人間経済科学と賢人たちの教え その5

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産業新潮
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8月号連載記事


■その5 共感・同調が社会・経済の基本原理

●「国富論」は「道徳感情論」の別冊であった


 アダム・スミスが1776年に著した「国富論」は、近現代における経済学の出発点とされるあまりにも有名な本であり、実際に読んだことがあるかどうかはともかく、その名を知らない読者はいないはずだ。

 しかし、世の中に意外と伝わっていないことが二つある。
 一つはアダム・スミスが道徳哲学の教授であったことだ。
 グラスゴー大学卒業後、オックスフォード大学中退。1748年にエディンバラ大学で文学と法学の講義を始めた。そして、1751年にはグラスゴー大学の論理学教授に就任し、翌年道徳哲学教授に転任しているのである。

 1750年には、「人間本性論」で有名なデビッド・ヒュームと出会うが、彼が死ぬまで生涯親しく交流し、強い影響を受けることになる。

 それらの流れの中で、1759年に出版されたのが「道徳感情論」であるが、その経歴からも分かるように、当時はこの本が彼の代表作でありベストセラーであった。そのベストセラーの中の「経済」に関わる部分を抜き出し、別途解説したのが1776年に発行された「国富論」なのである。

 したがって、現在多くの経済学者が別冊である「国富論」、しかもその中の「神の見えざる手」なるものに執着しているのは滑稽でさえある。
 ちなみにアダム・スミスは「見えざる手」という言葉は使っているが、「神の見えざる手」という言葉は国富論の中では使っていない。

 経済学の源流とも言えるアダム・スミスの思想を理解するためにはまず「道徳感情論」を読んで理解すべきなのである。それを怠って「国富論」をああでもない、こうでもないと議論する学者や評論家が多いのには辟易する。


●経済学者は利己的である

 2017年のノーベル経済学賞をシカゴ大学教授のリチャード・セイラ―が受章したことで「行動経済学」の研究内容が一般にも知られるようになった。行動経済学は、まさに人間の行動を分析する学問であるから、社会科学にしては珍しく実験が良く行われる。実際に世の中で起こった出来事を詳細に研究する「社会実験」も重要だが、この手法は実験とは言っても、恣意的に社会を動かすわけにはいかないから、結局「たまたま偶然で起こった出来事」を研究するだけで「再現」することができないという弱点がある。

 もう一方は、実験室の中で行うものだが、これにはサルに関する実験と同じく、ご褒美の餌が必要である。人間の場合は、リンゴやバナナではモチベーションが上がらないし、統計も取りにくいので、ほとんどの場合金銭が報酬として用いられる。

 実験の一つに「最後通牒ゲーム」という有名なものがある。
 例えば被験者A(山田)が1万円を渡されたとする。その1万円は山田がもう一人の被験者B(鈴木)と分け合うためのものである。分け合う比率の決定権は山田にあり、例えば山田が9999円で鈴木が1円でもかまわない。ただし、鈴木がその比率に同意しなければこの取引は決裂し、どちらも1円も受け取れない。

 鈴木の立場から考えれば、山田が強欲で自分が9500円鈴木が500円の比率を提示した場合でも、それを受け入れたほうが合理的である。もしその提案を蹴とばせば、1円ももらえないのだから500円の損であるからだ。これまでの経済学では、相手がどんなに強欲で嫌な奴でも500円儲ける方を選ぶというものであった。

 ところが、何回実験しても全く違った結果になる。
 半分ずつというわけにはいかないが概ね6:4.あるいは7:3というそれなりに妥当な提案がなされ、受け入れ側も概ねそれを受諾するのである。

 ただし、この比率は文化圏によってかなり異なり、コンセンサスが、文化圏ごとに成立している。
 興味深いのは、持ち金のほとんどすべてを相手に渡してしまうグループがあったことである。この文化圏では贈り物を受けっとった側が、それ以上の返礼をすることがほぼ義務づけられているからのようだ。「ただほど高いものは無い」というわけである。

 このような実験の被験者は、最も手っ取り早い大学の学部生がなることが多いのだが、どのような実験でも常に強欲な提案をする学部がある。
 例えば自分が9割で相手が1割という具合である。もちろん、教授から常に「合理的=利己的経済人」の概念を叩き込まれている経済学部の学生である。洗脳の恐ろしさを感じる出来事だが、当然その経済学部生のなれの果ての経済学部教授の利己的行動は筋金入りであろう・・・

