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合理的な不動産投資とは(3)

JUGEMテーマ:株・投資


■賃貸管理と建物管理の重要性

 前回は、収益不動産のタイプ別の特徴や求められているニーズは何かを知ることで、適正な賃料が形成され、継続して収益を上げることが出来るということを中心にお伝えしました。
 つまり不動産投資とは、株式投資のように資金を事業者に委ねて彼らの経営努力により得られた果実の一部を享受するのではなく、自らが不動産事業という事業主として個々の不動産の収益性を分析し、事業運営していく中で地道に収益を上げていく商品であると言えます。
 そこで、今回は、適正な賃料を継続的に獲得するために知っておきたいテーマとして、賃貸管理業務と建物管理業務について述べていきたいと思います。

■賃貸管理と建物管理の定義

 これらの業務は簡単に分類すると以下に定義されます。

・賃貸管理業務:賃料の設定及び回収、賃借人との折衝、新規募集、専有部分のバリューアップ
・建物管理業務:建物のクオリティを維持するための管理

 賃貸管理業務は、自らが主体的に行うか、賃貸管理業務を代行する不動産会社に委託料を支払う形でアウトソーシングするかのいずれかの方法を取ります。基本的な考えは、賃借人の立場に立った良好な住環境や事業環境を提供することにより価値に見合った賃料を継続的に頂きながら、場合によっては入居中や空室期間中に専有部分に必要なコストをかけることで、収益性の維持向上を図っていくということです。

 建物管理業務とは建物の基本的なクオリティを維持管理していくことです。一般的に、1棟の場合はオーナーが一括もしくは業務別に管理会社に委託するのに対して、区分マンションでは管理組合が責任者となり大手管理会社に一括委託しますが、管理会社に全てお任せにしてしまうと業務内容や修繕計画の把握をしていないがために、期待された費用対効果を得られないケースが出てくるので注意が必要です。

■賃貸管理と建物管理のポイント

 次に、これらの業務についてどのように行っていくことが望ましいのか、また委託会社に任せる際のチェックポイントなどを具体的に見ていきたいと思います。

1.賃貸管理業務

1)賃料の設定
 賃料設定の根拠は、大きく分けて2通りあります。
 1つ目は、過去から現在までの同エリアの類似物件のトラックレコードから相場賃料を設定する方法です。そのためには、周辺賃貸物件の情報を収集し、個々の条件(広さ、築年、設備、アクセス、周辺環境etc)によってどのような賃料が設定されているのか分析する必要があります。
 2つ目は、賃借人の属性が求めるニーズに合わせた付加価値を提供することで、適正な賃料を設定する方法です。そのためには、潜在的なニーズを価値に変換するノウハウが必要になってくることから、前者に比べるとより専門性が求められます。

2)賃料の回収
 賃料の回収業務は、決められた期日(賃貸契約書の約定どおり)までに確実に家賃を回収し、滞納状態を起こさせないための業務です。滞納状態になり賃借人との連絡が取れない場合には、直接賃借人を訪問することがありますが、住居の場合は訪問時間が夜間に制約される場合が多く、店舗の場合は営業時間に合わせなければならないなど面倒になってきます。
 一旦滞納が生じた場合には、必ず滞納が生じた原因追求を行い、物件のスペックに問題があるのか、賃料に不服があるのか、賃借人の経済性に問題があるのか理由を明確にして早期に対策を取ることが再発を防ぐ手段です。また、事前の予防策として有効なことは、新規賃貸借契約時やオーナーチェンジの際に直接賃借人と面識を持ち、その後の賃借人との距離感を一定に保つことで滞納しにくい良好な関係を構築することです。

3)賃借人との折衝
 賃借人との折衝は、設備の不具合から周辺住民に関する苦情など様々です。設備の不具合を放置していたがために契約更新時の賃料交渉でもめたり、退去時の原状回復業務に伴う精算割合が曖昧なためにスムーズに物件の引渡しが進まなかったりするケースがありますが、満足度の高いサービスを受けられる賃貸物件はそれほど多くはないので、賃借人に納得して頂けるサービスを提供することで、差別化を図ることも長期安定的に運用する上で有効な手段です。

