■はじめに
企業活動を行う際、必ず付きまとうのが「競争」です。企業、株主にとっては厄介なものですが、消費者側からすると競争してくれなければ価格的にも製品的にも、魅力的なものが出にくくなる恐れがあります。その競争に付きまとい、企業の収益環境に最も影響を与えるものが、「価格の下落」です。競争=価格下落といっても過言ではないかと思います。価格をいかに維持するか、価格が下がるならそれをどのように補うのか、これらはいつの時代も企業にとって重要な判断事項になっていると思います。
■業界構造を読み解く
競争状況を調査・判断する上で、参考になるのがポーター教授があげたファイブフォース分析です。「5つの力(ファイブフォース)」がどのように作用するかを読み解くことで、その業界の競争状況と収益的な魅力度を理解しようというものです。ファイブフォースとは、下記の5つをさしています。
A.新規参入の脅威
B.競争業者との競争状況
C.買い手の交渉力
D.売り手の交渉力
E.代替品の脅威
■新規参入の脅威
当たり前の話ですが、競争業者が増えれば増えるほど競争は激しいものとなります。伸びている業界、儲かっている業界であればみんな参入したいと思うものです。「参入」、「参入しない」という判断に、最も大きな影響を与えるのが「参入障壁の有無(もしくは高さ)」になります。例えば、
1)規模の経済性が働くかどうか(後発は不利になる)
2)製品的な差別化(ブランド力等)
3)巨額の投資の必要性(設備、研究開発等)
4)流通チャネルの確保
5)技術力
これらそれぞれの程度を測ることで、新規参入予備郡は「参入、不参入」を決定するでしょう。参入障壁が低く、新規参入が手軽にできる業界はプレイヤーが多く、競争が激しい傾向にあり、収益性は低くなる傾向にあります。
■競争業者との競争状況
新規参入が限定的でも、既存の競争業者が数多く、競争が激しいようですとやはり収益性は低いものになりかねません。既存の競争業者との競争状況を読み解くのに重要になる点が、下記にあげたものです。
1)競合社数
2)業界の成長速度(市場が成長していないのなら、既存のパイの取り合いになる)
3)固定費の高さ(稼動を優先させてしまい、結果として単価下落を招きかねない)
4)製品の差別化のしやすさ(難しいのであれば、単価勝負となりかねない)
5)撤退障壁の高さ(撤退コストの高さ、既存設備が使いまわせない等)
これらの程度を調査することで、業界内の競争を図ることが可能になると思います。
■買い手の交渉力
ここでは、自分たちの提供する製品・サービスを、購入してくれる相手のことを「買い手」と呼びます。その買い手の交渉力を決定付ける要因は、下記になります。
1)買い手が集中し、売り手にとって大きな割合を占めている
(その1社が業績に与えるインパクトが大きい等)
2)買い手の購入する製品が、買い手のコストに締める割合が大きい
(目立つコストは真っ先に、値下げの要求がきてしまう)
3)製品の差別化の有無
4)買い手が川上統合に乗り出す姿勢を見せているか
(売り手に取れば、顧客をなくすリスクが発生。相手に交渉力をもたれてしまう。)
5)売り手の製品が、買い手の製品の品質に与える影響
(能力を左右する部材であれば、買い手は強気になりきれない。)
■売り手の交渉力
ここで「売り手」とさしているものは、原料を仕入れる業界となります。その売り手の交渉力を決定図ける要因は、下記になります。
1)売り手の業界が集約されているか否か(集約されていれば交渉力は増す)
2)代替品との競争の有無(全くないようだと、交渉力は増す)
3)売り手にとって「買い手」が重要な顧客か
(大きな顧客、もしくは今後そうなる可能性の有無)
4)売り手が川下統合に乗り出す可能性の有無
「買い手の交渉力」、「売り手の交渉力」の両方の項に重要になってくる点が、その時々のその製品の需給です。基礎的な交渉力の強弱は上記のチェックポイントで測れますが、それプラス「その時々の製品の需給」が交渉力を左右する重要なファクターとなります。
■代替品の脅威
これは字の通りで、同程度の機能、もしくはそれを上回る機能で、魅力的な価格を保持する製品の有無になります。
ここまでにあげた、5つの事項がそれぞれどのようになっているのかを読み解き理解することで、競争状況の把握をすることができます。そしてその競争状況から、単価の下落が今後加速するのか、それともキープできるのか、はたまた値上げが通るのかということを考えるヒントとなります。単価の見通しは、企業の収益性に直結するので、業績見通しに非常に重要となってきます。
(佐藤 貴士)
<スローガン>
仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
