(14)基板(1)
テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うのですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。
そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやすく技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。
今回は基板について説明したいと思います。
今回は基板のつくり方を少し説明と市場規模の推定を行おうと思います。
では早速、はじめましょう。
横道にそれてしまいましたが、最後に、携帯電話の基板の断面はどうなっているのでしょか。実は、基板は一枚でなく、ちょうど、サンドイッチの様に基板が重なっています。このひとつひとつが層と呼ばれ、例えば、6層の基板とか、8層の基板などと呼ばれます。
一番上の層と一番下の層は、基板の表面となりますから大きな部品を実装され、間にはさまれている2層目、3層目はパターン配線のみとなります。1層目から一番下の層までは上下方向でもパターン配線がつながっているので、3次元的に複雑な配線が可能となるのです。
前回基板はサンドイッチの様に層の構造をしていることをお話いたしました。
それではどの様に、つくっていくのでしょうか。
基板表面には、部品が実装されています。部品からは足が出ていて、基板とハンダによって基板に接続されています。8層の基板であれば、基板の表面そして、2層目、3層目・・・8層の表面まで、パターン配線によって表面の実装部品をお互いに、接続します。もちろん、8層の裏面にも部品が実装されています。つまり、基板の表面と裏面に部品が実装され、8層の基板を3次元的に配線がめぐっているのです。
では、これらはどの様に作られるのでしょうか、まずは、一枚基板のつくり方をみてみましょう。まずは、生基板(なまきばん)と呼ばれる基板の基材に、下地として金属をメッキします。基材の種類は多くあり、紙で出来ているものから、ガラス入りのもの、最近では、環境問題から、ハロゲンフリーのものがあります。(工程1)
また、配線パターンは見た目が金色に光っています。これは、金で出来ているためで、その金は、直接基板につかないため、下地として、別の金属を下地として敷くのです。
次に、レジストを塗布します。これも全面に塗布します。ここでいうレジストとは、光を当てた部分は硬化して残る性質をもつ物質です。(工程2)
ここで、カメラを思い浮かべてください。シャッターを押して、レンズから光を入れて、レンズから入ってくる像を焼付ける方法が、次の、工程で使われます。フォトマスクと呼ばれる配線パターンが描かれたフィルムを、基板に光で転写させるのです。(工程3)
光が当たった部分のレジストは硬化し、光が当たらなかった部分は、洗浄するとなくなってしまいます。この部分は、金メッキがつき易い下地のメッキがむき出しとなっているので、この部分に金メッキを行うことによって、配線パターンが出来上がります(工程4)
次に、レジストの除去と余分な下地金属を除去し基板が出来上がります。(工程5)これを、6層であれば、6枚、8層であれば、8枚基板を貼り付けます。
(工程6)最後に、基板の表面や裏面の部品を実装するところや必要なところは、金メッキ部分をむき出しにし、その他の不必要なところは、オーバーレジストを印刷して、配線パターンを表面から保護します(工程7)。
少し長くなってしまいましたが、最後に、市場規模を考えて見ましょう。代表的な基板メーカはあげてみましょう。携帯電話の基板は、松下の特許であるALIVH(アリブ)基板がもっとも効率よく配線パターンを設計できるためこの基板ほとんど市場を占めていると言っていいでしょう。メーカとしては、
1、松下電器(6752)
2、日本CMK(6958)
3、メイコー(6787)
があげられるでしょう。
まず、携帯電話の基板の市場規模はどんな感じでしょうか。基板単価を約1000円とすると、月々100万台分で10億円、年間120億円、月500万台分で50億円、年600億円の市場規模ぐらいでしょうか。
松下の基板の工程能力を推定してみましょう。
月産現在3万平方メートルとして、携帯電話の基板の大きさを0.05平方メートルとすると、月産60万台分生産していると想定できる。少し少ないので、月産能力は、8時間稼動の発表かもしれません。だとすると、ざっくり3倍の月産180万台というところでしょうか。基板単価約1000円であれば、月の売上は18億円、年間216億円の売上ぐらいでしょうか。
ここから利益率を比べて、メーカ同士を比べていくのも面白い結果が出るのではないでしょうか。
彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うのですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。
そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやすく技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。
今回は基板について説明したいと思います。
今回は基板のつくり方を少し説明と市場規模の推定を行おうと思います。
では早速、はじめましょう。
横道にそれてしまいましたが、最後に、携帯電話の基板の断面はどうなっているのでしょか。実は、基板は一枚でなく、ちょうど、サンドイッチの様に基板が重なっています。このひとつひとつが層と呼ばれ、例えば、6層の基板とか、8層の基板などと呼ばれます。
一番上の層と一番下の層は、基板の表面となりますから大きな部品を実装され、間にはさまれている2層目、3層目はパターン配線のみとなります。1層目から一番下の層までは上下方向でもパターン配線がつながっているので、3次元的に複雑な配線が可能となるのです。
前回基板はサンドイッチの様に層の構造をしていることをお話いたしました。
それではどの様に、つくっていくのでしょうか。
基板表面には、部品が実装されています。部品からは足が出ていて、基板とハンダによって基板に接続されています。8層の基板であれば、基板の表面そして、2層目、3層目・・・8層の表面まで、パターン配線によって表面の実装部品をお互いに、接続します。もちろん、8層の裏面にも部品が実装されています。つまり、基板の表面と裏面に部品が実装され、8層の基板を3次元的に配線がめぐっているのです。
では、これらはどの様に作られるのでしょうか、まずは、一枚基板のつくり方をみてみましょう。まずは、生基板(なまきばん)と呼ばれる基板の基材に、下地として金属をメッキします。基材の種類は多くあり、紙で出来ているものから、ガラス入りのもの、最近では、環境問題から、ハロゲンフリーのものがあります。(工程1)
また、配線パターンは見た目が金色に光っています。これは、金で出来ているためで、その金は、直接基板につかないため、下地として、別の金属を下地として敷くのです。
次に、レジストを塗布します。これも全面に塗布します。ここでいうレジストとは、光を当てた部分は硬化して残る性質をもつ物質です。(工程2)
ここで、カメラを思い浮かべてください。シャッターを押して、レンズから光を入れて、レンズから入ってくる像を焼付ける方法が、次の、工程で使われます。フォトマスクと呼ばれる配線パターンが描かれたフィルムを、基板に光で転写させるのです。(工程3)
光が当たった部分のレジストは硬化し、光が当たらなかった部分は、洗浄するとなくなってしまいます。この部分は、金メッキがつき易い下地のメッキがむき出しとなっているので、この部分に金メッキを行うことによって、配線パターンが出来上がります(工程4)
次に、レジストの除去と余分な下地金属を除去し基板が出来上がります。(工程5)これを、6層であれば、6枚、8層であれば、8枚基板を貼り付けます。
(工程6)最後に、基板の表面や裏面の部品を実装するところや必要なところは、金メッキ部分をむき出しにし、その他の不必要なところは、オーバーレジストを印刷して、配線パターンを表面から保護します(工程7)。
少し長くなってしまいましたが、最後に、市場規模を考えて見ましょう。代表的な基板メーカはあげてみましょう。携帯電話の基板は、松下の特許であるALIVH(アリブ)基板がもっとも効率よく配線パターンを設計できるためこの基板ほとんど市場を占めていると言っていいでしょう。メーカとしては、
1、松下電器(6752)
2、日本CMK(6958)
3、メイコー(6787)
があげられるでしょう。
まず、携帯電話の基板の市場規模はどんな感じでしょうか。基板単価を約1000円とすると、月々100万台分で10億円、年間120億円、月500万台分で50億円、年600億円の市場規模ぐらいでしょうか。
松下の基板の工程能力を推定してみましょう。
月産現在3万平方メートルとして、携帯電話の基板の大きさを0.05平方メートルとすると、月産60万台分生産していると想定できる。少し少ないので、月産能力は、8時間稼動の発表かもしれません。だとすると、ざっくり3倍の月産180万台というところでしょうか。基板単価約1000円であれば、月の売上は18億円、年間216億円の売上ぐらいでしょうか。
ここから利益率を比べて、メーカ同士を比べていくのも面白い結果が出るのではないでしょうか。
彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)