最後の伝説の投資家シリーズは、カイル・バスについて解説したいと思います。サブプライム危機を事前に予測し、サブプライムローンを含んだ大量のCDOを空売りすることで大儲けをしたヘイマン・キャピタルのカイル・バスは、アメリカでのサブプライムローンを発端とした金融危機がまだ冷めやらぬ頃から、欧州の重債務国に次の空売りのターゲットを定めていました。
そして、2011年の欧州債務危機からも、ギリシャなど欧州重債務国のCDSへの投資からも大きなリターンをあげたようです。ギリシャの債務削減規模は、過去最大の11兆円にのぼり、格付け会社は、戦後初の先進国のデフォルトと認定する見込みです。デフォルトと認定されれば、バスが保有するCDSからは多額の補償金が得られ、さらなる巨額のリターンが見込めます。
アメリカでの債務危機、欧州での国債危機を的中させたバスが次の空売りのターゲットしているのは日本です。CNBCのインタビューで、債務が巨大であることや生産年齢人口の減少を理由に、日本の国債バブルが18か月以内に崩壊すると答え、物議をかもしました。彼のコメントは、日経新聞にも取り上げられていたので見た方も多いかもしれません。
バスの経歴は、マイケル・ルイスの世界的ベストセラー「ブーメラン」に詳述されています。彼は、皮肉にも彼が巨額のリターンをあげたサブプライム危機で破たんしたベア・スターンズで金融のキャリアをスタートしました。2006年の後半に、自分の貯金の500万ドル(4億円)と他人から集めた5億ドル(400億)を元手にヘッジファンドを設立し、サブプライム危機を通じて資産を倍にしました。
バスによると、2002年から先進国の多くで「偽ブーム」というべき状況が発生しています。それは、そもそも返済能力のなさそうな人々が借金をすることで成り立った現象です。彼の概算によると、世界中に広がる負債は、2002年の84兆ドルから2011年には195兆ドルと、わずか10年で倍以上にふくらんでいます。
これだけの累積債務が積み上がった例はこれまでになく、サブプライム危機においても調整されるどころか、危機の救済を通じてさらにふくらんでいます。特に負債が多い国としてバスの分析であがってきたのが、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペインです。彼はこれらの国のCDSを購入しており、これらの国がデフォルトすれば巨額のリターンが得られるのは前述したとおりです。そして、バスはこれらの国に加えて、日本とフランスのデフォルトも見込んでいると宣言しています。
このような話をすると、ヘッジファンドは得体のしれない社会に害悪をなす存在と思う人もいるかもしれませんが、彼らのような存在がなければ、サブプライムローンバブルもさらに拡大し、より大きな金融危機へと発展していました。
マーケットは様々な見立てをする参加者が存在することで適切な価格形成機能を発揮します。過去の危機から大きなリターンをあげてきたバスの見立ても、皆さんの投資戦略にうまく活用していってください。
S&S investments
岡村 聡
【プロフィール】
東京大学工学部卒、東京大学大学院学際情報学府卒。
卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、
バイアウトファンドのアドバンテッジパートナーズに勤務。
2010年6月より、投資アドバイス会社S&S investments起業。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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そして、2011年の欧州債務危機からも、ギリシャなど欧州重債務国のCDSへの投資からも大きなリターンをあげたようです。ギリシャの債務削減規模は、過去最大の11兆円にのぼり、格付け会社は、戦後初の先進国のデフォルトと認定する見込みです。デフォルトと認定されれば、バスが保有するCDSからは多額の補償金が得られ、さらなる巨額のリターンが見込めます。
アメリカでの債務危機、欧州での国債危機を的中させたバスが次の空売りのターゲットしているのは日本です。CNBCのインタビューで、債務が巨大であることや生産年齢人口の減少を理由に、日本の国債バブルが18か月以内に崩壊すると答え、物議をかもしました。彼のコメントは、日経新聞にも取り上げられていたので見た方も多いかもしれません。
バスの経歴は、マイケル・ルイスの世界的ベストセラー「ブーメラン」に詳述されています。彼は、皮肉にも彼が巨額のリターンをあげたサブプライム危機で破たんしたベア・スターンズで金融のキャリアをスタートしました。2006年の後半に、自分の貯金の500万ドル(4億円)と他人から集めた5億ドル(400億)を元手にヘッジファンドを設立し、サブプライム危機を通じて資産を倍にしました。
バスによると、2002年から先進国の多くで「偽ブーム」というべき状況が発生しています。それは、そもそも返済能力のなさそうな人々が借金をすることで成り立った現象です。彼の概算によると、世界中に広がる負債は、2002年の84兆ドルから2011年には195兆ドルと、わずか10年で倍以上にふくらんでいます。
これだけの累積債務が積み上がった例はこれまでになく、サブプライム危機においても調整されるどころか、危機の救済を通じてさらにふくらんでいます。特に負債が多い国としてバスの分析であがってきたのが、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペインです。彼はこれらの国のCDSを購入しており、これらの国がデフォルトすれば巨額のリターンが得られるのは前述したとおりです。そして、バスはこれらの国に加えて、日本とフランスのデフォルトも見込んでいると宣言しています。
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