書評:炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす



炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす
   佐藤健太郎著、 新潮選書
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●人間も脳も電気仕掛けでは無い

 正直申し上げれば、私も亀の甲羅と呼ばれる化学式にはアレルギーがある。また、マスコミで騒がれる新技術は、概ねITかバイオテクノロジーであって、化学研究におけるブレイクスルーでは無い。

 しかしバイオテクノロジーの基本は化学反応であり、生物も化学反応によってその生命を維持しているのだ。

 よく人間の脳を電気信号で動くコンピュータに例えて、シンギュラリティー(人工知能が人間の脳の能力を超える瞬間)などの議論もなされるが、それは不毛である。

 確かに、脳波や心電図などの例をあげるまでも無く、人間の体には電気が流れている。しかし、それらの電気はすべて化学反応によって生み出されるのである。正しくは「生命を維持する化学反応の結果電気が生じる」のであって、決して「電気が人間(生命)を動かしている」のでは無いのだ。

 これは当然人間の脳にも当てはまる。生物学的知識がほぼゼロのコンピュータ技術者などが、今すぐにでも「電気仕掛け」の人工知能(AI)が、人間の脳を追い越しそうな話をするが、「化学反応」というベースを持たない人工知能は、そもそも人間の脳と全く異なるものである。

 電気そのものが、化学反応の結果生まれるのはもちろんだが、例えば、シナプスと呼ばれるニューロンの連結部の情報伝達は、電気信号では無く化学物質によって行われる。だから、すべて電気信号で送る場合よりも、格段に伝達速度が遅い。

 例えば、ボールを追いかけて道路に飛び出した子供を目がとらえて、足がブレーキを踏むまでにはごくわずかだがずれが生じる。これは、神経や脳での伝達に化学物質が関わっているからである。

 もし、電気信号だけで情報を伝達していたら、そのスピードは光の速さに準じるから、このようなずれは生じない。

 それでは、なぜわざわざスピードの遅い化学反応による情報伝達を人間が選択したのか?
 発生学的に考えれば、原始的な生物が電気による情報伝達を始め、その後進化の過程で化学反応による情報伝達が加わっていったようなのだ。

 進化上の「自然選択」で、化学反応が選ばれたのならば、そこには合理的な理由があるはずだ。考えられる推測の一つは、単純な情報の伝達には電気信号がふさわしいが、複雑な情報の伝達には化学反応の方が効率的であるということである。

 例えば、現在研究中のAI(エキスパートシステム)では、ディープラーニングをはじめとする複雑な情報処理が加速度的に増えているため「いったいコンピュータがどのような過程で結論を出したのか」という検証が困難になってきている。つまり「複雑系」の有名なバタフライ効果のように、台風を引き起こす蝶の羽ばたきがいったいどこで起こったのかを遡って解析するのは事実上不可能になってきているということである。

 つまり、単純な電気信号のやり取りを巨大化していくと、その単純なやり方の集積では処理が非効率になる「臨界点」が必生じるということである。

 私は人間の「意識」というものも、そのような「複雑系」を制御するために発展したのではないかと思う。人間の意識が極めて漠然として捉えどころがないところが、その証拠だと考える。

 また、化学反応による情報伝達も、そのような膨大な情報を網羅的(ファジー)にとらえて効率的に処理する「進化上の戦略」と考えられる。

 だから、生物(人間)の基礎は<化学反応>にあるといっても良い。


●生物は反自然である

 「自然」というものをどのように定義するのかはかなり難しい問題だが、究極の自然である「宇宙」というものを考えてみると、この広大なスペースは「エントロピーの法則」によって支配されている。

 例えば、割れたガラスを元に戻したり、ミルクと砂糖を入れたコーヒーを元のようにもどすのが困難なように、宇宙のすべての物事は「整然とした状態から乱雑な状態へ変化していく」。

 その宇宙の法則に反する(少なくともそのように見える)のが生物(生命)である。

 本書にもある通り生物は地上にわずか0.08%しか存在しない炭素をかき集めて、その炭素を中心とした化学反応によってエントロピーの法則に逆らうのだが、その<反自然>状態はそれぞれの生命個体にとっては負荷が大きい。
 そのため、宇宙線によるDNAの損傷が激しくなり修復よりも新品を手に入れたほうが合理的な状態になると、若い固体に後を託して古い個体は死を迎える。

 つまり、それぞれの個体にとって望ましく無いことでも、生命システムにとって「個体の死」はシステム存続のために極めて重要な役割を果たすのだ。

 また、生命(人類)がエントロピーの法則に逆らって生きながらえていくためには、元素の中でも「炭素」が極めて重要である。

 人間の食物のほとんどが炭素化合物であるが、ジャガイモについてはアダム・スミスの「国富論」でもくどいほど事細かに述べられている。少なくとも18世紀までは食糧は「国富」の重要な要素であったのだ。

 現代では、恵方巻の大量廃棄が話題になるほど、食糧は文字通りはいて捨てるほどあるが、そのような状態は、せいぜいここ数十年くらいの間の話である。第2次世界大戦後、英国では長い間食糧の配給が続いたし、日本でも戦後の食料事情は劣悪であった。

 もうひとつ現代文明を成り立たせている炭素化合物が石炭、原油、天然ガスなどのエネルギー資源である。

 この使用も、本格的になったのは産業革命以後であり、現代文明は豊富な食糧とエネルギー資源という、地上にごくわずかしか存在しない炭素の化合物の恩恵を受けている。

 ちなみに、今話題の炭素繊維なども含めて、ハイテク分野での素材開発に炭素は欠かせない。

 炭素を中心とした「化学」は、もっと注目されてよい分野だと思う。


(大原 浩)

★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
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書評:ケインズ もっとも偉大な経済学者の激動の生涯




書評:ケインズ もっとも偉大な経済学者の激動の生涯
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●君子豹変

 ケインズが経済学の歴史に偉大な足跡を残したことを否定する人はほとんどいないだろう。しかし、その評価はまるでジェットコースターのようにアップダウンを繰り返してきた。

 また、アダム・スミス、フリードリヒ・ハイエク、ミルトン・フリードマン、さらにはカール・マルクスの主張には明確なイメージを持ちやすいが、ケインズの主張は一つの明確なイメージにまとめにくい。それは「君子豹変」という言葉に象徴されるカメレオンぶり(決して否定的意味では無い)のせいであると考える。

