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好きこそものの上手なれ

■ 野球少年 ■

小学校3年生のユウくんは、週末は、9時から5時まで野球チームで練習漬けだ。
ポジションはセカンド。1球ごとに走り回らなければならない一番忙しいポジションだ。

覚えなければならないことが沢山ある。

チームを強くするために、勧誘ポスターをつくった。
クラスの仲間を誘って、今日も、3人の友達が、初めて練習を見学する。

平日も、昼休みやすくすくスクール(学童保育)で三角ベースで遊んでいる。
図書館に行って、野球関連の本を借りてくる。
野球の専門書には習っていない漢字があるが、
ユウくんは、「上手くなりたい」、「もっと野球を知りたい」ため、
辞書を引きながら専門書を少しづつ読み進めている。

いつもかばんに野球の本がはいっていて、友達から笑われる。
お風呂では指のストレッチ、布団では柔軟体操で股関節をイタイイタイといいながら伸ばしている。

朝はランニングをしている。

とにかく野球が上手くなりたいのだ。

夢は?

当然、プロ野球の選手だ。


■ ピアノをやめたい少女 ■

小学校5年のさやちゃんは、ピアノが嫌いだ。
練習はしたくない。
毎週のレッスンが苦痛だ。

やめたいと思っている。

お母さんが横に付き添って、ヒステリー気味に、練習につきあってくれる。
レッスンは5年やっているが、それなりの進歩でしかない。

家族でクラシックコンサートに毎週通うような家庭ではない。
食卓で、いつもクラシック音楽を鑑賞し、家族のいつもの話題がロシアの新鋭演奏家のすばらしさというわけでもない。
普通のサラリーマン家庭で、テレビを見ながら、夕食をとっている。

お父さんやお母さんは「本を読め、勉強をしろ」という。
しかし、親は自宅で勉強なんかしないし、本も読んでいない。

さやちゃんは、不満がたまっている。
本人も親もいつか、ピアノはやめてしまうだろうなと思っている。
中学受験をする予定で、それはピアノをやめるよい言い訳になるだろう。

お母さんが本当に楽しそうに、素敵なピアノを毎日弾くような家庭だったら、ちょっとは変わるのだろうか?


■ 30才 2才男児の母親 ■

あやねさんは、30才の母親。
今日も、買い物のついでに、2才の息子をヨーカ堂のプレイランドに連れて行く。

プレイランドは、スーパーの3階レストランやおもちゃ売り場の横にあり、無料のためか、いつも10−20人程度の幼児が遊んでいる。

怪我をおそれてか、遊び道具(おもちゃ)はやわらかいクッション(いろいろな色がある)しか置いていない。
積み木のようにクッションを積み上げて遊ぶ子どもがいれば、当然、クッションは足りなくなる。
クッションの争奪戦になれば、大きい子、強い子が有利だ。
自然と取り合いが起こる。

わが子が他のこどもたちと喧嘩しそうになると、それをすぐに察知して、あやねさんは、幼児たちの間に入る。
「おともだちが、『かーしーて』っといっているよ。かしてあげようねえ」といって、喧嘩をさせない。相手の親の手前もあるし、面倒はいやなのだ。

他の親たちも、同様だ。

10秒ごとに、母親たちは、注意をする。
「ケンちゃん、それは駄目よ」
「コウちゃん、ばっちい、ばっちいよ」
「エイちゃん、お友達にかしてあげようね」

今日も、プレイランドでは、喧嘩は起きない。

ときには、子どもたちだけで解決したり、感情をコントロールできることを知らない。

泣いている子どもがいると、自然にやさしい子が声をかけることを親たちは知らない。

「親」は、「木の上に立って見守る」と書きます。誰にとっても「見守る」ことは「口出す」よりも難しいものです。

人の忠告をうわべだけで聞いても、本当に物事の本質は理解できないものです。


■ 好きこそものの上手なれ ■

母親が子どもをスポイルするのは、口をすっぱく注意の回数が多すぎるからかもしれません。
「駄目だ」「駄目だ」と1分間に何回もいわれて、人間が育つでしょうか?

