JUGEMテーマ:ビジネス
億近読者の皆さん、2週間ぶりのご無沙汰です。
さて今回は、久しぶりに私の本業である金融の人材動向に関してお伝えします。
リーマンショックから1年2カ月が経過し、一時的にせよ、金融・証券業界の求人が少し回復してきた観があります。私のもとへも、久しぶりに求人依頼のお声掛けを頂くケースが、いくつか出てきました。
その中で、ある外資系金融機関からのプライベートバンカーの求人案件については、いろんな意味で特筆すべきものがありました。まず、確実に本国からの10名以上の採用枠が得られているということです。外資系の場合、採用活動が佳境に入りオファーを提示する段階になって、本国からの許可を得られないという場合もあり、最後まで予断を許さないこともありますが、この環境下で一部門で10名以上の採用枠が確実にあるというのは、稀有な状況と言っても過言ではありません。
また、良い人材であれば、年俸的にも前職に応じてかなり柔軟に対応可能と言うのも、採用への極めて強いコミットが感じられます。日本で言うところのプライベートバンカーもしくはファイナンシャル・アドバイザーのような職種の場合、ある程度の基本給だけが保証され、後は歩合もしくはパフォーマンス・ボーナスというケースが通常です。前職に応じた基本給プラスアルファのものが、最初から保証され得るというのは、まだまだ少数のケースと思われます。
更に特筆すべきものとして、マネジメントの権限が日本人ヘッドにしっかりと移譲されており、迅速な意思決定ができる裁量権があることです。やはり外資系では、本国から派遣されたマネジメントに実質的な裁量権があることが多く、日本人の裁量権が限定される傾向にあることは否めません。
また、プライベートバンキング業務だけではなく、例えば上場企業のオーナー社長の顧客が自社の資金調達やM&Aのニーズがあった場合、投資銀行部門とも適宜連携してワンストップで対応できる体制がしっかりと整っているところも、会社としてのコミット的に申し分無いと言えます。
これだけ諸条件が整っているということは、当然のことながら、採用のハードルは高いものが要求されます。プライベートバンカーの主たる業務目標は、通常、顧客の預かり資産を増やしていくことです。さまざまな運用商品の提供、顧客の資産を担保にしたローンの提供等を通じ、顧客の資産が増えていくわけですが、一流のプライベートバンカーの目安としては、1年で50億円程度の預かり資産を積み上げることが、一つの要素とされます。
現状のような厳しい環境下では、かなりのハードルと言えますが、それでもしっかりとクリアできる人材は一定数存在します。長年の顧客との信頼関係と個々のプライベートバンカーのスキル・ノウハウが揃えば、達成可能な数値です。そして、そうした一流のプライベートバンカーの顧客数は、決して多くはないのです。多くて、主要な顧客が10人程度、少ないと2人位の大口顧客だけで、50億円の資産を1年で積み上げる方も、居られます。広く浅くというやり方で、成功している方は、なかなか居られないようです。
優秀なプライベートバンカーは、総じて、数少ない主要な顧客に対して、公私を超えたサービスを提供し、個人的な関係を築いていると言えます。
そして、そこまでの「ディープな」サービスを提供する場合、多くの顧客を担当することが、逆に難しくなると言えるようです。いろいろと、考えさせられますね。
皆さんは、どう思いますか?
渡辺直行
*渡辺直行のプロフィール
トウキョウ・フォレックス株式会社、ソシエテ・ジェネラル証券国内法人先物・オプション部長を経てインターネットベンチャー2社の立ち上げに参加。
その後米系ヘッドハンティング会社を経て起業、2005年1月、エグゼクティブ・サーチ・ジャパン株式会社代表取締役就任。
*異業種交流会メンバー兼運営側としても活動しています。
http://www.bni-japan.com/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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