為替市場動向〜通商問題発言からの米ドル安の流れ〜



 2月2日に発表された米国の1月雇用統計における賃金上昇率の加速をきっかけにして、インフレ懸念→長期金利の急上昇→資産価格の割高感→水準修正の動きへと連鎖。もともと高所に居た米株式市場の大反落と共に、リスクオフの株安が世界的に広がりました。
 債券安・株安の動きが支配的になってから約2週間になりますが、未だVIX(恐怖指数と呼ばれる変動率)も高値に張り付き、心理的にリスク敏感な地合いが続いています。


 一般的に、投資家がリスクオフを選好する中では、為替相場は円高ドル高基調であることが多いのですが、昨日までドル円相場は108円でサポートされて不思議な位静かな動きが続いていました。不思議な静けさの後には何か来るもので、日本の連休明けを襲ったのがトランプ大統領の通商問題への言及。これで一気にドル安・円高に動きました。
 元々、トランプ政権の公約の中にはアメリカ第一主義、通商問題もアメリカ優位に、という種類の公約がありますので、粛々と公約に手をつけてきている感があります。

 スイス・ダボス会議でのムニューチン財務長官「ドル安政策を望む」発言では、本音をぽろっと口に出し、直後フォローして発言のインパクトを緩和した経緯もありました。
 このあたりは、分かっていたことではありますが、「対抗措置検討」という武器を見せたことによる材料面への反応、またタイミング的に中国の旧正月休みを前にしたポジション手仕舞いでの需給要因もあり、昨日から今日にかけての円高、ドル安、株安に繋がったと思われます。

 加えて、日銀総裁には黒田氏続投という先週出た報が、まだ正式に決まってないとの首相発言もあり、こちらも軽微ながら、円高に繋がったとも見られます。

 このところ、しっかりサポートされていた108円が破られたことで下方への圧力が働きやすくなってくると思われます。昨年の北ミサイル発射ショック時の107.30水準というサポートのキープも気になります。
 おりしも時期的に3月決算が目前。諸々の需給により乱高下になりやすいというのもあると思います。どちらにしても、ドルの上値の重さは当分続くものと思います。

 2月に入ってからの動きは、米国のインフレ懸念が賃金上昇の加速という材料がきっかけになったわけですが、それが物価上昇にどう影響しているのかを見る上で大事な指標、消費者物価指数の今年1月分が今晩2月14日日本時間夜に発表になります。数値次第では、債券利回りの更なる上昇となる可能性があり、変動率も高まるものと思います。


 10年米国債の現在の水準は2.8%台前半ですが、すぐ近くまで来た3%という大台がヒットされるのかどうかが注目されます。この3%は大きな抵抗線ですので、ヒットしたとしても簡単に定着していく水準ではないと思います。ただ、債券相場の変動率も現在高く、神経質な展開が続いています。
 好調と言われるアメリカ経済ですが、長期金利が3%を上回ってくると株式市場はネガティブ反応するのではないかと思います。


 年初来の主要通貨の対ドル相場は、韓国ウオンとカナダ・ドルを除いて、上昇(ドル安)の動きでした。
 ドルの相対的価値を示すドル指数は1月中には88.43安値をつけ、先週対欧州通貨を中心にドルがやや戻す場面があり、90台乗せもありましたが、昨日からのドル安の動きにより90を割ってきました。

 昨年来、為替相場と株式相場の相関性は薄れてきていましたが、昨日からの動きで相関度はぴくっと上がってきています。

 このところのリスクオフの展開は、年末年初にかけて高速アップした株式市場の単なる調整なのか、潮目の変化なのか、等々さまざまな見方が聞かれます。
 昨年来2月2日まで、平均11という異様に低位安定していたVIX(恐怖指数とも言われる変動率指数)が2月5日以来高止まり20〜50で上下しながら推移(直近26)しているのを見ると、まだまだ混乱は続く可能性が高いのではないかと思います。バーゲンと思えば出向くのもありかと思いますが、しばらく慎重に見ていく時ではないかと思っています。


 最後に、欧州通貨についてです。

 昨年来、上昇(ドル安通貨高)してきた欧州通貨は、ユーロでいえば1.25台、ポンドも一時1.43台までタッチした後、ここ1週間程のスピード調整を経て、ドル安の流れで再び上昇しました。ユーロでは、対ドル1.22、ポンドでは1.38水準は底堅いサポートとして働き、両通貨とも上昇(ドル安)トレンドに戻るものとみています。

 株式市場の激しい動きの傍らで、比較的静かだった為替市場にも春の嵐が吹き始めたのかもしれません。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※2月14日東京時間17時執筆
 本号の情報は2月14日の東京市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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為替市場動向〜米金利上昇でもドル安〜

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 2018年入りした市場は、投資家のリスク選好が高まりと共に始まり、株高、ドル安、債券安(利回り上昇)が進みました。
 ここ数日は月末要因という一時的な要因なのか?トレンド転換なのか?見極める必要があるとは思いますが、債券利回りの上昇を主な理由にして株式市場が大きな反落を見せました。

 余談ではありますが、今日1月31日は特別の満月(スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン)、皆既月食であることと関係あるのかないのかは不明ですが、株式の新年ラリーを中心にしたリスク選好相場に修正が入っても不思議ではない頃なのかもしれません。


 まずは、米国債利回り上昇から見ていきたいと思います。

 2016年トランプ氏が米大統領に当選後に、財政への影響を見て米債10年物利回りは2.6%台をつけましたが、その後は大型のインフラ投資等の政策の実現性への期待が低下して一時は2.1%割れまで利回りが低下する場面もありました。

 その間、イエレンFRB議長は金融政策の正常化を粛々と実行して短期金利は上昇。拙コラムでも何回か話題にした2年債と10年債の利回り縮小がかなり進んだ経緯があります。背景にあったのは、インフレ見通しが低下して長期金利が上昇しない間に短期金利が上昇したというのがありました。
 その間、10年物利回りは上昇しても2016年の2.6%水準を上回ることはなかったのが、新年に入ってからは、あっと言う間に2.6%を超え、直近2.72%迄つけています。
 これが債券利回りの本格的上昇へのトレンド転換なのか見るには、もう少し様子を見る必要があると思います。

