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株主から文句が出そうな無関心銘柄

 株は上がるか下がるか、それを見込んで売るか買うかなのですが全体相場は14000円割れから15400円まで戻って、先週末は小一服で終わりました。一気にはいかないのですが、ようやく戻ってはきたかなというところです。

 ここからの強気の意見は昨年末の16300円を突破して18000円程度まで上がるというもの。
 中立的にはこのあたりから戻り売りに押される展開となりしばらくは15000円台固めの展開となるというもの。
 弱気の意見ではここが戻りの限界で再び14000円台割れまで売られるという見方。

 強気の意見はアベノミクス相場がまだ続いているほか海外株高がまだ続くという意見が背景にあります。株のことだから上がったり、下がったりで絶対はなく、今後も相場の流れをよく吟味していきたいところです。

 指数が上がれば個別は弱く、指数が停滞すれば個別株が動くという好循環が見られる点に注目したいと思います。特にマザーズ指数やJASDAQ指数と日経平均の動きに注目しておきたいと思います。

 こうした株式相場の上下とはまったく無関係に個別銘柄には動きがない銘柄も結構あります。全体が上がる展開ではなく一握りの銘柄が集中的に売買されている状況であろうかと思います。

 売られる銘柄こそ売買の対象となり、結果として上昇につながる訳ですが、それが長期的に見て水準が低いところかどうかが投資のポイントになります。よく上がった銘柄を追随買いして目先の高値つかみとなって文句を言う方がいますが、相場のスタート地点ではない局面での投資には多少の我慢が必要となります。

 我慢が必要な銘柄は他にもたくさんあります。

 今期の業績について減益の見通しが示された銘柄群です。

 3600社も上場していると今期業績が前期が良すぎて反動で減益になるという期初見通しを出した企業も多いと思います。果たして実体はどうなのか?よくわからないから放置されてしまうケースも多いと思います。戦略的なIRに手をつけているのかどうかが、その後の株高の重要なポイントになります。

 四半期決算を見ながらそうした銘柄は復活の機会を伺っているのですから、むしろ投資家は我慢をして次の買いタイミングを伺うことが求められます。
 増収増益企業が王道ですが、買われ続けているといつの間にか株価水準が割高になっている場合もあります。

 そこは時期を見て投資を見直すタイミングがやってきます。

 そのあたりの見極めが重要です。

 このところ介護ロボットなどテーマ性の銘柄が人気ですが、これらはPERやPBRが通用しない銘柄です。創薬ベンチャーもそうした類の銘柄です。また、年後半にはLINEの上場に絡んだ関連銘柄やリクルートの上場に絡んだ銘柄が動く(既に先行的に株式保有銘柄が動いています)と見られます。

 現在動きのない銘柄の中でそうした流れに乗れそうな銘柄は投資対象になってもおかしくはないのかも知れません。

 循環物色にやや乗り遅れた投資家から文句が出そうな気になる不人気銘柄を敢えてピックアップしておきたいと思います。


【建設・国土強靭化】

大成温調(1904)
 時価:432円(2012年安値273円)

 440円までついたが週末また値を消す。相変わらずPBR0.3倍という不人気が続くなど地味株の代表ですが、ASEANやインドでの展開で先駆しており隠れた20年に一度の変動期待の穴株。我慢できる投資家向け銘柄。BPSが1412円で株価は432円。1月29日高値468円を抜ける展開が年後半にはないと不満が募る。コツコツと集めている投資家がいるとすればそれはすごいことです。なぜなら同社の目標売上高は2020年に1000億円(今期は570億円)という水準だからです。それがいまだに実質時価総額56億円という水準で買えるのです。実際にはそうならないと見ている投資家が多いか、誰も見ていないという現実がありそうです。期初段階で今期減益を見込んでいる点が戻り売りのスタンスとなっている可能性があります。


テノックス(1905)
 時価:540円(2012年安値212円)

 550円どころが壁となって上にいかない展開が続くが、PERが6倍台、PBR0.45倍で割安な実質無借金銘柄。今期は期初の段階では慎重な見通しだが、上方修正の余地が見えればもっと割安感が出てくる筈です。技術指向で国土強靭化関連の超アナ株として君臨するのはIRを積極的にやっていないからなのか。それとも根本的な問題があるのか。説明会すら開いていないのはなぜ?でも540円はどう見ても割安感ありますね。自社株が10.3%筆頭株主となっていて株主は分散していますのでM&Aの対象になりやすく、将来的にはEDINETに新たな株主登場となることも考えられます。自社株を用いて太洋基礎工業と株式持ち合いを行うなどでM&Aへの防衛策を行っているようですが、今後の展開が注目されます。


川崎地質(4673)
 時価:523円(2012年安値384円)

