドルの固定比率での交換停止)、1980年8月はメキシコ財政危機、1998年ロシア財政危機。2007年8月には翌年のリーマンショックの引き金となったパリバショックでサブプライム問題が表面化し、2015年にはチャイナショック(人民元切り下げで円高株安)に、また、近いところでは昨年8月にトルコリラの暴落など枚挙にいとまがありません。
 中央銀行総裁が米国のジャクソンホールする演説が市場を動かすことが多いのも8月。夏だからこそ、恐ーいことが起きるのが相場かもしれません。


 そして、今年の8月ショックは、トランプ政権による「中国を為替操作国」に認定したことになるかもしれません。中国が対象になったのは1994年以来のこと。
 今週に入り、1米ドル=7.0000を超えた人民元相場に切れたトランプ政権。ほぼ誰もが予期しなかった動きにでました。びっくりです。

 為替操作国に認定されるには3つの条件を満たした国が対象とされてきました。
 まず、貿易収支が対米貿易黒字で年間200億ドル以上、次に経常黒字額がGDP比2%以上。そして、3番目が為替介入による外貨購入が1年で6ヶ月以上かつGDP2%以上とされ、このうち、二つの条件が該当すると「監視対象」とされ、日本はその対象国です。

 一方で、中国は、一つの条件しか抵触していないのに、巨額な対米黒字ゆえに、これまでも監視対象国扱い。しかも、今回は1ドル7人民元を超えたことが、為替の人為的操作とみなされました。
 今後は、米中間で協議の実施、通貨安の是正について中国への圧力が増し、さらなる制裁も発動する可能性もあるとされます。それに関して、まさかとは思いますが、市場の一部では米当局による為替市場介入のリスクを懸念する向きもあるようです。
 ただ、人民元取引は、他の主要通貨とは異なり、例えば債券市場での外国人保有は約2%程度しかないなど、簡単ではないとされます。しかし、もし、それが現実となれば、中国の報復のみならず、世界経済への新たなリスクへも広がりかねず、安易にはできないと思います。


 さて、注目された米7月のFOMCで0.25%の利下げ、加えてバランスシート縮小の停止が2か月前倒しが決定されました。
 大統領も含めて、0.5%という大幅利下げを期待する向きもあり、それに対する失望感(特に大統領)を、バランスシート縮小停止2か月前倒しで穴埋めしたのではないかと?とも解釈されました。パウエルFRB議長の再びの忖度だったのかもしれませんが、トランプ氏に評価はされませんでした。

 今年になって米国株式市場を支え高値トライまでしてきたのは、FRBによる(過剰なる)利下げ期待でした。経済が落ち込んだ証拠となる絶対的指標がない中での利下げ。これまでで言えば、経済好調時の利下げは、その後のバブルの原因になるとされて敬遠されてきた向きもありました。

 7月26日発表の米国第2四半期GDPは+2.1%と予想の1.8%を上回りました。中でも、株高と相関関係にあるとされる個人消費は+4.3%。株高効果を感じさせます。米国経済は好調だが、今回の利下げは低インフレ、貿易戦争の影響を懸念しての予防的利下げに過ぎないとして、継続的な利下げを否定していましたが、昨今の更なる米中摩擦が広がる中、一時は予想が低下した9月のFOMCでの利下げ観測が高まり、それに伴い、ドル安へじわじわ影響する可能性も高まるかもしれません。


 また、利下げは新興国で相次いでいます。

 今朝のニュージーランドの予想以上の0.5%の利下げ、今後はマイナス金利もあり得るようなスタンス。タイ中銀の予想外の0.25%利下げ、インド中銀の0.35ポイント利下げは予想を上回りました。先進国の利下げが新興国へ広がり、利下げ競争の様相です。

 10年国債利回りが節目のマイナス0.2を下回った日本、誘導金利のマイナス0.4%を下回りマイナス0.59%にまで低下した独国債、米国債も直近1.65%まで低下し、経済の先行きへの悲観的スタンスが進むような気持悪さを感じます。


 8月。気候の高温リスクに、マーケットの荒天リスク。
 気を抜かず過ごしたいものです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※8月7日東京時間午後8時執筆。
 本号の情報は8月7日東京市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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