為替市場動向〜新年度入りもレンジ相場継続?〜

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 桜の花びらが散る中、日本では新年度が始まりました。
 海外からは「貿易戦争」懸念、一方、安定政権が続いてきた国内政治の混迷懸念もあり、明るくない環境でのスタートではありますが、氣分改め良い年度にしていきたいものです。


 株式相場は、1月から月足が陰線続きに加えて乱高下激しいワイルドな動き。
 同様に、ドル円相場も1月から月足は陰線続きで、3月期末106.28というサポートの節目105円を辛うじて耐えた場所で終わりました。

 日米の政治リスク、とりわけ米国政府が通商政策で「どんなカードを出してくるか分からない」不安を考えると、円高への警戒感は引き続き続くことが予想されます。かつての日米貿易摩擦の時代とは状況は異なりますが、やはり輸出企業の業績への影響が心配されます。
 また、例年は3月には期末要因で円高になる傾向があり、新年度入りで新規の外債投資も入り反動が入るという傾向がありましたが、今年度は同様だとは予想しがたいです。


 さて、米国の金融市場では、長期金利が頭打ちになっています。貿易戦争懸念も影響しているとされ、10年米国債は、このところのピーク2.95%から直近2.7%台まで反落。1月の雇用統計で懸念された賃金上昇も、以後の数字が上昇を懸念するような裏付けが見受けられず来たことも要因になっています。

 そんな中で、今週は3月の米国雇用統計が4月6日に発表されます。
 3月のFOMC(米国の金融政策決定のための会合)では、新FRB議長のパウエル氏が終了後の記者会見で、これまでの議長以上に、データを重視する姿勢を伺わせました。

 今回の雇用統計では、今のところ、3月の非農業部門雇用者数増減の予想中心値は、前月比プラス18.5万人、失業率予想は4.0%と伝わっています。2月の数字(+31.3)からの反動は予想されるものの、雇用者数の伸びは示されるだろうという予想が大半です。米国の雇用状況が良いのは織り込み済みで、注目されるのは、賃金上昇率の加速を見ることができるかになります。インフレ率が目標値の+2%へとFRBが自信を持てるか、それによって今後の利上げ頻度への裏付けが作られていくと思われます。


 短期金利が順調に上昇する中、上にも記したように、長期金利には頭打ち感が出てきています。
 それを映してか、今後のインフレ期待をより反映する10年債と、今後の金融政策動向を反映するとされる2年債の格差が縮小しています。

 この利回り格差は、株式相場を見るうえでも参考になる指標です。
 2年VS10年スプレッドは、2010年以降では2.8%(2010年3月)をピークに上下しながら、直近で0.49%と、この期間に限っていえば現水準が最も縮小しています。
 2年VS10年スプレッドの逆転(短期金利の方が長期金利よりも高い状態)は、株式市場の相場転換のシグナルとしても注目されます。
 例えば、最近で逆転したのは2006年12月でした。

 昨年末に米政府が打ち出してスタートした減税政策の米国景気への貢献度は大きいと思いますが、その恩恵にも賞味期限があるでしょう。リーマンショックからの米国の景気回復の道のりは10年近くにも及びます。金融政策正常化のプロセスである利上げで短期金利が上昇する中、期待インフレ率の上昇を伴わないのであれば、将来的には長短金利差は縮小して利回り曲線はフラット化していくのではないかと思われます。


 ドル円相場は、貿易戦争懸念、特に米中の駆け引きに左右されて、上値重く、方向性が見えにくい展開が続きそうです。
 日本の薬品会社による過去最大の海外企業買収検討の報道や日朝首脳会談開催の報道等はドル円の下値をサポートに作用しましたが、結果としては一時的でした。


 日本円のみならず、ユーロも方向感がはっきりしない展開が3月月初から続いています。

 主要通貨の対米ドルパフォーマンスで目立つのは、メキシコ・ペソ、韓国ウオン、(BREXITで進展のあった)英ポンドの上昇、一方で下落で目立ったのはブラジル・レアルで、多くの通貨の変動は限定的でした。


 4月の為替相場。3月までの第1四半期が政治要因に振らされてきたので、この辺りで経済指標に注目が行く相場になるか。まずは、今週金曜日に出る米国雇用統計への反応から見ていきたいと思っています。


 相場格言に、「2日新甫は荒れる」があります。2日から市場が始まった4月。慎重に行きたいものです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※4月4日東京時間17時執筆
 本号の情報は4月3日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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為替市場動向〜日米とも政治混乱でもレンジ相場〜

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 春の嵐か、日米とも政治がらみの税料がニュースを騒がしています。騒ぎの割には、決め手の材料として働いてないようにも思えますが、大きな道のりの中でどんな意味を持つのか注目していく必要はあるように思います。

 先週、米国では経済政策の司令塔を務めたコーンNEC委員長が辞任、昨日はティラーソン国務長官がトランプ大統領に突然解任されました。以前はエクソン・モービル会長だったティラーソン氏は、それを直接ではなくトランプ大統領のTweetで知ったというのも驚きです。
 余談ですが、あるニュースでは、ティラーソン氏のファーストネームのRexから解任された日をRexitと語呂合わせをしていましたが、この解任が昨日今日の株式市場の下げの一因になったとされています。
 一方、同日行われたペンシルバニア州での下院補欠選挙では共和党と民主党候補が接戦となっているようで、秋の中間選挙の前哨戦とも言われる選挙の結果が待たれるところです。


 日本国内では森友スキャンダル第二弾の諸々が噴出。報道の賑やかさに比べれば、市場へのインパクトはそれ程大きいものではないように見受けられますが、上値を押さえていることは確かですし、今後の展開次第では更なるリスク要因となるうるようにも思います。