 地質調査の専業会社。地震防災分野に注力。メタンハイドレートにも関連。株価は時々動き出す性質。今期中間期の上方修正で株価動意も短命となるのか。知名度のない企業の株価が不人気なのは致し方ないが、時流に乗るテーマ性を備えた銘柄ではあります。メタンハイドレートは太平洋沿岸から日本海にも調査領域が拡大し、同社のような調査会社へのニーズも高まるとの期待があります。


【ロボット】

 百花繚乱のロボット関連銘柄への物色も一巡したようにも思えますが実際にはまだまだ評価の余地がある銘柄があります。先週はすしロボットの鈴茂器工(6405)が物色の対象になりましたが、人手不足が言われる折、省人化の切り札となるロボットの開発で先駆している企業には今後も目が離せません。今後も○○ロボットなる製品が世間で注目を浴びると考えられます。組み立てロボット、溶接ロボットなど産業用ロボットではファナックや安川電機などの成長が見られますが、介護ロボットなどの生活支援ロボットや癒し系の二足歩行ヒト型ロボットなどが新たな分野として脚光を浴び始めました。

 意外な銘柄かも知れませんが、マミヤオーピー(7991・東証2部)のGPS機能活用の自律走行システムもロボットへの応用ができそうです。当面はゴルフ場の芝刈り機向けに活用される見通しで、今後の応用が期待されます。出来高はあるのですが、株価的にはまったく無関心のまま放置されている状態のように思われます。

 介護ロボットではないですが、それに近い分野を手掛けている企業があります。
 医療用ストレッチャーや車イスなどを製造販売している長野の研究開発型企業タカノ(7885)です。医療機器や産業機器向け駆動部品も展開していますのでロボットなどにも展開できる要素があります。
 業績低迷で株価もそれほど上昇していませんが、中期計画で平成28年3月期に売上高210億円、経常利益11億円、平成30年3月期に売上高240億円、経常利益20億円を見込んでいます。医療分野での成長、グローバル化を図ることで先行きには期待が持てます。
 時価総額は80億円程度に留まっていますが、1995年の上場時の公募価格2230円や、1997年の公募価格2304円を大きく下回り、株主の文句も出そうな株価水準が続いています。忘れ去れた銘柄だと言えますが、投資家にとっては何をやっている会社かがわかりにくいのが欠点です。取り上げるネタは多く、キャッシュリッチ(現預金96億円+投資有価証券44億円)な銘柄ですので業績が浮上しなくてもいずれは見直しされるでしょう。

 似たような話ですが、キャスターメーカーのナンシン(7399)なども医療用ベッド企業向けにキャスターの納入をしています。介護ロボットは、体を起こし、目的のところに移動させることが必要になります。ヒト型ロボットも部屋の中を移動する機能が必要ですが、高機能のキャスターはそのためのツールとなりえるのかと勝手に考えています。今期の業績は営業利益が伸びる一方で前期のような営業外利益がなくなることから経常利益が減益となるということで株価は400円どころで低迷中です。株主総会ではきっと株主から文句が出ることは目に見えています。平成12年以降の株価は比較的堅調に推移してきましたが、その背景は平成12年3月期に業績が急向上したためですが、直近は円安がデメリットとなって不人気になってしまいました。時価総額31億円、PER6.9倍、PBR0.39倍水準が安いかどうかは投資家の判断に委ねられますが平成10年3月期以降5期間の利益合計は45億円となっていますので私は割安だと見ています。地味な銘柄なので投資家の関心がないことが現状につながっていると考えられます。


【リクルート】

 時価総額1兆円以上と見られる新規上場企業として年後半に話題を呼びそうなのは求人メディア、人材紹介、結婚情報、車情報、住宅情報、旅行、飲食、美容情報のリクルートです。年商1兆円を超える巨大企業、リクルートについてはHP上で既に公表されており、十分に投資家にも認識されていますが、上場時株価水準が高いと見られことから株主となっている既存企業(図書印刷、凸版印刷、大日本印刷など)の含み益の増加が期待されています。時価総額1兆円の会社の株を5%所有していれば500億円の資産になります。保有状況次第ながら上場が接近するにつれて株主企業の株価も上昇傾向を辿ることが予想されます。

 類似会社としては岡山のKG情報(2408)、中古車情報のプロト(4298)、ぐるなび(2440)、テンプホールディングス(2181)などがありますが規模やビジネスアイテムの違いがありますので比較はしにくい状況です。

 KG情報はミニリクルートという立ち位置ですが中四国を活動エリアとしていますので地域限定の企業で、最近になって東京・渋谷での結婚式紹介所の展開を開始するなど東京でのビジネス展開を積極化させつつありますが、先行投資で今期も業績が停滞する見通しを示しているため株価は500円以下での推移に留まっています。
 株主から文句が出そうな状況ですが、リクルートには真似のできない「住宅の学校」事業や結婚式相談所事業などで差別化を図ろうとしています。キャッシュリッチな企業でPBR0.5倍どころが株価の下値ゾーンとなっているようです。

(炎)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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