 もちろん、そのような洗脳が無ければ、普通の人々は単純な金銭的な損得だけでは動かないということが明らかである。


(続く)


続きは「産業新潮」
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(大原 浩)


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人間経済科学と賢人たちの教え その4

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産業新潮
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7月号連載記事


■その4 世界は「べき乗」の法則で動いている

●べき乗とは何か


 べき乗という言葉になじみが無くても、累乗という言葉は記憶の片隅にある方が多いかもしれない。どちらも似たようなものなのだが、微妙な違いがある。
 どちらも「aのn乗」という形で表現されるが、累乗の場合はnの値が日常使われる「1、2、3、4・・・・」などの自然数(正の整数)に限定されている。それに対してべき乗はnの値が実数全体(さらには複素数全体)にまで及ぶのだ。
 ちょっと頭の痛くなる話だが、この違いはこれからの話にさほど重要では無い。要するに、べき乗の方がより多くの範囲の現象を表現できるものだということを理解していれば問題ない。


●世の中の多くの出来事は二次曲線で表現される

 二次曲線も厳密に語れば色々なことがあるのだが、ホースで水を撒くときに描くような放物線が含まれるとだけ理解いただければ大丈夫だ。
 私が二次曲線を使って説明する代表例は「複利」である。投資の神様ウォーレン・E・バフェットの成功の核心にもこの「複利」があるし、ハンス・アルベルト・アインシュタインも「複利は人類が生み出した最高のアイディアだ」と絶賛している。

 例えば今100万円が手元にあるとする。この資金を15%の複利で運用したとしよう。三〇年後には6621万円になる。また、30%の運用であれば、30年後に26億2000万になる。
 複利というものがどれほどすごいのかがよくわかる事例だ。
 しかし今回注目いただきたいのは、15%での運用の場合10年後に405万円、20年後に1637万円、30%の場合には10年後に1379万円、20年後に1憶9005万円であることである。20年後から30年後の増大率が極めて大きいのである。


●人類の発展もべき乗である

 1800年頃の産業革命以降、人類の発展が猛スピードで加速していることはよく論じられる。それ以前の1万年間、あるいはさらにそれ以前の10万年間と比較すれば、どれほどの速さであるかがすぐにわかる。
 インターネットが普及し始めてからの20〜30年間の間だけでも、その加速スピードを実感できるだろう。

 この人類の発展も前記のべき乗法則でかなりの部分が説明できる。
 要するに、人類の発展は複利のように考えるべきなのだ。

 人類を他の動物から区別するものに「知識・知恵・知性」があげられる。もちろん、チンパンジーも簡単な道具を枝から作って、巣穴のアリを捕まえたりするし、教えれば100個くらいの絵文字は理解できるようになる。
 しかし、人間の知恵はまったくステージが違うものだ。
 紙飛行機もジャンボジェット機も同じように空を飛ぶが同列に論じられることが無いように、チンパンジーの知恵と人間の知恵は全く違ったものとして区別されるべきである。


(続く)


続きは「産業新潮」
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7月号をご参照ください。


(大原 浩)


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人間経済科学と賢人たちの教え その3




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6月号連載記事


■その3 産業革命によって「人間」が誕生した

●産業革命が初めて「人間」を誕生させた


 もちろん、人類(女系)の直接の祖先が、10万年前から20年前にアフリカに住んでいた「ミトコンドリア・イブ」と呼ばれる「女性」であることは遺伝学的にほぼ間違いない。人類の歴史は少なくとも10万年以上はあるというわけだ。また、古代エジプト以前に存在した古代文明は1万年以上遡るのではないかということが、発掘された遺跡の年代測定などから主張されている。

 しかしながら、ここでは「人類」と「人間」とを分けて考えたいと思う。
 我々が「人間」と呼ぶ時には、生物学的に分類された人類という以外に、他の動物には存在しないと考えられる、自らの明確な意志で考え行動するという「人間性」という意味合いが多少なりとも含まれる。

 確かに古代ギリシャ、ローマの文化は素晴らしいものである。しかしながら彼らが「市民」と呼んでいたのは現代の感覚で言えば「特権階級のエリート」であり、一般庶民は「人間」とはみなされていなかった。