 さて、2月の米株式市場の大きな下げの引き金になったのは、1月の雇用統計での賃金上昇加速懸念でした。その後の経過に注目が集まった2月の米雇用統計。結果としては、賃金上昇加速懸念は薄れ、また昨日発表された2月消費者物価も予想通りの数字で、2.9%水準で推移してきた米10年債利回りは昨日2.83%まで反落となりました。インフレ懸念は、少し落ち着いた印象。

 米金利がらみのスケジュールとしての注目は、3月20日〜21日に開催される新FRB議長のパウエル氏が開催するFOMCです。市場予想のほぼ100%が0.25%の利上げ決議。今年の3回の利上げ予想は既に市場に織り込み済ですので、大きな反応はないと思います。今後の関心事は、今年の利上げが4回になるのかどうかでしょう。


 3月に入ってからの為替相場での対米ドルの主要通貨のパフォーマンスは、カナダ・ドル、ブラジル・レアル等を除き、ほぼ全ての通貨が上昇(ドル安)でした。ただ、ユーロや円といった主要中の主要通貨は、レンジ内の動きに終始しています。

 ドル円相場は、日本の年度末、第1四半期末も影響しているものと見られます。例年、円は日本企業の決算の関係で円買い需要が多いとされてはいます。当面、105円〜107円でのレンジでの推移かと思われます。

 この季節要因は別として、国外からのアルミ等への関税措置に始まった通商摩擦問題も意識されます。直後のショック的な反応は緩和してきたものの、潜在的リスクとして意識され、ドル上値を重くしているでしょう。
 中間選挙へのアピールもあり、トランプ政権、次はどんなカードを出すのか?このリスクは意識されるものと思われます。ただ一方で、ビジネスマン出身のトランプ氏、カードを出してネゴを有利に持っていくという手法を使うでしょうから、冷静にみていく必要もありそうです。


 欧州では、先週ECB理事会が開かれました。
 驚きだったのは、今後の政策の指針になるフォワード・ガイダンスから「緩和バイアス(もし状況が悪化すれば、量的緩和の規模と期間について拡大する用意があるとの意味合いの文言)」を理事全員賛成で削除したことです。

 理事会後の総裁会見では、インフレに対する慎重な見方が示し、早期の利上げも否定しました。そんな経過だったので、発表直後の市場反応は、緩和バイアス削除でユーロ上昇、と思ったら、総裁記者会見を聞いて、ユーロ売りに転じましたが、どちらも大きな動きにはならず、結局のところユーロ・ドルも1.23を中心に狭いレンジでの動きでした。
 こちらもレンジ内相場でしたが、今後の潜在的な動きを考えると、可能性としては、利上げ方向への反応(ユーロ高)が高いのでしょう。

 欧州の政治面の話題としては、ドイツで結果的に大連立政権が承認され、求心力低下のメルケル首相に不安は残るものの何とか落着した一方で、イタリア選挙では「五つの星運動」(ユーロ離脱への国民投票を主張している)の大幅躍進による混乱です。イタリア選挙では、右派の「同盟」(ユーロ離脱、並行通貨導入案の主張も)も事前予想よりも躍進。左派も右派もどの政党も過半数は取れていないため、どのような連立政権が出来るのか? 今後の動向が注目されます。(イタリアはお国柄(?)じっくり時間をかけて協議するのではないでしょうか。


 このところ、終わってみれば乱暴なレンジ相場。上がると「やっぱり上か」下がると「やっぱり下か」と思うような、もっともな理由が交錯します。

 ここは、遠目に見てみるのも一案でしょうか。大きな流れが見えるかもしれません。

 春分の日の前に各地で桜の開花も聞かれるようです。毎年律儀に咲く花を愛でる余裕も持っていたいですね。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※3月14日東京時間13時執筆
 本号の情報は3月13日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記して


式町 みどり拝


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為替市場動向〜FRB新議長の初登場はタカ派で〜

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 市場波乱と冬季オリンピックに揺れた2月も末日となりました。

 株式市場は、2月中旬を当面の底になるのか戻りを試しているように見えます。
 一方で、株式市場下げのきっかけとなった米国長期金利の利回りは大きく変化しない中で、注目されたのが昨日のFRB新議長であるパウエル氏の議会証言でした。

 先週21日に発表された1月のFOMC議事録(イエレン議長最後のFOMC)の声明文では、利上げに関して『「更なる」慎重な利上げ』の継続が明記されていました。
 「更なる」という言葉の追加は、景気に対する見通しの引き上げ、金利上げ路線を維持するというFRBの意図を示したのではないかとの推測が多数をしめました。
 2017年の3回利上げに引き続き、2018年も3回利上げをするだろうという予想が大半を占めました。一方で、1月の雇用統計での賃金上昇から始まったとも言えるインフレ懸念は加速を見せているわけではないのではないか?それによる行き過ぎた金利上昇は景気に悪影響だとの見方もFRB内部にもあると見られます。

 この辺りを踏まえて、新議長が初の議会証言でどう発言するのかが注目されていました。
 先般の株式市場の下げが金利上昇であったことも意識しての発言をするだろうとの予想もありましたが、実際に行われた昨日の議会証言は「タカ派」を思わせる内容で、インフレ見通しについても加速懸念の高まりを示唆していました。

 パウエル総裁発言を受けて、市場では利上げが年3回から4回になる可能性もありとの見方も出て、政策金利の見通しの影響を最も受ける2年債利回りが2008年以来の水準2.27%に上昇し、発言前まで2.85%水準だった10年債利回りは2.90%に上昇しました。

 米国の足元の好調な経済に加えて、税制改正等の景気刺激政策による成長期待、完全雇用に近い労働市場の好調さが金利上昇の背景にあるわけですが、市場金利の上昇は借入金利の上昇に繋がります。金利上昇が続いた場合、大きな消費である住宅市場への影響も出るでしょう。金利に特に敏感な米国の住宅市場動向は今後よく見ていく必要があると思います。