 債券上昇の主な背景には、米国経済の好調さ、トランプ減税が実現したこともあります。また、原油価格がじりじりと上昇。節目とみられたWTI60ドル/バーレルを超えてきたことも背景の一つとも言えます。

 それ以上に考えられるのが、海外要因かと想像します。

 昨年は欧州中銀が量的緩和政策を徐々に正常化するスケジュールを出し、昨年末あたりから(異次元緩和長期化とみられていた)日銀も出口戦略に向けての動きを市場が感じ始め、世界の資金の流れの変化に敏感な投資家に衝撃を与えたのではないかと思います。

 では、ドル金利が上昇しているのに、なぜドル安?という疑問が出ます。

 昨年末から直近までの対米ドル主要通貨パフォーマンスでは、韓国ウオン以外の通貨はすべて上昇(ドル安)。特に、原油高でノルウエイクローネなどの資源国通貨高、金融政策正常化への期待での資金回帰でユーロやカナダ・ドル、英ポンドでドル安傾向が顕著に見られます。
 また、米国のインフレ傾向が高まるとの期待が高まれば、インフレによる通貨価値の低下によるドル安も考えられます。

 更に、今年は米国の中間選挙の年。ダボス会議での米財務長官ムニューチン氏のドル安が好ましいという趣旨の発言(後日、トランプ大統領や本人からもフォローする発言がありましたが)は本音であろうと推察する人は大方だろうと思います。

 1月のドル円相場は、112円69銭に始まり、高値113円39銭、安値はムニューチン発言後の108円28銭で、ローソク足の月足は余程のことがない限り陰線引けになりそうです。
 チャートを見ると、このレンジは、昨年のレンジ内にあり、昨年来ドル円相場は200日移動平均の上に辛うじて位置して動いてはいます。

 今後の注目点は、引き続き日銀の動向ではないかと思います。その日銀の人事は、3月19日に副総裁、4月8日に総裁が任期を迎えるので、近いうちに人事についてのニュースが聞こえてくるのではないでしょうか。黒田総裁継続が大方の予想なので、異なる場合には市場は右往左往するでしょう。


 昨年来、ドル安を引っ張っているのは、ユーロです。

 先週の欧州中銀ECB理事会を機に、ユーロ高は進みました。昨年12月1.17〜1.19が主なレンジで、今年初は1.20水準からスタートしたユーロは一時1.25台もつけました。
 1月25日の理事会後のドラギ総裁の発言では「2018年に利上げ可能性はほぼない」もありました。発言の趣旨は急激に進んだユーロ高へのけん制だろうと見られます。
 ただ、年初公表のECB議事要旨発表以降の市場ではECBの金融政策へのタカ派色を見る向きが多く、暫くは、ユーロ高進行でけん制発言で反落するも下値は買いが入るという基本的な展開かと予想します。ただ、ユーロ高もポンド高も急激に進んでいるので、どこかで大きく修正場面があっても不思議ではないと思います。


 今週は、本日の米大統領一般教書演説、1月のFOMC(無風通過が大方の予想)2月2日には1月の米国失業率速報が発表されます。米国のFRBも2月には新しい議長を迎え、3月のFOMCに注目が集まっていくことになるでしょう。


 新年早々に大きな動きがあった1月から2月へと。動きが大きかっただけに、反動も予想されます。起こっていることを冷静に見極める時期かもしれません。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 どこも寒いですね。
 風邪、インフル流行っていますので、体調管理にお気をつけください。

※1月31日東京時間12時執筆
 本号の情報は1月30日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜今年の最注目リーダーは日銀?〜



 新年が明けて、既に半月が経ちましたが、
 本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。


 2018年入りしたマーケットは、株高、ドル安、債券安で始まりました。

 債券市場の不安定な状態の背景を幾つかのキーワードをピックアップしてみると、以下が挙げられるかと思います。

【日銀、オペ減額】
【中国、米債購入抑制】
【原油上昇、インフレ】
【ECB,テーパリング加速】

 昨年末、2.40%水準だった10年物米国債の利回りは年初2.60%台に乗せるなど、やや過剰な反応がありました。そして、米債のみならず主要国の債券利回りは上昇。世界の債券市場は弱気へのトレンド転換か?との見方も出ました。
 その後、急激な金利上昇警戒感も緩和されつつありますが、もし本格的に相場が債券安に動くのであれば、アツい株式相場への冷や水になる可能性は大きいとも思えます。

 一方で、米国の暫定予算の期限切れが今週末に迫っているにも拘わらず、移民関連の問題のかみ合わない議論だったり、歳出削減計画についての議論も手つかず状態で政治の進んでいないという現状をみると、債券利回りの上昇は一時的なものになるかもしれません。


 そんな債券市場の動きの一方で、為替市場ではドル安が進んでいます。
 昨年末から直近までの主要通貨の対米ドルの推移を見てみると、強弱はありつつも、全ての主要通貨が対ドルで上昇しました。

 ドルの相対的価格を示す「ドル指数」は昨年年初(トランプ政権への期待相場)を頂点に下げが続き、特にECBの政策転換を切っ掛けに進んだユーロ高により下げは続き、直近のドル指数は2014年年初来の安値水準です。チャートを見ると、現レベルは下値サポートが見つけにくい危ないところにいるように見えます。

 昨年末112円半ばで終わったドル円相場は、「日銀超長期国債オペ減額」と「中国米債購入削減報道」のダブルのショックに加えて、年初の更なるユーロ高、人民元高も影響して、110円台まで下落しました。今後も110円水準がキープされ、110円〜114円で推移となれば、昨年のコアレンジと変わらないとも言えます。
 ただ、今回最も相場を動かした材料である「日銀の異次元金融政策の出口」は今年、世界の市場から最も注目されるポイントになろうかと思います。


 12月13日配信の拙コラムで、日銀の政策ツールとしての「ステルス・テーパリング」を話題にしました。
 2016年9月に日銀は、超長期国債買い入れに関して量を減額して長期金利水準を0%中心にコントロールすることに軸足を変えました。以来、量については減額は続けてきたわけですので、今回の反応に首を傾げる向きもあります。

