2012年のヘッジファンド業界は、どのような年になるのでしょうか?
2011年のような奮わない年になるのでしょうか?
それとも、2009年や20010年のような輝かしいパフォーマンスの年になるのでしょうか?
昨年は、超高速取引のルネッサンステクノロジーがプラスのリターンを叩き出す一方、サブプライム危機で巨額のリターンをあげたジョン・ポールソンのファンドが苦戦するなど、敏腕ヘッジファンドマネージャーの中で明暗が分かれました。海外の色々なメディアやレポートで今年の市場予想が配信されておりますが、その中で、モルガン・スタンレーが発表した2012年のヘッジファンド業界を考える5つのキーワードについてご紹介します。
1.グローバルマクロ戦略は引き続き好調か
2.不動産債権戦略は強気
3.銀行の自己売買の停止と規制はヘッジファンドには追い風
4.好調なヘッジファンドにより資金が集まる
5.ファンドマネージャー選びの大切さ
1つ目は、マクロ戦略に良い投資機会がありそうです。先進国と新興国の中央銀行の政策の違いによる金利差や為替取引に投資妙味があるでしょう。
2つ目は、ヘッジファンドは過去2年、不動産債権戦略に投資資金を振り向けていましたが、今年も引き続き好調の見通しのようです。安全資産として米国債に資金が集まる中、高利回りを得ることができる高い不動産債権証券は投資妙味があるでしょう。
3つ目は、銀行はバランスシートの改善のために不要資産の売却を進めていますが、ヘッジファンドにとっては、魅力的な価格で購入することができる良い投資機会につながるでしょう。自己勘定取引を規制するボルカールールによって、銀行が昔ながらの取引機会を奪われることも、ヘッジファンドの競合が減ることにつながり、追い風となるでしょう。
4つ目は、昨年は沢山のヘッジファンドが閉鎖された一方で、成功したヘッジファンドは、より多くの資産を集めました。ヘッジファンドの数が減ったことで、投資家にとっては、新たな資本をヘッジファンドに投資をするのが難しくなりました。このように、ヘッジファンドが淘汰され、受け皿が少なくなることは、思い切ったことをするヘッジファンドにとっては良い環境になるでしょう。
5つ目は、変動が激しいマーケットでリターンを得るためには、何に投資するか考えるのと同じくらい、誰に投資するかが重要になってくるでしょう。アセットクラスごとの相関がピーク時から落ち着いてきて、ヘッジファンドマネージャーのパフォーマンスにばらつきが見られ始めています。同じような戦略でも、ファンドマネージャーの腕によってかなり差がでてきており、2012年は、腕の良いマネージャーを選ぶことは、どのような戦略に投資をするかと同じくらい重要になってくるでしょう。
以上は米国のヘッジファンドに関するキーワードでしたが、アジアのヘッジファンドに目を向けると昨年は非常に厳しい年でした。シンガポールに拠点を置く調査会社のユーリカヘッジによると、11年に閉鎖されたアジアのヘッジファンドの閉鎖数は、2008年に迫る勢いということです。アジアのヘッジファンドの平均利回りは、8.7%の下落(MSCIアジア太平洋指数17%)を記録するなど不振で、昨年にシンガポール最大のヘッジファンドだったアートラディア・ファンド・マネジメントも閉鎖に追い込まれました。
アジアに集中的に投資をしないこと、グローバルマクロ戦略や不動産債権戦略を取り入れること、腕の良いヘッジファンドマネージャーを見極めることが、2012年のヘッジファンド投資を考える上で重要なキーワードになりそうです。
S&S investments
岡村 さとみ
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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それとも、2009年や20010年のような輝かしいパフォーマンスの年になるのでしょうか?
昨年は、超高速取引のルネッサンステクノロジーがプラスのリターンを叩き出す一方、サブプライム危機で巨額のリターンをあげたジョン・ポールソンのファンドが苦戦するなど、敏腕ヘッジファンドマネージャーの中で明暗が分かれました。海外の色々なメディアやレポートで今年の市場予想が配信されておりますが、その中で、モルガン・スタンレーが発表した2012年のヘッジファンド業界を考える5つのキーワードについてご紹介します。
1.グローバルマクロ戦略は引き続き好調か
2.不動産債権戦略は強気
3.銀行の自己売買の停止と規制はヘッジファンドには追い風
4.好調なヘッジファンドにより資金が集まる
5.ファンドマネージャー選びの大切さ
1つ目は、マクロ戦略に良い投資機会がありそうです。先進国と新興国の中央銀行の政策の違いによる金利差や為替取引に投資妙味があるでしょう。
2つ目は、ヘッジファンドは過去2年、不動産債権戦略に投資資金を振り向けていましたが、今年も引き続き好調の見通しのようです。安全資産として米国債に資金が集まる中、高利回りを得ることができる高い不動産債権証券は投資妙味があるでしょう。
3つ目は、銀行はバランスシートの改善のために不要資産の売却を進めていますが、ヘッジファンドにとっては、魅力的な価格で購入することができる良い投資機会につながるでしょう。自己勘定取引を規制するボルカールールによって、銀行が昔ながらの取引機会を奪われることも、ヘッジファンドの競合が減ることにつながり、追い風となるでしょう。
4つ目は、昨年は沢山のヘッジファンドが閉鎖された一方で、成功したヘッジファンドは、より多くの資産を集めました。ヘッジファンドの数が減ったことで、投資家にとっては、新たな資本をヘッジファンドに投資をするのが難しくなりました。このように、ヘッジファンドが淘汰され、受け皿が少なくなることは、思い切ったことをするヘッジファンドにとっては良い環境になるでしょう。
5つ目は、変動が激しいマーケットでリターンを得るためには、何に投資するか考えるのと同じくらい、誰に投資するかが重要になってくるでしょう。アセットクラスごとの相関がピーク時から落ち着いてきて、ヘッジファンドマネージャーのパフォーマンスにばらつきが見られ始めています。同じような戦略でも、ファンドマネージャーの腕によってかなり差がでてきており、2012年は、腕の良いマネージャーを選ぶことは、どのような戦略に投資をするかと同じくらい重要になってくるでしょう。
以上は米国のヘッジファンドに関するキーワードでしたが、アジアのヘッジファンドに目を向けると昨年は非常に厳しい年でした。シンガポールに拠点を置く調査会社のユーリカヘッジによると、11年に閉鎖されたアジアのヘッジファンドの閉鎖数は、2008年に迫る勢いということです。アジアのヘッジファンドの平均利回りは、8.7%の下落(MSCIアジア太平洋指数17%)を記録するなど不振で、昨年にシンガポール最大のヘッジファンドだったアートラディア・ファンド・マネジメントも閉鎖に追い込まれました。
アジアに集中的に投資をしないこと、グローバルマクロ戦略や不動産債権戦略を取り入れること、腕の良いヘッジファンドマネージャーを見極めることが、2012年のヘッジファンド投資を考える上で重要なキーワードになりそうです。
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岡村 さとみ
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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