 株式相場の下落(または調整?)でリスクオフ色が高まった2月、ドル円相場はレンジの下値メドだった107円を割ると、スルスルっと2月16日に105円55銭までつけました。
 昨日はパウエル発言を受けて金利上昇⇒ドル高という反応でした。しかし、このところ、為替市場は、金利市場や株式市場との相関がマチマチです。

 米国の金利上昇がじわじわ始まり出した時、インフレ懸念の高まりによる債券利回り上昇⇒インフレ懸念の高まりは通貨価値の低下というドル安との解釈も多くありました。

 名目金利からインフレ率を引いた金利が、ご存じのように実質金利です。
 米国の実質金利の低下はドル安に繋がり、逆に実質金利上昇はドル高に繋がりやすいです。

 現在、ドル安円高&米金利上昇している状況は、ドル債投資も一つの投資選択肢かと思いますが、その為には、インフレ動向、実質金利のウォッチを見ていく必要かと思います。


 一方、日本サイドの材料では、日銀総裁、副総裁人事が決まりました。
 総裁は事前の予想通りでしたが、副総裁人事ではリフレ派の若田部氏、黒田総裁の緩和政策を影で設計したと伝わる雨宮氏が決まったことから、金融緩和の出口は近くはないという連想に繋がり、その点からはドル円相場の下値を限定する背景になると思います。

 明日からの3月は日本は年度末、海外は第1四半期末でもあり、節目に起こる諸要因に振らされることも多いと思います。と同時に、絶好のチャンスの可能性もあるわけで、資金に余裕を持って冷静に臨みたいと思います。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※2月28日東京時間15時執筆
 本号の情報は2月28日の東京市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜通商問題発言からの米ドル安の流れ〜



 2月2日に発表された米国の1月雇用統計における賃金上昇率の加速をきっかけにして、インフレ懸念→長期金利の急上昇→資産価格の割高感→水準修正の動きへと連鎖。もともと高所に居た米株式市場の大反落と共に、リスクオフの株安が世界的に広がりました。
 債券安・株安の動きが支配的になってから約2週間になりますが、未だVIX(恐怖指数と呼ばれる変動率)も高値に張り付き、心理的にリスク敏感な地合いが続いています。


 一般的に、投資家がリスクオフを選好する中では、為替相場は円高ドル高基調であることが多いのですが、昨日までドル円相場は108円でサポートされて不思議な位静かな動きが続いていました。不思議な静けさの後には何か来るもので、日本の連休明けを襲ったのがトランプ大統領の通商問題への言及。これで一気にドル安・円高に動きました。
 元々、トランプ政権の公約の中にはアメリカ第一主義、通商問題もアメリカ優位に、という種類の公約がありますので、粛々と公約に手をつけてきている感があります。

 スイス・ダボス会議でのムニューチン財務長官「ドル安政策を望む」発言では、本音をぽろっと口に出し、直後フォローして発言のインパクトを緩和した経緯もありました。
 このあたりは、分かっていたことではありますが、「対抗措置検討」という武器を見せたことによる材料面への反応、またタイミング的に中国の旧正月休みを前にしたポジション手仕舞いでの需給要因もあり、昨日から今日にかけての円高、ドル安、株安に繋がったと思われます。

 加えて、日銀総裁には黒田氏続投という先週出た報が、まだ正式に決まってないとの首相発言もあり、こちらも軽微ながら、円高に繋がったとも見られます。

 このところ、しっかりサポートされていた108円が破られたことで下方への圧力が働きやすくなってくると思われます。昨年の北ミサイル発射ショック時の107.30水準というサポートのキープも気になります。
 おりしも時期的に3月決算が目前。諸々の需給により乱高下になりやすいというのもあると思います。どちらにしても、ドルの上値の重さは当分続くものと思います。

 2月に入ってからの動きは、米国のインフレ懸念が賃金上昇の加速という材料がきっかけになったわけですが、それが物価上昇にどう影響しているのかを見る上で大事な指標、消費者物価指数の今年1月分が今晩2月14日日本時間夜に発表になります。数値次第では、債券利回りの更なる上昇となる可能性があり、変動率も高まるものと思います。


 10年米国債の現在の水準は2.8%台前半ですが、すぐ近くまで来た3%という大台がヒットされるのかどうかが注目されます。この3%は大きな抵抗線ですので、ヒットしたとしても簡単に定着していく水準ではないと思います。ただ、債券相場の変動率も現在高く、神経質な展開が続いています。
 好調と言われるアメリカ経済ですが、長期金利が3%を上回ってくると株式市場はネガティブ反応するのではないかと思います。


 年初来の主要通貨の対ドル相場は、韓国ウオンとカナダ・ドルを除いて、上昇(ドル安)の動きでした。
 ドルの相対的価値を示すドル指数は1月中には88.43安値をつけ、先週対欧州通貨を中心にドルがやや戻す場面があり、90台乗せもありましたが、昨日からのドル安の動きにより90を割ってきました。

 昨年来、為替相場と株式相場の相関性は薄れてきていましたが、昨日からの動きで相関度はぴくっと上がってきています。

 このところのリスクオフの展開は、年末年初にかけて高速アップした株式市場の単なる調整なのか、潮目の変化なのか、等々さまざまな見方が聞かれます。
 昨年来2月2日まで、平均11という異様に低位安定していたVIX(恐怖指数とも言われる変動率指数)が2月5日以来高止まり20〜50で上下しながら推移(直近26)しているのを見ると、まだまだ混乱は続く可能性が高いのではないかと思います。バーゲンと思えば出向くのもありかと思いますが、しばらく慎重に見ていく時ではないかと思っています。


 最後に、欧州通貨についてです。

 昨年来、上昇(ドル安通貨高)してきた欧州通貨は、ユーロでいえば1.25台、ポンドも一時1.43台までタッチした後、ここ1週間程のスピード調整を経て、ドル安の流れで再び上昇しました。ユーロでは、対ドル1.22、ポンドでは1.38水準は底堅いサポートとして働き、両通貨とも上昇(ドル安)トレンドに戻るものとみています。