 彼の有名な言葉に「状況が変わったのになぜ考え方を変えないのか?」というものがある。確かにその通りである。特に社会科学においては、考え方を変えることは「悪」とみなされがちで、同じ主張を繰り返すことが「終始一貫」していて好ましいことだと評価されがちである。

 しかし、自然科学の世界では全く違う。新しい証拠が発見され状況が変われば、理論が変わるのが当然である。ニュートン力学はアインシュタインの相対性理論によって大きく改変されたし、そのアインシュタインが生涯否定的であった量子論は、現在の物理学の主流になっている。

 さらに、太陽が地球の周りをまわっていると教えていたカトリック教会全盛の時代はともかく、20世紀の初頭には宇宙は銀河系の大きさであるというのが定説であった。もちろん、現在では宇宙の大きさは138億光年以上であることがはっきりしているし、宇宙は一つでは無いというマルチバース理論も勢力を増している。

 だから、ケインズが考え方を現実に合わせて変えたのは自然科学的手法とも言える。


●名医は机上の空論で治療しない

 ケインズをもう一つの側面から分析すれば、彼は象牙の塔で机にかじりつく学者では無かったということである。

 第1次世界大戦後の平和条約締結やブレトン・ウッズ体制の構築にも関わった(大蔵省の)官僚・役人でもあった。経済政策の結果がもののみごとに跳ね返ってくる「現場」にいれば、机上の空論にこだわって頑固な態度をとるバカらしさも良くわかったはずである。

 また、彼は名医にも例えられるであろう。経済を患者とすれば、政治家、官僚・役人は医者である。医学・生理学のノーベル賞を受賞するほどの素晴らしい研究者であっても、個々の患者の治療の腕前はまったく別である。手先の不器用な医者にはメスを持ってほしくない・・・。

 患者の病状を把握し適切な治療を行う医療行為は言ってみれば経験と勘に裏打ちされた職人芸であって精緻な「医学理論」はあくまで補助的役割である。

 ケインズは、研究熱心な医者であったといえるし、彼の評価もその観点から行うべきであろう。


●真の自由には規制が不可欠である

 筆者は基本的に「新自由主義」の立場をとる。ハイエクやフリードマンの理論を背景にしたサッチャーやレーガンの政策が典型であるが、誤解されがちなのは、彼らも「自由」を維持するためには政府や法律が不可欠であることを十分に理解していたことだ。

 ジョン・ロックの市民政府論にもあるように、「他人が自分を殺す自由」を持っている無政府状態では、本当の意味の自由は存在しない。政府が「他人が自分を殺す自由」を取り上げてこそ、本当の自由社会が出現するのだ。

 経済政策においても同様である。レーガンやサッチャー以前、あるいは現在のように特殊利権がはびこっている社会では「新自由主義」は大いに有効な政策である。

 しかしアダム・スミスが鋭くも政府の重要な役割として、国防・警察以外に「商工業者のカルテル」の打破をあげていた様に、自由主義がカルテルの自由を是認し、特殊利権を生むという自己矛盾が存在する。

 アダム・スミスは、お茶会であろうと舞踏会であろうと商工業者がカルテルの話をないことは無いと皮肉を述べているが、いわゆる「独占禁止」を行うことが政府の重要な役割である。

 サッカー、野球、ラグビーどのようなスポーツでも、ルールと審判がいなければ単なる乱闘になってしまうが、社会にも法律と政府が存在しなければ単なる無法状態である。


●負け続ければ誰も麻雀をやりたくない

 自由競争が社会を発展させる原動力になるのは、これまでの歴史を振り返れば火を見るよりも明らかだ。

 しかし、問題は競争には必ず勝者と敗者が生まれるということである。

 例えば麻雀を例に挙げよう。このゲームには運・不運もあるが、概ね技術のすぐれたものが平均的には勝つから、経済活動によく似ている。

 そして、麻雀が下手なものは運・不運があるにしても平均すれば必ず敗者になる。もちろん、麻雀が上達するように努力するのは自由だし、そうあるべきだが、持って生まれた才能が左右する部分も多々ある。そもそも、麻雀のルールは既に決まっていて変えることができない。

 そうなると負け組の選択肢は、永遠に負け続けるか、麻雀卓をひっくり返して「革命」を宣言するかのどちらかしかない。

 自由競争は素晴らしいが、そのルールは民主的手続きを経るにしても、社会や政府が決定するものであり、それが有利に働く人もいれば不利に働く人もいる。

 だから、弱者(敗者)は、社会や政府が決めたルールによって生まれるとも言える。

 ケインズが活躍したのは、大恐慌を挟んで第一次世界大戦から第二次世界大戦の間である。この英国の困難な時期に、ケインズが純粋な自由主義に修正を加え、政府が経済を導くことを否定しなかったのは偶然ではない。

 敗者や弱者を無視する社会は永続性が無ことをよくわかっていたのである。


●ケインズの教え

 ケインズは、加熱した景気を引き締めでコントロールできることは認めていたが、落ち込んだ景気を低金利政策で浮上させることには懐疑的であった。

 現在、世界中の中央銀行が超金融緩和政策を行っているが、「借金漬けで消費を行う特異な文化」を持つ米国以外では、それがうまく機能していないことを見ても、彼の正しさが分かる。

 また、「金本位制」の復活には否定的であったが、それは金本位制は「為替調整」の機能を消失させるからである。ブレトンウッズ体制構築の際に、固定為替レートながら「変動幅」を導入したのは、「為替調整機能」をわずかながらでも温存するためである。

 現在、この為替調整機能が大問題になっているのがEUである。ドイツが大幅な貿易黒字国となっているが、黒字の大部分は対EU加盟国に対するものである。

 為替調整のからくりはこうだ。例えば日本が貿易黒字を出し続けると円高になって、輸入国の実質製品価格(輸入国通貨の換算レート)が上昇し、その結果輸入量が減少し日本の貿易黒字も減る。これが「為替調整」だ。

 しかし、ユーロという単一通貨を導入したEU内では、かつてのマルク高のような現象は起こらず、統一通貨であるユーロの価値はどこの国でも不変である。したがってドイツの独り勝ちは為替調整されることなく永遠に続くのである。

 今こそ、ケインズの知恵を経済政策に生かすべきではないだろうか?


