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デサントTOB



 伊藤忠商事によるデサントへのTOB。国内株式市場に画期的な事案が出てきました。

 振り返れば12年前。スティールパートナズがブルドックソースにTOBを仕掛けたものの、結果はスティールへの見返りも含めた買収阻止提案が通り、TOBが失敗したブルドックソース事件を思い起こします。

 買収後に向けた経営方針などの準備不足(軽く考えていた?)もあったためかスティールはTOBに失敗しましたが、もしこの買収が実現していたらどうなっていたのか?
 役員の入れ替えとともに利益率向上へのリストラが断行され、その後に他の投資家(または事業家)へ転売されたであろうと容易に想像できます。
 日本ブランドを欲しがるアジア企業が買収していれば海外展開の道も開かれ、新たな投資資金を得て商品の多様化なども進み、株式価値は大きく増加していたのではと考えています。

 3年以上も保有していたのに利益至上主義のファンドによる投機的投資とされ(恐らく経済団体とマスコミが協力して?)、国民の愛国心?を煽ることも含めて買収阻止が成功しましたが、以前のコラムにも書いた通り「なんだ?この市場は?」と感じた次第です。

 ほぼソース専業で価格競争力も成長性も無い、たかだか時価総額200億円ほどの調味料会社の経営陣を救うために日本の経済界総出で大騒ぎしたような事件でしたから。

 昔から馴染みのあるソースですが、何処かに買収されたとして、仮にブルドックソースが無くなっても生活に支障をきたすことも無く、実際にはブルドックソースが市場から姿を消すはずもなく、味が変質することも無いだろうし、突然工場が閉鎖され従業員が路頭に迷う・・・ってことも無さそうです。つまり現場は何も変わらない。

 変わるのは効率の悪い経営と無駄の排除でしょうか。合理化により多少の人員整理はあったかもしれませんが、整理されるのは何年間も事業拡大が出来ず、順送り人事で誕生していた無能経営陣だったはずです。


 敵対的TOBはまさに象徴的な出来事であり、もしこれが成功していたら、目ぼしい事業拡大も出来ず、株主軽視のままに従来の(経団連を象徴とする)人事慣行で順番に社長になるような経営をしている会社は安閑としていられなくなります。
 TOBを失敗させるため、財界(社内政治で社長にのし上がった経営者達)は総力を結集してマスコミを利用し、日本企業が外資に買収されるのは良くないというイメージ作りも含めて、この小さな上場企業を守ったのでしょう。


 このTOB阻止の見返りとしてブルドックは多大な損失(発生した費用)を計上せねばなりませんでした。その損失を取り戻せる買収阻止策であったはずですが、10年以上経った今も殆ど進展は見られず、相変わらず事業内容に変化はありません。売上高は横ばい、営業利益率は約5%と低迷したままです。社員や取引先、株主など当時のステークホルダーは今はどう感じているのか?

 一方、デサントへのTOBは海外のハゲタカなどでは無く、金ピカの一流企業によるTOBですし、長期ホルダーによるTOBですから、それこそ真っ当な議論がされることでしょう。そしてこれが日本の経済界に巣食う居眠り経営陣を叩き起こす起爆剤になってくれればと期待しています。


 何故に日本の株式は安いままに放置されるのか?

 純資産価格を大きく下回る株価でも買収される心配が無く、ROEや配当性向が低いままに放置され、株主軽視の無能な経営陣でさえ役員任期中はソコソコの報酬を得られる仕組み。その経済界を忖度して発行体寄りの運営を続ける市場。それらと一体で業界と癒着する縦割り行政に加え、献金と予算分配に預かりたいゴキブリの持たれ合い。この仕組みを維持することで国民資産をしゃぶっているからです。

 加えて、事業拡大を阻害する無数の既得権が資本市場の成長も阻害しています。


 伊藤忠はこの(国民をしゃぶる)仕組みに挑戦している訳ではありませんが、苦しい時だけ都合良く頼ってくる、そして挑戦することなく椅子にしがみ付いているデサント経営陣への堪忍袋の緒が切れたのでしょう。もちろん伊藤忠の拡大指向も手伝って変化を求めたものと思われます。

 結果を見るのは来月の中旬になりますが、その行方が楽しみです。

 株価を安く放置すれば買収され、買収されて無駄が削がれ株価が上がれば国民利益に資する訳です。損をするのは社内政治でのし上がった無能な経営陣だけ。当たり前ですね。
 この当たり前の仕組みが回転し始めれば日本株式も捨てたものではありません。

 成長へのひた向きさや挑戦意欲が見られず、株主軽視ばかりが目につく会社については次回の総会での役員選任を拒否しましょう。そしてTOBされる場合には賛成票を入れたいと思います。

 個人投資家でも集まれば力になります(^^)


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)


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