 株式市場の激しい動きの傍らで、比較的静かだった為替市場にも春の嵐が吹き始めたのかもしれません。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※2月14日東京時間17時執筆
 本号の情報は2月14日の東京市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜米金利上昇でもドル安〜

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 2018年入りした市場は、投資家のリスク選好が高まりと共に始まり、株高、ドル安、債券安(利回り上昇)が進みました。
 ここ数日は月末要因という一時的な要因なのか?トレンド転換なのか?見極める必要があるとは思いますが、債券利回りの上昇を主な理由にして株式市場が大きな反落を見せました。

 余談ではありますが、今日1月31日は特別の満月(スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン)、皆既月食であることと関係あるのかないのかは不明ですが、株式の新年ラリーを中心にしたリスク選好相場に修正が入っても不思議ではない頃なのかもしれません。


 まずは、米国債利回り上昇から見ていきたいと思います。

 2016年トランプ氏が米大統領に当選後に、財政への影響を見て米債10年物利回りは2.6%台をつけましたが、その後は大型のインフラ投資等の政策の実現性への期待が低下して一時は2.1%割れまで利回りが低下する場面もありました。

 その間、イエレンFRB議長は金融政策の正常化を粛々と実行して短期金利は上昇。拙コラムでも何回か話題にした2年債と10年債の利回り縮小がかなり進んだ経緯があります。背景にあったのは、インフレ見通しが低下して長期金利が上昇しない間に短期金利が上昇したというのがありました。
 その間、10年物利回りは上昇しても2016年の2.6%水準を上回ることはなかったのが、新年に入ってからは、あっと言う間に2.6%を超え、直近2.72%迄つけています。
 これが債券利回りの本格的上昇へのトレンド転換なのか見るには、もう少し様子を見る必要があると思います。

 債券上昇の主な背景には、米国経済の好調さ、トランプ減税が実現したこともあります。また、原油価格がじりじりと上昇。節目とみられたWTI60ドル/バーレルを超えてきたことも背景の一つとも言えます。

 それ以上に考えられるのが、海外要因かと想像します。

 昨年は欧州中銀が量的緩和政策を徐々に正常化するスケジュールを出し、昨年末あたりから(異次元緩和長期化とみられていた)日銀も出口戦略に向けての動きを市場が感じ始め、世界の資金の流れの変化に敏感な投資家に衝撃を与えたのではないかと思います。

 では、ドル金利が上昇しているのに、なぜドル安?という疑問が出ます。

 昨年末から直近までの対米ドル主要通貨パフォーマンスでは、韓国ウオン以外の通貨はすべて上昇(ドル安)。特に、原油高でノルウエイクローネなどの資源国通貨高、金融政策正常化への期待での資金回帰でユーロやカナダ・ドル、英ポンドでドル安傾向が顕著に見られます。
 また、米国のインフレ傾向が高まるとの期待が高まれば、インフレによる通貨価値の低下によるドル安も考えられます。

 更に、今年は米国の中間選挙の年。ダボス会議での米財務長官ムニューチン氏のドル安が好ましいという趣旨の発言(後日、トランプ大統領や本人からもフォローする発言がありましたが)は本音であろうと推察する人は大方だろうと思います。

 1月のドル円相場は、112円69銭に始まり、高値113円39銭、安値はムニューチン発言後の108円28銭で、ローソク足の月足は余程のことがない限り陰線引けになりそうです。
 チャートを見ると、このレンジは、昨年のレンジ内にあり、昨年来ドル円相場は200日移動平均の上に辛うじて位置して動いてはいます。

 今後の注目点は、引き続き日銀の動向ではないかと思います。その日銀の人事は、3月19日に副総裁、4月8日に総裁が任期を迎えるので、近いうちに人事についてのニュースが聞こえてくるのではないでしょうか。黒田総裁継続が大方の予想なので、異なる場合には市場は右往左往するでしょう。


 昨年来、ドル安を引っ張っているのは、ユーロです。

 先週の欧州中銀ECB理事会を機に、ユーロ高は進みました。昨年12月1.17〜1.19が主なレンジで、今年初は1.20水準からスタートしたユーロは一時1.25台もつけました。
 1月25日の理事会後のドラギ総裁の発言では「2018年に利上げ可能性はほぼない」もありました。発言の趣旨は急激に進んだユーロ高へのけん制だろうと見られます。
 ただ、年初公表のECB議事要旨発表以降の市場ではECBの金融政策へのタカ派色を見る向きが多く、暫くは、ユーロ高進行でけん制発言で反落するも下値は買いが入るという基本的な展開かと予想します。ただ、ユーロ高もポンド高も急激に進んでいるので、どこかで大きく修正場面があっても不思議ではないと思います。


 今週は、本日の米大統領一般教書演説、1月のFOMC(無風通過が大方の予想)2月2日には1月の米国失業率速報が発表されます。米国のFRBも2月には新しい議長を迎え、3月のFOMCに注目が集まっていくことになるでしょう。


 新年早々に大きな動きがあった1月から2月へと。動きが大きかっただけに、反動も予想されます。起こっていることを冷静に見極める時期かもしれません。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 どこも寒いですね。
 風邪、インフル流行っていますので、体調管理にお気をつけください。

※1月31日東京時間12時執筆
 本号の情報は1月30日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
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為替市場動向〜今年の最注目リーダーは日銀?〜



 新年が明けて、既に半月が経ちましたが、
 本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。


 2018年入りしたマーケットは、株高、ドル安、債券安で始まりました。

 債券市場の不安定な状態の背景を幾つかのキーワードをピックアップしてみると、以下が挙げられるかと思います。

【日銀、オペ減額】
【中国、米債購入抑制】
【原油上昇、インフレ】
【ECB,テーパリング加速】

 昨年末、2.40%水準だった10年物米国債の利回りは年初2.60%台に乗せるなど、やや過剰な反応がありました。そして、米債のみならず主要国の債券利回りは上昇。世界の債券市場は弱気へのトレンド転換か?との見方も出ました。
 その後、急激な金利上昇警戒感も緩和されつつありますが、もし本格的に相場が債券安に動くのであれば、アツい株式相場への冷や水になる可能性は大きいとも思えます。