 また、中世ヨーロッパにおいてもその事実は変わらず、王侯貴族や聖職者などの特権階級たちは「人間」としての文化的生活を謳歌していたが、農奴をはじめとする一般の人々は家畜と一緒に暮らし、家畜と同じ労働をする人間未満の生活をしていた。実際、農奴たちの労働力は、経済的に牛や馬の労働力と直接比較され評価されていたのだ。

 よく、産業革命によって働きに出た人々の長時間労働、劣悪な環境、児童労働を批判する論調を見かける。確かにそのような厳しい環境であったことは事実だ。しかし、それでも農村での農奴としての生活から比べれば素敵な環境であったのである。そうでなければ、農村部から都市へ「自らの意志で」大量の農民(農奴)が働きに出るはずが無い。例えば、農村の農奴の子供が農作業を手伝うのは当たり前だが、1円の賃金も支払われない。また、土地に縛り付けられた農奴には職業選択(雇い主を選ぶ)の自由は無いが、都市労働者は、賃金水準自体が低くても、その中で「自分の意志で」職業を選べる。彼ら都市労働者は、現代の感覚で言えばみじめであったかもしれないが、彼ら自身は農奴の暮らしから比べれば「天国」だと感じていたに違いない。


●現代人は平安貴族以上の生活を送っている

 平安時代、夏の暑さに耐えかねた帝や貴族が「かき氷を食べたい」と思ったとする。まず、大勢の従者に引かせた牛車を富士山の頂上部まで送り込む。そこで、雪渓から山ほどの残雪を詰め込み京に向かうのだ。そして都につく頃には小さな器に数杯程度となった氷をかき集めて、かき氷を楽しんだのである。

 現代であれば、数百円も出せば、どこでもかき氷を食べることができる。それどころか、同じような値段で平安貴族にはとても想像ができないような「美味」のアイスクリームや・ソフトクリームを手に入れることさえできる。
 また、日本家屋は夏過ごしやすいように設計されてきたが、今やエアコンがあればそのようなことは気にする必要が無い。

 さらに、飛行機、自動車、新幹線、エレベーター、冷蔵庫。また、平安時代には書きうつすしか無かった本(現代で言えば数千万円の価値はあったと思われる)が、1000円ほどで買えるし、電子書籍なら思い立ったその時にダウンロードして読むことができる。

 このように現代人を文化的な「人間」たらしめているテクノロジーのほとんどが産業革命以後に生まれたということは、注目すべき事実だ。

(続く)


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人間経済科学と賢人たちの教え その2




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4月号連載記事


■その2 人間の意志と心と経済・社会

●「道徳感情論」と「国富論」


 1776年に出版されたアダム・スミスの国富論は、実際に読んだ人は少なくても、その名前は世界中に知れ渡り、現代の経済学における「聖典」とも言える。ところが、この本が、1759年に発刊された「道徳感情論」で論じた内容のうち「人間の経済の営み」に関する部分に特化したいわゆる「別冊」として出版されたことは意外に知られていない。
 そもそもスミスはグラスゴー大学(映画ハリー・ポッターの魔法学校のモデルともいわれる名門)の道徳哲学の教授であり、「人間」に関する考察がその専門であった。したがって彼が生きた時代には、「道徳感情論」の方がはるかに世に知られた書物であったのだ。

 人間経済科学が「人間中心」の思考を行う理由も、このアダム・スミスの手法に原点がある。現代の経済学が行きづまっているのも、本来不可分である人間の営みと経済を分離してしまったところに理由がありのるだ。


●「正確に間違っているより」も「大雑把に正しい」方がはるかにましだ

 ピーター・ドラッカーは
「部下の長所を見つけることができず、短所ばかりを重箱の隅をつつくように掘り返すマネージャー(上司)は即刻解任すべきである」
と厳しいことを述べている。
 人間が他人の長所よりも短所を簡単に見つけることができるのは、自然界で個体が生き残る戦略によって獲得された遺伝的形質であると思う。厳しい自然環境の中で生き残るためには他人の負の部分を含む「リスク」に対して敏感に反応しなければならず、よりリスクに敏感に反応して生き残った人類の子孫が我々であるからだ。

 しかし現代社会、特に先進国では、夜道を歩いて猛獣に襲われたり、飢饉で飢えるようなことはまず無い。したがって、遺伝子で受け継がれた人間の本能は、今では「欠点・リスク」に過剰に反応しすぎるのだ。逆に言えば、その本能を理性でコントロールできる人々は、社会や経済で成功することができるというわけである。

