(12)携帯電話が出来るまで(3)
テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うのですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。
そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやすく技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。
何回かにわけて、携帯電話機の開発の流れをシリーズでお話ししています。この開発の流れはほとんど量産品を製造している企業にあてはまりますので、これさえわかってしまえば、投資する際の大変有効な武器となります。
では、前回にひきつづき、携帯電話の客先への商品の提案から設計をスタートさせ、量産を立ち上げ、出荷、そして市場に商品が出てからの動きをお話したいと思います。
商品仕様決定後に実際の商品の提案を事業者に行います。そして、基本設計がスタートします。これが、通常の流れですが、実際は、商品仕様の決定と実際の商品提案と基本設計は、ほぼ、同時に行われます。
それは、基本設計を行ない、商品を提案する際のサイズ、重量など基本的な部分はもちろん、デザインも成立していなければならないからです。
例えば、3メガピクセルのカメラがついて、自分撮りのカメラもついて、マイクロSDもついて、液晶は2.6インチだとか、ブルートゥース、GPSも必要、まけに、海外でも使えるためにGSMも必要という様な、仕様であれば、当然サイズも重量も大きくなり、デザインも変わってしまうのです。
ここが重要な点になります。
仕様が増えれば、色々な機能を実現するために、基板のサイズは大きくなりますし、それによって携帯電話のサイズも大きくなります。一方、仕様を少なくしていけば、基板のサイズが小さくなり携帯電話のサイズも小さくなっていきます。
そこで、メーカは判断をせまられるのです。
この商品を出荷するときはどの仕様が必要か?
サイズはこの大きさで他社と戦えるのか?
仕様とサイズの綱引きになるのです。このプロセスはメーカの商品企画力が現れるところです。技術力だけでは商品はできません。技術を世に送り出すためには、商品を組み立てていく売れる商品企画力が必要なのです。
ここが投資をする際の重要な点となります。
売り出された商品をみて、他社と何を差別化しているか?
その時の、仕様とサイズは妥当なところに落ち着いているか?
仕様が重くてサイズが大きくなりすぎていないか?
サイズ重視をしすぎていて仕様を削りすぎていないか?
これらをメーカごとに評価することによって
商品企画力があるかどうか?
具体的には、
技術力を実現できる商品企画力があるかどうか?
がわかるのです。
では、先にすすめましょう。
商品の仕様が決定し、携帯電話の外観であるデザインが決まったところで設計が本格的にスタートします。仕様に合った電気部品の選定、基板上のどこにどの部品を配置するかを詳細に詰めていきます。
ハイストップ!この部分が重要です。
この部品の選定、レイアウトが携帯電話の性能を大きく左右するのです。部品の選定とは、部品メーカのどの部品を選定するか?からはじまって、部品メーカとタイアップしてどれだけ、小さくて薄い部品を開発していけるか?が重要になってきます。
確かに、部品メーカが提案してくる部品は、旧部品に対して、改善という形でより技術的な問題を解決したものですが、それは、部品メーカが考える新製品であって、キャリアが望むもの、携帯電話メーカが望むものの一部しか反映されていません。
では反映されているものとはなんでしょうか?
それは、その部品がたとえば実装時にある率をもって不具合が起こっていたり、市場でエンドユーザがつかって、ある率で不具合が起こったりした場合の改善策が反映されていたりします。これは、部品メーカとしては当然のことですが、これでは、いわば『守り』の部品開発です。
では、それに対して『攻め』の部品開発とは?
たとえば、部品の融合商品があげられます。携帯電話の薄型、小型化に貢献するには、部品自体の小型化もさることながら、融合をすれば、スペースが削減できます。
ここの点は大変重要です。
この攻めの部品開発が、携帯電話メーカと部品メーカがタイアップしてできているか?
