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マーケットを切る!(48)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード
“Corporate guidance has become something of an art. The CFO has refined and perfected his art, gracefully leading on the bulls with the calculating grace and cunning of a great matador” by Joe Kalinowski(I/B/E/S) 。
4‐6月決算の発表が本格化、企業にとって隠れ蓑「先行き不透明、lower visibility」という台詞は常套句。「7‐9月期」に過大な期待が高まるようだと、例年通り中間決算前後、調整も。

★Market Navigator:Courage under fire!
ロンドンでの同時多発テロ発生、不思議なことにマーケットもこの種の事件では動じなくなりつつある。Chicago Board Options Exchange volatility index (VIX index) を見ると明らかだ。6月22日に11.05%(52週最低水準)をつけ、ロンドンでのテロ事件で7日木曜日に13%台をつけたが8日引けでは11.45%まで下落。過去の参考データ:9.11事件、01年9月11日の後、取引再開になった時31%まで上昇。寧ろ、米雇用統計の堅調ぶりと賃金の伸び率に着目するほどの余裕。米失業率は、2001年9月以来の低水準。時間あたり賃金も前月比+0.2%増、16.06ドルまで上昇(微増)に安堵する声も。米長期金利も4.10%(前週4.05%)で安定。持続的な景気成長、なだらかなFFレートの上昇、問題は、企業業
績の伸びが何処まで鈍化するかが大きな焦点となる。当面前年比+7%成長という水準が一つの節目か。対ドルばかりでなく対ユーロでも若干円安。ドル:112.20、ユーロ:134.30。「テロとの闘い」は続く。

★1.Technology Insight/露払い、keep seat belt sign on!
今週から米ハイテク、6月のアジアハイテク企業の売上、4‐6月決算が出てくるが「過剰な期待」を持たせていた企業の決算には要注意である。既に、7日に台湾の大手ファンドりー (2330 TT)が6月売上を発表、対前年比‐11%減、UMC(2303 TT)の売上は、対前年比‐36%減。アジアからは、設備稼働率の改善、単価下落から反騰転じたことを強調するアナリストもいるが、SIAの5月の数量だけを見るとほぼ対前年比横ばい、前月比では売上は‐0.5%だった。季節的な動きはあるが、チップセットの供給不足や特定半導体の需給逼迫を全体に当てはめるのはリスクが高い。年初から指摘の通り、儲かるのはごく一部。

★決算プレビュー:
7月13日水曜日:Apple Computer (AAPL)、ShuffleとHDD型のiPod販売比率に焦点、競合メーカーが相次いで同社製品(HDD型)の弱みである使用時間(電池の問題)と重量(重さ)との差別化を狙った製品が好調(例えば松下のD-SNAPやソニーの製品)。ASML:最近、経営陣は、ややトーンダウンと聞く。7‐9月期に「台湾のファンドリーからの受注に期待」という声もあるが、既に7月も中盤入り。AMD:64ビットのMPUの需要がどの程度あるか、興味深い。今週は、サンフランシスコでSemicon Westの開催。Wishful commentsには要注意。Back-to-School saleに期待する声にも注意を払いたい。過去にBack-to-Schoolで潤った年は、大幅な価格調整があった年か減税幅が大きかった年くらいか、データ検証中だが、期待値が高かった年ほど秋口の調整が大きい。Best Buy (BBY) が38歳の若手、Tim McGeehanを販売責任者に起用。好調な販売期待から株価も上昇。同じハイテクなら民エレか。7月15日発表のサムソン電子,Samsung Electronics (005930 KS)のデジタルメディア事業の4-6月業績に注目。
7月19日:Intel(INTC):915シリーズのチップセットへの移行、発注形態の変更から在庫管理が徹底、粗利が上昇か。イビデン(4062)新光電機(6967)野田スクリーン(6790)日本ケミコン(6997)ニチコン(6996)などパッケージ、配線、チップセット周辺アルミ電解コンデンサー株にとって重要なデータポイントとなる。Teradyne (TER):半導体テスター、通信系、Lucent Technologies (LU), Juniper Networks (JNPR),
20日:Qualcomm (QCOM), 3Gチップセット、及び同需要動向、HDD市場に関するデータポイントSeagate Technology (STX)、1インチのHDD増産、NOK(7240)にとって好材料だが、小型HDD、4GBから8GBはNANDが覇権を狙う。Mattson Technology (MTSN) 、半導体製造装置、
21日:Maxtor (MXO)、3.5インチのHDD(一部で品質問題が発生、サプライチェーンの混乱材料発生か)NOKIA (NOK1V FH)、Ericsson、携帯端末も重要だが、テレコムインフラ(収益率改善ピッチが顕著)にも注目しておきたい。Texas Instruments (TXN)、携帯向けDSPなど、Xilinx (XLNX)、通信向け半導体、在庫がどの程度減っているか注目、
22日:Hutchinson Technology (HTCH) 、HDDのヘッドにつくバネの世界シェア約50%超、ニッパツ(5991)のデータポイント(8月19日まで決算数字が出てこない)になる。Chartered Semiconductor、
26日:Lexmark (LXK):船井電機のプリンターOEMへのインプリケーション、11日に開催されるHPQの新商品説明会にも注目したいが、機能に対し価格面をアピールしてくることは容易に想像がつく、多機能プリンター競争2005年秋の陣スタートと心得ておきたい。Infineon Technologeis, STMicroelectronics, Sun Microsystems, Flextronics,
28日:Alcatel,KLA-Tencor (KLAC)、従来からHDDへの過剰期待に注意を促してきたが、4‐6月の発表を受けてもう一度、記憶媒体HDDとNANDフラッシュ(NAND以外のフラッシュも最近急速に開発が進む、例、FeRAMなど)の成長について冷静に考えてみたい。中長期的には両方伸びると思うが、ビット当たりのコスト低下と関連企業のシェア争い、情報氾濫、市場での思惑の差が生み出す渦に要注意。例えば、携帯端末にHDDを搭載する試み、NANDで収益を挙げている会社がHDD(0.85インチ)搭載で先陣を切る必要はないと思うのだが。