(大原 浩)

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孫子と三賢人のビジネス その5



産業新潮
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
2月号連載記事


■その5 敵を知り己を知る

●終身雇用の重要性

 ドラッカーもバフェットも、「終身雇用」を重視し、それを維持することが競争力の源泉であると考えています。特に、バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイでは「定年」というものがありません。一応、104歳まで車椅子に乗って現場で指揮を執ったバークシャー傘下のネブラスカ・ファニチャーマート創業者の「ミセスB」に敬意を表して104歳が定年ということになっています。しかし、それを超える人物が出現すれば、定年はいくらでも引き伸ばします。また、ごくわずかの特殊な例を除いて、他社から引き抜いたり、逆に他社から引き抜かれたりしたことが無いのもバフェット(バークシャー)の自慢です。

 ドラッカーも「高い費用と長い期間、それに多大な労力をかけて教育した人材を簡単に手放すような馬鹿げたことはすべきではない」として、安易なリストラ(人員削減)によって、目先の収益をかさ上げする手法に警鐘を鳴らしています。


●買収先の経営者を温存する理由

 バフェットはまた、買収した企業の経営者を追い出したりしないで、そのまま仕事を継続してもらうことでも有名です。むしろ、既存の経営者がそのまま経営を続けることを買収の条件にしているといった方が正しいでしょう。この理由について、彼は「我々が新たに優秀な経営者を見つけるのはとても困難である」からだと述べています。

 この言葉が、自らバークシャー・ハサウェイの(実質的)創業者として、世界有数の企業に育て上げた実業家のものであることに注目すべきです。彼ほどの優秀な経営者であっても、だれかお気に入りの経営者を連れてきて、買収した会社の幹部に据え、後ろから糸を引こうなどとはつゆほども思わないということです。

 また、このような方針には色々な副産物もあります。まず、このバフェットの方針が世の中に知られるようになるにつれ、敵対的買収を恐れる企業の経営者から「ぜひバフェットさんに売りたい」というオファーが殺到し、優秀な企業が好条件を提示して行列するようになります。また、売却後に既存の経営者が経営から手を引く場合には、どのような経営上(財務上)の問題が隠れているのかわかりませんが、売却後も自分自身が経営を行う経営者が「ごまかし」を行う可能性はあまり高くはありません。

 バフェットは、企業買収の際にデューデリジェンス(決算書などの財務諸表に対する会計士などの精査)をほとんど行いませんが、彼自身が財務諸表を見抜く力があるというのはもちろんのこと、経営を継続する人物が会計上のごまかしをすることが少ないということも安心できる理由です。その代わり、買収先企業の経営者との人間的親交を深めることには熱心で、彼らは、バフェットの親友ビル・ゲイツなどの財界の大物とのゴルフのラウンドに招待されるのが通例です。


●子犬に老犬のトリックを教えることはできない

 これはバフェットお気に入りの言葉の一つです。老犬は体力も落ちて、スピードや敏捷性では、子犬にも劣ります。しかし、老犬には長年の人生で培った「経験・知恵」という武器があり、それは子犬には簡単に(絶対に)学べないということです。


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
2月号をご参照ください。



(大原 浩)

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書評:モサド・ファイル





書評:モサド・ファイル
   マイケル・バー=ゾウハ―&二シム・ミシャル著、早川書房
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●第2次冷戦の中核、諜報戦争

 米中貿易戦争から始まった「第2次冷戦」が本格化している。第1次冷戦でもそうであったが、「ホット・ウォー」(実際に戦火を交える戦争)ではなく、その一歩手前の「コールド・ウォー」では、諜報合戦(スパイ工作)が極めて重要であった。

 もちろん、諜報戦争でも多少の犠牲者は出たし、世界中から恐れられるイスラエルの諜報機関「モサド」のように、殺戮の限りを尽くす「殺人部隊」としか呼びようが無い組織があるし、CIA(米国中央情報局)も2011年5月にパキスタンという主権国家の意向を無視して、米国特殊部隊が行った、ビン・ラディン・斬首作戦に当然関わっている。

 それでも、第一次冷戦時代に現実の恐怖であった「全面核戦争による人類滅亡」や、それぞれ数千万人単位の犠牲者を出した、第1次および第2次世界大戦の再発よりはましだというのも事実である。


●孫子が最も重視するスパイ戦

 古代の兵法家・孫子の「戦わずして勝つ」という言葉は、あまりにも有名だが、孫子が戦いを避ける重要性をくどいほど繰り返して述べるのも、戦争とは、莫大な経費と多大な人民の犠牲の上に成り立つものであるからだ。

 それほど大きな犠牲を払う戦争を避けたり、どうしても戦わなければならないときに勝つために、「爵位や俸禄を与えるのを惜しんで敵状を知ろうとしないのは愚かなこと」だというのが孫子の考えである。

 以下、「孫子13章」の最も最後にかかれ、最重要視されている孫子のスパイ戦に関する考えを読み解く。

1)すぐれた将軍や君主が人並み外れて成功できるのは、あらかじめ敵の状況を知ることが出来るからである。敵の状況は、占いや自然界の規律、過去の出来事などによって類推できるものではなく、優れたスパイを使うことによって得られるのである。
2)スパイには5通りある
 a.郷間=村里のスパイ。敵の村里の人々を利用して働かせる。
 b.内間=敵方の内通者によるスパイ。敵の役人を利用して働かせる。
 c.反間=こちらのために働く敵のスパイ。つまり、敵のスパイを利用して働かせる。
 d.死間=死ぬスパイ。偽りを広めて、味方のスパイにそれを信じ込ませ、敵に告げさせる。
 e.生間=生きて帰るスパイ。その都度帰ってきて報告を行うスパイ。

3)これらのスパイが活発に活動しているにも関わらず、その働きぶりが人々に知られないというのが理想である。

4)軍隊の中では、将軍や君主はスパイと最も親しく接し、報酬も最も高くする。

5)スパイを使いこなすには、思慮深さ、仁義と正義が必要であり、細かい心配りが無ければスパイが持ち込んだ情報の真偽の判断が出来ない。

6)スパイの情報がまだ発表されない内に、外から入ってきたら、スパイとそのことを知らせてきた人間を死罪にする。

7)攻めたい軍隊、攻めたい城、殺したい人物がいるときには、必ずその官職を守る将軍、近臣、門を守る者、宮中を守る役人などの姓名を調べて、味方のスパイにさらに調べさせる。

