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ヘッジファンドマネージャーの報酬ランキング

 このコラムでは、最新グローバル投資ということで、グローバル投資に関する最新情報をお伝えしています。本日は7回目で、ヘッジファンドマネージャーの報酬ランキングについて書かせて頂きます。

 ヘッジファンドマネージャーの報酬ランキングは、毎年、業界誌であるAbsolute Returnが集計をしていて、ウォール街では非常に注目されています。

 この企画は2001年から始められ、今回で10年目ですが、今年1位であったジョン・ポールソンの年収約50億ドル(約4,200億円)は史上最高額です。4,200億円というと天文学的な金額すぎて、良く想像できませんが、メジャーリーグのイチロー選手の300倍の年俸と言えば少しはイメージできるでしょうか。難しいですね(笑)。

1.ジョン・ポールソン(ポールソン&カンパニー):4,200億円
2.レイモンド・ダリオ(ブリッジウォーター・アソシエイツ):2,700億円
3.ジェームズ・シモンズ(ルネサンス・テクノロジー):2,200億円
4.デービッド・テッパー(アパルーサ・マネジメント):1,900億円
5.スティーブ・コーエン(SACキャピタル・アドバイザーズ):1,200億円

 ポールソン&カンパニーは、約3兆円の運用資産を預かる世界屈指のヘッジファンドです。しかし、約15年前にファンドを始めた時は、投資家から全く資金を集めることができず、自己資産の200万ドル(約1.7億円)で運用を始め、半年後にやっと約50万ドル(約4,200万円)投資をしてもらったのが初めての顧客であったという逸話が残っています。08年のサブプライム危機を予測しての住宅ローン関連商品への空売り、09年の銀行への投資、10年の金への投資と、ここ3年の市場の動きを完全に予測し、毎年、ランキング上位に顔を出しています。

 2位のレイモンド・ダリオが運営している、ブリッジウォーター・アソシエイツは、1975年に設立され、従業員を1,200人以上で、資産が約5兆円と言う世界で一番大きなヘッジファンドです。年金基金など機関投資家を主要顧客としており、昨年は基幹ファンドが約45%のリターンをあげるなど絶好調でした。

 3位のジェームズ・シモンズが創始者である、ルネサンス・テクノロジーは1989年に本格的に運用を開始し、20年で年率平均リターン約35%という、史上最高の運用成績を上げています。運用資産の2%の管理手数料と、達成したリターンの20%の成功報酬が平均的な手数料体系ですが、管理手数料5%、成功報酬36%と非常に高い手数料を設定しています。シモンズは40歳まで世界的な数学者でしたが、突如金融の世界に転身し、金融業界の経験が一切ない科学の世界の人材しか雇わない事で知られています。

 デービッド・テッパーは、09年の報酬ランキングのトップでした。テッパーは、ゴールドマン・サックスでジャンク債のトレーダーでしたが、自らのヘッジファンド、アパルーサ・マネジメントを立ち上げます。「落ちているお金を拾うのが最良の取引」という超逆張りのスタイルで、09年のサブプライム危機の直後に、株価が暴落していたシティーグループやバンクオブアメリカなど金融機関への投資で、大きなリターンをあげました。10年も、引き続き金融業界への投資で成功したようです。

 1992年に、スティーブ・コーエンにより設立されたSACキャピタル・アドバイザーズは、800人の従業員が居り、香港やロンドンにもオフィスがあります。また、管理手数料3%、成功報酬50%と業界最高の料金体系でも知られています。

 このように、上位にくるヘッジファンドマネージャーは、過去の成功により高いコストを正当化しており、それでも投資家が殺到することで運用額が増えるという良循環に入っています。また、ファンドマネージャー達は自己資産の多くを自分のファンドに投資し、ファンドがリターンを上げることで、報酬が増えるだけでなく、資産も大きく増やしています。もちろん、収入源も資産もファンドの運用成績次第ですので、とんでもなくハイリスク・ハイリターンではありますが。

 金融危機の反省により、投資銀行のトレーディングビジネスが厳しく規制されてきており、有名トレーダー達は続々と独立し、自分のファンドを設立しています。金融の世界で一番元気であるヘッジファンド業界から今後も目が離せません。

(岡村さとみ)

■プロフィール
 早稲田大学理工学部卒、早稲田大学大学院理工学部経営システム工学科卒。外資系証券会社の自己勘定部門&ヘッジファンドにおいて、5年半日本株の運用に携わる。計量的分析を用いて、マーケットに左右されない絶対的リターンを追求したトレードを行う。

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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