 ただ、昨年11月の黒田日銀総裁の「リバーサル・レート」理論への言及から始まり、世界の主要中央銀行が金融正常化に動く中で、企業業績好転、株高の中で「今年は日銀が動くだろう」の思惑が出ても不思議ではないかもしれません。
 FRBもECBも、(今後何もなければ)正常化に進むプロセスに進んでいることを市場は既に織り込んでいますので、現状の緩和政策が長期化するだろうと予想されていた日銀も動くとなれば材料として新鮮さがあります。


 では、現実的に実現可能なのだろうと考えると、難しい点も見えてきます。

 まず、「2%の物価目標を達成」の数値を下方に変更するのか?
 その前に政府はデフレ脱却を宣言する(できる)のか?というのがあります。
 デフレ脱却については、政府は前向きではありながら、宣言するまでには及ばないように見えます。

 次に、来年に控えたイベントスケジュールがあります。
 来年は、天皇陛下の退位に伴い元号が改められます。政治面では、春の統一地方選挙、G20サミット開催、夏の参院選もあります。参院選では憲法改正が焦点になるだろうと予想され、政府にとっては正念場でしょう。
 また、経済面では、10月に消費税の10%への引き上げも予定されています。早過ぎるデフレ宣言、金融政策変更には慎重になるだろうとも推察されます。
 歴史を見ると、遅すぎても早過ぎても弊害を見てきましたので、どこでタイミングを計るのか難問でしょう。


 こうして見ると、現実的には難しそうに思える日銀の出口戦略実施ではありますが、今年はこの思惑が出たり入ったりして相場を左右する可能性が高いように思います。

 欧州では、ユーロ相場が年初のECB議事録開示により直近高値で1.23台までつける展開になりました。欧州政治にはドイツ、イタリア、スペインと懸念材料も残りますが、企業業績の回復等、欧州へお金が逆流するプロセスは続くものと思います。

 また、英国については、EUからEU離脱撤回を歓迎するとのコメントも聞かれ、英国内では2回目の国民投票実施を求める声も上がっていると聞こえてきます。
 そんな中で、ドル安基調もあって、英ポンドは対米ドル、昨年初の安値1.1987から直近1.3837まで反騰しています。


 年初から、色々な方面で変化が大きい環境ではあります。
 今年も良き投資の年となりますように祈念する次第です。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※1月17日東京時間13時執筆
 本号の情報は1月16日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜今年の振り返りから来年へ〜



 2017年も残すところ5日となり、町も市場も年末ムードが漂う頃になりました。

 そんな中、年末恒例のまぐまぐ!大賞2017資産運用(株式部門)1位の栄冠に輝いたとのめでたいニュース。誠に喜ばしいニュースに世界中が湧いているのではないか(?)と想像します。
 読者の皆さまの力強いサポートとメルマガ主宰者&関係者の皆さんの長年変わらぬ努力と継続の力だと敬意を持って祝福申し上げます。

 今年は、多くの執筆者の方と飲み会でお会いする機会もあったのですが、本当に素晴らしい方々が「億の近道」メルマガに関わっておられます。外国為替という切り口で、私も一端に関わらせて頂いていることを大変嬉しく思っています。


 さて、海外のクリスマス休暇明け、年末年始を控えて為替相場は閑散、値動きに乏しい展開が続いています。

 注目されてきた米国の税制改革法案は上下院を通過して大統領署名へと動きました。
 トランプ政権では初の主要な選挙公約の実現。来年の中間選挙に向かってアピールできる成果でしょう。この公約を掲げた昨年の大統領選当選時には、長期金利はジャンプアップし10年米国債利回りは昨年12月に一時的に2.6%台をヒット。期待先行の反応だったと思われ、その後は、幾つかのリスクオフ要因(フランス大統領選に見た欧州政治の右傾化懸念、北朝鮮リスク、トランプ政権の諸疑惑やスキャンダラスな見方)により質への逃避で一時2.03%まで債券買いが進んだ場面もありました。

 今、年末に来て10年債利回りは、年初と同水準の2.4%台後半で年越しに向かっていて、終わってみれば高安の差0.4%程度での推移でした。

 一方、金利面で注目されたのは2年債と10年債の利回り格差でした。
 年初には1.25%あった格差は、直近では0.57%と半分以下に縮小しています。2017年内に金融政策の正常化が進み、政策金利を中心に短期金利が上昇した一方でインフレ率は低迷していることもあり、長短金利差は縮小傾向にあると思われます。

 2〜10年債利回り格差が逆転した過去のケースでは、株式等のリスク商品の下落が起こったことが多くあったことから注目されました。来年も引き続きFRBによる利上げ観測が続くことから、この指標は要注目でしょう。



 2017年の為替市場を振り返ると、全体的に小動き、そして、通年の推移はドル安基調だったと言えます。

 最も大きく動いた通貨は量的緩和の縮小に動き出したユーロでした。
 年初から直近で12.75%の上昇。政治リスクも言われて、一時は対米ドルパリティ予想もありましたので、売り方の買い戻しが大きなエネルギーで上昇しました。

 日本円は、3.29%の円高推移となり、主要通貨で下落したのはブラジルレアル(−1.8%)だけで他の通貨は高く推移しました。

 ドル円相場は、年初116.94に始まり118.60を高値に9月の安値107.32(北朝鮮リスクの影響)と高安は約11円。昨年の20円強の値幅の反動だったのかもしれません。

 景気回復は続いている一方でインフレ率が上昇しないという適温経済での株高の継続。
 株式相場と為替相場の相関度も低下した一年でもありましたが、来年もこの傾向は続くという予想が多くありますが、警戒しておきたいポイントもあります。
 例えば、先程、米国金利で記した10年債利回りが昨年の最高利回り2.6%を超えて(万が一)3%超えに向かうような事があれば株式市場にも警戒感が出てくるのではないかと推察します。


