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マーケットを切る!(42)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード
“When I talk to a company that tells me the last analyst showed up three years ago, I can hardly contain my enthusiasm” by Peter Lynch.

市場では、最近様々な噂が絶えない。南関東地震、ミサイル飛来説、総選挙、冷夏、米中貿易戦争、依然として燻るヘッジファンドの解約、大型企業倒産説、不安要因を吟味すると気分が沈む。地政学的リスク、自然災害は、免責事項。例年6‐10月末までは、より忍耐力が求められる時期である。”Sell stocks before Memorial Day and Buy them before Thanksgiving Day”などと言われる。市場参加者の行動様式、年中イベントを見ると興味深く、米国市場との連動性、人口動態、市場の流動性、効率化、Dayトレーダーやヘッジファンドの活動時期を考えるとその謎が解ける。

Behavioral Finance 検証-初夏編1: The Hirsch Organization Inc.が調査した結果、1950年から2003年まで、毎年5月初め‐10月末(期間Aとする)と11月1日‐4月30日(期間B)までの6ヶ月間づつに分け投資元本$10,000を”Six Months Switching Strategy”を使い株式投資(DOW30種)した場合のパフォーマンス検証データが興味深い。Aの期間に株式Bの期間に債券に投資した場合(前者)とBの期間に株式投資、Aの期間に債券投資した場合(後者)で比べると、前者:$9,682ドル、‐318ドルの損失、一方後者では、$482,060、+382,060ドルのリターンになる。

一般的に欧米の富豪、資本家、大口個人投資家、ヘッジファンドも5月‐6月までに1会戦を終え、「リサーチ関係者に宿題」を残し、実質夏休に入り、Labor Day(9月の第1月曜)前に戻り年後半戦をじっくり検討し、アクションをとる。彼らは「夏休と称して実は情報・意見交換」を避暑地、セレブの集まる社交の場で行う(夏のザルツブルグ音楽祭、ボストン郊外のTangle Wood、スコットランドの音楽祭、スイスとイタリアの間にあるコモ湖など)。欧米のファンドMgrは彼らのところに報告に行く人も多いと聞く。個人の富裕層も同様、例えばSaratoga Springsの競馬場、Las Vegas, ヨットでの航海、ロッキー山脈のTime Shared ホテルなど。筆者も大西洋上やSouth Hamptonのビーチから「What happens in Tokyo?」という電話を受けたことがある。筆者を含め大方のマーケットの雇われプロは、Volatilityの縮小、新規及び過去の悪材料・好材料を蒸返す市場参加者と共に毎年初夏、盛夏を過ごすことになる。今年は、「夏の宿題」が増えそうである。Stay tuned!

★1.Technology Insight/ Tech Summer Rally?
 過去34年間6月はNADAQが比較的強い時期である(+1.3%、Dow:+0.4%, S&P:+0.8%)ポジション調整ラリーは何時まで続く‐6月末までと思料。

FP-TVの普及率が10%を超えた。内閣府が実施した3月の「消費動向調査」ではFP-TV(液晶、PDP、リアプロ)の普及率が11.5%、DVD録画・再生機が28.7%、デジタルカメラ:46.2%、PC:64.6%、携帯端末:82%、便利な家電として伸びているのが、FAX:49.7%(昨年比+4.1)食器洗い機:21.6(比較無し)http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/menu.html#shohi 価格弾性値は高いという証だと思う。

JEITA、電子情報産業協会 http://www.jeita.or.jp/ 4月末の数字を見ても出荷金額が前年比+8.7%、FP-TVが+67.2%増、HDD搭載型DVDレコーダーが+51.5%(23.9万台、約85%がHDD搭載型)。30インチ以上のLCD-TVも92,000台(前年比+254%)PDP:35,000台(前年比+67%)
各社夏のボーナスシーズン(今年は+4.49%増)を目指し新商品を投入する計画。HDD搭載型カーナビ、デジタルハイビジョン対応FP‐TV、パソテレ、例えば、富士通の32インチ液晶TVモニター付きPCが39万円、PCとFP-TVを一体にしたものとしては画期的、白物家電でもいろいろ話題性のある商品に期待。台湾、韓国のハイテク部品メーカーからも4月に入り「活況取り戻す」という報告が相次いでいる。これらをどう分析するか、または運用に活かすかが、6月末までの勝負と言える。

★需給面:
過去2週間特集した通り、ハイテク株ショートの買い戻し期待とアンダーウェイトに落としていたBuy&Holdの投資家の一部がウェイトを見直すと市場は期待している。加えてニュースフローがポジティブな内容「稼働率回復、原材料価格上昇一巡、新商品比率上昇、在庫積み増し」など一時的な改善ではあるが、プレーヤーが少ない初夏の市場で少しの動きが増幅する可能性もある。
Behavioral Financeを用いた分析では、4‐6月期の改善は当然。
例えばHDDに関して言えば、昨年の4‐6月期がボトム。昨年5月月間のHDD出荷は推定2,250万台(年間3億台を割った計算)、現在(05年5月)は、推定約3,000万台、対前年比約33%増のペース。あるHDD部品は、対前年比約+43%増と推定される。この4‐6月か7‐9月が対前年比でピークという見方に変化はない。