ここが攻めの携帯電話開発をしているどうかの判断の1つと言ってよいのです。
今回はこれぐらいにして、次回は、市場調査や試作スタートへと話をすすめていきます。
彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
テクノロジー関連株に投資する際に、「ある程度技術を知っておこうと思うのですが、むずかしくて・・・」という声を聞きます。
そこで、身近にある携帯電話を例にあげて、見た目から、感覚的にわかりやすく技術を説明していきます。簡単に説明しますので安心してくださいね。
何回かにわけて、携帯電話機の開発の流れをシリーズでお話ししています。この開発の流れはほとんど量産品を製造している企業にあてはまりますので、これさえわかってしまえば、投資する際の大変有効な武器となります。
では、前回にひきつづき、携帯電話の客先への商品の提案から設計をスタートさせ、量産を立ち上げ、出荷、そして市場に商品が出てからの動きをお話したいと思います。
商品仕様決定後に実際の商品の提案を事業者に行います。そして、基本設計がスタートします。これが、通常の流れですが、実際は、商品仕様の決定と実際の商品提案と基本設計は、ほぼ、同時に行われます。
それは、基本設計を行ない、商品を提案する際のサイズ、重量など基本的な部分はもちろん、デザインも成立していなければならないからです。
例えば、3メガピクセルのカメラがついて、自分撮りのカメラもついて、マイクロSDもついて、液晶は2.6インチだとか、ブルートゥース、GPSも必要、まけに、海外でも使えるためにGSMも必要という様な、仕様であれば、当然サイズも重量も大きくなり、デザインも変わってしまうのです。
ここが重要な点になります。
仕様が増えれば、色々な機能を実現するために、基板のサイズは大きくなりますし、それによって携帯電話のサイズも大きくなります。一方、仕様を少なくしていけば、基板のサイズが小さくなり携帯電話のサイズも小さくなっていきます。
そこで、メーカは判断をせまられるのです。
この商品を出荷するときはどの仕様が必要か?
サイズはこの大きさで他社と戦えるのか?
仕様とサイズの綱引きになるのです。このプロセスはメーカの商品企画力が現れるところです。技術力だけでは商品はできません。技術を世に送り出すためには、商品を組み立てていく売れる商品企画力が必要なのです。
ここが投資をする際の重要な点となります。
売り出された商品をみて、他社と何を差別化しているか?
その時の、仕様とサイズは妥当なところに落ち着いているか?
仕様が重くてサイズが大きくなりすぎていないか?
サイズ重視をしすぎていて仕様を削りすぎていないか?
これらをメーカごとに評価することによって
商品企画力があるかどうか?
具体的には、
技術力を実現できる商品企画力があるかどうか?
がわかるのです。
では、先にすすめましょう。
商品の仕様が決定し、携帯電話の外観であるデザインが決まったところで設計が本格的にスタートします。仕様に合った電気部品の選定、基板上のどこにどの部品を配置するかを詳細に詰めていきます。
ハイストップ!この部分が重要です。
この部品の選定、レイアウトが携帯電話の性能を大きく左右するのです。部品の選定とは、部品メーカのどの部品を選定するか?からはじまって、部品メーカとタイアップしてどれだけ、小さくて薄い部品を開発していけるか?が重要になってきます。
確かに、部品メーカが提案してくる部品は、旧部品に対して、改善という形でより技術的な問題を解決したものですが、それは、部品メーカが考える新製品であって、キャリアが望むもの、携帯電話メーカが望むものの一部しか反映されていません。
では反映されているものとはなんでしょうか?
それは、その部品がたとえば実装時にある率をもって不具合が起こっていたり、市場でエンドユーザがつかって、ある率で不具合が起こったりした場合の改善策が反映されていたりします。これは、部品メーカとしては当然のことですが、これでは、いわば『守り』の部品開発です。
では、それに対して『攻め』の部品開発とは?
たとえば、部品の融合商品があげられます。携帯電話の薄型、小型化に貢献するには、部品自体の小型化もさることながら、融合をすれば、スペースが削減できます。
ここの点は大変重要です。
この攻めの部品開発が、携帯電話メーカと部品メーカがタイアップしてできているか?
ここが攻めの携帯電話開発をしているどうかの判断の1つと言ってよいのです。
今回はこれぐらいにして、次回は、市場調査や試作スタートへと話をすすめていきます。
彼岸
〜現役エンジニアがこっそり教える
テクノロジー関連株の投資ヒント〜
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)