このコラムでは、最新グローバル投資ということで、グローバル投資に関する最新情報をお伝えしています。本日は8回目で、最近のコモディティ相場の動きについて解説したいと思います。
銀価格は、30年ぶりに1トロイオンス50ドルという高値をつけたあと、わずか1週間で30%近く急落するなど、歴史的に見ても最悪レベルの下落率を記録しました。また、銀ほどではないですが、原油も1週間で約15%、金も約5%下落しました。このようにコモディティ市場が激しく値動きする理由として、取引量の少なさがあげられます。
米国債の1日に取引高は約40兆円で、米国株式は約10兆円であるのに対して、WTI原油で約4−5兆円、NY金先物で約1−2兆円と1桁小さいです。銀は、金と比較しても更に小さい取引量しかありません。
金が史上最高値を更新していますが、銀は実は更に高い価格まで上昇した事があります。それは、約30年前に、石油で財をなしたハント兄弟が世界中で銀を買い占め、短期間で約10倍まで値段が上昇した時に記録したものです。この時の買占めは、価格上昇を見た個人が、家庭にある銀食器など銀製品を大量に市場に持ち込んだため、すぐに暴落に転じ、ハント兄弟も訴追されるという結果に終わりました。
その後、バフェットも買い占めを行うなど、10年−20年に1度、投機的な動きをする銀相場ですが、その理由としては、取引量が少ないことに加え、市場全体の流通量が少ないこともあげられます。2010年、原油は約270兆円、天然ガスが約40兆円、金が約10兆円生産されていたのに対して、銀は約3兆円の生産高しかありません。
最近は、銀価格に連動したETFなども出てきていますが、ただでさえ取引量が少なく値動きが激しいコモディティ市場においても、さらに規模が小さい銀については、投資するとしても資産のごく一部にとどめておいた方が賢明でしょう。
今週に入ってから、先週の急落の反動もあり、再び上昇しているコモディティ相場ですが、史上最高値圏にある金価格については、見方が分かれてきています。「イングランド銀行を破産させた男」として知られている、ヘッジファンド黎明期からの大立者ジョージ・ソロス(12/14配信号参照)は、貴金属市場の上昇相場は終わったとして、金・銀のほとんどのポジションを売却したようです。
対して、サブプライム危機を予測し、2008年に約2兆円のリターンをファンドにもたらし、2010年にも年収約4,200億円を得た、現在、世界で最も脂がのっている投資家とされる、ジョン・ポールソン(2/1配信号参照)は、3−5年以内に1トロイオンス4,000ドルの、今の倍以上の価格まで金価格は上昇するとしています。先進国を中心とした金融緩和路線が続いており、インフレリスクが大きいというのがその根拠です。
この新旧の怪物ヘッジファンドマネージャーが、全く正反対の意見を持っている事は、世界中で話題となっており、どちらの見立てが正しいか、皆、固唾を飲んで見守っています。ただ、個人投資家のスタンスとしては、どちらかの見立てに肩入れするのではなく、このように凄腕投資家ですら、見立てがばらばらの時の相場は、値動きが激しくなりがちなので、十分に慎重なスタンスを忘れない事が大切かと思います。
(岡村さとみ)
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
このコラムはいかがでしたか?面白かった・役に立ったと思った方は
是非ワンクリックをお願いいたします!
http://clap.mag2.com/bouuowaeveクリックだけでも結構ですし、コメントをいただけるともっと嬉しいです!
銀価格は、30年ぶりに1トロイオンス50ドルという高値をつけたあと、わずか1週間で30%近く急落するなど、歴史的に見ても最悪レベルの下落率を記録しました。また、銀ほどではないですが、原油も1週間で約15%、金も約5%下落しました。このようにコモディティ市場が激しく値動きする理由として、取引量の少なさがあげられます。
米国債の1日に取引高は約40兆円で、米国株式は約10兆円であるのに対して、WTI原油で約4−5兆円、NY金先物で約1−2兆円と1桁小さいです。銀は、金と比較しても更に小さい取引量しかありません。
金が史上最高値を更新していますが、銀は実は更に高い価格まで上昇した事があります。それは、約30年前に、石油で財をなしたハント兄弟が世界中で銀を買い占め、短期間で約10倍まで値段が上昇した時に記録したものです。この時の買占めは、価格上昇を見た個人が、家庭にある銀食器など銀製品を大量に市場に持ち込んだため、すぐに暴落に転じ、ハント兄弟も訴追されるという結果に終わりました。
その後、バフェットも買い占めを行うなど、10年−20年に1度、投機的な動きをする銀相場ですが、その理由としては、取引量が少ないことに加え、市場全体の流通量が少ないこともあげられます。2010年、原油は約270兆円、天然ガスが約40兆円、金が約10兆円生産されていたのに対して、銀は約3兆円の生産高しかありません。
最近は、銀価格に連動したETFなども出てきていますが、ただでさえ取引量が少なく値動きが激しいコモディティ市場においても、さらに規模が小さい銀については、投資するとしても資産のごく一部にとどめておいた方が賢明でしょう。
今週に入ってから、先週の急落の反動もあり、再び上昇しているコモディティ相場ですが、史上最高値圏にある金価格については、見方が分かれてきています。「イングランド銀行を破産させた男」として知られている、ヘッジファンド黎明期からの大立者ジョージ・ソロス(12/14配信号参照)は、貴金属市場の上昇相場は終わったとして、金・銀のほとんどのポジションを売却したようです。
対して、サブプライム危機を予測し、2008年に約2兆円のリターンをファンドにもたらし、2010年にも年収約4,200億円を得た、現在、世界で最も脂がのっている投資家とされる、ジョン・ポールソン(2/1配信号参照)は、3−5年以内に1トロイオンス4,000ドルの、今の倍以上の価格まで金価格は上昇するとしています。先進国を中心とした金融緩和路線が続いており、インフレリスクが大きいというのがその根拠です。
この新旧の怪物ヘッジファンドマネージャーが、全く正反対の意見を持っている事は、世界中で話題となっており、どちらの見立てが正しいか、皆、固唾を飲んで見守っています。ただ、個人投資家のスタンスとしては、どちらかの見立てに肩入れするのではなく、このように凄腕投資家ですら、見立てがばらばらの時の相場は、値動きが激しくなりがちなので、十分に慎重なスタンスを忘れない事が大切かと思います。
(岡村さとみ)
■プロフィール
早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。
外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
このコラムはいかがでしたか?面白かった・役に立ったと思った方は
是非ワンクリックをお願いいたします!
http://clap.mag2.com/bouuowaeveクリックだけでも結構ですし、コメントをいただけるともっと嬉しいです!
JUGEMテーマ:ビジネス
JUGEMテーマ:株・投資