 来年2018年、日米の中央銀行の人事が変わることも年前半の注目点になるでしょう。
 米FRBはパウエル理事が議長に昇格、また退任する理事も数人居て、4名の理事の席が現在空席になっています。パウエル次期議長は、イエレン現議長の政策を踏襲していくものと思われますが、今後決まる人事も含めて理事会全体としてタカ派なのかハト派なのか今後の人事関連の決定を見ていくことになります。
 日銀総裁人事は、黒田現総裁が再任される予想が高いと思います。今年は日銀の政策変更が久しぶりになかった年ですが、来年以降の出口への道を模索していくリーダーは誰になるのか注目は高まるものと思われます。


 恒例の今年の漢字一文字(京都清水寺にて揮毫)が「北」でした。極東での「北」リスク、フランス総選挙にみた欧州での「右」傾リスク、トランプ大統領のロシア関連の疑惑やスキャンダル・リスク等、リスク要因に怯えた向きも多くありました。

 来年は戌年。相場格言では、「戌笑う」と言われます。
 そして、2017年は年末が日曜日、2018年元旦が月曜日と、年末年始の終始がきっちりとした印象があります。


 読者の皆さまには、今年も一年のご愛読を感謝申し上げます。
 来年が皆さまにとって佳き日々でありますように心から祈念致します。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※12月27日東京時間13時執筆
 本号の情報は12月26日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


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為替市場動向〜米利上げ直前、静かなドル高基調〜



 師走も半ばに近づき、来週末はクリスマス。
 海外のクリスマス休暇や年末が意識される今週、注目イベントが予定されています。

 米国では、米利上げが確実視されるFOMC(連邦公開市場委員会)(発表は日本時間14日未明)と税制改革法案審議の行方、そして、明日は欧州中銀(ECB)理事会、英国中銀(BOE)理事会が予定されています。

 今回の米FOMCでは、以前から0.25%の利上げは確率100%と確実視されています。
 逆に利上げがなければ大事件となるでしょう。

 今回の注目は、来年の利上げ継続がどの程度表明されるのかにありそうですが、終了後に記者会見するイエレンFRB議長は2018年3月にパウエル氏に交代しましすので政策に大きく影響するような目新しい発言をするとも思えません。

 一方で、今回のFOMCでは理事による経済見通しドットチャートが(匿名で)発表されます。特に、これまでも注目されてきたインフレ見通しについては、来年以降の利上げ確率についてのヒントが得られるものとして要注目でしょう。
 昨日発表された11月の生産者物価指数は、プラス0.4%(前月比)と予想以上の数字でしたので、これがどう消費者物価に今後影響していくかも見ておきたいところです。


 米国発のもう一つの材料は、税制改革法案の審議です。懸念されていた暫定予算の期限切れは両院議会の暫定予算案の可決によって政府機関機能マヒを避けることができ、今週は両院案の一本化に向けての協議が行われ、クリスマス前の法案通過を目指すと思われます。
 税制改革は、金利面では金利上昇要因と言えますが、この材料は既に織り込み済ではないかとも思え、昨年トランプ氏が税制改革を公約としたときに2.6%近辺まで10年債利回りがジャンプしたときに比べると、材料は既に賞味期限切れで反応薄かもしれません。


 一方、欧州のECB理事会は注目された10月理事会で当面の政策を表明して実行していく過程にあるので大きな変更があるとは思えません。また、英国中銀BOEは11月利上げをしたばかりでもあり、ポンド安による消費者物価の上昇(直近11月は年率3%)はあるものの、2020年にかけて追加利上げは2回程度という基本姿勢は変えないのではないかと推測します。
 なお、ポンドに関しては、BREXIT交渉の前進により多少持ち直す動きも出ています。


 諸々ニュースや材料はあるものの、為替市場は静かな展開が続いています。
 FOMCでの利上げ観測によりドル指数はこのところ11月の安値から回復しつつあります。ドル円相場の変動率も低下し、トランプ米大統領の中東関連政策一部変更(イスラエルの首都問題)、ミサイル、テロなどのリスクオフ要因が発生しても瞬間反応にとどまり、111円50銭〜114円レンジでの動きが続いています。12月に入ってからの滞在時間では112円〜113円半ばに集中しています。
 注目材料の結果待ちという言い訳もありますが、海外のクリスマスや年末要因により大きな動きは期待できないように思います。


 本日の日本時間昼過ぎに、米国のアラバマ州上院補欠選挙で、共和党候補(セクハラ問題も話題となり)が敗北したため、上院での共和党議席が100中51に減り税制改革法案最終可決への懸念によりドルが売られる場面があっ
たものの値幅は今のところ限定的です。


 そんな中で、このところ話題に上っているのが先月に海外での講演で使われた黒田日銀総裁の「リバーサル・レート」理論に関する発言です。
 「リバーサル・レート」は、「金利が下がり過ぎると、金融仲介機能に悪影響があり、金融緩和の効果が逆に減衰する」というもので、黒田総裁は11月28日の衆院予算員会で日銀のイールドカーブコントロール政策もこの考え方に基づいて運営され、今後も変わらないとの見解を示していました。

 金利の過度な低下が銀行の収益悪化も含めて金融異次元緩和の副作用も懸念されてきたので、黒田総裁の発言は「次は出口」との示唆なのか、と疑心暗鬼は高まります。

 現在行われている量的緩和のツールの一つ、日銀による長期国債購入ペースの減額は、減額とは明示しない「ステルス・テーパリング」により既に行われています。これは、量ではなく長期金利の水準コントロールに軸足をおくためでした。
 今後、「出口」へ動く場合には、金利コントロールの水準を上げるのかもしれない可能性には注目しておく必要があります。

 また、世界的にも稀に見る中央銀行による巨額のETF買いも、株式市場上昇の環境の中、今後どのように異次元から普通に戻していくのか、物価上昇率2%迄は現状維持とされてきた政策の出口について(生活の中の身近なモノの値段の上昇を実感する中でもあり)関心が高まりそうです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※12月13日東京時間13時執筆
 本号の情報は12月11日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
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式町 みどり拝


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為替市場動向〜ミサイル飛んでも米株は最高値そして為替は静か〜

