このコラムでは、最新グローバル投資ということで、グローバル投資に関する最新情報をお伝えしています。本日は10回目で、コモディティへの投資について解説したいと思います。これまでも、このコラムで何度か、コモディティについては解説してきました。コモディティの価格上昇は一時的なものではなく、世界人口の増大と新興国経済の発展による、長期的なものだという点を指摘してきましたが、それを裏付ける、詳細なデータを入手しましたので、本日はそちらを紹介したいと思います。
GMOという調査会社が、11年4月のクォータリー・レポートで、このコモディティの価格トレンドの変化について指摘をしています。このレポートが秀逸であるのは、非常に超長期のトレンドについて、豊富なデータを元に解説している事です。インフレの効果を除いたうえで、1900年当時と比較して、世界のGDPは2010年までに約20倍になりました。この間に、16−7億人から、70億人にまで約4倍に増えているので、1人あたりのGDPはこの100年間で、グローバルで平均約5倍になったということです。
この5倍に、1人あたりのGDPが伸びた最大の原動力は化石燃料を始めとした、エネルギー・鉱物資源の効率的な利用です。1900年から2000年までの、20世紀の100年間で、こうしたコモディティの価格は約70%下落しました。これはGMOの調査による数値で、原油・天然ガス・石炭などの化石燃料、金・銀・銅・鉄鉱石などの鉱物資源、トウモロコシ・小麦・大豆などの食糧資源等、33の代表的なコモディティの価格を加重平均した指数による算出されています。
インフレを控除した後に、100年間で70%価格が下落したということは、平均で年率1.2%のペースでコモディティ価格は下落してきたことになります。豊富な資源を、安く確保できたことが、20世紀の経済発展の原動力であったことは、疑う余地はありません。そして、この傾向にここ10年、劇的な変化が見られます。
それは、1900−2000年に掛けての100年間の下落分を、2000−10年までの僅か10年の上昇で、完全に埋めてしまったという恐るべきものです。つまり、1900−2000年まで、コモディティの価格は100→30に下落したのに対して、2000−2010年の10年間で30→100と3倍以上に上昇したということです。消費者が目にする価格上昇には、この実質価格の上昇にインフレが加わってくるため、さらに価格上昇のインパクトは大きいでしょう。
この価格上昇の原動力は中国を中心とした新興国経済の急成長です。20世紀後半の経済成長は、日本・米国・欧州諸国を中心とした、せいぜい人口5億人によるものでした。それが、21世紀に入ってからの新興国経済の成長は、中国・インドなど約40億人による巨大な規模です。
当然、必要とされる需要量の増加ペースも過去、例をみない早さです。さらに、原油などエネルギー資源を中心とした供給量の頭打ちになってきたことで、コモディティの価格上昇は上記のように急速になってきています。
東日本大震災は、日本にエネルギー問題を再考させるきっかけになりましたが、このような世界の状況を考えると、安易に原発を効率の良い天然ガスや火力に切り替えればよいといった問題ではないと感じます。日本の経済成長の前提であった、安価な資源と原材料を輸入して、それを加工して付加価値をつけて輸出するというモデルが、完全に崩壊しつつあるということです。日本は、その技術力を活かして、人類が経験したことのない、このコモディティ価格上昇の解決策となる、省エネ・高効率産業へのシフトを実現していかなければなりません。
(岡村さとみ)
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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GMOという調査会社が、11年4月のクォータリー・レポートで、このコモディティの価格トレンドの変化について指摘をしています。このレポートが秀逸であるのは、非常に超長期のトレンドについて、豊富なデータを元に解説している事です。インフレの効果を除いたうえで、1900年当時と比較して、世界のGDPは2010年までに約20倍になりました。この間に、16−7億人から、70億人にまで約4倍に増えているので、1人あたりのGDPはこの100年間で、グローバルで平均約5倍になったということです。
この5倍に、1人あたりのGDPが伸びた最大の原動力は化石燃料を始めとした、エネルギー・鉱物資源の効率的な利用です。1900年から2000年までの、20世紀の100年間で、こうしたコモディティの価格は約70%下落しました。これはGMOの調査による数値で、原油・天然ガス・石炭などの化石燃料、金・銀・銅・鉄鉱石などの鉱物資源、トウモロコシ・小麦・大豆などの食糧資源等、33の代表的なコモディティの価格を加重平均した指数による算出されています。
インフレを控除した後に、100年間で70%価格が下落したということは、平均で年率1.2%のペースでコモディティ価格は下落してきたことになります。豊富な資源を、安く確保できたことが、20世紀の経済発展の原動力であったことは、疑う余地はありません。そして、この傾向にここ10年、劇的な変化が見られます。
それは、1900−2000年に掛けての100年間の下落分を、2000−10年までの僅か10年の上昇で、完全に埋めてしまったという恐るべきものです。つまり、1900−2000年まで、コモディティの価格は100→30に下落したのに対して、2000−2010年の10年間で30→100と3倍以上に上昇したということです。消費者が目にする価格上昇には、この実質価格の上昇にインフレが加わってくるため、さらに価格上昇のインパクトは大きいでしょう。
この価格上昇の原動力は中国を中心とした新興国経済の急成長です。20世紀後半の経済成長は、日本・米国・欧州諸国を中心とした、せいぜい人口5億人によるものでした。それが、21世紀に入ってからの新興国経済の成長は、中国・インドなど約40億人による巨大な規模です。
当然、必要とされる需要量の増加ペースも過去、例をみない早さです。さらに、原油などエネルギー資源を中心とした供給量の頭打ちになってきたことで、コモディティの価格上昇は上記のように急速になってきています。
東日本大震災は、日本にエネルギー問題を再考させるきっかけになりましたが、このような世界の状況を考えると、安易に原発を効率の良い天然ガスや火力に切り替えればよいといった問題ではないと感じます。日本の経済成長の前提であった、安価な資源と原材料を輸入して、それを加工して付加価値をつけて輸出するというモデルが、完全に崩壊しつつあるということです。日本は、その技術力を活かして、人類が経験したことのない、このコモディティ価格上昇の解決策となる、省エネ・高効率産業へのシフトを実現していかなければなりません。
(岡村さとみ)
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早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
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