4)新規募集
 新規募集の基本的な流れですが、オーナーはまず、「元付(もとづけ)」と呼ばれる不動産購入時の販売会社や仲介会社に募集の依頼を行います。そして、元付会社は、オーナーの意向を受けて、「客付(きゃくづけ)」という物件周辺で店舗を開設している賃貸仲介会社に賃貸物件の斡旋を依頼します。客付から申込み希望者の紹介があれば、元付はオーナーの意向に合っているか判断した後に、オーナーに紹介をします。
 営業力(申込み希望者を多く集客できる力)が他と比べてある客付とは、物件エリアに複数の営業店舗がある現地情報やネットワークの豊富な会社であることはもちろんですが、他エリアとの店舗ネットワークが整備されている会社は、現地に限定された会社に比べて優位性があります。なぜなら、他エリア間のネットワークが構築されている会社であれば、他エリアから賃借人を呼ぶことが出来るからです。
 一方、管理能力が高い元付とは、客付と連携してオーナーの意向と賃借人の属性をマッチングさせることが出来る会社です。客付は、賃借人の属性というよりは出来るだけ多くの申込み希望者を紹介するのが仕事ですが、それに対して元付はオーナー側に立った賃借人の選定が出来なくてはなりません。さらに、客付を通じて申込み希望者から賃料や内装・設備に関して様々な要望が出ることから、オーナーにとって満足できるな問題解決能力がある元付かどうかが重要なポイントです。

5)専有部分のバリューアップ
 賃貸管理を行っていく中で、運用期間中の投資環境の変化を適確に捉えて、価値の向上に結びつける手段を講じることで、資産価値の維持や向上を実現できるか否かは、収益不動産投資を行う上でとても重要なことです。例え立地が最高の場所でも、賃借人のニーズにあった付加価値を提供しなければ管理が上手に出来ている物件に比べて、相対的に収益性や資産価値が損なわれることになります。
 専有部分の価値を一定に維持することは、顕在化しているニーズや問題点に対して迅速に対処することで実現できますが、潜在化しているニーズを掘り起こすためには、客付会社から入ってくる申込み希望者や現地の情報をオーナー(または元付会社)が収集し、過去の同エリアでの実績や他エリアでの成功事例などを総合的に分析する必要があります。
 地価の下げ止まりや上昇基調が見られる需要の多いエリアの物件への投資においては、このような手法を用いて収益性や資産価値をさらに向上させることが非常に有効になります。


2.建物管理業務

1)建物のクオリティを維持するための管理
 建物の管理業務(セキュリティ、消防点検、清掃、設備や建物の点検や修繕)は一般的に管理会社に委託する形態を取ります。1棟物件を複数所有しているオーナーの場合、管理業務を分割委託したり、物件別に比較することで管理業務の費用対効果のクオリティを維持するケースがありますが、管理組合の場合、管理会社にお任せ状態になってしまうと費用対効果が出にくい状況になったり、把握しづらくなるケースがあることから、組合総会などの機会に複数人の視点からチェックしていくことが大切になります。
 また、管理評価の方法の一つとして、所有している物件の状況確認だけではなく受託会社が管理している他の物件を見に行き、建物管理状況の比較をすることは客観的に管理状況を見る上で有効です。
 また、緊急時の対応が迅速な会社は業務レベルが高い会社と言えます。例えば、台風や豪雨時に建物の状況を見に行く会社は、仮に漏水が生じた場合も対策を打つ内容が正確ですが、融通が利かない管理会社の場合、豪雨時に見ておかなかったがために何の原因によって漏水が起きたか分からず、的の外れた検査や修繕をした結果、かえって被害が大きくなったりします。
 また、建物管理に関するちょっとしたアイデアとして、建物の近辺に自販機を設置する方法があります。自販機を設置した場合、初期投資コストやランニングコストが少ない割には、賃借人に喜ばれたりセキュリティの一環としてのメリットがあります。


 このように、不動産投資とはオーナーとして資産を育てる面白さがある反面、資産の働き具合もオーナー次第で変わってくることから、事業期間中の経営を堅実かつ工夫をしながら行っていくことが重要になります。また、そのようなオーナーの意向に敏感な管理会社を選定することがオーナーの手間を省くために必要となります。

 次回は具体的な投資事例についてご紹介していきます。

(片山直樹)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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