8)こちらに潜入している敵のスパイは、付け込んで利益を与え、うまく誘ってこちらにつかせる。反間=逆スパイ(二重スパイ)として用いることが出来るからである。

9)この反間によって敵の状況がわかるから、郷間や内間も使うことが出来るのである。また、死間を使って、偽りごとをした上で敵に信じ込ませることが出来るのである。さらに生間を計画通りに働かせることが出来るのである。

10)5通りのスパイの情報はどれも君主にとって重要だが、その情報の根源は反間であり、反間は最も厚くもてなすべきである。

11)スパイこそ戦争のかなめであり、懸命な君主や将軍が彼らをうまく使いこなしたうえで、全軍がそれに頼って行動するものである。


 現在のスパイ戦にも通用する驚くべき的確な内容だが、その中でも特に需要なのが、最後の二つ、すなわち10)と11)である。

 20世紀を代表し、冷戦の行方にも大きな影響を与えたスパイ事件のほとんどが二重スパイによるものであり、KGB在籍の二重スパイがフランスの諜報機関に1年間にわたって3000点にも及ぶ秘密文書を漏えいした事件は、ソ連邦の崩壊を早めたともいわれる。

 また、スパイというのは報われない仕事である。「007 ジェームズ・ボンド」などはまったく絵空事だ。薄汚れ、血塗られ、絶え間ない精神的プレッシャーでぼろぼろになる。

 前述のKGBのスパイも、プレッシャーに耐えられず酒浸りとなり、あろうことか車内で愛人と口論の上刺し、それを止めようとした警察官を刺殺したことにより逮捕された。

 最高のスパイ事件というのは、作戦遂行者と上司以外には知られていないはずであるから、世間の称賛を浴びることも無い。本書でも優れたスパイが登場するが、処刑されているか、身を隠してひっそりと暮らしているかである。

 「大義」に準じてスパイ活動を行うものも少なくないが、二重スパイの場合は金銭的動機によるものが多い。重要な情報であれば、1回あたり数千万円、トータルで数億円程度にはなる。

 しかし、それでもスパイの仕事というのは、命をかけるリスクの割には実りの少ない仕事だから、為政者は、彼らを厚くもてなすべきというわけである。


●日本にも本格的諜報機関が必要ではないのか?

 日本にはMI6.モサド、CIAのような本格的諜報機関は存在しない。
 内閣官房の内部組織の内閣情報調査室やいわゆる公安などの役所ごとの情報部門はあるが、国家的な諜報機関とは言えない。

 かなり前から「もう戦後では無い」といわれながらも、戦後体制が頑強に続いてきた。しかし、今ようやく憲法改正の機運が高まり、懸案の「自衛隊」問題もすっきりされようとしている。

 しかし、侵略者に対して軍隊で防衛するのは最後の手段である。先進各国が諜報戦に力を入れるのも、実際に戦火を交えれば国民や国家に大きな負担が生じるから、スパイ戦争という資源を有効に活用した戦術を、孫子同様重視しているためである。

 第2次冷戦に至る米中貿易戦争でも、米国が本当に止めたかったのは、共産主義中国がスパイ行為により先端技術を盗むことである。

 その点で、先進国で唯一スパイ行為を直接罰する「スパイ防止法」の無い日本での法律の制定は急務といえよう。

 第1次冷戦でも、KGBの活動の多くは、米国の(軍事)先端技術の盗用にあった。

 歴史は繰り返すわけだが、日本がスパイ天国といわれて久しい。スパイ防止法が無い日本は、特に共産圏のスパイがやり放題であり、大きな国家的損失を被っている。

 また、米国にとっても、対共産主義中国との闘いで、日本という情報流出の蛇口を止めたいという事情がある。

 第一次冷戦を彷彿とさせる、世界的な諜報戦争の中で、日本もCIA,MI6、モサドのような本格的な諜報機関の設立を迫られるだろう。


 なお、本書は、スパイ戦の実態を丹念な取材と豊富な資料で描いた良書である。ただし、著者がユダヤ人であるため、モサドが行う冷酷・卑劣な殺戮を肯定的に描いているのは気になる。


(大原 浩)


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書評:フリードリヒ・ハイエク



書評:フリードリヒ・ハイエク
   ラニー・エーベンシュタイン 著、春秋社
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 フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエクは、1974年にノーベル経済学賞を受賞したオーストリア学派の重要人物です。1976年に同賞を受賞したシカゴ学派のミルトン・フリードマンとともに、共産主義(ファシズム)などの全体主義に徹底抗戦し、「自由」「市場」に重点を置いた理論を追求した人物です(ちなみにフォンは下級貴族の尊称なのですが、第1次世界大戦後のオーストリア・ハンガリー帝国の崩壊後使用が禁止されます。ところが、ハイエクが渡英した際に戸籍に掲載されているということで、英国政府の証明書
等にフォンがつけられたのでそのまま使っていたとのことです)。
 二人がしばしば触れることですが、現代では全体主義(共産主義・ファシズム)などの左翼思想を信奉する人々が自らを「リベラル」と名乗るのは皮肉なことです。まさに言葉の乗っ取り(背乗り)であり、彼らはいわゆる「偽リベラルであり」、「自由」や「市場」を追求したハイエクやフリードマンこそが、本当の「リベラル」です。

 また、ハイエクは1950年にシカゴ大学の社会科学ならびに道徳科学の教授に就任しています。シカゴ大学の経済学部が外部からの教授の招聘を拒んだなどの裏事情があるようですが、本人はこのことを誇りにしていました。
 なぜかといえばアダム・スミスもグラスゴー大学(映画ハリーポッターのロケ地にもなった名門)の道徳哲学の教授(最初は倫理学教授)であったからです。

 実際、彼の代表書籍かつ最大のベストセラーが「隷従への道」であることからも分かるように、経済学よりも「(政治経済)哲学者」としての活躍が目立つ人生でした。

 「鉄の女」と呼ばれたマーガレット・サッチャーは、ハイエクを尊敬し彼の信奉者であることを公言していました。1975年に保守党党首、1979年に英国首相。サッチャリズムと呼ばれる<新自由主義>の背景にはハイエクが控えていました。

 ハイエクは1944年(「隷従への道」の出版を行った)当時から英国が<高福祉国家>路線を歩むことの危険性に警鐘を鳴らしていたのですが、案の定「ゆりかごから墓場まで」と呼ばれる高福祉政策のおかげで英国は破綻の危機に瀕しました。そのつぶれかけの英国を救ったのがサッチヤリズムであり、その政策の根本理念はハイエクの思想にあったのです。
 ただし、具体的な個々の政策に関してサッチャーがハイエクの助言を受け入れることはほとんどなく、彼女独自の政策を推進しました。