 ウォーレン・バフェットは「『正確に間違っている』よりも『大雑把に正しい』方がはるかにましだ」と述べる。例えば、企業の決算データを緻密かつ正確にいくら分析してもその決算そのものが粉飾であれば全く意味が無い。その企業の決算そのものが正確・誠実なのかどうかを大雑把に把握することの方がはるかに重要なのだ。

 経済学に限らないが、現代は物事が細分化・専門化され些末なことに人々意識が集中している。「細部にこそ魂が宿る」というのは事実だが、枝葉の研究に専念して枝の上に登っていたところ、幹が腐っていて木が倒れてしまえば大けがをする。

 また、象の「鼻」の専門家や「耳」の専門家、「尻尾」の専門家に「象の生態」を聞いても答えられない。同様に、我々が知りたいのは「経済」(社会)の生態であって、「経済」の鼻や尻尾の分析を事細かに聞かされても役に立たないのだ。特に、やたら難解な数式を使って経済の爪の生育具合を事細かに論証しても経済については何もわからない。

 もちろん、木(爪)も森(象)もどちらも大事だが、「人間の経済・社会」という「生態系」を理解するためには、森全体の観察を行うことの方が重要であることはいうまでもない。そして、森全体を観察するときには細部にこだわるのではなく、全体を「大雑把に把握することが大事」だ。
 まさに、ウォーレン・バフェットの「『正確に間違っている』よりも『大雑把に正しい』方がはるかにましだ」という言葉が意味することである。

(続く)


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人間経済科学と賢人たちの教え その1




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■その1 経済学ルネサンス・人間経済科学登場

●役に立つ経済学とは


 経済学が経済やビジネスの実践で役に立たない机上の空論であるという話はよく聞く。欧米では「経済学がどれほど役に立たない学問なのか」ということは、むかしから繰り返しジョークのタネにされているほどだ。
 実際、私が大学を卒業してから35年あまり、金融市場を中心に経済・ビジネスと向き合ってきた中でも経済学(いわゆるマルクス経済学、近代経済学)が何かの役に立ったという記憶はほとんど無い。
 なぜ経済学が役に立たないのか?
 それは、現在主流の経済学が「唯物論」に傾斜し、「生身の人間」のことを忘れ去っているからである。

 現在の欧州からは想像できないが、中世暗黒時代はカルト的なカトリック教会が支配する、現代で言えば北朝鮮に匹敵するおぞましい時期であった。人間の創造性・探求心は封じ込められ、神の代理人を称するカトリック教会の教えに少しでも反すれば、拷問師という教会が雇ったプロフェッショナルのむごい拷問を受け、そのうえ生きたまま火に焼かれたり八つ裂きにされたりしたのである。
 アダム・スミスが1776年に「国富論」を著し、合理的かつ科学的に「経済」を学問として捉えることに成功したときでさえ、欧州ではまだ魔女狩りが行われていて、「国富論」や「道徳感情論」の中には、カトリック教会に対して(異端審問でつるし上げられないように)かなり気を使った文章が散見される。

 したがって、アダム・スミス没後の経済学において「神の呪縛から逃れるための唯物論」が発達したのはある意味自然であったかもしれない(念のため、アダム・スミスは道徳哲学の教授であり、唯物論とは対極の「人間中心の経済」を研究していた)。


●経済学ルネサンス

 古代ギリシャ・ローマが偉大な繁栄を遂げていたということに異論はないであろう。しかし、テオドシウス1世によって392年にキリスト教がローマ国教とされて以来、おおよそ10世紀(1000年)の間のキリスト(カトリック)教会支配のもと、西ヨーロッパ圏では素晴らしい古代ギリシャ・ローマ文化の破壊が行われたということは、大多数の研究者が認める事実である(古代ギリシャ・ローマの英知はイスラム圏で継承され、後に逆輸入された)。

 したがって14世紀にイタリアで始まったルネサンスが無ければ、いまだに欧州は恐怖と暴力で支配される暗黒大陸であったはずだ。神(キリスト教)による非人間的支配から解き放たれ、「人間性」に満ち溢れていた古代ギリシャ・ローマ時代の文化が「復興」されたのである。