 一方で、米国の暫定予算の期限切れが今週末に迫っているにも拘わらず、移民関連の問題のかみ合わない議論だったり、歳出削減計画についての議論も手つかず状態で政治の進んでいないという現状をみると、債券利回りの上昇は一時的なものになるかもしれません。


 そんな債券市場の動きの一方で、為替市場ではドル安が進んでいます。
 昨年末から直近までの主要通貨の対米ドルの推移を見てみると、強弱はありつつも、全ての主要通貨が対ドルで上昇しました。

 ドルの相対的価格を示す「ドル指数」は昨年年初(トランプ政権への期待相場)を頂点に下げが続き、特にECBの政策転換を切っ掛けに進んだユーロ高により下げは続き、直近のドル指数は2014年年初来の安値水準です。チャートを見ると、現レベルは下値サポートが見つけにくい危ないところにいるように見えます。

 昨年末112円半ばで終わったドル円相場は、「日銀超長期国債オペ減額」と「中国米債購入削減報道」のダブルのショックに加えて、年初の更なるユーロ高、人民元高も影響して、110円台まで下落しました。今後も110円水準がキープされ、110円〜114円で推移となれば、昨年のコアレンジと変わらないとも言えます。
 ただ、今回最も相場を動かした材料である「日銀の異次元金融政策の出口」は今年、世界の市場から最も注目されるポイントになろうかと思います。


 12月13日配信の拙コラムで、日銀の政策ツールとしての「ステルス・テーパリング」を話題にしました。
 2016年9月に日銀は、超長期国債買い入れに関して量を減額して長期金利水準を0%中心にコントロールすることに軸足を変えました。以来、量については減額は続けてきたわけですので、今回の反応に首を傾げる向きもあります。

 ただ、昨年11月の黒田日銀総裁の「リバーサル・レート」理論への言及から始まり、世界の主要中央銀行が金融正常化に動く中で、企業業績好転、株高の中で「今年は日銀が動くだろう」の思惑が出ても不思議ではないかもしれません。
 FRBもECBも、(今後何もなければ)正常化に進むプロセスに進んでいることを市場は既に織り込んでいますので、現状の緩和政策が長期化するだろうと予想されていた日銀も動くとなれば材料として新鮮さがあります。


 では、現実的に実現可能なのだろうと考えると、難しい点も見えてきます。

 まず、「2%の物価目標を達成」の数値を下方に変更するのか?
 その前に政府はデフレ脱却を宣言する(できる)のか?というのがあります。
 デフレ脱却については、政府は前向きではありながら、宣言するまでには及ばないように見えます。

 次に、来年に控えたイベントスケジュールがあります。
 来年は、天皇陛下の退位に伴い元号が改められます。政治面では、春の統一地方選挙、G20サミット開催、夏の参院選もあります。参院選では憲法改正が焦点になるだろうと予想され、政府にとっては正念場でしょう。
 また、経済面では、10月に消費税の10%への引き上げも予定されています。早過ぎるデフレ宣言、金融政策変更には慎重になるだろうとも推察されます。
 歴史を見ると、遅すぎても早過ぎても弊害を見てきましたので、どこでタイミングを計るのか難問でしょう。


 こうして見ると、現実的には難しそうに思える日銀の出口戦略実施ではありますが、今年はこの思惑が出たり入ったりして相場を左右する可能性が高いように思います。

 欧州では、ユーロ相場が年初のECB議事録開示により直近高値で1.23台までつける展開になりました。欧州政治にはドイツ、イタリア、スペインと懸念材料も残りますが、企業業績の回復等、欧州へお金が逆流するプロセスは続くものと思います。

 また、英国については、EUからEU離脱撤回を歓迎するとのコメントも聞かれ、英国内では2回目の国民投票実施を求める声も上がっていると聞こえてきます。
 そんな中で、ドル安基調もあって、英ポンドは対米ドル、昨年初の安値1.1987から直近1.3837まで反騰しています。


 年初から、色々な方面で変化が大きい環境ではあります。
 今年も良き投資の年となりますように祈念する次第です。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※1月17日東京時間13時執筆
 本号の情報は1月16日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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為替市場動向〜今年の振り返りから来年へ〜



 2017年も残すところ5日となり、町も市場も年末ムードが漂う頃になりました。

 そんな中、年末恒例のまぐまぐ!大賞2017資産運用(株式部門)1位の栄冠に輝いたとのめでたいニュース。誠に喜ばしいニュースに世界中が湧いているのではないか(?)と想像します。
 読者の皆さまの力強いサポートとメルマガ主宰者&関係者の皆さんの長年変わらぬ努力と継続の力だと敬意を持って祝福申し上げます。

 今年は、多くの執筆者の方と飲み会でお会いする機会もあったのですが、本当に素晴らしい方々が「億の近道」メルマガに関わっておられます。外国為替という切り口で、私も一端に関わらせて頂いていることを大変嬉しく思っています。


 さて、海外のクリスマス休暇明け、年末年始を控えて為替相場は閑散、値動きに乏しい展開が続いています。

 注目されてきた米国の税制改革法案は上下院を通過して大統領署名へと動きました。
 トランプ政権では初の主要な選挙公約の実現。来年の中間選挙に向かってアピールできる成果でしょう。この公約を掲げた昨年の大統領選当選時には、長期金利はジャンプアップし10年米国債利回りは昨年12月に一時的に2.6%台をヒット。期待先行の反応だったと思われ、その後は、幾つかのリスクオフ要因(フランス大統領選に見た欧州政治の右傾化懸念、北朝鮮リスク、トランプ政権の諸疑惑やスキャンダラスな見方)により質への逃避で一時2.03%まで債券買いが進んだ場面もありました。

