■復活は難しそうな外貨預金■
日本の外貨預金離れが続いています。日本銀行が発表する預金者別預金調査によると、今年1月末の外貨預金残高(居住者ベース)は、6兆5千億円と前年に比べ8.8%の減少となりました。残高の前年割れは、2005年8月から18ヶ月連続で続いている状況です。
外貨預金は、円建ての預金に比べ金利が高いことから、個人から高い人気を集めており、ピーク時(2004年11月)には約8兆8千億円もの残高を記録したこともありました。足元の水準は、ピーク時より2兆円以上も減少していることになります。
外貨預金残高が減少した理由として、外貨預金の売買手数料の高さが指摘されています。たとえば個人の預金者が、銀行で米ドル建ての外貨預金をする場合、預金者は銀行に預け入れ時に1ドルにつき1円を、解約時にも1円をそれぞれ支払う必要があります。仮に1万ドル(約118万円)の米ドル建て預金をすると、預金者は2万円、率にして1.7%(=2万円÷118万円)もの手数料を支払うことになります。これでは、たとえ外貨預金の金利が4%あったとしても、手数料を差し引いた実質金利は2.3%程度となってしまい、高金利を望んでいた預金者にとって望ましいものとはいえません。
最近では、一定の証拠金を預けることで取引ができる外国為替証拠金取引(FX投資)が普及しています。FX投資では、投資資金の5−20倍程度の外貨を取引するのが一般的です。ただFX投資では、取引する外貨の額を投資資金と同額にすることも可能で、こうすることで、FX投資は外貨預金と実態は同じとなります。一方、FX投資の売買手数料は、外貨預金の20分の1以下と大変低いため、手数料を差し引いた実質金利が高いものを望む方ほど、外貨預金の代替としてFX投資を利用する動きが強いようです。
外貨預金の代わりに海外の債券や株式などを対象とする投資信託に投資をする方も増えているようです。投資信託協会によると、外貨建て投資信託の純資産残高は、今年2月末で29兆6千億円と前年に比べ42%も増えています。この結果、外貨建て投資信託の純資産残高は、2001年7月以来68ヶ月連続で前年を上回ることになります。
外貨建て投資信託は、円建ての投資信託に比べると売買手数料は高めとなる傾向にあります。ただ、金利が確定している外貨預金に比べ、投資信託は(投資対象とする資産によるものの)外貨預金よりも高い利回りを想定しています。このため、たとえ売買手数料が高めでも、高い利回りを望む方は、外貨預金より外貨建て投資信託を選ぶ方が合理的といえます。
FX投資、外貨建て投資信託ともに、為替レートの変動で損失を被る可能性があるなど、リスクが高い投資商品といわれており、FX投資や外貨建て投資信託に向かった資金は、いずれ比較的リスクが低いといわれる外貨預金に戻るとの見方もあるようです。しかし、外貨預金も為替変動リスクがあることに違いはありません。そもそも外貨預金を望む方は、為替リスクを認識するなど、ある程度リスク許容度が高いと考えられます。
また、日本銀行の福井総裁が指摘するまでもなく、円建て預金の金利水準は、中長期的には徐々に引き上げられる可能性が高まっています。仮にFX投資や外貨建て投資信託の人気が低下したとしても、円建て預金との金利差で優位性を発揮してきた外貨預金の魅力は相対的に低下するのでしょう。こうした点を考えると、外貨預金を離れた資金が、再び外貨預金に戻る可能性は(個人的には)さほど高くない気がします。
一部ネット銀行などでは、これまで外貨預金の残高を伸ばすことで成長を続けてきました。こうした銀行は、今後は外貨預金に代わる人気商品を提供することが大きな課題といえそうです。
村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)
<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月より現職。
【ますます大好評!! 村田のコラムをポッドキャストで配信】
(iTunesをダウンロードされている方)
(iTunesを知らない方)
※サイトの下のほうにある「サイトで聴く」の再生ボタンをクリックしてくだ
さい。
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現在、コンテンツ事業の立ち上げに奮闘中。
GCIグループ初の投資情報サイト【Klugクルーク】にて、投資に関する
コラムを執筆中。
<主な著書>
「景気予測から始める株式投資入門」(パンローリング)
「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」(すばる舎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)