 ところが不幸なことに、経済学の分野では、人間性にあふれたアダム・スミスの研究が唯物論という(神とは別の)「非人間的」要素によってその偉大な成果が破壊される時代が長く続いだ。

 そこで、私と有地浩(大蔵省(財務省)・国際金融公社(世界銀行グループ)OB)は、「人間性に満ち溢れた経済学」を復興すべく、2018年4月に「人間経済科学研究所(https://j-kk.org/)を設立した。


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孫子と三賢人のビジネス その18




産業新潮 
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
3月号連載記事


■その18 情報収集

●情報と知識


 ピーター・F・ドラッカーは、「情報」と「知識」はまったく異なるものだと述べます。前者は現代風に言えばすべて「ビット」に置き換えることができます。つまり、「ゼロまたは一」の二進法の数字(またはランプの点滅)で表すことができ、「アルゴリズム」で計算可能算だということです。
 このゴットフリート・ライプニッツによって確立された理論に基づき、現代のコンピュータが生まれました。

 コンピュータの情報処理能力のすごさは、ここ数十年間で世界中が体感しましたが、コンピュータはあくまで情報を「処理」しているだけで、本当の意味での「判断」は行っていません。最近何回目かの「AIブーム」によって、
「AI」が人間にとって代わるとの話が喧伝されています。
 しかし、すべての人間の作業をAIがとって代わることなど読者が生きている間には起こらないはずです。

 もちろん私が「頭脳の単純労働」と呼んでいる「計算・集計・書き写し・事務連絡」などの現在のホワイトカラーの業務の大半を占めている原始的作業は、AIなどのコンピュータに置き換えられるでしょう。

 しかし、これはかつて製造業でも起こったことです。
 工場制手工業の時代は、人間がいちいち手作業で原材料から製品を製造していました。しかも、その製造ノウハウは親方から伝承され門外不出とされていました。それらの作業が、製造技術の進歩とテイラーの「科学的管理手法」にとってかわられたのです。
 それらに対して、手工業者などから激しい抵抗があったのは事実ですが、結果的に工場労働者の賃金は劇的に向上し、中学さえろくに卒業できなかった親の世代の子供たちの多くが大学に進学するという歴史上まれに見る大躍進が起こりました。
 これは、ドラッカーが指摘するように、例えば戦後の数十年間だけを考えても50倍以上という驚異的な生産性向上の恩恵なのです。

 ホワイトカラーの業務においても、原始的作業がAIに置き換わることによって生産性の劇的な向上が見込めますから、彼らはますます豊かになります。そして工場労働者が自分で木を削る代わりに、木を削る機械や生産システムの管理の仕事を行うようになったのと同じように、新しい世代のホワイトカラーたちは「計算・集計・書き写し・事務連絡」などの業務を行う機械(コンピュータ)の管理が主要な業務になります。


●知識が価値を生む

 いくら情報をたくさん集めてもそれらは原材料または半製品にしかすぎません。ですから、新たな世代のホワイトカラーたちは、「情報」を「知識」によって「完成品」にしなければならないのです。

 知識というのは「情報」と違ってビットで表すのが困難です。
 よく会議の席で「やたら表やグラフ(元をただせばビット)」を振りかざす担当者に「ところで君は何が言いたいんだね?」と突っ込みが入ることがあります。このような担当者は「情報」だけで仕事をしているのです。
 それに対して、ごく簡略な説明で、趣旨が明快で説得力のある話をする担当者もいます。彼こそが「知識」を活用する新しい世代のホワイトカラーなのです。彼が、情報を取捨選択し体系化できるのは「知識」のおかげです。そして「知識」は価値判断の重要な要素です。

(続く)


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
3月号をご参照ください。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
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孫子と三賢人のビジネス その17




産業新潮 
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2月号連載記事


■その17 マネジメントの原則・最初が肝心

●最初が肝心


 マイケル・ポーターは、「自社がどのような業界で、どのような位置(ポジション)を占めているのか」を知ることが、「競争戦略」を立案する上で極めて重要であると述べています。つまり、飲料業界のトップであるコカ・コーラ、自動車業界のリーディング・カンパニーであるトヨタ自動車、飲料業界の中堅であるダイドー、自動車業界の中堅であるマツダはそれぞれの位置で闘っており、そのあるべき「競争戦略」にも各社のポジションの違いが反映されるべきなのです。