シーゲート(STX)マックスター(MXO)の四半期決算が7月20日、21日、それまでに業績の上方修正を行うと見られる。
Hutchinson Technology (HTCH)$41.25(次ぎの四半期決算は7月22日)、同社はHDDドライブのバネ(磁気ヘッドのところに使うバネ)で世界の約50%強を占める。仕向け先は、シーゲートや東芝など最近伸びている小型HDDメーカーである。競合は、ニッパツ(5991)−HGST(日立)と富士通向けが80%超と推測。全てのPCにRAID機能(2台のHDDを搭載)が定着するとも考えられず、HDDの市場伸び率20%超はかなりの強気(PCが10%伸びるとして)と言えないだろうか。

LCDパネルも価格が安定、値段が安くなったので17インチ、19インチのパネルがPCメーカーに売れる。一時台湾メーカーは設備投資計画を先送りしているので足許の需給の改善は続く。しかし、計画を上積みして投資を再開しており、夏を過ぎてからの液晶パネル需給には注意が必要。

期待値上昇 ‐ 今年のBack to School sale及び日本の夏のボーナス商戦はそれなりに盛り上がるという期待が関連ハイテク株の上昇と伴に浮上。今年は、お盆明けから「ゲーム機」向けの受注も入っており部品メーカー各社にとって繁忙期が期待されている。第一弾として、「売れたか売れなかったかObon明けに連絡しろ」というのが夏の宿題(その1)になっている。

ハイテク株の2極化続く‐HDD、ゲームハード関係、パッケージ、電源、アルミ電解コンデンサーなど数量が伸びるところと、伸びないところ2つに分かれる。銘柄名に大きな変化なし。アイディアとしては、TDKのポジションを減らしアルプス(ゲームの部品)に一部シフトする方法もある。

反騰が期待される銘柄:
NOK(7240)HDD実装‐タイ工場超繁忙、エンプラス(6961)レンズだけが同社の強みではない。新しいCatalystとしてOFC事業(Optical Fiber Communication)05年3月期売上が5.8億円、今後2‐3年2倍近い伸びが期待される(ラスト1マイル向け光リンクのパッケージ)。

★2.素材産業:悪材料、需給悪化懸念、しかし株価は夏場に向け反騰へ
セメント株、太平洋セメント(5233)など株価は素材株全般の調整を受け5月26日に52週安値Y268を付けるが、出来高上昇。セメント全般では、4月の在庫水準が3.53万トン、1990年12月以来の低水準。
基礎化学株も底入れ、東ソー(4042)を例にとるとY415を底に出来高を伴い反騰、三井化学(4183)はエレクトロニクス向けの回復に期待も入っている模様。

頭痛の種‐鉄鋼株、インド、韓国での高炉建設計画、中国での流通在庫問題(詳細はあの国の場合不明だが、住宅・不動産バブルに対する中央政府の懸念から不動産取引税導入、融資に対する監視強化は事実、投機の対象になっていた鉄製品需要が一時的に冷え込んだ模様。しかし、「中国元」の切上げを拒む中国市場に「国際投機資金」は容赦なく流入している模様。理屈は以下の通り、「あれだけの貿易黒字を溜め込んで通貨を切り上げないと中国国内に滞留するマネーは増大。海外資金の流失(元の海外持ち出し規制)に歯止めをかけている一方で資金流入には雇用問題から「歓迎の旗‐北京オリンピックと上海万博
というイベント」は降ろせない。国際資本市場の常識‐元切上げが遅れれば遅れるほど、後の切上げ幅が大きくなる。中国の不動産は海外から見て投機市場(仮に不動産バブルが崩壊したらREITで運用できると考えているのかもしれない)、殆ど流通していない中国国債に比べ有利と見ているようだ。

Bottom line:
世界的なインフラ投資ブームが終焉する兆しがでない限り、供給過多にはなり難い。半導体、液晶と違い、高炉、セメント、化学プラントのDue Diligenceに時間がかかり、投資家は慎重。したがってラービグのように計画は出来ても実際のプラント建設コストの上昇は、工期を遅らせる可能性も。

★3.Consumer & Service/身の丈消費の時代、日本も普通の国へ
身の丈消費の時代‐最近流行の「格差社会」「レーバー・ディバイド」「中流崩壊」というキーワードに相応しい光景を目にすることが増えた。所得格差、機会不平等を訴える声もあるが、ホリエモンの一喝「オレも毎日メシが食えるかどうか分からない日々があった」から、一転して若者の「起業ブーム」再燃の兆し。起業のための「事業計画書」の作り方というジャンルの本が3月以来、目にすることが増えた。