好きなものは、自分で見つけるしかない。
本当に好きなものを見つけたら、いわれなくても、努力できる人間になります。
努力の過程で、必要な学力や体力はついてくるものです。

野球少年のユウくんが、1年後、どれだけ上手くなっているでしょうか。
本人だけでなく、彼の成長を、チームの監督やコーチも楽しみにしています。
そして、仲間たちと友情を育むでしょう。

彼の成長は、親だけのものではありません。
監督や仲間やチームのものでもあり、そして、なによりも、本人のものです。

「礼儀作法も他人への思いやりも、ユウくんは生きていくうえで必要なことはすべて、野球から学んでいくんだろうな」とわたしは思った。

ピアノをやめたい少女が、いやいや練習する、つまらない時間を浪費してしまう一方で、プロ野球を夢見る少年が、あっという間に過ぎ去る時間を満喫する。

人生とは短く、はかないものです。

あなたは、この野球少年ぐらい、株式投資が好きだろうか?

実戦では、真ん中高めのスローボールがいつも来るとは限らない。

投資では、いろいろなアドバイザーや投資顧問が、「次来るボールはホームランボール」と横から口をはさむ。

しかし、バフェット氏もおっしゃっているように、「投資は、ストライクアウトのないバッター」。

投資では、日立の800円を見送り、700円を見送り、600円を見送ったとしても、アウトにはならない。
自分のフォームで力を込めてスイングをして、最短距離で来たボールを打つだけだ。
どんなボールが来るのか、そんなことを予想しても仕方ない。
自らストライクゾーンを定め、スタンスを決め、精進する。

株の運用は、株が好きで、何十年と全力で全力で打ち込んでいる者にその成果がわたっていくものです。

投げ込まれたボールがストライクかどうかは自分で決めるのです。
バットに当たる瞬間、ボールが見えないようであれば、精進が足りないということです。

■ まとめ ■

〜株式市場は、株式投資が好きではない人から、好きな人に富を移転させる場所です〜
(好きこそものの上手なれ)

〜ひとつの分野でやる気が何十年と持続する人は、その分野のプロフェッショナルだ〜

Enjoy Every Moment!
〜Slow Investment ゆっくり考え ゆったり投資 〜
山本 潤


■変わらぬメッセージ:長期の読者に感謝■

99年に始まった億の近道は、16000人程度の読者で成り立っています。
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●若い世代がワーキングプアにならないためにすべきこと
●株式市場は手っ取り早く儲けようとする投資家を貧乏にするという教え
●株式市場はゆっくり考え賢明に投資するものに富をもたらすという教え
などです。

いわば投資の実務家としての哲学や歴史観・人生観です。

わたしたちが目指すのは、「ファンダメンタル分析」宗教の普及です。

Enjoy Every Moment!
by 山本 潤 (やまもと じゅん)

<著者紹介>

億の近道に2000年3月に執筆を開始。
およそ7年間 毎週執筆してきました。
継続は力です!
昨年、念願の独立を果たす。
日本株ロングショートのヘッジファンドマネージャー。

(職歴)
1990−1997年
 和光証券国際本部
(1990−1992年日本興業銀行外国為替部および国際資金部へ出向)
1997年−2005年
 米系投資顧問クレイ フィンレイ インク ポートフォーリオマネージャー。
2006年1月より独立起業。
 エイム インベストメントでファンドマネージャー。
(学歴)
コロンビア大学院 電気工学科 工学修士。
(六本木裏通りの人生大学 夜間部卒。専攻は夜間泥酔行動経済学)
(主な著書)
 「インベストメント―米系バイサイド・アナリストの投資哲学と投資技法」(2001年イーフロンティア)
 「投資家から「自立する」投資家へ」(2003年パンローリング)
 「マンガ ファンダメンタルズ分析 入門の入門」(2004年パンローリング)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
 ては御自身の責任と判断で願います。)

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