 孫子がそれほど長くは無い戦略書の中で「戦地の選択」に何回も言及するのは、それが戦略立案の基本であるからだというのは言うまでもありません。しかし、それ以上に「戦地は一度選択してしまえば後から変えるのは大変困難である」というのが最大の理由です。ですから、将軍(経営者)は、どこで戦うかを判断するために最大限にその能力を使わなければなりません。

 経営者が判断を下す場合、すでにその企業の業種や順位などが決まっているはずです。しかし、「どの部署に限られた資源(資金・人材)を分配し強化すべきか」を判断するのは、まさに戦地を選択する行為です。もちろん、新規事業をどの分野で始めるのかを判断するのも同様です。

 ウォーレン・バフェットは「投資の判断を下したら、あとは投資家がすべきことはほとんど何も無い」と述べます。彼がある企業に投資しようかどうか判断するときには徹底的にその企業や業界全体を研究します。

 大変な読書家として有名なバフェットですが、業界や企業に関する知識も大概その分野のプロフェッショナルを上回ります。しかし、ある企業に投資をしてしまえば、後は企業の経営を役員たちに任せ大株主として口出しをしません。正しい戦地で正しい戦力を持っていれば負けることはまずないからです(残念ながら、ほとんどの投資家はバフェットの全く逆の戦略を採用していつも失敗しています)。

 事業でも同じことです。どのような事業を始めるのかの判断が最も重要であり、一度事業を始めてしまえばできることは極めて限定的なのです。ですから「最初の選択」に経営者は全力投球をしなければならないのです。


●9つの戦地

 孫子は戦いを行う土地を次の九つに分類します。

1)散地(軍の逃げ去る土地)。諸侯が自分の国の中で戦う。
2)軽地(軍の浮き立つ土地)。敵の土地に入ってまだ遠くない状態。
3)争地(敵と奪い合う土地)敵がとったら敵に有利、味方がとったら味方に有利な土地。
4)交地(往来の便利な土地)。こちらが行こうと思えば行けるし、あちらもこようと思えば来ることができる土地。
5)衝地(世の中のエネルギーの中心地)。諸侯が四方から近づいてきていて、一番乗りすれば諸侯の助けを借りて、天下万民の支援を得られる土地。
6)重地(重要な土地)。敵の土地に深く入り込んで、既に敵の城や村をたくさん背後に持っている状態。
7)土己地(軍を進めにくい土地)。山林、険しい地形、沼地などを通っていて、軍を進めるのが難しい土地。
8)囲地(軍を進めにくい土地)。道が狭く曲がりくねっていて、少人数で大軍を撃破できる土地
9)死地(死すべき土地)。力の限り戦えば脱出できるが、そうでなければ滅亡してしまう土地


(続く)


続きは「産業新潮」
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2月号をご参照ください。


(大原 浩)


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孫子と三賢人のビジネス その16



産業新潮 
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1月号連載記事


■その16 有利な地形(マーケット)で戦え

●負けてはいけない


 孫子はある意味究極の平和主義者です。なぜなら、戦いは国や民を傷つけ疲弊させるので、「戦ってはいけない」と厳しく諭しているからです。ただし無防備でいいというわけではありません。
 例えば隣国が日本を侵略すれば、日本国民は当然立ち向かわなければなりません。こちらがどれほど平和主義であっても、隣の野蛮な独裁国家が攻め込んで来れば戦わざるを得ません。逆に隣の野蛮な独裁国家に立ち向かうことこそ「平和」を守るための必須条件です。
 もし日本が負けて侵略されてしまえば、国民は地獄に突き落とされます。

 「永世中立国」であり、平和イメージの強いスイスですが、2013年の国民投票で男性に対する徴兵制の維持が決定されました。決して政府に押し付けられたのではなく、国民の総意です。
 参考までに、2002年にフランス(最近の報道のように、徴兵制の「復活」が議論されています)、2011年にドイツで徴兵制が廃止され、米国でも1973年から長期にわたって徴兵制は「停止」(いつでも復活できる)されています。

 また、スイスの兵隊の数は人口の1・9%ですから、日本の人口に当てはめてみると250万人という巨大な軍隊になります。
 「平和」はただぼんやり座っているだけでは得ることができないというのが孫子の考えです。できる限り(高度な駆け引きや戦略で)平和的に解決するよう努力し「専守防衛」を貫いても、どうしても戦わなければならないときがあります。その時は、逆に準備を完全に整えて「完全な勝利」を手に入れなければなりません。

