JUGEMテーマ:株・投資
前回、レストランチェーンのデリバティブ取引について書きましたが、詳細がわかりましたのでお伝えします。
この商品はFX参照型豪ドルクーポンスワップ、
・約定日は2007年10月22日
・毎月1日に100万豪ドルずつ2008年12月1日から2010年11月1日まで支払われる(レストランの豪ドル買い)
・契約締結時点の豪ドル円のレート 105.83円
・第一回支払いは1豪ドル=78.00円
ここがみそです、105.83円のときに78円で豪ドルを購入できるわけです。
ただし、豪ドル円が78円以下になったときは、支払いレートは
(前月の約定レート)×(78.00÷その時点のレート)
となります。
これがこの取引に仕組まれた罠になります。
現在豪ドル円は約60円ですから、これをもとにこの企業がいくらのレートで豪ドル円を買わなければいけないか計算してみます。
2008年
12月1日 78円
2009年
1月1日 101.40円( 78×(78÷60))
3月1日 171.37円
4月1日 222.78円
5月1日 289.61円
6月1日 376.49円
7月1日 489.44円
8月1日 600.00円(上限)
なんと実勢レート60円の豪ドルを2009年8月以降2010年11月まで600円で買わなければならず、損失が140億円に及ぶということです。この仕組みはかなりリスクが高く、前回の約定レートを参照にする、一度トリガーをひいたら(この場合78円がついたら)2度と有利な条件に戻らないという2重の意味で複雑なものです。
現実のレートが105.83円のときに78円の豪ドルが購入できるという、甘い罠に引っかかった代償が600円です。
この企業は為替がこれだけ動かなければ、有利な為替レートで購入した(コストを下げた)収益を営業外収益として、決算にのっけていたでしょう。
これはこの企業に投資している投資家に間違った情報を与えていることになります。
証券アナリストでも、デリバティブ取引の詳細をチェックしてリスクを見極めることは難しいでしょう、ただ28円近いコスト削減(蜃気楼ですが)の結果、出てきた数字だけがBS,PLに載ることになります。
またこのような危険な取引でコストを下げることは企業の真の実力をあげることにはならず、企業経営のうえでもいかがなものかと思われます。
生涯遊人(YEN蔵)
*ブログ「YEN蔵のFX投資術」http://blog.livedoor.jp/slalom2007/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
今号はいかがでしたか?面白かった・役に立ったと思った方は
是非ワンクリックをお願いいたします!
http://clap.mag2.com/ciowaijeak
クリックだけでも結構ですし、コメントをいただけるともっと嬉しいです!