 高福祉政策でにっちもさっちもいかなくなっている現在の日本は、サッチャーやハイエクに学ぶべきであるといえます。

 また、第40代米国大統領ロナルド・レーガン(1981年就任)にハイエクを紹介したのもサッチャーです。すでにハイエクの本を読んでいて共感していたそうですが、ミルトン・フリードマンとともに「レーガノミクス」に大きな影響を与えました。

 先進資本主義諸国は、サッチャーとレーガンのおかげで繁栄し、ベルリンの壁崩壊(1989年)、ソ連邦崩壊(1991年)によって共産主義(ファシズム)陣営を打ち負かしました。


 ところが、現在の先進資本主義国はもう一つパッとしません。
 それは共産主義(ファシズム)が崩壊した後、カビの胞子が飛び散るように全体主義(共産主義・ファシズム)的な考え方が先進資本主義国に広がったからです。

 具体的にはフリードマンの「資本主義と自由」の詳しく述べられているように、先進資本主義国において、政府の力が肥大し政府が(民間に任すべき)すべてのことに口を出す全体主義的傾向が強まったのです。

 共産主義陣営の崩壊によって明らかになったように、政府が中央で集権的にコントロールするシステムは極めて非効率で、決して豊かな国にはなれません。共産主義中国が毛沢東の大虐殺(大躍進政策と文化大革命)で崩壊寸前の状態から甦ったのも、客家(はっか)の逸材小平が「改革・解放」政策を断行したからです。
 「市場」は共産主義の天敵ですから、これは驚くべき英断でした(もっとも、習近平の反動政治によって元の「北朝鮮状態」に戻りつつありますが・・・)。


 全体主義は共産主義、ファシズムだけの問題ではありません。
 民主主義国家、資本主義国家においても、特殊利権集団(労働組合、弁護士会、医師会、全農等など・・・)の圧力によって、保護政策、免許制度、補助金などの形で国家の関わり(権力の増大)が常に増加する圧力かかります。

 また、フリードマンが鋭く指摘するように政府は「(官僚・役人から見て)他人のお金を他人のために使う」存在ですから、支出の抑制が困難です。

 民主主義において有権者は、増税には反対するけれども(補助金など)をもらうことには賛成です。したがって、人気取りをしたい議員はばら撒く約束を繰り返し、増税はしないので借金が増えることになります。
 これは日本だけではなく、民主主義国家共通の現象です。

 例えば(日本の)野党は自分自身では何もしないで、政府(行政)の「あれが悪い・これが悪い」という批判を繰り返しますが、その批判によって政府が「改善」するたびに政府の関与は増大し権力が肥大するのです。


 本書は400ページを超える大著ですが、ハイエクの人物と思想、さらにはハイエクが生きた時代を的確に描写した良書といえます。


(大原 浩)


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書評:市場・知識・自由 自由主義の経済思想



 市場・知識・自由 自由主義の経済思想
 F.A.ハイエク ミネルヴァ書房
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●政府は必要である

 本書は、ハイエクが1945年から1973年までの間に行った講演、雑誌、事典類への寄稿論文を抜粋してまとめたものです。

 ハイエクの思想を知るうえで重要な文書がたくさん掲載されていますが、あくまで<寄せ集め>ですので、一本筋の通った<体系>を求めている方には向いていないかもしれません。

 第5章は<デイビッド・ヒュームの法哲学と政治哲学>というタイトルですが、ハイエクが、アダム・スミスの盟友(後援者)であり、かつ当時を代表する賢人であったデイビッド・ヒュームの影響を強く受けていることがよくわかります。

 徹底した「自由主義」「市場主義」を強く主張したことで知られるハイエクですが、決して「無政府主義者」ではありません。国民が豊かな生活を享受するために、政府が行うべきことがあるということも述べています。アダム・スミス同様、軍事(外国からの国民の防衛)、警察(犯罪からの防衛)を主張していますが、通貨に関してもコントロールすべきではないが(この点がミルトン・フリードマンと異なります)、経済成長に十分な量の通貨を遅滞なく供給すべきであると述べています。

 アダム・スミスが強調した特殊利権組織(スミスの表現では商工業者)のカルテルを打破する「独占禁止」の政府の役割については、当然ハイエクも同意すると思いますが、私の知る限りでは積極的な論述はありません。

 また、ヒュームの「人間本性論」(1740年にヒュームが29歳で出版)から次の引用を用いて、国民に対して社会ルールを順守させる機関である国家の重要性も説いています。「…定まった規則が無ければ次のような結果をもたらすであろう。…そうだとすれば人間社会に無用の混乱が生み出されるであろうし、人間の貪欲と偏愛は、もしいくつかの普遍的原理によって規制されなければ、世の中にたちまち無秩序をもたらすであろう」


●共産主義の無性生殖(クローン)、自由主義の有性生殖(多様性)

 アダム・スミスの国富論が1776年に発刊された後、80年以上も経った1859年にチャールズ・ダーウィンの「種の起源」が刊行されましたが、「人間社会・経済の進化」の概念が確立した後に、その思想をダーウィンが自然界(生物)に応用したのです。そして、「人間社会・経済の進化」という概念を生み出したのがデイビッド・ヒュームだとしています(アダム・スミスはヒュームの影響を受けた…)。

 それまでのキリスト教などのカルト宗教(一神教)では、「人間は楽園から追い出されたから、この世もその理想の楽園に近づけなければならない」との考えが支配的でした。

 つまり、「社会や経済にはあるべき姿が存在し、そのあるべき姿から外れた社会や経済を特定の人間のリーダーシップによって<人為的に修正>しなければならない」ということです。

 しかし、<あるべき姿>というのはいったい誰が決めるのでしょうか?
 それは、所詮不完全な人間が思い描いた一種の妄想にしかすぎません。

 そもそも、人類がこのような高度な思考が可能な「脳」を獲得したのは誰か(神も含めて)がデザイン・設計したからではありません。進化の過程の<自然選択>によって高度な能力を得たのです。