 太平洋戦争についてはいろいろな議論がありますが、この戦いにおいても同様です。「一度始めた戦いは必ず勝たなければならない」ということです。
 当時の政府や軍部の非は、「戦争に負けたことに」にあります。(一度始めた)戦争は絶対に勝たなくてはなりませんし、敗戦国の国民はとてもみじめな状態に追いやられます。


●有利な地形で戦う

 孫子はズバリ「戦いにおいて地形はとても大事なものである」と述べています。具体的には次のようなことです。

◎自由に往来できる開けた土地では、敵よりも先に高台の日当たりのよい場所を確保すべし。兵糧補給の道を断たれないようにして戦うと有利だ。

◎行くのは簡単だが、帰るのは難しいような、障害のある地形で敵が備えをしていないときには、こちらから出て行っても勝てる。しかし、既に敵が備えをしている場合には、戦っても勝てず、帰ってくるのも難しくなり危険である。

◎枝道に分かれた地形では、こちらから出て行っても、あちらが出てきたとしても、どちらにとっても不利である。したがって、敵がこちらに餌(利益)を投げかけてきても、決して手を出してはいけない。むしろ、軍をその場から立ち去らせ、敵を誘って半分餌(利益)を出させてから攻撃をするのが有利だ。

◎両軍の陣地がお互いに遠く離れている場合には、攻撃を仕掛けるのは難しく、攻撃を仕掛けた方が不利である。


続きは「産業新潮」
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(大原 浩)


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孫子と三賢人のビジネス その15




産業新潮 
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12月号連載記事


■その15 鳥が飛び立つのは伏兵である

●ビジネスでも投資でも観察眼が勝負を決する


 「人間経済科学研究所」では、「人間」と「経済(ビジネス)」そして、「(自然)科学」の三つの重要な要素の複雑に絡み合う関係を研究しています。 その中でわかってきたことは、「経済・ビジネス」は、机上の空論をもて遊ぶのではなく、生きた経済・ビジネスをじっくり丁寧に観察し体系化することによってしか理解できないということです。

 個々の人間が極めて複雑なだけではなく、その個人が構成する人間社会が途方もなく複雑であることを理解しなければなりません。

 自然科学の「複雑系理論」においては、「蝶の羽ばたきが大型の台風を引き起こす」という、まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」的な有名な逸話があります。もちろん、そのような可能性は常に存在しますが、毎日数億あるいは数兆あるいはもっと天文学的な大きな数と想定されるどの羽ばたきの一つが台風を起こすのかは、事前の予測はもちろんのこと、事後に遡って調べることさえ現実的には不可能です。ですから、われわれ人間は「台風の兆候」が現れた時からしかその事実を観察できませんし、逆にその事実の観察こそが重要なのです。

 したがって、いくら世界中の蝶の羽ばたきを研究し数式化しても、台風の理解には全く役に立ちません。いわゆる近代経済学が数式を駆使して経済を理解しようとする行為はこの蝶の羽ばたきの分析と同じやり方です。経済(台風)が全く理解できなくても致し方ありません。

 また、例えば、動物学(生物学)の基本も観察です。ミジンコやカエルもそうですが、人間に最も近い存在であるサル(霊長類)の研究においても観察が基本です、ニホンザルの社会(経済)の方程式など聞いたことがありません。それなのに、ニホンザルよりもはるかに複雑な人間が構成するきわめて高度な社会(経済)を、相対性理論などのように一つの方程式で解き明かすことなど考えるのは傲慢だと言えるでしょう。

 経済(台風)を理解するためにはその兆候(臨界点)がはっきりと見えてから、しっかりとした観察と体系化を行うべきなのです。


●兆候・臨界点

 それでは、一匹の蝶の羽ばたき(個々人の行動)が台風(経済現象)になる兆候(境目)をどうやって見つけるのか?

