JUGEMテーマ:ビジネス
億近読者のみなさま、1か月ぶりの御無沙汰です。
前回、ショパンの生誕200周年のことを書いてから、だいぶ時間が経ってしまい、恐縮です。
さて、一年ほど前から、毎週金曜日早朝に参加している某異業種交流会のコンセプトが「ハンター(狩猟)型ではなく、ファーマー(農耕)型の人に向いている会」ということで、ここのところ、自分がその会でヘッドハンターと名乗ることに軽く違和感を覚えていました。
そしてつい先日、その心情を交流会仲間に吐露したところ、ヘッドハンター改め、「ヘッドファーマー」(中長期的な関係性を重視する意味合い)と名乗ったら良いのでは?と言われたことが、我が意を得たり!とツボにハマってしまいました(笑)。
そんなタイミングに合わせたかのように最近友人から送ったもらった、エグゼクティブ・コーチとして著名な中島克也さんの文章を紹介します。9年のヘッドハンター経験がある私としても、改めて矜持を正す思いになる内容です。
では以下、引用です。
−−−−
「なぜヘッドハンターは、優秀なビジネスパーソンの心を動かせるのか」
中島克也
数年前、ある会合で業界でも有名なヘッドハンターの方と話をする機会がありました。
その方の実績はまさにトップクラス。
通常、優秀な人材は、すでにその企業でもキーマンとして必要とされています。
ですから、なかなか企業も手放さないし、本人も外に出ようと思わないので、
ヘッドハントは困難と思われるのですが、彼の手にかかると実現してしまう。
ある意味、転職とは人の人生に関わることですから、
彼は「人を動かすプロ中のプロ」といっても過言ではありません。
私は、この方のヘッドハンターとしてのあり方に非常に興味を持ち、
いったい、そういう人材をどうやって振り向かすことができるのか、聞いてみました。
すると彼は言いました。
「もし、中島さんにとってコーチ・エィに誘いたい人がでてきたら、
どんなふうに誘いますか?」
「そうですね……。会食に誘って、うちの会社ではこんなことやっているよ。
こんなこともやりたいと思っているよ!と、うちの会社はいかに良い会社か、
面白い会社かということを、いろいろな事例を交えながら
情熱を込めて話すでしょうね」
そう答える私に、彼はこう返したのです。
「中島さん、それは一番やっちゃいけないことですよ」と。
「えっ!!」
私は、いきなりの彼の言葉に、びっくりしました。
そして、情熱を語らないでどうするの?……と思ったわけです。
彼は言葉を続けます。
「中島さん、まず相手に語らせることなく、自分が夢語っちゃダメですよ。
だって、中島さんの語るその夢って、中島さんの夢でしょ?
そりゃまあ、その話がその人にヒットしちゃって、
感動させちゃって、動いちゃうときもありますよ。
でも、それで動いちゃう人は、中島さんとツボが似たような人ですよ。
そういう人が欲しいんですか?
もし、中島さんと似ていないんだけど、入って欲しいなって人だったら、
それじゃダメ。
まずは、その人の価値を知らないと」。
さすがにショックでした。
良かれと思ってやってきたことが、全否定されたのですから。
「え? じゃあ、私はどうしたらいいんでしょう……?」
すると彼はこう言いました。
「まず、その人のパーソナルストーリーを聞いてください。
幼いときから夢中になってやってきたこと、
高校のときどんな部活をやってきたのか、
どんなことに興味があったのか。
自分で選択できる高校生以上になってからのことは特に重要です。
大学はどこで、サークルは何を選び、バイトでは何をし、
そして、なぜ今の会社に就職したのかを聞くのです。
サークル一つとっても、いくつか選択肢のある中から、
それを選んだわけですから
その人の大事にしていることが見えてくる。
『会社を選ぶ』そのことには、その人の価値がたっぷり入っているわけです。
このように、過去に目を向ければ、
その人が大事にしてきた『価値の連鎖』が見えてくるのです。
そして、その『価値の連鎖』の延長線上に、
君のやりたい仕事がきっとコーチ・エィならできるんじゃないかな、
ということを示せば、その人は勝手に動き出すと思いますよ」
それは、私にとって衝撃的な一日でした。
確かに、私は今まで、まったくと言っていいほど、
相手の過去を深く聞くことはありませんでした。
人にいきなり「うちの会社に来ない?」と要望しても、
その人が動いてくれる可能性はきわめて低い。
でも、その人が何に価値を置いているのかをよく聞くこと。
そして、その価値の連鎖の延長線上に、その要望を乗せたら、
その価値にスポっとはまることがあるのだということを、
私はそのヘッドハンターの方から教えていただきました。
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これは、上司、部下との関係でも同じことが言えそうです。
部下の話を聞いていくと、だんだんとその部下が
何に価値を置いているのかが見えてきます。
学生時代はテニスサークルで主将をしており、
バイトでは3つのテニス教室のコーチをしていて、
家庭教師なども得意で、生徒の成績をメキメキ上がるのが好き……。
こういう部下の場合、「人に教える」「成長させる」ということが価値にあります。
新人育成係やプロジェクトリーダーといった仕事は、
おそらく部下の価値の延長線上に乗る仕事ではないでしょうか。
もし、乗ったならば、きっと部下も快く受け入れてくれるし、
こちらが何も言わなくてもきっと夢中になって、
その仕事に取り組んでくれることでしょう。
「相手に対する関心がないと、要望は入らない」
そのヘッドハンターの方のお話を思い出しながら、今つくづく実感しています。
−−−−
以上、長くなりましたが、中島さんの文章の引用でした。
みなさんは、どう思いますか?
ヘッドハンター改め「ヘッドファーマー」
渡辺直行
*渡辺直行のプロフィール
トウキョウ・フォレックス株式会社、ソシエテ・ジェネラル証券国内法人先物・オプション部長を経てインターネットベンチャー2社の立ち上げに参加。
その後米系ヘッドハンティング会社を経て起業、2005年1月、エグゼクティブ・サーチ・ジャパン株式会社代表取締役就任。
*異業種交流会メンバー兼運営側としても活動しています。
http://www.bni-japan.com/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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