 ファシズム、共産主義、絶対王政、福祉国家(大きな政府)などの基本的な考えは「正しいやり方が存在し、その正しいやり方を国民に強制する」というものです。しかし、これは生物学で言えば単細胞(無性生殖)生物の手法です。自らと全く同じ(正しい)遺伝子を寸分たがわずコピーすれば、あっという間に個体数を増やすことができます。共産主義やファシズムで「優生学」が発達したのも偶然ではありません。

 しかし、このような単細胞(無性生殖)生物が生物界の覇者ではありません。
 なぜなら、金太郎飴のようなクローンを量産すれば、予想外の事態に直面したときにすべての個体が対応できず全滅する可能性が高いからです。

 我々人間も含めたほとんどの多細胞生物が有性生殖を行うのは、「多様性」を確保するためです。人間が恋愛に注ぎ込むエネルギーを考えれば<有性生殖>の非効率さがよくわかりますが、それでもオス(男)とメス(女)の遺伝子を混ぜ合わせることによって起こる<偶然>が生物の進化の原動力なのです。
 そして、その有性生殖という七面独臭いことを延々と続けてきた生物が、生物界で重要な位置を占めておりその頂点に立つのが我々人類なのです。

 人間社会でも、共産主義、ファシズムのように単性生殖でクローンを量産したほうが効率的だという議論がよく見受けられます。しかし、そのような社会はまったく進化せずに、あっという間に時代の変化に置いてきぼりになります。

 手間がかかるようでも「市場」や「民主主義」で有性生殖を行う社会こそが、持続的発展を行うことができるのです。


(大原 浩)


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孫子と三賢人のビジネス その4




産業新潮
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
1月号連載記事


■その4 国王と将軍、株主と経営者


●会社はだれのものか


 よくある議論のテーマですが、その際に混同されているのが、「会社はだれのものか」ということと、「会社はだれのためにあるのか」ということです。この二つの内容は全く異なっています。
 まず、「会社はだれのものか」という問いに対する答えは明快です。「会社は所有者たる株主のものである」と断言してかまいません。例えば、不動産に例えれば新宿駅前のアルタビルはだれのものかといえば、(不動産登記簿に記載された)所有者のものであることに意義を唱える人はいないでしょう。もしそうでなければ、アルタビルを買いたいと思う人は一体誰から買えばよいのか皆目見当がつきません。

 会社でも同じです。会社が株主名簿に記載された株主のものであることに疑いの余地はありませんし、だからこそ株式の売買が可能なのです。

 しかし、「会社はだれのためにあるのか」という問いに対する答えは全く別です。例えば、前記の不動産(アルタビル)のオーナーが、「自分のものだから」と言って、好き勝手に土地を使っていいというわけではありません。まず、建築基準法などにしたがって、容積率・耐震性などの制限を受けなければなりません。また、ビルで働く人々やテナントにやってくる顧客、さらには隣接するビルの関係者などの安全を図るため、消防法などに従って適正にビルを管理しなければなりません。不動産(ビル)は所有者のためだけに存在するのではなく、関係するすべての人のためにあるからです。一戸建ての住宅の場合でもそれは変わりません。近隣の住民やコミュニティとの関係無しに生活などできませんから、日影規制やゴミ出しのルールなどを守らなければなりません。

 会社も、その会社で生活の糧を得、自己実現を図る役職員はもちろん、その会社の製品やサービスを利用する顧客がいなければ成り立ちませんし、逆に言えば彼らのためのものでもあるのです。株主が所有者であることが明確ではあっても、社会あるいは市民に受け入れらない企業は価値を持ちません。さらには、ドラッカーが述べる「知識社会」での従業員は、「知識」という生産財を会社に提供しているわけですから、会社が従業員のためにあるという側面はより強まっているといえるでしょう。


●国王と将軍

 さて、このような「会社はだれのものか」というという問いに対して、孫子は「軍隊はだれのものか」という形で答えています。もちろん軍隊の所有者は国王ですが、将軍がきちんと統制し、将兵がその任務を遂行しなければ役に立ちません。持っているだけでは何の意味も無いのです。

 孫子はこのように述べています。
「国王にとって将軍は助け役であり、二人の関係が親密であればあるほど、良い成果を出せる。もしそのコミュニュケーションがうまくいかなければ、国家は弱くなる」。
 そして、三項目の注意すべき事柄を上げています。
1)戦争のことをよく知らないのに、軍隊を直接指揮しようとしてはならない。
2)戦争のことをよく知らないのに、将軍と一緒に軍隊を動かそうとしてはならない。兵隊はどちらの指示に従うか迷うことになる。
3)実戦のことも分からないのに、最前線で軍隊の指揮を行おうとしてはならない。兵士は迷い疑うことになる。


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
1月号をご参照ください。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。

★夕刊フジにて「バフェットの次を行く投資術」が連載されています。
(毎週木曜日連載)


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書評:トコトンやさしいロボットの本




書評:トコトンやさしいロボットの本
日本ロボット工業会 監修、 日刊工業新聞社
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●誰も3K労働を好んでやらない

 現在人手不足が騒がれている。いわゆる外国人労働者に関して、拡大政策を行う方向である。

 確かに、介護、建設・工事などの分野で「人手」が足りないのは事実である。
 しかし、それは単純に「厳しい労働に対して給与が安い」からに過ぎない。
 例えば、介護や建設などの分野の給与を3倍とか4倍(現在年収400万円であれば1200万円〜1600万円)にすれば、現在事務職をしている人々からも応募が殺到して、あっという間に人手不足など解消する。

 外国人労働者も「きつい」仕事を好んでやるわけでは無い。母国の賃金(物価)水準に換算すれば、数年働けは御殿が建つような高級に惹かれてやってくるに過ぎない。

 だから、外国人労働者にとって日本は「仕事場」にしか過ぎない。地方から東京にやってくる出稼ぎ労働者の心が故郷にあるのと同様に、外国からやってくる出稼ぎ労働者の心も母国にある。

 もちろん、それは心情的に理解できるが、日本にやってくる外国人労働者(移民)の多くが(一部を除いて)、日本に恋い焦がれて「日本人」になりたくてやってくるわけでは無いということは重要だ。

