本日の伝説の投資家David Tepper(デービッド・テッパー)は57歳で、前回ご紹介したジョン・ポールソンと同じで、第2世代のヘッジファンドマネージャーです。
テッパーは、MBAで製鉄会社の財務部門に就職したという、ヘッジファンドマネージャーとしては異色の経歴です。製鉄会社は2年で辞めて、投資信託ファンドのアナリストに転職し、28歳のときにゴールドマン・サックスに入社しました。通常、ゴールマン・サックスにはMBAを取ってすぐ就職する人が多いため、かなり遅めの入社です。
ゴールマン・サックスには8年間在籍し、企業破たん時に安値で、債権や株式を買い取るディストレスト投資で頭角をあらわします。このゴールドマン時代に、後の超逆張り投資と呼ばれるスタイルが確立したようです。その後、36歳のときに自らのヘッジファンドAppaloosa Management(アパルーサ・マネジメント)を立ち上げます。
テッパーが世界中に名前を知られたきっかけは、09年のヘッジファンド報酬ランキングで、1位に輝いたことでした。1年間で、約40億ドル(約3,300億円)という天文学的な収入を得て、これがヘッジファンドの歴史上の最高額だったことから大いに話題を呼びました。
テッパーは、09年の前半、まだ金融危機により市場が冷え込んでいて、シティバンクやバンク・オブ・アメリカのような世界的金融機関の破たんすら騒がれていたころに、彼は金融機関に投資しまくりました。上記のような金融機関を破たんさせると、世界経済全体に大打撃を与えるようなショックが起き、必ず政府がサポートし続けるという冷静な読みがあったようですが、彼の目論見通りシティバンクやバンク・オブ・アメリカの株式はわずか数ヶ月で数倍に跳ね上がりました。
09年の投資は、世の中が悲観一色に染まっているときに、その悲観の震源地である金融機関の株式を買うという、まさに”超逆張り投資”と呼ぶべきものです。彼は、他にも、97年のロシア経済危機の際に、ロシア国債を買い漁り巨額のリターンを上げるなど、常に逆張り戦略で収益を上げてきました。
テッパーは、自らの投資スタイルを称して、”落ちているお金を拾う”と表現しているようです。価値はあるにもかかわらず、ほとんどの人から見放され、タダ同然の価格になっているものを購入し、それが本来の価値に見合うまで価格が上昇することで、リスクを小さく儲けられるということが言いたいのでしょう。
テッパーは、ミーティング中に、彼が財布から出して床に置いた20ドル札を若手に拾わせることが良くあるようです。実質の価値に対してはるかに価格が下回っている商品のみに手を伸ばすべきだと、彼の投資思想を体感させるための行動です。
もちろん、本当に価値がなくて価格が低迷している資産がほとんどなので、実際に超逆張り投資で成功するには、経済全体への大局観と地道な分析が必要であることは説明するまでもありません。
S&S investments
岡村 聡
【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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テッパーは、MBAで製鉄会社の財務部門に就職したという、ヘッジファンドマネージャーとしては異色の経歴です。製鉄会社は2年で辞めて、投資信託ファンドのアナリストに転職し、28歳のときにゴールドマン・サックスに入社しました。通常、ゴールマン・サックスにはMBAを取ってすぐ就職する人が多いため、かなり遅めの入社です。
ゴールマン・サックスには8年間在籍し、企業破たん時に安値で、債権や株式を買い取るディストレスト投資で頭角をあらわします。このゴールドマン時代に、後の超逆張り投資と呼ばれるスタイルが確立したようです。その後、36歳のときに自らのヘッジファンドAppaloosa Management(アパルーサ・マネジメント)を立ち上げます。
テッパーが世界中に名前を知られたきっかけは、09年のヘッジファンド報酬ランキングで、1位に輝いたことでした。1年間で、約40億ドル(約3,300億円)という天文学的な収入を得て、これがヘッジファンドの歴史上の最高額だったことから大いに話題を呼びました。
テッパーは、09年の前半、まだ金融危機により市場が冷え込んでいて、シティバンクやバンク・オブ・アメリカのような世界的金融機関の破たんすら騒がれていたころに、彼は金融機関に投資しまくりました。上記のような金融機関を破たんさせると、世界経済全体に大打撃を与えるようなショックが起き、必ず政府がサポートし続けるという冷静な読みがあったようですが、彼の目論見通りシティバンクやバンク・オブ・アメリカの株式はわずか数ヶ月で数倍に跳ね上がりました。
09年の投資は、世の中が悲観一色に染まっているときに、その悲観の震源地である金融機関の株式を買うという、まさに”超逆張り投資”と呼ぶべきものです。彼は、他にも、97年のロシア経済危機の際に、ロシア国債を買い漁り巨額のリターンを上げるなど、常に逆張り戦略で収益を上げてきました。
テッパーは、自らの投資スタイルを称して、”落ちているお金を拾う”と表現しているようです。価値はあるにもかかわらず、ほとんどの人から見放され、タダ同然の価格になっているものを購入し、それが本来の価値に見合うまで価格が上昇することで、リスクを小さく儲けられるということが言いたいのでしょう。
テッパーは、ミーティング中に、彼が財布から出して床に置いた20ドル札を若手に拾わせることが良くあるようです。実質の価値に対してはるかに価格が下回っている商品のみに手を伸ばすべきだと、彼の投資思想を体感させるための行動です。
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岡村 聡
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東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。
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