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書評:ブロックチェーンの未来



書評:ブロックチェーンの未来 金融・産業・社会はどう変わるのか
翁百合他編著、 日本経済新聞出版社
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 多くの分野にわたる多数の執筆者が小論文形式のコメントを執筆し、それを編集したスタイルです。

 少しまとまりが無い感じがしますが、ブロックチェーンの未来とその産業・社会に与える影響について、一本筋道の通った論述を行うのは(少なくとも現在においては)困難な作業ですから、百花繚乱形式で、色々な立場からの意見を集約した本書の価値はかなりあります。

 世間では、ブロックチェーンの応用の一つの形がビット・コインなどの仮想通貨であると認識されているようですが、歴史をたどれば、ビットコインが先に生まれ急速に発展することによって、その中核であるブロックチェーン技術が他の仮想通貨にも採用されたのです。そして、世の中の注目を浴びるようになったというのが真相です。

 ビットコイン(ブロックチェーン)の生みの親とされるサトシ・ナカモトという人物がいったい誰なのかわからないということ自体、相当胡散臭い話ですが、彼自身あるいはその周辺の信奉者にも共産主義的妄想を感じます。

 共産主義は、ある時代、世界中の若者を中心とした多数の人々を巻き込み暴力(革命)に走らせました。

 その結果生まれたのが、ある程度発展はしたけれども(資本主義的政策のおかげで…)、暴力と恐怖によって支配されるチャイナやロシア(旧ソ連)のような共産主義独裁国家やアフリカなどでよくみられる、貧しい上に社会が混乱している独裁国家です。
 カンボジアのポルポト政権下で行われた大虐殺は有名ですが、毛沢東やスターリンが行った、ヒットラーをはるかに上回る大虐殺は、いまだに真剣に議論されることがあまりありません。

 英国の宰相チャーチルは「20歳までに共産主義の影響を受けない若者は情熱が足りない。20歳を過ぎて共産主義を信奉している人間は知性が足りない」と看破していますが、共産主義者が唱えることは確かに立派です。しかし、それはあくまで「口先の話」です。

 例えば「平等に分けよう」という理念に反対する人はあまりいないでしょう。しかし、実際の共産主義国家(あるいは共産党)が行っていることは、共産党員(さらには党幹部)がまず分け前の大部分をかっさらい、わずかな残りを大多数の国民に施し、その分配が「平等」だと称しているわけです。ですから、国民の不満を恐れざるを得ず、暴力と恐怖による支配が必要不可欠なのです。

 共産主義国家のこのような悲惨な現実を生み出しているのは「共産主義には(口先だけにしても…平等に)富を分配する機能はあっても、富を生み出す機能が無い」ということが最大の原因といえるでしょう。

 新たな富を生み出すことができないので、今ある物の分捕り合戦となり、共産党員などの権力者が一般国民を抑圧するという図式になるわけです。

 ブロックチェーン(オープン型)も、管理者=中央権力が存在しない民主的(草の根)組織であるということが喧伝されますが、共産主義同様「立派な話」には十分注意しなければなりません。

 まず、管理者や国家・警察などの権力は大概悪者にされますが、彼らが(少なくとも現在までは)、社会的に重要な役割を果たしてきたことを忘れてはなりません。

 まず、ソマリアをはじめとするアフリカのいくつかの国々を考えてみましょう。これらの国々では、子供が生まれてから5歳まで生き延びる確率は極めて低いといわれます。6歳ともなれば、少年兵としてマシンガンで多くの人々を撃ち殺すようになります。

 また、米国の西部開拓時代には、保安官はいても大した権力も無く、いわゆる悪党の天国でした。

 そして、現代の日本。世界的に治安が良いことで有名なこの国でも「警察を廃止しろ」という声は聞いたことがありません。特に、夜道を歩いているとき、後ろからキラリと光るものを持って大男が追いかけてきたとき「警察は無駄だ」と思う人はいないでしょう。

 もっとも、「憲法9条教」の狂信者は、「軍隊など無くても一緒に酒を組み交わせば平和的に解決できる」などといいますが、世界中のどの紛争地帯でも彼らの姿を見かけたことはありません。もちろん共産主義同様「口先だけ」の話です。

 同じようにブロックチェーン(オープン型)も、管理者がいない無法地帯です。ビットコイン(仮想通貨)もアングラマネーの流通(洗浄)によく使われますが、管理者のいない無法地帯を制御するのは決して簡単でありません。

 確かに、インターネットそのものは自治がそれなりに成り立っているようですが、それでも違法行為は絶えません。それが現在でもインターネット上の資金決済においてクレジットカードや電子マネーなどのような伝統的(中央集権型)決済が主流である理由です。

 また、ブロックチェーンは後から改ざんできない工夫がなされているため、かなり硬直的な設計になっています。したがって、スタートした後、様々な問題が生まれても、改良することが困難です。つまり、一度設計すると勝手に増殖して誰もコントロールできない仕組みなのです。

 建前としては、参加者の合意によって民主的に解決するということになっていますが、これまでのハード・フォークやソフト・フォークでの混乱や、これらのシステムが、ソマリアなどの無法地帯や、チャイナやロシアからもアクセスすることができることを考えれば、「理想主義的草の根運動」で、解決できる手法が今後生まれるとも思えません。

 要するに政府の無い民主的理想世界は、あくまでおとぎ話の中だけであって、本当の「無政府状態」は、邪悪な人間が闊歩する世界であるということです。

 もちろん帳簿技術としてのブロックチェーンは革新的であると思います。
 15世紀にヴェネチア商人によって体系化された<複式式簿記>以来の大発明かもしれません(ちなみに世界中の企業で複式簿記が採用されているが、日本の地方公共団体は最近やっと複式簿記に切り替えたばかりだし、日本国に至ってはいまだに単式簿記(いわゆるお小遣い帳)を使っている)。

 したがって、無法地帯になるであろうオープン型のブロックチェーンではなく、中央管理者が存在する「クローズ型」のブロックチェーンがこれから大きく発展していくのではないでしょうか?


(大原浩)


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)


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