 今、年末に来て10年債利回りは、年初と同水準の2.4%台後半で年越しに向かっていて、終わってみれば高安の差0.4%程度での推移でした。

 一方、金利面で注目されたのは2年債と10年債の利回り格差でした。
 年初には1.25%あった格差は、直近では0.57%と半分以下に縮小しています。2017年内に金融政策の正常化が進み、政策金利を中心に短期金利が上昇した一方でインフレ率は低迷していることもあり、長短金利差は縮小傾向にあると思われます。

 2〜10年債利回り格差が逆転した過去のケースでは、株式等のリスク商品の下落が起こったことが多くあったことから注目されました。来年も引き続きFRBによる利上げ観測が続くことから、この指標は要注目でしょう。



 2017年の為替市場を振り返ると、全体的に小動き、そして、通年の推移はドル安基調だったと言えます。

 最も大きく動いた通貨は量的緩和の縮小に動き出したユーロでした。
 年初から直近で12.75%の上昇。政治リスクも言われて、一時は対米ドルパリティ予想もありましたので、売り方の買い戻しが大きなエネルギーで上昇しました。

 日本円は、3.29%の円高推移となり、主要通貨で下落したのはブラジルレアル(−1.8%)だけで他の通貨は高く推移しました。

 ドル円相場は、年初116.94に始まり118.60を高値に9月の安値107.32(北朝鮮リスクの影響)と高安は約11円。昨年の20円強の値幅の反動だったのかもしれません。

 景気回復は続いている一方でインフレ率が上昇しないという適温経済での株高の継続。
 株式相場と為替相場の相関度も低下した一年でもありましたが、来年もこの傾向は続くという予想が多くありますが、警戒しておきたいポイントもあります。
 例えば、先程、米国金利で記した10年債利回りが昨年の最高利回り2.6%を超えて(万が一)3%超えに向かうような事があれば株式市場にも警戒感が出てくるのではないかと推察します。


 来年2018年、日米の中央銀行の人事が変わることも年前半の注目点になるでしょう。
 米FRBはパウエル理事が議長に昇格、また退任する理事も数人居て、4名の理事の席が現在空席になっています。パウエル次期議長は、イエレン現議長の政策を踏襲していくものと思われますが、今後決まる人事も含めて理事会全体としてタカ派なのかハト派なのか今後の人事関連の決定を見ていくことになります。
 日銀総裁人事は、黒田現総裁が再任される予想が高いと思います。今年は日銀の政策変更が久しぶりになかった年ですが、来年以降の出口への道を模索していくリーダーは誰になるのか注目は高まるものと思われます。


 恒例の今年の漢字一文字(京都清水寺にて揮毫)が「北」でした。極東での「北」リスク、フランス総選挙にみた欧州での「右」傾リスク、トランプ大統領のロシア関連の疑惑やスキャンダル・リスク等、リスク要因に怯えた向きも多くありました。

 来年は戌年。相場格言では、「戌笑う」と言われます。
 そして、2017年は年末が日曜日、2018年元旦が月曜日と、年末年始の終始がきっちりとした印象があります。


 読者の皆さまには、今年も一年のご愛読を感謝申し上げます。
 来年が皆さまにとって佳き日々でありますように心から祈念致します。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※12月27日東京時間13時執筆
 本号の情報は12月26日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜米利上げ直前、静かなドル高基調〜



 師走も半ばに近づき、来週末はクリスマス。
 海外のクリスマス休暇や年末が意識される今週、注目イベントが予定されています。

 米国では、米利上げが確実視されるFOMC(連邦公開市場委員会)(発表は日本時間14日未明)と税制改革法案審議の行方、そして、明日は欧州中銀(ECB)理事会、英国中銀(BOE)理事会が予定されています。

 今回の米FOMCでは、以前から0.25%の利上げは確率100%と確実視されています。
 逆に利上げがなければ大事件となるでしょう。

 今回の注目は、来年の利上げ継続がどの程度表明されるのかにありそうですが、終了後に記者会見するイエレンFRB議長は2018年3月にパウエル氏に交代しましすので政策に大きく影響するような目新しい発言をするとも思えません。

 一方で、今回のFOMCでは理事による経済見通しドットチャートが(匿名で)発表されます。特に、これまでも注目されてきたインフレ見通しについては、来年以降の利上げ確率についてのヒントが得られるものとして要注目でしょう。
 昨日発表された11月の生産者物価指数は、プラス0.4%(前月比)と予想以上の数字でしたので、これがどう消費者物価に今後影響していくかも見ておきたいところです。


 米国発のもう一つの材料は、税制改革法案の審議です。懸念されていた暫定予算の期限切れは両院議会の暫定予算案の可決によって政府機関機能マヒを避けることができ、今週は両院案の一本化に向けての協議が行われ、クリスマス前の法案通過を目指すと思われます。
 税制改革は、金利面では金利上昇要因と言えますが、この材料は既に織り込み済ではないかとも思え、昨年トランプ氏が税制改革を公約としたときに2.6%近辺まで10年債利回りがジャンプしたときに比べると、材料は既に賞味期限切れで反応薄かもしれません。


 一方、欧州のECB理事会は注目された10月理事会で当面の政策を表明して実行していく過程にあるので大きな変更があるとは思えません。また、英国中銀BOEは11月利上げをしたばかりでもあり、ポンド安による消費者物価の上昇(直近11月は年率3%)はあるものの、2020年にかけて追加利上げは2回程度という基本姿勢は変えないのではないかと推測します。
 なお、ポンドに関しては、BREXIT交渉の前進により多少持ち直す動きも出ています。


