師走も押し迫って参りました。億の近道も本号が年内最終号です。
本日仕事納めの方が多いのではないかと推察しますが、インドでも本日、大きな意味で仕事納めをされた方が居ます。インド3大財閥の一つ、TATA財閥トップのラタン・タタ会長が、経営の第一線から退きます。
ラタン氏は財閥の5代目。今後はTATAの財団の運営などを行うようです。独身で子供もいないため、TATAの次期トップはTATA家とは関係のない、40代の若手が、年間売上5兆円を超えるTATAグループを担うことになっています。
ラタン氏とは、プライベートで夕食を共にしたこともありますが、ジェントルマンで発想のスケールも大きい方です。しかも非常にフランクで、偉ぶった態度はみじんも感じられません。本当のリッチパーソンはそうなのだと、あらためて感じました。
さて、日本ではTATAグループの知名度は残念ながら低いのが現状です。ご存じの方でも、低価格自動車TATAナノ(20万円の自動車)を作ったという認識程度。自動車はもちろん、鉄やエネルギー、食品や通信をも網羅する一大企業グループと言うことを理解しているのは少数派と言わざるを得ないです。
海外のサイトで、ラタン氏引退に伴い、彼の功績をたたえて在任中に行われた大規模買収をまとめていました。非常に分かりやすかったので、ここで一部をご紹介します。
(以下、ドルは米ドル、ルピーはインドルピー。)
◇2000年
イギリスのTetleyグループを4億5千万ドルで買収。
※Tetleyは1837年創業の紅茶の企業。
◇2001年
政府100%出資のCMCの株式の51%を15.2億ルピーでインド政府から取得。
※CMCは1975年創業のIT企業。
◇2002年
VSNL株の25%を143.9億ルピーで追加取得。
※VSNLは1986年創業のインドの通信大手。インド政府系企業としては初めてニューヨーク証券取引所に上場した。
◇2004年
韓国の大宇自動車を1億200万ドルで買収。
◇2005年
シンガポールの製鉄最大手NatSteelを3億6500万ドルで買収。この買収には、シンガポール、中国、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリアの製鉄所も含む。
◇2005年
アメリカの海底ケーブルサービス世界的大手、Tyco Global Networkを1億3000万ドルで買収。
◇2005年
インド書店チェーン大手Landmark株の76%を10億3600万ルピーで取得。
◇2006年
米ボストンのリッツカールトンホテルを1億7000万ドルで買収。
◇2006年
英化学大手Brunners Mondを50億8000万ルピーで買収。
※Brunners Mondは1873年創業のケミカルメーカー。
◇2007年
英蘭製鉄大手Corusを113億ドルで買収。
◇2008年
フォード自動車から、ジャガーとランドローバーを23億ドルで買収。
◇2008年
米化学大手、General Chemical Industrial Productsを10億ドルで買収。
※General Chemical Industrial Productsは1884年創業の化学メーカー。
◇2011年
英British Saltを65億ルピーで買収。
※British Saltは英製塩大手。
いかがですか?