ハイテクで注目するなら、民生電機‐勝ち組みの松下、シャープに比べ、ソニー、パイオニア、ビクターの株価は、無残としか言いようがない。日本の投資家が好む「XX問題」式に言うと、「米2007年問題:2007年までにアナログ放送停止」、米でのTVの買い換えが急ピッチに進むという「Equity」ストーリーは、東京市場で聞えてこない。

★2.素材産業:Alcoa(AA)が示すValuation調整、その先にはM&Aの香り
アルミ大手のAlcoa(AA)が好決算を発表、45セント予想に対し46セント、それほど予想を上振れたわけではなかったが1日で4.3%も株価が上昇。今期予想PERが14倍、極めて割安とは言えないが、ネガティブキャンペーンの反動か。世界的に素材株のPERが異常に低下。US Steel (X)が4X、Phelps Dodge (PD)が6.9倍、JFE(5411):5.6倍、新日鉄:6.5倍、POSCO(005490):3.9倍、EV/EBITDAが2.4倍、China Steel (2002 TT):6.3倍、「サイクルのピークだから低PERでも買えない」という市場のコンセンサスか。しかし、更にPERが低下すると、Mr. Man of Steel, Lakshmi Mittalが、TOBをかけるかも知れない。台湾の素材産業6月売上:Formosa Plastic (1301 TT)前月比+14.9%、前年比+11.5%、Formosa Chemicals (1326 TT) +7.9%, +7.7%

★3.Consumer & Service/Real Economy/ネット対オンデマンド/使い分け時代へ
ネット対リアル:景気が多少良くなると、浮かれた話題が多くなる。例えばVOD(ビデオ・オン・ディマンド)の時代の到来によりレンタルビデオ店がなくなる?ネットバンクの成長でメガバンクの顧客が流失する?音楽ダウンロードサービスの本格化で街からCD・DVDショップがなくなる?景気が良くなりネットビジネスに資金が流れやすくなるからか、プレミアムを付けたがるのか、リスクを売りたい市場関係者(セルサイド)が増えることは間違いない。

しかし、ネット(Click)が伸びる一方で(Mortar)も伸びるケースがある。今週は、その一例を紹介したい。
米国の例、長年アマゾン(AMZN)は、Barnes & Nobles (BKS)やBorders Group (BGP)のビジネスを奪い去ると言われてきたが、Realのマーケット+Netで防戦する両社の業績、株価とも過去5年では、Barnes & Noblesの方が優位に立っている。2000年1月末から05年6月末までのアマゾンの株価は‐48.7%、一方BKSは、167.46%、BGPが88%、年平均リターン、Amazon:‐11.6%、BKS:19.92%、BGP:12.36%。