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 今朝日本時間未明の北朝鮮のミサイル発射にも拘わらず、感謝祭休暇明けに始まった米国の税制改革案審議の前進や、28日に行われたパウエル次期FRB議長の指名公聴会での発言中でされた金融規制緩和への方向性を好感し、リスク選好の動きとなりました。

 米国の税制改正審議は、年内成立を目指して進んでいますが、基本的に企業優遇、一方で家計の負担は増える税制改革ですので、株式市場にはプラスに作用するものと予想されます。
 ただ、家計負担増が個人消費への影響はどのように出てくるのかは、今後注目しておきたいところです。また、税制改革期待を大きな材料にしてきた米国株式市場に年内成立は材料出尽くしとなる可能性もあります。ここも気にしておきたいところです。


 今週末から早12月に入ります。米国の金融政策を決めるFOMCは12〜13日に予定され、昨日のパウエル(FRB現理事、次期議長)も12月の利上げには根拠がある旨を言われていましたが、市場予想でも96%という高い確率で利上げが示されていますので、既に12月の利上げは織り込み済です。注目となるのは、来年からの利上げがあるかポイントになるでしょう。

 直近のデータでは、5割程度の確率で3月にもう一段の利上げが予想されています。ただ、今年も何度も議論にあがったインフレ率の低迷をどう見るかが利上げ判断のネックになると言われてきました。構造的な課題があるのか、循環的な問題なのか等、インフレ見通しを見る上で議論されるのではないかと推察します。パウエル次期議長がどのような基準で判断されるのかに注目が集まっていくものを思われます。パウエル氏は、ほぼ現議長のイエレン氏と考え方はほぼイコールという見方も出てはいますが、就任してからの発言を注意深くチェックしていきたいと思います。


 一方、前号でも取り上げました米国債券市場でのイールドカーブのフラット化はじわじわ続いています。インフレ率が伸びないにも拘わらず利上げをした場合の引き締め効果が現在の好調な景気を減速させるリスクを感じ取っている表れではないかとも見られます。金融の正常化への金利面でのステップは、今回の12月利上げで一旦完了して、インフレデータ次第を重視しての判断になっていく可能性も高いと思われます。

 因みに、米債10年物利回りは直近2.32%、一方2年物利回りは1.74%、金利差0.58%(今月初では0.76%)と縮小が続いています。


 そんな中でのドル円相場。
 明日は11月月末なので、現水準(111円台)で終了した場合には3か月ぶりの陰線引けとなります。27日につけた110円84銭は2か月ぶりの安値でした。月初は112円〜113円台で推移していたものの、ドイツの連立政権協議での決裂というニュースでユーロ円の売りもドル円下げに繋がったフシがあります。111円割れでは、買い需要も見られるものの、上値も限定的です。

 ドルの長期金利の頭が重いこともドル相場に影響しているように思います。
 ドルの相対的強弱を示すドル指数のトレンドは下落傾向が続いています。
 今後、年末にかけて、流動性が薄くなることも予想されるマーケットですが、クリスマス休み前に今年最後の一花咲かせの相場があるかもしません。持ち高は軽くしておきたいと思います。


 欧州では、総選挙後のドイツが連立虚偽に難航してメルケル政権の発足に問題が発生し通貨ユーロの売り材料になりました。二大政党が議席数を減らし、極右が第三の政党になったため、連立には困難があります。今後、連立が成立しないと、選挙やり直しもあるとも言われます。結局、第4次メルケル政権無事発足との声が多数ですが、今後の動向が気になります。
 その他、イタリアでは政治の混迷が続いていて、来年前半に総選挙があると見られ、イタリア政治は引き続きリスク要因として働きそうです。


 EUとの決別の作業が続く英国では、英国側の要望通りには進んでおらず相当厳しい条件になるものと伝わっています。伝わってくる交渉状況や関連する事象によって、英国ポンドは乱高下(元々乱高下が多い通貨ですが)して、その動きが他の通貨、特にユーロに影響することが多く見られます。乱高下するため取引きの対象としては難しい通貨ですが、他の通貨への影響を考えると、その動きだけでもチェックしておいた方が良いと思います。


 今週末から12月入り。今年もきっちりと〆られるようにベストを尽くしていきたいですね。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※11月29日東京時間15時執筆
 本号の情報は11月28日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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為替市場動向〜米債利回りカーブのフラット化〜

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 日本株相場の乱高下の傍らで、為替相場は比較的限られた動きではありましたが、12月の米利上げ期待を先取りして9月から上昇してきたドル相場が先週央から反落。
 特に、昨日14日は、中国景気鈍化の見方、米長短金利のフラット化(米国景気への先行きへのネガティブな見方)、またユーロ圏GDPの予想以上の数字を材料に、ユーロ主導でドル指数は10月中旬の水準まで反落しました。

 米国の金利動向の中でも、今後近い将来の金融政策の行方を示す2年債と長いスパンで予想される景気やインフレ動向への期待が入る10年債の利回り格差は、2007年以来の低いスプレッド(直近0.67%)です。
 2−10年債スプレッドは、ここ10年で最大2.80%(2010年3月)、その後は2%を挟んだ動きが続き、FRBの金融政策正常化が始まると、2年債が上昇に転じた一方で低インフレによる長期金利の限定的な上昇でフラット化が進んできました。

 2−10年債スプレッドは、今後の景気を見る上で注目されます。特に逆転は、株式相場がピークアウトする可能性を示唆しているとも言われるので、要注目しておく必要があります。2000年、2006年に逆転した時期がありました。


 さて、FRBの新しい人事では議長にパウエル氏が決定したことで、やや安心感あったようで、市場の反応は冷静でした。
 ただ、一部でパウエル氏が久しぶりの経済学博士出身ではないので、金融政策の理論武装に疑問符を出す向きもあります。
 FRBでは、フィッシャー副議長の退任、更に市場で一目置かれるダドリー理事(ニューヨーク連銀総裁)の2018年任期終了もあり、副議長人事に注目が集まりました。そんな中、昨日の報道では、モハメド・エラリアン氏(現ドイツ・アリアンツ社の首席経済顧問)がトランプ政権による候補の一人になったと伝えられました。リーマンショックによる金融危機後の低成長を≪ニューノーマル≫と呼んだことで知られ、最近のインタビューの記事も興味深いです。↓
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-28/ONJ6RK6S972901