クルマ好きなら、ジャガーとランドローバーがインド企業傘下であることは衝撃かも知れませんね。皮肉なことに、TATA傘下に入ってから売上増となったようです。
ラタン氏は、ここに掲げた以外でも多くの買収、株取得、出資などを行って、業容の拡大と全世界戦略を続々と実行しました。NTTDoCoMoと提携して携帯電話会社を始めたのもその一環ですね。
経営の第一線から退くとはいえ、ラタン氏が今後も経済界に大きく影響を及ぼす存在であることは疑う余地がありません。氏の動静も含め、これからのTATAグループの動向にも引き続き注目をしていきます。
本年もご愛読いただき、ありがとうございました。
来年も引き続きご支援、ご愛読をよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎え下さい。
ぢんぢ部長(松田憲明)
■皆さんからのインドに関するご質問などを受け付けます。
全てのご質問は、コラムを通じて回答する形式を採りますのでご了承下さい。
質問、お待ちしております。
okuchika.mail@gmail.com
■プロフィール:億の近道編集長。最近はインドと日本のビジネスブリッジを
中心に活動している。インド国内に強力な人脈を持ち、インド進出のバック
アップを行う。また、インド株式投資の情報を現在鋭意収集中。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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本日仕事納めの方が多いのではないかと推察しますが、インドでも本日、大きな意味で仕事納めをされた方が居ます。インド3大財閥の一つ、TATA財閥トップのラタン・タタ会長が、経営の第一線から退きます。
ラタン氏は財閥の5代目。今後はTATAの財団の運営などを行うようです。独身で子供もいないため、TATAの次期トップはTATA家とは関係のない、40代の若手が、年間売上5兆円を超えるTATAグループを担うことになっています。
ラタン氏とは、プライベートで夕食を共にしたこともありますが、ジェントルマンで発想のスケールも大きい方です。しかも非常にフランクで、偉ぶった態度はみじんも感じられません。本当のリッチパーソンはそうなのだと、あらためて感じました。
さて、日本ではTATAグループの知名度は残念ながら低いのが現状です。ご存じの方でも、低価格自動車TATAナノ(20万円の自動車)を作ったという認識程度。自動車はもちろん、鉄やエネルギー、食品や通信をも網羅する一大企業グループと言うことを理解しているのは少数派と言わざるを得ないです。
海外のサイトで、ラタン氏引退に伴い、彼の功績をたたえて在任中に行われた大規模買収をまとめていました。非常に分かりやすかったので、ここで一部をご紹介します。
(以下、ドルは米ドル、ルピーはインドルピー。)
◇2000年
イギリスのTetleyグループを4億5千万ドルで買収。
※Tetleyは1837年創業の紅茶の企業。
◇2001年
政府100%出資のCMCの株式の51%を15.2億ルピーでインド政府から取得。
※CMCは1975年創業のIT企業。
◇2002年
VSNL株の25%を143.9億ルピーで追加取得。
※VSNLは1986年創業のインドの通信大手。インド政府系企業としては初めてニューヨーク証券取引所に上場した。
◇2004年
韓国の大宇自動車を1億200万ドルで買収。
◇2005年
シンガポールの製鉄最大手NatSteelを3億6500万ドルで買収。この買収には、シンガポール、中国、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリアの製鉄所も含む。
◇2005年
アメリカの海底ケーブルサービス世界的大手、Tyco Global Networkを1億3000万ドルで買収。
◇2005年
インド書店チェーン大手Landmark株の76%を10億3600万ルピーで取得。
◇2006年
米ボストンのリッツカールトンホテルを1億7000万ドルで買収。
◇2006年
英化学大手Brunners Mondを50億8000万ルピーで買収。
※Brunners Mondは1873年創業のケミカルメーカー。
◇2007年
英蘭製鉄大手Corusを113億ドルで買収。
◇2008年
フォード自動車から、ジャガーとランドローバーを23億ドルで買収。
◇2008年
米化学大手、General Chemical Industrial Productsを10億ドルで買収。
※General Chemical Industrial Productsは1884年創業の化学メーカー。
◇2011年
英British Saltを65億ルピーで買収。
※British Saltは英製塩大手。
いかがですか?
クルマ好きなら、ジャガーとランドローバーがインド企業傘下であることは衝撃かも知れませんね。皮肉なことに、TATA傘下に入ってから売上増となったようです。
ラタン氏は、ここに掲げた以外でも多くの買収、株取得、出資などを行って、業容の拡大と全世界戦略を続々と実行しました。NTTDoCoMoと提携して携帯電話会社を始めたのもその一環ですね。
経営の第一線から退くとはいえ、ラタン氏が今後も経済界に大きく影響を及ぼす存在であることは疑う余地がありません。氏の動静も含め、これからのTATAグループの動向にも引き続き注目をしていきます。
本年もご愛読いただき、ありがとうございました。
来年も引き続きご支援、ご愛読をよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎え下さい。
ぢんぢ部長(松田憲明)
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全てのご質問は、コラムを通じて回答する形式を採りますのでご了承下さい。
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中心に活動している。インド国内に強力な人脈を持ち、インド進出のバック
アップを行う。また、インド株式投資の情報を現在鋭意収集中。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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