 それには原子力発電でもおなじみの「臨界(状態)」や「閾値(いきち)」という自然科学の概念が大いに役立ちます。臨界状態の前は「未臨界」と呼ばれ、連鎖反応の量が少なくそのまま放っておくと核反応が自然に止まってしまういわゆる安全な状態です。逆に臨界状態の後は、「臨界超過」と呼ばれ、刺激を加えなくても連鎖反応が時間とともに増加します。

 つまり、臨界状態(点)とは、ちょっと後ろから押してやればともどもない核反応(爆発)が起こるし、逆にごくわずかに手を緩めれば何事もなかったように静かな状態に戻る状態(点)であるということです。いわゆる「分岐点」という考えにも近い存在です。また、「閾値」も臨界に非常に近い考え方です。

(続く・・・)


続きは「産業新潮」
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(大原 浩)


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孫子と三賢人のビジネス その14




産業新潮 
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11月号連載記事


■その14 高い丘にいる敵を攻めてはならず、丘を背にして攻めてくる敵は迎え撃ってはならない

●自然淘汰で生き残るのは駆け引きにたけた生物である


 チャールズ・ダーウィンに始まる(生物の)進化論は、1859年に「種の起源」の初版が発刊されてから160年ほどの歴史しかありません。サー・アイザック・ニュートンが「万有引力の法則」を1665年に「発見」(「地上の引力が月などに対しても同様に働いている可能性があることに気付いた」とされている)してから200年近く後のことです。
 また、アダム・スミスの「国富論」の初版は1776年に刊行されており、こちらも「種の起源」の100年近く前のことです。チャールズ・ダーウィンは、当時知識人の必読書であった「国富論」を読んでおり、一般のイメージとは違って、国富論(神の意志を排除した、人間についての)「進化論」ともいうべき本)から、インスピレーションを受けて(生物の)「進化論」について確信を持ったともいわれます。

 したがって、この歴史的に見れば新しい学説が、狂信的キリスト教徒から執拗な攻撃を受けるのもある意味当然かもしれません。実際、アルバート・アインシュタインの相対性理論や量子論は、直接的には神の存在を否定しませんが、「進化論」は神の存在と真っ向から対立します。

 「種の起源」をきちんと読まずに攻撃する人々が多いこともあって、重要な事実が世の中に伝わっていません。それは「自然淘汰で生き残る生物は、地球の気温の変化などの自然環境にうまく対応した勝利者だが、それ以上に他の生物が作り出した環境に順応した勝者である」ということです。

 自然淘汰では「環境」に適応した生物が生き残るとされますが、その「環境」の大部分がいわゆる自然環境ではなく「他の生物」なのです。

 例えばライオンと鹿の関係を考えてみましょう。鹿が生き残るためには、ライオンなどの捕食者がうようよいる「環境」の中でうまく逃げ延びる必要があります。逆にライオンなどの捕食者が飢え死にしないためには、鹿などの獲物をうまく捕まえるための「環境」適応が必要なのです。

 ですから「自然淘汰」の主要部分は、他者との闘いの結果生き残るということだといっても過言ではありません。ハーバード大学教授・マイケル・ポーターも「企業の戦略は、自社が市場の中のどのようなポジションに位置するかによって異なる」ということを強調しますが、これも企業間の競争においても「他社との闘いの結果によって自然淘汰が行われる」という重要な事実を示しています。


●組織で生き残る人物は他者との闘いで勝った人物である

 企業、役所、NPO、政党、宗教団体等などでトップあるいは上層部に立つ人々も、もちろんその組織の中において「他者との闘いに勝った人物」です。孫子が述べるように「他者との闘いにおいてはどのような手段を使っても勝つべき」ですから、お世辞・ゴマすり、さらには他人の足を引っ張ることも戦術の一つです。ですから、トップや上層部であるからといって特別人格がすぐれているというわけではありません(そうあってほしいとは思いますが・・・)。

 しかし、仲間内の争いに勝ち残っても、他の集団(組織)との争いに敗れれば、自分自身を含めた組織(集団)が全滅することにもなりかねません。ここに、集団(組織)が一致団結して、外部と戦わなければならない理由があります。
 また、トップや上昇部が、「内部での戦いや駆け引きにたけた人」であることは、外部との競争において極めて重要です。いくら人格者であっても、単なるお人好しでは、競争相手の餌食になるだけです(日本には人格者(お人好し)が多いですが、それらの人々が邪悪な国々の餌食になっているのは、読者もよくご存じだと思います)。

(続く・・・)


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
11月号をご参照ください。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
★夕刊フジにて「バフェットの次を行く投資術」が連載されています。
(毎週木曜日連載)


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し ては御自身の責任と判断で願います。)


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