ドラッカー18の教え 第1回



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4月号連載記事


■全員一致は否決せよ。


●ユダヤの教え


 私が子供のころに強い影響を受けた本の中に「日本人とユダヤ人」(イザヤ ベンダサン著・山本書店)があります。実のところ、イザヤ・ベンダサンというのは、山本書店店主である山本七平氏のペンネームのようなのですが、それはさておき、まだ狭い世界で生きていた私に、広い世界があることを教えてくれた本です。
 角川書店から復刻版が文庫で出ているようですので、詳しくは是非原著をお読みいただければと思います。

 さて、日本的な考えや、日本の偏った考え方の(自称)知識人やマスコミを通しての「海外」しか知らない中学生であった私に、数々の影響を与えた教えの中で最も衝撃的であったのは、「全員一致は否決せよ」です。
 「全員一致のどこがいけないの?」と普通は考えるでしょうし、私も当時はそう思っていました。ただ、理論的にはうまく説明できないけれども、直感的に「正しいような気がする」という感覚があり、長い間この教えを時々思い出しては「何とか筋道を立ててこの教えの正しさを説明できないものだろうか?」と思いあぐねていました。


●アルフレッド・スローンの教え

 社会人になってしばらくして、ドラッカーを読み始めたとき、その著書の中でユダヤの教えと同じ「全員一致は否決せよ」と述べられていることには驚きました。しかも、その中で全員一致を否決しなければならない理由が具体的明確に述べられているのです。
 彼は、全員一致を否決しなければならい理由は、なぜ全員一致になるのかを次のように具体的に考えればすぐにわかるといいます。

1)参加者に外部・内部の圧力がかかっている=共産主義国家・独裁主義国家
  では、指導者や党に反対すると命の危険があるので、物事は「全員一致」
  でスムーズに運びます。ただ、その指導者・党の判断が正しいことが保証
  されているわけではありません。社長が独裁的な企業の役員会、部長が部
  下から恐れられている部署の会議でも同じような結果になるでしょう。

2)会議の参加者が真剣に考えていない=多数意見に付和雷同するのはとても
  簡単ですし、多数派から快く思われます。逆に少数意見を述べるためには、
  多数派からの反論に耐えることができるような「筋道」をしっかり考えな
  ければなりませんし、会議の参加者の多数派がこちらを凝視する中で異論
  を述べるのは勇気のいることです。


 つまり、ドラッカーは、全員一致になるのは「誰かから脅されているとき」か、「真剣に考えていないとき」だけだから、「全員一致の意見は採用すべきでは無いと主張しているのです。
 そして、「全員一致」には別の弱点があります。それは、「一つの意見しかなければ代替案(予備・保険)が無い」ということです。
 全員一致の案を実行しても100%成功するわけではありません。むしろ、1)や2)の環境下で決まった案であれば、失敗する可能性が高いはずです。その時に、全員一致の案しかなければ万事休す。次の展開ができません。
 それに対して、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論をすれば、どのような失敗をするのかの見通しも立ちますし、失敗したときの対案も自動的に準備されることになります。


続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/
4月号をご参照ください。


(大原浩)


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し ては御自身の責任と判断で願います。)


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バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第17回

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産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
3月号連載記事


■競争戦略名言集その2


●良い競争相手・悪い競争相手


 「競争相手は全て敵だ!」と考える方が少なくないかもしれません。それが必ずしも間違いだとは言いませんが、例えばほとんどの業種に「業界団体」が存在するのはなぜでしょうか?
 同じ業種で同じ顧客をターゲットにビジネスを行っている企業は全て競争相手のはずですが、それぞれが同じ業界団体の一員として歩調を合わせて行動することも珍しくありません。それは、業界の外にも闘うべき相手がたくさんいるからです。