 諸々ニュースや材料はあるものの、為替市場は静かな展開が続いています。
 FOMCでの利上げ観測によりドル指数はこのところ11月の安値から回復しつつあります。ドル円相場の変動率も低下し、トランプ米大統領の中東関連政策一部変更(イスラエルの首都問題)、ミサイル、テロなどのリスクオフ要因が発生しても瞬間反応にとどまり、111円50銭〜114円レンジでの動きが続いています。12月に入ってからの滞在時間では112円〜113円半ばに集中しています。
 注目材料の結果待ちという言い訳もありますが、海外のクリスマスや年末要因により大きな動きは期待できないように思います。


 本日の日本時間昼過ぎに、米国のアラバマ州上院補欠選挙で、共和党候補(セクハラ問題も話題となり)が敗北したため、上院での共和党議席が100中51に減り税制改革法案最終可決への懸念によりドルが売られる場面があっ
たものの値幅は今のところ限定的です。


 そんな中で、このところ話題に上っているのが先月に海外での講演で使われた黒田日銀総裁の「リバーサル・レート」理論に関する発言です。
 「リバーサル・レート」は、「金利が下がり過ぎると、金融仲介機能に悪影響があり、金融緩和の効果が逆に減衰する」というもので、黒田総裁は11月28日の衆院予算員会で日銀のイールドカーブコントロール政策もこの考え方に基づいて運営され、今後も変わらないとの見解を示していました。

 金利の過度な低下が銀行の収益悪化も含めて金融異次元緩和の副作用も懸念されてきたので、黒田総裁の発言は「次は出口」との示唆なのか、と疑心暗鬼は高まります。

 現在行われている量的緩和のツールの一つ、日銀による長期国債購入ペースの減額は、減額とは明示しない「ステルス・テーパリング」により既に行われています。これは、量ではなく長期金利の水準コントロールに軸足をおくためでした。
 今後、「出口」へ動く場合には、金利コントロールの水準を上げるのかもしれない可能性には注目しておく必要があります。

 また、世界的にも稀に見る中央銀行による巨額のETF買いも、株式市場上昇の環境の中、今後どのように異次元から普通に戻していくのか、物価上昇率2%迄は現状維持とされてきた政策の出口について(生活の中の身近なモノの値段の上昇を実感する中でもあり)関心が高まりそうです。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※12月13日東京時間13時執筆
 本号の情報は12月11日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
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為替市場動向〜ミサイル飛んでも米株は最高値そして為替は静か〜

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 今朝日本時間未明の北朝鮮のミサイル発射にも拘わらず、感謝祭休暇明けに始まった米国の税制改革案審議の前進や、28日に行われたパウエル次期FRB議長の指名公聴会での発言中でされた金融規制緩和への方向性を好感し、リスク選好の動きとなりました。

 米国の税制改正審議は、年内成立を目指して進んでいますが、基本的に企業優遇、一方で家計の負担は増える税制改革ですので、株式市場にはプラスに作用するものと予想されます。
 ただ、家計負担増が個人消費への影響はどのように出てくるのかは、今後注目しておきたいところです。また、税制改革期待を大きな材料にしてきた米国株式市場に年内成立は材料出尽くしとなる可能性もあります。ここも気にしておきたいところです。


 今週末から早12月に入ります。米国の金融政策を決めるFOMCは12〜13日に予定され、昨日のパウエル(FRB現理事、次期議長)も12月の利上げには根拠がある旨を言われていましたが、市場予想でも96%という高い確率で利上げが示されていますので、既に12月の利上げは織り込み済です。注目となるのは、来年からの利上げがあるかポイントになるでしょう。

 直近のデータでは、5割程度の確率で3月にもう一段の利上げが予想されています。ただ、今年も何度も議論にあがったインフレ率の低迷をどう見るかが利上げ判断のネックになると言われてきました。構造的な課題があるのか、循環的な問題なのか等、インフレ見通しを見る上で議論されるのではないかと推察します。パウエル次期議長がどのような基準で判断されるのかに注目が集まっていくものを思われます。パウエル氏は、ほぼ現議長のイエレン氏と考え方はほぼイコールという見方も出てはいますが、就任してからの発言を注意深くチェックしていきたいと思います。


 一方、前号でも取り上げました米国債券市場でのイールドカーブのフラット化はじわじわ続いています。インフレ率が伸びないにも拘わらず利上げをした場合の引き締め効果が現在の好調な景気を減速させるリスクを感じ取っている表れではないかとも見られます。金融の正常化への金利面でのステップは、今回の12月利上げで一旦完了して、インフレデータ次第を重視しての判断になっていく可能性も高いと思われます。

 因みに、米債10年物利回りは直近2.32%、一方2年物利回りは1.74%、金利差0.58%(今月初では0.76%)と縮小が続いています。


 そんな中でのドル円相場。
 明日は11月月末なので、現水準(111円台)で終了した場合には3か月ぶりの陰線引けとなります。27日につけた110円84銭は2か月ぶりの安値でした。月初は112円〜113円台で推移していたものの、ドイツの連立政権協議での決裂というニュースでユーロ円の売りもドル円下げに繋がったフシがあります。111円割れでは、買い需要も見られるものの、上値も限定的です。

 ドルの長期金利の頭が重いこともドル相場に影響しているように思います。
 ドルの相対的強弱を示すドル指数のトレンドは下落傾向が続いています。
 今後、年末にかけて、流動性が薄くなることも予想されるマーケットですが、クリスマス休み前に今年最後の一花咲かせの相場があるかもしません。持ち高は軽くしておきたいと思います。


 欧州では、総選挙後のドイツが連立虚偽に難航してメルケル政権の発足に問題が発生し通貨ユーロの売り材料になりました。二大政党が議席数を減らし、極右が第三の政党になったため、連立には困難があります。今後、連立が成立しないと、選挙やり直しもあるとも言われます。結局、第4次メルケル政権無事発足との声が多数ですが、今後の動向が気になります。
 その他、イタリアでは政治の混迷が続いていて、来年前半に総選挙があると見られ、イタリア政治は引き続きリスク要因として働きそうです。