日本の外貨預金離れが続いています。日本銀行が発表する預金者別預金調査によると、今年1月末の外貨預金残高(居住者ベース)は、6兆5千億円と前年に比べ8.8%の減少となりました。残高の前年割れは、2005年8月から18ヶ月連続で続いている状況です。
外貨預金は、円建ての預金に比べ金利が高いことから、個人から高い人気を集めており、ピーク時(2004年11月)には約8兆8千億円もの残高を記録したこともありました。足元の水準は、ピーク時より2兆円以上も減少していることになります。
外貨預金残高が減少した理由として、外貨預金の売買手数料の高さが指摘されています。たとえば個人の預金者が、銀行で米ドル建ての外貨預金をする場合、預金者は銀行に預け入れ時に1ドルにつき1円を、解約時にも1円をそれぞれ支払う必要があります。仮に1万ドル(約118万円)の米ドル建て預金をすると、預金者は2万円、率にして1.7%(=2万円÷118万円)もの手数料を支払うことになります。これでは、たとえ外貨預金の金利が4%あったとしても、手数料を差し引いた実質金利は2.3%程度となってしまい、高金利を望んでいた預金者にとって望ましいものとはいえません。
最近では、一定の証拠金を預けることで取引ができる外国為替証拠金取引(FX投資)が普及しています。FX投資では、投資資金の5−20倍程度の外貨を取引するのが一般的です。ただFX投資では、取引する外貨の額を投資資金と同額にすることも可能で、こうすることで、FX投資は外貨預金と実態は同じとなります。一方、FX投資の売買手数料は、外貨預金の20分の1以下と大変低いため、手数料を差し引いた実質金利が高いものを望む方ほど、外貨預金の代替としてFX投資を利用する動きが強いようです。
外貨預金の代わりに海外の債券や株式などを対象とする投資信託に投資をする方も増えているようです。投資信託協会によると、外貨建て投資信託の純資産残高は、今年2月末で29兆6千億円と前年に比べ42%も増えています。この結果、外貨建て投資信託の純資産残高は、2001年7月以来68ヶ月連続で前年を上回ることになります。
外貨建て投資信託は、円建ての投資信託に比べると売買手数料は高めとなる傾向にあります。ただ、金利が確定している外貨預金に比べ、投資信託は(投資対象とする資産によるものの)外貨預金よりも高い利回りを想定しています。このため、たとえ売買手数料が高めでも、高い利回りを望む方は、外貨預金より外貨建て投資信託を選ぶ方が合理的といえます。
FX投資、外貨建て投資信託ともに、為替レートの変動で損失を被る可能性があるなど、リスクが高い投資商品といわれており、FX投資や外貨建て投資信託に向かった資金は、いずれ比較的リスクが低いといわれる外貨預金に戻るとの見方もあるようです。しかし、外貨預金も為替変動リスクがあることに違いはありません。そもそも外貨預金を望む方は、為替リスクを認識するなど、ある程度リスク許容度が高いと考えられます。
また、日本銀行の福井総裁が指摘するまでもなく、円建て預金の金利水準は、中長期的には徐々に引き上げられる可能性が高まっています。仮にFX投資や外貨建て投資信託の人気が低下したとしても、円建て預金との金利差で優位性を発揮してきた外貨預金の魅力は相対的に低下するのでしょう。こうした点を考えると、外貨預金を離れた資金が、再び外貨預金に戻る可能性は(個人的には)さほど高くない気がします。
一部ネット銀行などでは、これまで外貨預金の残高を伸ばすことで成長を続けてきました。こうした銀行は、今後は外貨預金に代わる人気商品を提供することが大きな課題といえそうです。
村田雅志(むらた・まさし)
(GCIキャピタル・チーフエコノミスト)
<筆者について>
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、
UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月より現職。
【ますます大好評!! 村田のコラムをポッドキャストで配信】
(iTunesをダウンロードされている方)
(iTunesを知らない方)
※サイトの下のほうにある「サイトで聴く」の再生ボタンをクリックしてくだ
さい。
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コラムを執筆中。
<主な著書>
「景気予測から始める株式投資入門」(パンローリング)
「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」(すばる舎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。)



