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書評:史上最大の発明 アルゴリズム



書評:史上最大の発明 アルゴリズム 現代社会を造り上げた根本原理
デイヴィッド・バーリンスキ 著、早川文庫
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 物理学における「統一理論」の数式は、「神の方程式」とも呼ばれます。
 実のところ現代科学は、キリスト教というカルト宗教の蹂躙と対決しながら発展したように見えて、実のところ「この世(宇宙)」は、ある一つの理論(数式)によって想像され支配されたという新たなる「科学(物理学)」という一神教を広げてきたのかもしれません。

 アルバート・アインシュタインの「神はサイコロを振らない」という言葉は、まさしく物理学(科学)の一神教的側面を象徴しています。

 しかし、確率論や統計学の発達(学問として確立したのはごく最近のことです)や、「種の起源」に端を発する「生物進化論」などが、その一神教的世界観を覆しつつあります。

 確率論や統計学には神の定めた方程式など存在せず、「偶然」と「時間の経過」が物事を決定します。アインシュタインの言葉に対して量子論の偉大な先人であるニールス・ボーアは「神が何をすべきかに注文を付けるべきではない」と反論しています。確かに気が利いた反論ですが、正しくはリチャード・ドーキンスが「神は妄想である」の中で述べているように「神は存在しない」のです。

 ドーキンスが、生物学や遺伝学の研究の過程で「神は妄想である」という結論に至ったことは大変興味深いですが、アルゴリズムも「神を存在しない」という考え方を後押しします。

 アルゴリズムも、考え方としてはギリシャ・ローマに遡ることはできます。
 というよりも、西洋の学問は、ほとんどすべてギリシャ・ローマ時代に遡ります。ただし、その偉大な文化遺産を受け継いだのはヨーロッパではありません。中世のヨーロッパはカルト宗教に支配された、現在の北朝鮮よりもおぞましい状況であったためギリシャ・ローマの英知はすべて失われてしまいました。

 その英知を正しく受け継いだのはイスラム圏であるアラブ世界です。当時のアラブ社会は、高度に文化が発達し自由にあふれた世界でした。そもそも、現在の科学の基本中の基本である「アラビア数字」は当時高度な文化を誇ったアラブ社会から、未開のヨーロッパに伝わったためそのように呼ばれます(起源はインド)。

 その他にも、アルがついた、アルカリ、アルコールのような科学にかかわる言葉はたくさんありますし「アルゴリズム」もその一つです(12世紀にラテン語に翻訳されたアラビア代数学の創始者の名前が変化したもの)。ちなみに、コーヒーやレモンなどアラビア語起源の言葉は無数にあります。

 しかし、現代のコンピュータ言語へとつながる学問(数学)の一部として確立したのは、1646年生まれで70歳まで生きたゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツあたりでしょう。

 そしてライプニッツが研究した二進法をベースに1912年生まれ(1954年没)のアラン・チューリングが発明したのが「チューリングマシン」、すなわち現代のコンピュータの概念です。

 本書でも述べられているように、相対性理論や数学の公式と違って、アルゴリズムは何も証明しません。何かの原理を解き明かすという存在ではないのです。ですから、進化論、確率、統計学などと同じく、一神教的科学から見れば「異端」なのです。

 しかし、それにもかかわらず、本書のタイトルにもあるように人間社会への影響という点では「史上最大の発明」とも言えます。

 本書の最後の部分で、DNAがたんぱく質を合成する過程は「アルゴリズム」ではないかという指摘がありますが、全くその通りです。

 つまりコンピュータだけではなく、生命もアルゴリズムによって機能しているのです。ただし、だからといって人間の脳がAIで置き換えることができるとか、人間そのものを合成可能といっているわけではありません。

 むしろ逆で、アルゴリズム(単純な手順=計算の繰り返し)というシンプルで意味を持たないものが、恐ろしく複雑な世の中を作り出しているからこそ一種「理解不能である」と主張しています。


(大原浩)


*2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立しました。HPはこちら https://j-kk.org/


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