企業活動を行う際、必ず付きまとうのが「競争」です。企業、株主にとっては厄介なものですが、消費者側からすると競争してくれなければ価格的にも製品的にも、魅力的なものが出にくくなる恐れがあります。その競争に付きまとい、企業の収益環境に最も影響を与えるものが、「価格の下落」です。競争=価格下落といっても過言ではないかと思います。価格をいかに維持するか、価格が下がるならそれをどのように補うのか、これらはいつの時代も企業にとって重要な判断事項になっていると思います。
■業界構造を読み解く
競争状況を調査・判断する上で、参考になるのがポーター教授があげたファイブフォース分析です。「5つの力(ファイブフォース)」がどのように作用するかを読み解くことで、その業界の競争状況と収益的な魅力度を理解しようというものです。ファイブフォースとは、下記の5つをさしています。
A.新規参入の脅威
B.競争業者との競争状況
C.買い手の交渉力
D.売り手の交渉力
E.代替品の脅威
■新規参入の脅威
当たり前の話ですが、競争業者が増えれば増えるほど競争は激しいものとなります。伸びている業界、儲かっている業界であればみんな参入したいと思うものです。「参入」、「参入しない」という判断に、最も大きな影響を与えるのが「参入障壁の有無(もしくは高さ)」になります。例えば、
1)規模の経済性が働くかどうか(後発は不利になる)
2)製品的な差別化(ブランド力等)
3)巨額の投資の必要性(設備、研究開発等)
4)流通チャネルの確保
5)技術力
これらそれぞれの程度を測ることで、新規参入予備郡は「参入、不参入」を決定するでしょう。参入障壁が低く、新規参入が手軽にできる業界はプレイヤーが多く、競争が激しい傾向にあり、収益性は低くなる傾向にあります。
■競争業者との競争状況
新規参入が限定的でも、既存の競争業者が数多く、競争が激しいようですとやはり収益性は低いものになりかねません。既存の競争業者との競争状況を読み解くのに重要になる点が、下記にあげたものです。
1)競合社数
2)業界の成長速度(市場が成長していないのなら、既存のパイの取り合いになる)
3)固定費の高さ(稼動を優先させてしまい、結果として単価下落を招きかねない)
4)製品の差別化のしやすさ(難しいのであれば、単価勝負となりかねない)
5)撤退障壁の高さ(撤退コストの高さ、既存設備が使いまわせない等)
これらの程度を調査することで、業界内の競争を図ることが可能になると思います。
■買い手の交渉力
ここでは、自分たちの提供する製品・サービスを、購入してくれる相手のことを「買い手」と呼びます。その買い手の交渉力を決定付ける要因は、下記になります。
1)買い手が集中し、売り手にとって大きな割合を占めている
(その1社が業績に与えるインパクトが大きい等)
2)買い手の購入する製品が、買い手のコストに締める割合が大きい
(目立つコストは真っ先に、値下げの要求がきてしまう)
3)製品の差別化の有無
4)買い手が川上統合に乗り出す姿勢を見せているか
(売り手に取れば、顧客をなくすリスクが発生。相手に交渉力をもたれてしまう。)
5)売り手の製品が、買い手の製品の品質に与える影響
(能力を左右する部材であれば、買い手は強気になりきれない。)
■売り手の交渉力
ここで「売り手」とさしているものは、原料を仕入れる業界となります。その売り手の交渉力を決定図ける要因は、下記になります。
1)売り手の業界が集約されているか否か(集約されていれば交渉力は増す)
2)代替品との競争の有無(全くないようだと、交渉力は増す)
3)売り手にとって「買い手」が重要な顧客か
(大きな顧客、もしくは今後そうなる可能性の有無)
4)売り手が川下統合に乗り出す可能性の有無
「買い手の交渉力」、「売り手の交渉力」の両方の項に重要になってくる点が、その時々のその製品の需給です。基礎的な交渉力の強弱は上記のチェックポイントで測れますが、それプラス「その時々の製品の需給」が交渉力を左右する重要なファクターとなります。
■代替品の脅威
これは字の通りで、同程度の機能、もしくはそれを上回る機能で、魅力的な価格を保持する製品の有無になります。
ここまでにあげた、5つの事項がそれぞれどのようになっているのかを読み解き理解することで、競争状況の把握をすることができます。そしてその競争状況から、単価の下落が今後加速するのか、それともキープできるのか、はたまた値上げが通るのかということを考えるヒントとなります。単価の見通しは、企業の収益性に直結するので、業績見通しに非常に重要となってきます。
(佐藤 貴士)
<スローガン>
仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)