 EUとの決別の作業が続く英国では、英国側の要望通りには進んでおらず相当厳しい条件になるものと伝わっています。伝わってくる交渉状況や関連する事象によって、英国ポンドは乱高下(元々乱高下が多い通貨ですが)して、その動きが他の通貨、特にユーロに影響することが多く見られます。乱高下するため取引きの対象としては難しい通貨ですが、他の通貨への影響を考えると、その動きだけでもチェックしておいた方が良いと思います。


 今週末から12月入り。今年もきっちりと〆られるようにベストを尽くしていきたいですね。
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※11月29日東京時間15時執筆
 本号の情報は11月28日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


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為替市場動向〜米債利回りカーブのフラット化〜

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 日本株相場の乱高下の傍らで、為替相場は比較的限られた動きではありましたが、12月の米利上げ期待を先取りして9月から上昇してきたドル相場が先週央から反落。
 特に、昨日14日は、中国景気鈍化の見方、米長短金利のフラット化(米国景気への先行きへのネガティブな見方)、またユーロ圏GDPの予想以上の数字を材料に、ユーロ主導でドル指数は10月中旬の水準まで反落しました。

 米国の金利動向の中でも、今後近い将来の金融政策の行方を示す2年債と長いスパンで予想される景気やインフレ動向への期待が入る10年債の利回り格差は、2007年以来の低いスプレッド(直近0.67%)です。
 2−10年債スプレッドは、ここ10年で最大2.80%(2010年3月)、その後は2%を挟んだ動きが続き、FRBの金融政策正常化が始まると、2年債が上昇に転じた一方で低インフレによる長期金利の限定的な上昇でフラット化が進んできました。

 2−10年債スプレッドは、今後の景気を見る上で注目されます。特に逆転は、株式相場がピークアウトする可能性を示唆しているとも言われるので、要注目しておく必要があります。2000年、2006年に逆転した時期がありました。


 さて、FRBの新しい人事では議長にパウエル氏が決定したことで、やや安心感あったようで、市場の反応は冷静でした。
 ただ、一部でパウエル氏が久しぶりの経済学博士出身ではないので、金融政策の理論武装に疑問符を出す向きもあります。
 FRBでは、フィッシャー副議長の退任、更に市場で一目置かれるダドリー理事(ニューヨーク連銀総裁)の2018年任期終了もあり、副議長人事に注目が集まりました。そんな中、昨日の報道では、モハメド・エラリアン氏(現ドイツ・アリアンツ社の首席経済顧問)がトランプ政権による候補の一人になったと伝えられました。リーマンショックによる金融危機後の低成長を≪ニューノーマル≫と呼んだことで知られ、最近のインタビューの記事も興味深いです。↓
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-28/ONJ6RK6S972901


 冒頭で記したように、昨日は通貨ユーロを筆頭にドル相場が頭打ちと思われる動きを見せました。

 そんな中で、ドル円に関しては、かなり限定的な動きです。
 11月に入り、114円70銭台をトライするも、米国の税制改正実現への疑問符から113円台へ反落。その後は113円台の往来が続いています。
 先日の上値トライでも、115円は今のところ重い蓋のようです。
 ただ、日銀・黒田総裁は2%実現まで大規模緩和続行すると数日前に欧州にて表明していて、一方でアメリカの金融正常化は金利の上げとバランスシート縮小開始で進んでいるという事実を踏まえるとドル円相場の下値は限定的であろうかと推測します。


 一方、通貨ユーロは、10月26日のECB理事会後のドラギ総裁のコメントから、テーパリング期待が薄れたのをきっかけに対米ドル1.18台から1.15台半ばまで下落したユーロでしたが、徐々に底打ちして、ドル相場下落を先導して昨日は1.18台まで戻してきました。
 今後、ドル下落の受け皿はユーロが担う可能性が高いように思います。

 スペインの国内問題(カタルーニュ独立)やイタリアの総選挙関連も今のところ落ち着いて、ネガティブ要因としては働きづらいと思います。材料としては、16日に発表されるユーロ圏の消費者物価指数が注目されます。


 一方、英国は、10月のBOE理事会で、10年ぶり利上げ(前回は2007年の7月)を行いました。ポンド安による物価上昇(目標2%に対して直近は3%)が主因です。
 ただ、BOE総裁カーニー氏からの発言からは、今後の利上げは当面ないニュアンスが伝わったことで金利先高観による通貨高は薄れたうえ、政局トラブル(BREXIT交渉が上手くいってないための現政権への批判や内部でのドタバタやスキャンダル)でポンドは下落傾向が続いています。

 英連邦がらみでは、オセアニア通貨が政局不安から弱い傾向が続いています。
 ニュージーランドでは、選挙で過半数とれた政党がなく、少数政党同士の連立により、重要な政策決定への不安によりニュージーランド・ドルは下落が続いています。


 政治がらみでの下落はオーストラリアでもありました。
 副首相の2重国籍問題による議員辞任により第一党の過半数割れとなったことや消費者物価動向の低迷も背景になっているようです。
 豪ドルは、ドル・ユーロ、円に続く準主要通貨とされ、外貨資産のポートフォリオにも多く入っていますので、豪ドル下落の資産運用への影響は小さくありません。好金利通貨として日本でも根強い人気の通貨です。
 ただ、豪ドルと円通貨ペアは、豪ドルが商品相場などとの相関性高い傾向にありリスク・オン相場で買わる一方、円はリスク・オン相場では売られる傾向の避難通貨とされるため、ポートフォリオへの豪ドル保有比率は調整する必要があります。


 11月も中旬を迎え、ファンドの決算や年末を意識した動きも加わり、ワイルドな動きも予想されますので、慎重な姿勢が必要かと思います。

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