 冒頭で記したように、昨日は通貨ユーロを筆頭にドル相場が頭打ちと思われる動きを見せました。

 そんな中で、ドル円に関しては、かなり限定的な動きです。
 11月に入り、114円70銭台をトライするも、米国の税制改正実現への疑問符から113円台へ反落。その後は113円台の往来が続いています。
 先日の上値トライでも、115円は今のところ重い蓋のようです。
 ただ、日銀・黒田総裁は2%実現まで大規模緩和続行すると数日前に欧州にて表明していて、一方でアメリカの金融正常化は金利の上げとバランスシート縮小開始で進んでいるという事実を踏まえるとドル円相場の下値は限定的であろうかと推測します。


 一方、通貨ユーロは、10月26日のECB理事会後のドラギ総裁のコメントから、テーパリング期待が薄れたのをきっかけに対米ドル1.18台から1.15台半ばまで下落したユーロでしたが、徐々に底打ちして、ドル相場下落を先導して昨日は1.18台まで戻してきました。
 今後、ドル下落の受け皿はユーロが担う可能性が高いように思います。

 スペインの国内問題(カタルーニュ独立)やイタリアの総選挙関連も今のところ落ち着いて、ネガティブ要因としては働きづらいと思います。材料としては、16日に発表されるユーロ圏の消費者物価指数が注目されます。


 一方、英国は、10月のBOE理事会で、10年ぶり利上げ(前回は2007年の7月)を行いました。ポンド安による物価上昇(目標2%に対して直近は3%)が主因です。
 ただ、BOE総裁カーニー氏からの発言からは、今後の利上げは当面ないニュアンスが伝わったことで金利先高観による通貨高は薄れたうえ、政局トラブル(BREXIT交渉が上手くいってないための現政権への批判や内部でのドタバタやスキャンダル)でポンドは下落傾向が続いています。

 英連邦がらみでは、オセアニア通貨が政局不安から弱い傾向が続いています。
 ニュージーランドでは、選挙で過半数とれた政党がなく、少数政党同士の連立により、重要な政策決定への不安によりニュージーランド・ドルは下落が続いています。


 政治がらみでの下落はオーストラリアでもありました。
 副首相の2重国籍問題による議員辞任により第一党の過半数割れとなったことや消費者物価動向の低迷も背景になっているようです。
 豪ドルは、ドル・ユーロ、円に続く準主要通貨とされ、外貨資産のポートフォリオにも多く入っていますので、豪ドル下落の資産運用への影響は小さくありません。好金利通貨として日本でも根強い人気の通貨です。
 ただ、豪ドルと円通貨ペアは、豪ドルが商品相場などとの相関性高い傾向にありリスク・オン相場で買わる一方、円はリスク・オン相場では売られる傾向の避難通貨とされるため、ポートフォリオへの豪ドル保有比率は調整する必要があります。


 11月も中旬を迎え、ファンドの決算や年末を意識した動きも加わり、ワイルドな動きも予想されますので、慎重な姿勢が必要かと思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※11月15日東京時間13:00執筆
 本号の情報は11月14日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜10月を振り返っての今後〜



 選挙、台風が駆け抜けた10月も終わり、暦は今日から11月に。

 10月前半の為替市場は、月後半に予定されていた日本の衆院選結果、米国のFRB議長人事、ECB理事会が量的緩和策の出口をどう決めていくのかを見極めたいという様子見ムードが続き、その間、ドル円相場は、111円半ばから113円半ば、ユーロ・ドルは1.17〜1.18台の狭いレンジ取引に終始しました。

 22日行われた日本の衆院選では、与党圧勝の結果となり、それを受けてドル円相場は一時約3か月ぶりに114円台をトライしたものの、115円という節目が意識されると売りに押され、以来113円台での行ったり来たりの動きが続きました。ローソク足で見ると、10月のドル円相場は月初始値が112.51、月末終値が113.63の陽線引けでした。

 続いて、26日の欧州中銀(ECB)理事会での政策決定は、事前予想よりもハト派で少々驚きがありました。決定内容は、来年初から量的緩和を現行の半額に減らすものの、今後9か月再延長。さらに、状況次第でさらに緩和を行う可能性も残しました。また、政策金利は維持され、再投資に関してはコミットメントの追加もあり、勇み足でテーパリング期待をしていた市場では拍子抜けした感があります。これまで上昇し高値圏にあった通貨ユーロは対米ドルで1.17台から一時1.15台後半までつけ、これまでの上昇を修正する動きになっています。大きく積みあがっていたユーロ買いの投機的ポジションは当面修正が続きそうです。

 ECBの今後の政策見直しは、9か月後の来年6月辺りの理事会で討議されることになると予想されます。なので、暫くはECBの金融政策への詮索は小休止になるでしょう。その間は、経済指標(特に賃金動向や物価動向)のウオッチに精を出すことになりそうです。

 また、スペイン・カタルーニュ独立やイタリアの選挙などの政治ネタにも注目していきたいところです。


 話題に取り上げられてきた米国FRB議長の人事は候補者が5人から3人に絞られ、10月31日にパウエル理事の指名という報が伝えられました。パウエル理事なら、現在の政策を継続するだろうという見方から、この選択には特別な反応はなさそうです。

 先週には、タカ派のテイラー氏有力の情報が入り、長期金利(米債10年物)は2.46%までジャンプした場面もありましたが、一時的反応にとどまり、利回りは直近2.37%まで低下しています。


 一方、米国FRBといえば、米時間11月1日(日本時間11月2日未明)にFOMC(連邦公開市場委員会)の結果が発表されます。事前予想は、政策の現状維持がメインになっていますが、金融政策の正常化プロセスとしての12月の利上げの可能性についてヒントが得られるかどうかです。
 FOMCの前回の開催は9月でした。それ以降発表された米国の経済指標は概ね好調なので、声明文に利上げに否定的な文言は盛り込まれないと推測します。市場の見方は『利上げあり』に傾いていて、予想確率は直近で8割強となっています。