 欧米の移民問題の本質も移民先の法律やルール、そして文化を尊重し順守する気持ちを移民(外国人)たちが十分に持たないことが問題を悪化させている。


●日本人は異邦人に寛容である

 よく日本は「島国根性」で排他的であるというが、「おもてなし」という言葉にも代表されるように、たぶんどんな国の人々よりも「他人に親切」である。

 例えば、渥美清演じる「フーテンの寅さん」。日本全国各地、どこに行ってもあたたかく迎えられ、心温まる交流が繰り広げられる。

 また、漫画・アニメの中に、私が「居候漫画」と呼ぶ一大ジャンルがある。「オバケのQ太郎」に始まって、「ど根性ガエル」(居候するのはシャツの中だが・・・)、「ドラえもん」、さらには、地球侵略を目指す宇宙人が居候(家の地下だが・・・)する「ケロロ軍曹」に至るまで、異邦人をおもてなしし、快く居候させるのが日本の文化である。

 これは、日本という国が諸外国に比べれば歴史的に平和(戦後70年間はもちろん、江戸時代の300年近く、海外との戦争を行わなかった)であったことが大きな原因であろう。

 逆に、欧米の映画やドラマでの「訪問者」の描き方は恐ろしい。
 1939年に最初に映画化され、1981年のジャック・ニコルソン主演の4度目の映画化が印象的な「郵便配達は二度ベルを鳴らす」はもちろん、最近でもキアヌ・リーブスが主演した「ノック・ノック」(2016年)や「ザ・ギフト」(2015年)に至るまで「訪問者」には気を付けろというメッセージが満載だ。

 日本人同士の中では「居候漫画」のようなほんわかした世界を実現できても、外国人たちは異なった文化の中で育っている。

 やみくもに外国人を受け入れたり、安易に移民政策を推進したりすることは決して行ってはならない。


●高度成長期の人手不足が日本をロボット大国にした

 高度成長期にも現在と同じ人手不足が叫ばれ、中学卒業生は「金の卵」と呼ばれ、激しい争奪戦が起こった。この時に日本は外国人労働者を基本的に受け入れず、ロボット化・自動化で乗り切った。

 現在ファナックや安川電機などを筆頭に、日本のメーカーが工場用ロボット(機械)で圧倒的なシェアを誇っているのも過去の人手不足の際に移民や外国人労働者を受け入れず、自動化・ロボット化の努力を最大限に行ったからである。

 逆に、当時は安価で豊富な資源だと思われていた外国人労働者や移民を大量に受け入れ、ロボット化・自動化を怠った欧米は、製造業が衰退しただけでは無く、巨額の社会的コストというつけを払わなければならなくなってきている。

 今回の人手不足においても、経営者たちが政府に泣きついて外国人労働者を受け入れさせようとするのは、社会にとって大きなマイナスである。外国人労働者や移民が後々、日本にとっての大きなコストになるのももちろんだが、経営者が怠けて自動化・省力化・ロボット化が遅れれば、日本は競争に取り残される。

 例えば、低価格の飲食店ではタブレットによる注文が普通になってきているが、これは「適応」の好例である。

 銀行窓口や営業の現場でもタブレット端末による省力化が急速に進んでいる。さらには、介護の現場でも、センサーやGPSをフル活用した見守り、監視サービスやアシスト・スーツによる重労働からの解放も行われつつある。

 また、パラマウントベッドは医療用ベッドの大手だが、最近同社が発売する新製品には各種センサーが搭載され、まるで医療用機器のようになりつつある。

 工場の自動化・ロボット化が必然であったように、これまで日本では特に生産性が低かったサービス産業において自動化・省力化が急速に始まりつつある。

 海外での(工業用)ロボットの使用は、自動車産業が中心だが、日本では電子部品産業においても同じくらいの規模がある。すそ野の広いニーズに幅広く対応してきたことが、日本をロボット大国にしたのだ。

 せっかく「人手不足」に背中を押されてこれまで極端に生産性が低かった産業において省力化・自動化が進んでいるのに、怠慢な経営者と政府が「安い人間」を輸入し、その流れを止めるようなことがあってはならない。

 政府が行うべきは、人手不足を解消すべく、省力化・ロボット化で立ち向かおうとしている企業の支援である。

 本書は、我々が目指すべき「ロボット化」がどのようにあるべきなのかを考察する上で、極めてわかりやすい入門書である。

 ちなみに、本書にもあるように、製造業のロボット化によって各メーカーの雇用は増えた。海外に工場が移転する前までの、日本の各メーカーの成長を見れば明らかである。

 例えば、溶接のような過酷な環境で行う仕事がロボット化されても、それらのロボットを開発・管理する人間が増えるのである。また、新製品の開発やマーケティングを行う人間も増強される。

 サービス産業におけるロボット化においても、同じように雇用の総数は増えるのではないかと考えている。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。

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書評:ノーベル賞経済学者の大罪






書評:ノーベル賞経済学者の大罪
ディアドラ・N・マクロスキー 著、ちくま学芸文庫
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 私と財務省OBの有地浩が、「人間経済科学研究所」(https://j-kk.org/)を発足したのは今年(2018年)の4月である。
 「すでに終わった」マルクス経済学はともかく、その他既存の経済学も、やたら数式を振り回して「意味のないこと」を真剣に論じるのはばかげたことであると感じたのがその理由である。

 アダム・スミスが国富論と道徳感情論(二つの本は一体のものとして企画された)で述べているように、<経済とは人間の営み>であり、人間性=徳とは切り離せないものである。


 本書の著者も、間違った前提(意味の無い前提)を基にながながと論証する「ノーベル賞受賞経済学者」の大罪を暴いている。

 著者が述べる「黒板経済学」がなぜこうもはびこるのか?それは、生殺与奪の権利を握った学生たち(単位で支配している)を前にして威張っている方が、実際の経済に触れて泥まみれになるよりも、学者たちによって心地よいからである。

 米国の主要大学の学生を対象にした調査では、「現実の経済の知識を持つことは経済学にとって望ましい」と答えた割合はわずか3%であることが、問題の深刻さを示している。

 <経済学者の予想は当たらない>ことはほぼ正確に予想できるが、著者は「経済学者が借金をして自分の予想にかけて大富豪になったことは無い」と論破している。

 このような経済学者が、国民の血税や企業などの費用を浪費することはまさに大罪である。

 また、「人間は利己的存在である」というアダム・スミスの言葉が世間ではねじ曲がって伝わっている。アダム・スミスは<勇気、節度、実用知(自己利益)、正義、愛>という五つの徳目体系と一体化した場合にのみ自己利益を肯定しているに過ぎない。人間が自己利益だけで生きているなどという考え方は、アダム・スミスの考えとは真っ向から対立する。