BKSは、全米49州に665店を保有、2004年の売上は、48億ドル、書籍:70%、雑誌:9%、7%:ギフト、8%:カフェ、マルチメディア(DVDなど):6%、Bordersは、英国、豪、など海外にも展開、売上規模は、BKSの約半分。過去5年間売上成長率、BKS:7.8%、BGP:5.7%、OPMは、BKS:5.0%、BGP:5.7%。

BKSもBGPも読者との接点を重視する、地域密着型の従業員を雇い、著者を招いてサイン会を開催、イベントを行いながら、講演会なども開催する。

特に専門書は、ネットで注文するよりも関心のある分野についての表記、レベルが購入者の求めるものかどうか見極めが重要。タイトルや書評につられてネットで購入して落胆するケースは、誰しも経験があるのではないかと思う。

ネットバンクやレンタルビデオ(DVD)店も同様である。金融商品は、コンサルティングビジネスに向いた商品であり、レンタルビデオ(DVD)も、ある種の仲間意識、ライバル意識(先に取られたくない)を競うワクワク感、若い人にとっては出会いの場というケースもある。CATVやビデオ・オン・ディマンド(VDO)が進歩しているアメリカで、lockbuster (BBI)とCablevision(CVC)が共存している様子を見ると、PPV(Pay Per View)よりも安いCATV、更に少し安いレンタルVTR若しくはDVD、ユーザーのニーズ、ライフスタイル、価値観によるところが大きい。

ネットに相応しいサービス‐例えば、退蔵作品、書籍で紹介されていた古い本、関連記事などは、リアルの店に頼むよりネットの会社に頼んだ方が早そうだ。最近、オンデマンドでコンテンツを提供するところがでてきた。
例えば、イーブックイニシアティブジャパンhttp://www.ebookjapan.jp/shop/info/profile.asp
やタイムブックタウンhttp://www.timebooktown.jp/Service/index.aspなど。
PDFファイルや携帯端末にダウンロードして読むことができる。重い本を多く持たなくてもノートPCに何冊かダウンロードして10数時間もかかる欧米出張時にノートPCやPDAなどで読むことができる。更に、Audible、本を読むと目が疲れるが、プロが朗読したコンテンツであれば目を閉じながらでも聞くことができる。

★4.銘柄:玉石混合状態(従来の農耕民族型から変化を先取りする仕掛けが必要な業界に)
初等-中等教育が充実している日本(識字率が極めて高い)では、書籍・雑誌がよく売れる国、氾濫しているといっていいほどだ。書店がない街は、どこか寂しげに感じるのは筆者だけであろうか。あまり特徴のある書店は少なく、特徴のあるところは、東京駅、新宿にある大型書店だが、家賃が高く収益的に厳しいようだ。郊外型のところは、少子高齢化、所得の減少から雑誌、書籍の販売が落ち込んできた。

豊かな年金所得者層、勤勉な団塊世代の退職、景気の回復から多少回復するという見方もあるが、読者のニーズが多様化しており、ネットとの差別化(写真の充実、連載版-例えば世界遺産特集などシリーズものを売り込んでいく戦略)出版社側も苦慮している。1回の発行部数を減らし在庫リスクを厳しく管理、売れ筋の把握と追加発注のタイミング狙いなど従来以上の経営努力が必要な業界になった。

文教堂(9978)Y715、時価総額:54億円、来期PER:36倍、首都圏に228店展開している。サービスを売るところまで至っていない。もう少しやり方があるのではないかと思う。
丸善(8236)Y234、時価総額:253億円、オアゾの大型店、単体の累損一掃、SCなどへの出店などまだビジネスチャンスはあると思う。ビジネスモデル組替え中。シニア、団塊の世代、時間が出来たら本を読みたい、丸善に行くと知的好奇心を満たしてくれるようなサービスの提供が鍵。
トップカルチャー(7640)Y685、時価総額:75億円、今期PER15倍、52店中、新潟27店、長野15店、東京3店、群馬4店、VTRのレンタルからDVDへの移行期、関東重視、ブックオフ(3313)Y2,710、時価総額:510億円、PER:32倍、東京23区重視、店舗数909店、角川ホールディングス(9477)Y3,920、時価総額:1,028億円、PER:33倍、電子出版事業は黒字化。主要作品全てデジタル化完了。角川デジックス、携帯電話で文庫本が読み放題、月額315円、圧縮技術で文庫本1冊あたりのパケット代が100円はお徳?
幻冬舎(7843)Y766K、時価総額:279億円、予PER:19倍、ライブドアと合弁でネット出版。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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