このコラムでは、グローバル投資に関する最新情報を伝えています。本日は第11回目で、個人投資家がコンピューターに勝つにはどうしたら良いのか解説したいと思います。
現在、NY証券取引所の約7割がコンピューターを介した取引と言われております。コンピューターがマーケットに及ぼす影響を脅威と感じた最近の事件は、ニューヨーク証券取引所で起きた2010年5月6日のフラッシュ・クラッシュでしょう。同じようなアルゴリズムを持つコンピューター取引が大量に発注され、5分間でダウインデックスが500ドル以上急落し、その後1分半で戻すという乱高下が起こりました。個別銘柄でも40ドルだった株価が数分で1セントまで暴落するというケースもありました。異常な動きを示した約定については、取り消すことになりましたが、この時の取引株数が、ブラックマンデーの30倍にも達し、人が止めることができなかったコンピューターの暴走を起こしました。
取引市場の電子化を超高速にまで追求した結果、短時間で市場が正常化するものの影響が瞬時に広がります。SEC委員長のメアリー・シャピロはフラッシュ・クラッシュの発生を受けて、「人間が機械から主導権を取り戻す必要がある」と警告しました。
機関投資家やヘッジファンドの運用者らは、世界最高レベルの数学や科学の優秀な人材を雇い入れ、コンピューターサイエンスや高度な数学の知識をトレーディングの世界へと持ち込みました。例えば、人工知能をトレーディング分野に持ち込み、コンピューターに過去の株の値動きから将来の動きを予想させることに成功しました。コンピューターサイエンス分野からは、ハイフリークエンシートレーディング(HFT)という超高速頻度で売買を行うトレーディングの手法を生み出し、市場のありとあらゆるサヤを瞬時に見つけることができるようになりました。
東証の売買代金の3分の1は、このようHFTが占めていると言われ、個人が個別株で勝つことは難しくなってきたと思われます。個別株のトレンドをよんでトレーディングを行うテクニカル手法は、コンピューターが過去のデータの中からトレンドを見つけ、人間より早く売買を行ってしまえば、取れる利益は少なくなってしまうかもしれません。板読みトレードと言われる手法も、人間が板情報を把握するよりもっと早いスピードで、コンピューターが板から投資家の思惑を判断し、注文を出すことも可能になります。
このような状況の中、個人投資家が個別株で市場平均を上回ることができる手法はどのようなものがあるか考えてみました。短期的なトレーディングは、スピード重要になり、最先端のシステムを持つ機関投資家がより優位であるので、中長期的なトレーディング戦略が有効だと思われます。
・プロの投資家が機械的に売買している大型株を避け、時価総額が小規模な株式にしぼって投資を行う(市場の関心が高まっている市場は避け、自分が他の人よりも知識を持っていると思われる分野に賭ける)。
・ファンダメンタル指標が割安なだけでは機械的に選別できるので、その中でも株価が成長する可能性のある企業を、独自のリサーチで選別する。
・日経平均入れ替え、自社株買い、IPO、増資など、パッシブ運用の資金流入タイミングをうまく捉えるか、コーポレートアクションと呼ばれる株の需要を見つける。
すでに米国では、コンピューターが読むことができる形式でのニュース配信が行われており、次に流行るテーマに沿った銘柄を、コンピューターが判別できるようになる日も近いでしょう。トレーディングは人と同じことをしていても儲かりませんので、自分の敵の動向をきちんと把握して、違う動きをすることが良いと思います。
個人投資家の方は、個人投資家の方でも勝てる方法で株式投資をすることが必要だと思いますし、それが難しいと判断した場合は、10年〜30年の長期的な海外分散投資に目を向けることも大切だと思います。
(岡村さとみ)
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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現在、NY証券取引所の約7割がコンピューターを介した取引と言われております。コンピューターがマーケットに及ぼす影響を脅威と感じた最近の事件は、ニューヨーク証券取引所で起きた2010年5月6日のフラッシュ・クラッシュでしょう。同じようなアルゴリズムを持つコンピューター取引が大量に発注され、5分間でダウインデックスが500ドル以上急落し、その後1分半で戻すという乱高下が起こりました。個別銘柄でも40ドルだった株価が数分で1セントまで暴落するというケースもありました。異常な動きを示した約定については、取り消すことになりましたが、この時の取引株数が、ブラックマンデーの30倍にも達し、人が止めることができなかったコンピューターの暴走を起こしました。
取引市場の電子化を超高速にまで追求した結果、短時間で市場が正常化するものの影響が瞬時に広がります。SEC委員長のメアリー・シャピロはフラッシュ・クラッシュの発生を受けて、「人間が機械から主導権を取り戻す必要がある」と警告しました。
機関投資家やヘッジファンドの運用者らは、世界最高レベルの数学や科学の優秀な人材を雇い入れ、コンピューターサイエンスや高度な数学の知識をトレーディングの世界へと持ち込みました。例えば、人工知能をトレーディング分野に持ち込み、コンピューターに過去の株の値動きから将来の動きを予想させることに成功しました。コンピューターサイエンス分野からは、ハイフリークエンシートレーディング(HFT)という超高速頻度で売買を行うトレーディングの手法を生み出し、市場のありとあらゆるサヤを瞬時に見つけることができるようになりました。
東証の売買代金の3分の1は、このようHFTが占めていると言われ、個人が個別株で勝つことは難しくなってきたと思われます。個別株のトレンドをよんでトレーディングを行うテクニカル手法は、コンピューターが過去のデータの中からトレンドを見つけ、人間より早く売買を行ってしまえば、取れる利益は少なくなってしまうかもしれません。板読みトレードと言われる手法も、人間が板情報を把握するよりもっと早いスピードで、コンピューターが板から投資家の思惑を判断し、注文を出すことも可能になります。
このような状況の中、個人投資家が個別株で市場平均を上回ることができる手法はどのようなものがあるか考えてみました。短期的なトレーディングは、スピード重要になり、最先端のシステムを持つ機関投資家がより優位であるので、中長期的なトレーディング戦略が有効だと思われます。
・プロの投資家が機械的に売買している大型株を避け、時価総額が小規模な株式にしぼって投資を行う(市場の関心が高まっている市場は避け、自分が他の人よりも知識を持っていると思われる分野に賭ける)。
・ファンダメンタル指標が割安なだけでは機械的に選別できるので、その中でも株価が成長する可能性のある企業を、独自のリサーチで選別する。
・日経平均入れ替え、自社株買い、IPO、増資など、パッシブ運用の資金流入タイミングをうまく捉えるか、コーポレートアクションと呼ばれる株の需要を見つける。
すでに米国では、コンピューターが読むことができる形式でのニュース配信が行われており、次に流行るテーマに沿った銘柄を、コンピューターが判別できるようになる日も近いでしょう。トレーディングは人と同じことをしていても儲かりませんので、自分の敵の動向をきちんと把握して、違う動きをすることが良いと思います。
個人投資家の方は、個人投資家の方でも勝てる方法で株式投資をすることが必要だと思いますし、それが難しいと判断した場合は、10年〜30年の長期的な海外分散投資に目を向けることも大切だと思います。
(岡村さとみ)
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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