 例えば業界全体の不利益になる政府の過剰規制、自分たちの業界に攻め込もうとする他の業界の企業群等々と対峙するためには、それぞれの企業が個別に対処するよりも業界の企業全体が一枚岩となって行動した方が圧倒的に有利です。ですから、業界全体の利益のために協調的行動をとることができる企業は良い競争相手ですし、自分だけ抜け駆けして自社の利益を得ようとするのは悪い競争相手です。
 もちろん、カルテルで売値を高く維持するような行為は罰せられますが、相手を叩きのめすまで競争することもほめられたことではありません。

 より多くの企業が、それぞれのポジションで繁栄するのが、それぞれの従業員にとっても、国民の将来の年金を支払うために資金を株式で運用している機関投資家などの株主にとっても、社会全体にとってもよいことです。

 ポーターは、この考えをさらに押し進め、良い競争相手は助けるべきだと主張します。
 例えば、ティッシュ業界でシェア50%のA社のほかに、D社というシェア10%の企業が存在するとします。この企業の現在の主力は高級コート紙で、とても高い利益を上げています。ティッシュペーパーは祖業であるため継続しているものの、利益率が低いためこれ以上シェアを拡大しようという気は全くありません。そのため、知名度の低い自社製品を定番であるA社製品の概ね10〜20%安い価格で販売するという緩やかなディスカウント戦略を採用しています。

 このような「紳士的」な競争相手は丁重に扱うべきです。D社というディスカウンターがすでに存在することによって、他業界からの新規参入にはブレーキがかかります。ティッシュ業界にディスカウンターが存在しなければ、他業態からディスカウンターがやってくる可能性が高いのです。
 しかし、緩やかな形とはいえすでにディスカウンターがいれば、他業種からの新規参入は当然慎重になります。逆にD社という緩やかなディスカウンターの存在が無くなってしまえば、悪い競争相手である激しいディスカウンターの参入を招きます。ですから、もしD社が経営危機に陥ったとしたらA社はそれを救うべきなのです。

 ただし、吸収合併のような形はいけません。市場シェアがさらに増えてしまって、外部の激しいディスカウンターの攻撃にさらされやすくなります。
 あくまで外部の緩やかなディスカウンターというポジションが、A社にとってのD社の重要な価値なのです。


続きは、産業新潮
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3月号をご参照ください。


(大原浩)


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バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第16回

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産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
2月号連載記事


■競争戦略名言集その1


●正しいやり方は一つではない


 「正しいやり方は一つではない」という言葉自体は、ドラッカーもその著書の中で繰り返し述べています。彼は「マネジメントのやり方」や「会社組織のあるべき姿」に関して、唯一絶対の公式などなく、それぞれの企業の個性や状況によって「正しいやり方は何通りでもある」と主張しています。

 また、バフェットも、買収した数多くの企業の経営をそのまま既存の経営者に一任していることからもわかるように「成功するやり方はたくさんある」と考えているのです。

 それにも関わらず、世の中の学者やコンサルタントなどが「見果てぬ唯一絶対の公式」を求めて空回りしているのは、「経済学」を科学だと誤解している点に大きな原因があります。
 例えば、物理学をはじめとする科学において実証実験は不可欠で、「誰がやってもいつも同じ結果が出る」ことによって、その科学理論の正しさが証明されます。そして逆に、科学においては、証明された理論と違うものは認められないのです(もちろん、新たな事実の発見によってニュートン力学から相対性理論へと飛躍したような事例はたくさんありますが、ニュートン力学の想定していた範囲での正しさが否定されたわけではありません・・・)。

 それに対して、たとえば世間の多くの人々が科学だと誤解している医学(医療)は、学問ではあっても科学ではありません。なぜなら、医学において人体実験で理論の正しさを証明することは(少なくとも現在では)基本的に許されないことだからです。
 さらに、そもそも人間は一人ひとり違う存在であり、薬の効き方も個人によってかなり違う上に、例えばエイズのような病気にかかっても、全く発症しない人が存在します。

 ヤブ医者は、患者の個々の状況を詳細に診察することなく、定型的なマニュアルに基づいて、治療や投薬を行いますが、同じく「ヤブ経済学者」や「ヤブコンサルタント」は個々の企業を十分診断・観察することなく、定型的マニュアル通りに「対応」します。