 6月のFOMC会合でFRBは保有債券の再投資を減額し、バランスシートを縮小することを決めました。先月10月から、そのバランスシート残高の圧縮が始まり、量の面での、いわゆる、金融正常化のプロセスが静かに進行し始めました。

 これが市場にどのような影響を与えていくのか?
 特に、資産価格への影響は見ていく必要があるでしょう。
 それによって、ドル相場の方向性が左右される可能性があります。これまで歴史的に経験のない大規模な非伝統的金融政策からの正常化へのプロセスは、その影響を考慮して慎重に行われるものと思われます。基本的には、金利の上昇と共にドル相場は底堅い基調で動くものと考えます。


 さて、去年の11月の米国大統領選挙から、早いもので1年が経とうとしています。

 財政拡大、税制改革などのアメリカ・ファーストの政策を打ち出したトランプ政権に対して、直ぐの反応は予想外の結果に対するショック⇒リスクオフでしたが、大胆な政策への期待からドル高、株高、債券安(10年物米国債は一時2.6%台)に変わるのに時間はそれほどかかりませんでした。
 そうして、トランプ・ブル相場になったものの、今年1月の就任式後は政策の実現性が低下しました。

 期待を繋ぐように9月27日発表された税制改革案(英語名⇒American First Tax Relief)に対して上下両院議会が財政協議に臨む方向で動き出したのは大きな一歩であろうと思います。とは言え、総論では進んだものの、項目によっては(例えば、あのメキシコ国境沿いの壁)議会での合意が難しいだろうものもありそうですし、州によって税制が異なるので、必ずしも全ての州がメリットを受けることにはならない制度面での案件もあり、詳細において簡単に合意できるかどうか楽観する向きは少ないようです。

 中間選挙を一年後に控えて、トランプ政権の大きな支持層にアピールできるような税制改革ができるのか、今後のカギを握る米議会の動向を注目していきたいところです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※11月01日東京時間07:00執筆
 本号の情報は10月31日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
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為替市場動向〜株高の傍ら、為替市場は小動き〜

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 米国株(NYダウ一時23000台)もドイツ株(DAX指数一時13000台)も史上最高値を更新する中、日経平均株価は17日で11連騰(但し、史上最高はあのバブル終焉直前の最高値には遠く...)と新興国も含めて世界的な株高が進む中で、為替市場は株価との相関が低下して、狭いレンジ内での動きになっています。

 このところの為替市場動向の背景には、日本の衆院選挙結果待ち、米国のFRB議長人事決定待ち、来週開かれる10月のECB理事会における量的緩和縮小計画案待ち、また、今週から始まった中国の共産党大会への注目もあるでしょう。


 中でも、米国の金融政策を決めるFRB議長人事は決定が近い(トランプ大統領がアジア歴訪に出かける11月3日以前に発表されるとの報道)ということで来年の遠い話から、もうすぐの近い話になってきました。
 候補者は5人に絞られ、トランプ大統領曰く「正直言って、全員が好きだ。全員を尊敬している」だそうで、当選前に「自分が当選したら現イエレン議長はクビ」と豪語していたトランプ氏でしたが、現在、イエレン議長再任の確率は高いとされています。

 次に続くのが、パウエル理事の昇格。現人事の中から再任なら安心感から市場への影響は限られるでしょう。

 ケビン・ウォ−シュ氏(元FRB理事、タカ派、市場は金利上昇を連想する)、コーン国家経済会議委員長、ジョン・テーラー・スタンフォード大教授(テーラー・ルールの提唱者)もトランプ大統領と面談を済ませた候補者です。
 タカ派とされるテーラー教授指名の場合には、市場の第一の反応は金利上昇、ドル高と予想されます。

 誰が指名されるかによりサプライズでの市場の反応も想定されます。ただ、一方で基本的にトランプ大統領のスタンスが「金融緩和政策を支持」である限り、大きな波の変化はないものと考えます。FRB議長候補は上院の承認が必要で、承認プロセスには数か月を要する場合もあるとされます。


 目を欧州に移してみると、ちょっと気になるのが、9月の選挙で現政権継続となるも極右政党が躍進したこと。移民カタルーニュ独立の住民投票でのスペイン政府の強硬姿勢、オーストリア総選挙で勝利した国民党(中道右派、反移民)がナチスとの関わりも言われた自由党(極右)と連立政権を組む可能性、また6月のイタリア地方選挙で支持されなかったものの反ユーロ政党である五つの星運動も未だ一定の支持は集めているという右傾化、反ユーロ意識は根強くあることです。この辺りは、他の事象と相まって火種となり得ます。

 余談ですが、今回、オーストリアの首相になった国民党党首クルツ氏(31歳)は、世界最年少首相。27歳で外相も経験したキャリアにも注目ですが、見た目の麗しい容貌も話題です。今時のイケメンというより、正統派の美男子との声も高いようです。
 ただ、政策面では、移民流入ルート閉鎖や社会保障制度でも移民に対する制限を設けることを公約にするなど自国民ファーストを打ち出しています。オーストリアの右傾の動きは、ユーロにも影響があるでしょうし、近隣国トルコ・リラの動向にも影響する可能性があります。


 話が脇道にそれましたので、ここからは通貨ユーロの話に。

 今年は、前半、欧州政治リスク(主にフランス選挙での極右台頭)でのユーロ安からルペン氏敗退によるユーロ反発。その後、トランプ政権の疑惑等のノイズや利上げ期待後退によるドル安によるユーロ高、加えて、ECBの緩和縮小がユーロ反発の起爆となり、年初来1ユーロ対米ドルの安値は1月3日の1.0341、9月8日には高値1.2092をつけ、その後は期待先行の急反発の調整で直近は1.17台まで戻し、狭いレンジでの往来相場になっています。

 上にも書いた欧州政治リスク、ECBの資産購入減額という金融政策転換の具体策待ち、米国の12月利上げ期待によるドル高要因も、通貨ユーロの上値を抑える要因です。

 また需給面でも、年中盤からのユーロ買いポジションが累積していますので、新たな買いのエネルギー不足もあり、更に上昇するためには、ポジションが解消されていく必要があります。