さらに、書店の前面には、年収300万円で豊かに生きる方法から株で1億円を稼ぐ方法、起業指南書、起業で成功したホリエモンこと堀江氏、藤田晋氏、孫氏、三木谷氏の自伝、告白本、批判本が溢れている。ファッション雑誌のコーナーも読者層を絞った雑誌が増えている。ストリート系、かわいい子系、エレガント系、ワイルド系(NikitaやLeon、もてるオヤジを目指す)など、数万分から10数万分売れれば成功。個人の所得、趣味・趣向に合わせた雑誌の創刊、編集が相次いでいるほか、ブログやインターネットでの情報も細分化されつつある。これまでの一億総中流‐一大ブーム追求型消費から所得水準、生活水準、趣味・趣向に合わせた身の丈消費に変化しつつあるように感じる。
アジア諸国を旅行すると、貧富の差は極端である。台湾や韓国の百貨店に行くと、金持ちのファミリーは、金持ちらしく堂々とした身なりをしている。欧米も店員が相手にすべき客層とそうでない客を瞬時に選別するノウハウが定着している。彼らが困るのは、「日本からの旅行客」、比較的地味な身なりをしているケースが多く「日本人だと見分けるコツと単なる見物か購買層かの見極めが難しい」と聞く。

ファッション・アパレル業界の反省‐これまでの戦略を見直す気運が高まっている業界の代表格がファッション、アパレル業界。GMSの衣料部門は、恒常的な赤字部門。老舗の百貨店も少子高齢化、激変する所得階層社会にどう対処すべきか迷走中。伊勢丹のメンズ館、京王百貨店の靴売場、JRのMY Cityなどが群を抜くが、昨年の猛暑、暖冬で勝ち組みも苦戦を強いられた。客単価を引き上げるための「高級化路線」に走ったことも、天候要因の影響を大きく受ける原因となった。SC向けに力を注いだところ「百貨店」側からのクレームも入り、新たなブランド開発に数十億円単位のコストがかかっているところもある。

施行錯誤‐流行戦略の見直し‐これまで例えば、団塊ジュニア、ジェネレーションY戦略などを打ち出してきたが、趣味、趣向が多様化しており売れ筋商品への依存‐類似商品の氾濫‐過剰在庫という悪循環に陥るケースが多く見られた。海外ブランドメーカーとの提携もライセンス料の見直し、独自に路面店への出展するケースが増え必ずしも救世主とは言えなくなった。その結果、独自の商品開発(開発拠点をニューヨーク、パリ、ミラノに構え)マーケティング情報も渋谷、六本木、原宿、丸の内、大手町、横浜や地方都市の情報を収集、更に香港、上海、シンガポールなど、ファッションのニーズ、変化に素早く対
応するような組織運営をはじめたところもある。商品戦略、ターゲットも明確になりつつある。例えば、三陽商会(8011)Y570、時価総額:776億円、バーバリーブランド依存を改め、独自ブランドを立上げ中。同社のセレクトショップ、EPOCA、商品開発は、Rafe NY、製造は中国、販売は銀座を中心に老舗デパートにも売れ筋候補を前面に出す。人気商品への追加発注は、旬の初期のみ。極力在庫増加とCustomer’s ロイヤリティ、希少性をアピールする。まだ施行錯誤の段階であるが、ファッション・アパレル業界にも新風が吹きはじめた。

個別銘柄研究‐ライトオン(7445)Y3,850、時価総額:906億円、PER:20倍/価格戦略で優位に
同社の業績が好調である。下期(3‐8月期)の会社計画既存店売上が前年比横ばいに対し、3月:‐3.6%、4月:+4.4%、5月:+14.2%、(20日閉め)、6月も5月末は好調持続。客単価も順調に上昇傾向にある。3月:+5.8%、4月:+6.7%、5月:+8.7%、客数は3月:‐8.8%、4月:‐2.1%、5月:+5.0%増、夏物商戦が好調、ポロシャツ、ラガーシャツ、短パン、デニム加工のパンツ、キャップ、サンダルなど広い範囲で好調。

天候が良かったほか、同社がプライス戦略を引上げ、販売予定と実績の乖離を分析して仕入れを調整、客数を多少犠牲にしてもセール中心販売戦略の比率を従来の45%から25%まで低下させた。品質重視、ブランド価値(ナショナルブランドと同社でしか買えない商品)を増やし、顧客管理を充実させることで来店の頻度をアップさせることに成功。コスト面ではロジスティクの見直し、SCなど新業態での販売に力を入れ、鮮度の低い店舗からの撤退を決断。
同社の過去2年間、2003‐2004年の下期販売動向を見ると、2003年3‐8月期の既存店売上‐5.0%、2004年3‐8月期-0.4%、あれほど冷夏で各社苦しんだ時期でも、2004年7月:‐2.3%、8月:‐3.2%と落込み幅が低かった。小売・専門店担当のプロに言わせれば(2003年7月:‐8.9%、8月:‐15.1%との対比)と指摘されるかもしれないが、粗利の推移を見ていただきたい。2003年8月:42.6%、2004年8月:45.1%、2005年8月期(全て中間期):46.5%である。着実に粗利が改善しており、原材料高、賃借料などの上昇にも関わらず粗利を伸ばしていることに、市場関係者はもう少し同社を高く評価してもいいのではなかろうか。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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