 興味深いことは、<実験経済学において、「最も利己的」な行動を行うのは、経済学部の学生グループである>ことである。人間は利己的存在であると教授から洗脳されている学生が利己的行動(入学前は平均的な少年・少女であったはずである)をとるようになるのは恐ろしいことであり、大罪の一つでもある。

 このような現状を見ると「人間経済科学」の研究は急を要すると実感する。

 また、<数学専攻の学部生を経済学部の大学院に入学させるのをやめさせるべきである。歴史学、物理学、生物学の学生を増やすべきである>との著者の主張には大いに共感する。

 経済学に必要なのは、数学では無く生物学、歴史学、物理学などの<観察から結論を導く帰納法>であり、根拠の不明な前提から始まる数学もどきの<演繹繹法>では無い。

 その点、トヨタ生産方式の「現地現物」という手法は大いに示唆に富む。研究室や役員室で机上の空論を述べるだけでなく、工場などの生産現場や販売店に赴き理論の正しさを確認するからこそ、トヨタの判断は間違いが少ないのである。

 経済学者がいままさに行うべきなのは大学版「現地現物」である。


(大原 浩)


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書評:人口論







書評:人口論
マルサス 著、 光文社古典文庫
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■現代の経済は食糧(農業)に制約されるのか?

 トマス・ロバート・マルサスによって1798年に匿名の小冊子で発刊された本書が、人口の増減と世の中の繁栄(人々の幸福度)の相関関係に関して述べた本であることは間違いが無い。

 しかし、本書において彼が親しかったデヴィット・ヒュームや、先人のアダム・スミス(ヒュームと親しかった)にしばしば(特にアダム・スミスに)言及しているように、底流に流れるのは「人間の営みと経済」に関する考察である。

 人口が等比数的に増えるのに対して、人間に必要な生活物資(主に食糧)は等差級数的にしか増えないから、あるがままに人口が増えれば、増加した人口に対して必要物資がいきわたらなくなり、人口が抑制され均衡状態にまで減少する。これが永遠に繰り返されるというのが、マルサスの主張である。

 資源や食料によって人口が限定されるという考え方は、歴史的には間違っていないだろう。

 例えば、衛生管理が行き届き、死亡率が(当時の諸外国に比べて)低く大きな人口を抱えていた江戸時代の人々の生活が物質的には非常に貧しく、逆に恐ろしいほど不衛生でペストなどによる人口の激減を経験した欧州の人々が物質的に比較的豊かであったのは事実である。

 ただ、マルサスの時代には考えも及ばなかったことだが、戦後の「緑の革命」も含めて、現代において単位耕作面積あたり、あるいは単位労働あたりの生産性が飛躍的に向上した。

 彼の時代には、英国などの先進国でも人口の大部分は農民であったが、今や米国や日本の農民人口は数パーセントである。そのわずかな人口で人々の食料を賄っている(米国は余った農産物を大量に海外に輸出している)

 アダム・スミスも「ジャガイモ」の効能を国富論で延々と述べているし、彼の同時代のフランスの学者たちも「重農主義」であり、この時代において食糧生産や農業は経済の中心的課題であった。

 だから、マルサスが農業や食料に執着し、アダム・スミスが重視する交易などは結局「諸国民の富」を増やすことにはならないと述べているのも不思議では無い。

 ただし、現代の先進国の経済を語るときにマルサスの人口論の主張は当てはまらない。もっとも、氷河期が突然やってきて農業生産が壊滅状態になれば別だが・・・・


■「人口論」は生まれつつあった<邪悪なお花畑理論>=共産主義に対する警鐘である

 本書でしばしば登場するゴドウィン氏とは、無政府主義の先駆者とされるウィリアム・ゴドウィンである。彼の妻は女権論者のメアリ・ウルストンクラフトである。そして、2人の間に生まれた娘は、あの有名な小説『フランケンシュタイン』の作者で詩人シェリーの妻であるメアリ・ウルストンクラフト・ゴドウィン(メアリ・シェリー)である。

 本書で指摘されている内容を読む限り、ゴドウィン氏の主張は<邪悪なお花畑理論>の先駆、つまり現在の共産主義的な考えの持ち主であったようである。

 それに対してマルサスは、いくら「お花畑ファンタジー」を語っても、「人類を存続させる(人口増加に伴う)食糧問題さえ解決できなければどうしようもない」という冷徹な現実を突きつけたわけである。

 したがって<邪悪なお花畑>理論の共産主義者が本書を忌み嫌い、後のカール・マルクスも本書に対して批判的な評論を書いているのも当然である。


■人間は満ち足りていないからこそ頑張る

 本書が共産主義者に嫌われるのには、別の理由もある。

 人類には人口と食料の関係のような難問(少なくとも当時は・・・)が山積しているが、その「難問があるからこそ人類は発展してきた」という主張をマルサスが行っているからである。

 例えば、自然が豊かで食べるのに困らなければ、心地よい午後の昼寝をあきらめて働こうと思うだろうか?逆説的だが、飢えや寒さを克服しようと努力しなければ、人類はチンパンジーとさほど変わらない文明しか築けなかっただろう。

 マイケル・ポーターも「経済の発展は<基礎的条件>にあまり左右されない」と述べている。例えば広い国土、産油国、若い人口が多いということは基礎的条件に恵まれているということだが、それらの国々のどれほどが先進国入りをしただろうか?

 英国は北海油田が見つかったが、産油国とは言えないだろう。日本、ドイツ、さらにはシンガポール、台湾など基礎的条件に恵まれない国々の方が、はるかに発展している。むしろ基礎的条件に恵まれた産油国で先進国入りをしたのは米国だけと言ってよい。

 「欠乏を埋めるために懸命に働くことが<諸国民の富>を増やす」という現実は、共産主義者にはまったく都合が悪い。彼ら武装したキリギリスは、勤勉なアリから暴力で資産を奪い贅沢をしている。

 しかし、共産党に搾取されるアリたる国民もいつまでも勤勉であり続けるわけでは無い。国民たちもいずれはキリギリス化する。自分や家族の「欠乏」を埋めるために一生懸命に働いても、その成果を共産党にピンハネされるのではやっていられないからだ。

 「結果の平等」をうたいながら、国民の財産を共産党がネコババする「結果の不平等」を推進する共産主義に対して、「機会の平等」が「結果の不平等」(つまり努力と実力の結果)を生み出すことを前提に、本書は人口・経済・人間について論じている。


(大原 浩)


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