 ECBの資産購入減額の実際のアクションのタイミングは、物価動向にも左右されると思われ、この辺りは10月26日のECB理事会後のコメントやECBのフォワード・ガイダンスもヒントになりそうです。


 最後にドル円相場ですが、株高と連動せず、113円台から上は頭が重い展開で狭いレンジでの動きです。

 最近発表された米国の経済指標の良さからのドル買いも限定的で、衆院選挙結果待ちを理由に狭いレンジでの動きが続いています。

 米国財務省から昨日17日に発表された為替報告書では日本の貿易黒字等を批判して監視対象国継続となっています。来年の米国中間選挙も視野に入れると、国内向けに対象国への風当たりは強くなる可能性が高いかもしれません。

 日本以外には、中国、スイスやドイツも含めた貿易黒字国が監視対象継続です。このあたりは、円高要因になりえます。

 このほか、年末の米国の利上げの有無、米国の税政策の行方も含めて、今後のドル円相場の行方を見ていきたいと思っています。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※10月18日東京時間13:00執筆
 本号の情報は10月17日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
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為替市場動向〜怒涛の9月から10月は?〜



 北朝鮮を巡る地政学的リスク、自然環境の猛威にさらされた米での巨大ハリケーン被害、そしてメキシコで起こった連続大地震など、様々なノイズが市場を騒がせた怒涛の9月も過ぎ、10月が始まりました。

 今年の9月は星座の動きで大きなエネルギーの影響があった時期とも聞きました。毎日のニュースも材料ですが、マーケットは、宇宙の森羅万象に影響されるとも言えます。


 9月の外国為替市場での主要通貨対米ドルのパフォーマンスは、対ドル上昇トップは、英ポンド(+3.3%)ニュージーランド・ドル(+0.4%)位で、前半リスクオフでドル安傾向もあったものの、終わってみるとドルが反発して終了しました。

 ドル円相場は、様々なリスク回避の事象により瞬間107円前半もつけたものの、一夜にして急速に切り返し反騰、9月は3か月ぶりにロウソク足チャートの月足陽線引けで終わりました。
 北朝鮮との摩擦が軍事リスクに発展する可能性が未だ危ぶまれる中で、(リスク慣れか?昨今の反応は妙に冷静)、反応は限定的になってきている今日この頃です。慎重な立ち位置から見れば、リスクは忘れた頃にやってくることが多いという過去の教訓も頭の隅に置いておきたいと思います。


 自然災害や地政学的リスクへの反応から、財政、金融政策による所謂ファンダメンタルに反応に変化した切っ掛けは9月20日のFOMCでした。金融政策の正常化の確認され、一時は消滅した12月の利上げの可能性が蘇りました。
 翌週には、トランプ政権の税制改革の発表。内容は以前話されていたのと大きな違いはないようにも思いますが、財政拡大路線への期待が盛り上がり、期待による楽観再び!といった感じです。
 小さな政府志向の共和党がこれを通すか?疑問符は残りますが、マーケットは現実よりも期待で動くのも事実です。

 9月FOMCで明らかになったFRBのバランスシート縮小は、10月から開始されます。ばら撒いていたお金を吸収していくわけで、今後同じようにバランスシート縮小する欧州中銀ECBに先行することになります。

 市中へ出していたマネーの吸収の影響は突然であれば、資産価格への大きな影響となりますが、これまでに時間をかけて市場への情報共有で馴らしてきたこと、また、段階的に少しずつ実施することから大きな影響はないものと思われますが、影響があるとすればドルの価値の上昇、直接的なインパクトというより、ドル高の底流というイメージで見ています。


 そんな中でのドル円相場。

 今のところ、108〜114円のレンジ内での動きとなっていますが、12月の利上げ期待(直近でみる確率は約66%)、米税制改革への期待、FRBバランスシート縮小、日米の金融政策の違いなどがドル買い要因になっているのに対して、北朝鮮問題など地政学的要因により想定外のリスク発生によるドル売り円買が綱引きでレンジ相場が続くものと見ています。

 日本国内では、今月22日の衆院選挙もリスク要因でしょう。
 毎日伝えられる政治家の方々の生き残り作戦が落ち着き、本格的選挙戦が始まると有権者の支持動向が市場の注目になるでしょう。都議会戦での自民党敗北への反応は限定的ではありましたが、衆院選ですので、安倍政権存続の有無は外国人投資家も大きな関心を持つでしょう。彼らの日本株への投資意欲にも直結し、結果次第で想定外の株安円高という事態もあるかもしれません。
 10月中盤は、世論調査の結果に振り回されるのではないでしょうか。


 さて、金融正常化への一歩を踏み出すと期待される欧州中銀。その期待で大きく1ユーロ=1.20台まで急反発していたユーロ相場ですが、9月半ばには勢いが減速したところに、米サイドのドル買い要因あり、ドイツ総選挙でメルケル首相勝つも、与党の議席数減り、ここへ来てスペインのカタルーニャ州独立への選挙で国と州が分断するなど政治的な要因あり、これに加えて、ユーロ高けん制かと思われる要人発言などもありました。

 これにより、ユーロの上値重く、1ユーロ1.0650〜1.09ドル辺りのレンジ相場が続きそうです。また、政治的リスクで言えば、イタリア政治状況も懸念材料の可能性があります。


 政治経済イベントのスケジュールと共に、10月に入ってくると、欧米は12月決算ですので、年末要因も意識されてきます。11月の決算のファンドの利益調整のための売買も毎年市場の話題になります。
 こちらの方も念頭に置いておきたいところです。


*余談ですが、10月3日から6日まで幕張メッセでCEATEC2017が
 開催されています。このメルマガでも募集されていた「みんなの運用会議」
 さん主催のツアーに私もご一緒させて頂きました。
 各企業の展示ブースでは担当者の方が丁寧に説明してくれ、質問にも気楽に
 応じてくれます。今週金曜日までですが、最新の先端技術を現場で見て、担
 当者の説明も聞けて、投資に活かす良い機会ではないかと思います。
 とても面白かったので、おススメします。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※10月4日東京時間14:00執筆
 本号の情報は10月3日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
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