 漢方では、患者の体質を分類しその体質ごとに異なった処方を行いますが、企業においてもその「体質=(社風など)」を丁寧に診断し、それぞれの体質に応じた「戦略」を考えるべきです。


●市場環境と立ち位置で判断する

 学者であるマイケル・ポーターを私が高く評価するのは、その徹底した「フィールド・ワーク」に感銘を受けているからです。
 インディー・ジョーンズ(映画の主人公ですが、モデルとなった考古学者が実際に存在する)は、書物や資料だけに頼ること無く、「現地=遺跡」を頻繁に訪れ「事実」を徹底的に観察しました。

<続く>


続きは、産業新潮
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2月号をご参照ください。


(大原浩)


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バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第16回

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産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/1月号連載記事


■ナンバーワン企業その4 りそな


●銀行や証券以外の金融機関が発展する



 一般の銀行のカウンターでは、従業員が椅子に座って、立っている顧客の応対をします。しかも、番号札を渡されて行列までさせられます。
 一般の流通・小売業ではまずありえない話で、銀行という業態がどれほど傲慢で顧客軽視をしているのかは改めて説明する必要が無いかもしれません。

 私が、日本の既存の銀行や証券会社に多くを期待しないのは、政府の規制に守られてふんぞり返ってビジネスを行っている企業は、【自由競争】の中では淘汰されるからです。

 逆に、弊社が毎年発表するGINZAX30社の中に、クレディセゾン、東京センチュリーリース、Eギャランティーなど、既存の銀行や証券会社では無い金融関連会社、が多数入っているのに気付かれた読者も多いでしょう。
 既得権益に守られている既存の銀行や証券会社を、自由競争の中で磨かれた優秀な企業が打ち破るのはいとも簡単です。私が「銀行や証券以外の金融機関」に大いに期待するのもそのような理由からです。

 また、欧州や米国の歴史を振り返っても、経済が成熟期に入ってから金融ビジネスが大きく伸びています。すでに成熟期に入っている日本経済において、今後金融産業が益々重要になるのは、簡単に予想できることです。

 逆に言えば、新興国のように政治が不安定で経済の成熟度合いが低く、資本の蓄積も十分に行われていない国々では、なかなか強力な金融関連企業が生まれません。ですから、新興国を中心とした海外においても、今後日本の金融ビジネスが大きく発展する素地があります。


●顧客目線の銀行


 そのように大発展の可能性を秘めた金融関連ビジネスの中で、期待している数少ない【既存の銀行】がりそなです。

 多くの方がご存知のように、同行には金融危機の際に公的資金が注入されました。ただ、公的資金注入後は、大いなる反省のもと国民の期待に応えるべく全社員の給与3割カットや採用の抑制などのいわゆるリストラを行いました。
 また、個人(既存の住宅ローン利用先は51万)や中小企業との取引など堅実かつ高い利益を見込める分野に対し経営資源を集中。この方針が成功し、健全化の第一歩を踏み出します。

 公的資金が注入されるまでのりそなは、他の銀行などと同様に尊大で傲慢な存在であったのですが、公的資金注入の際に、牛尾治朗氏(ウシオ電機会長)に白羽の矢を立てられ改革の責任者に抜擢された細谷英二氏(JR東日本副社長)の強力なリーダーシップの下、大胆な改革・改善が行われたことにより生まれ変わったのです。
 その際には花王から4名のOBを指導役として招き、顧客対応のスピードをストップウォッチで測るなど、製造業を中心とする優良企業では当たり前の「科学的手法」で問題点を見つけ出し、次々と「カイゼン」を行いました。


<続く>


続きは、産業新潮
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バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第15回

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12月号連載記事


■ナンバーワン企業その3 クレディセゾン


●金融には「安心・安全」が重要である


 日本は、文献がはっきりしているだけでも、同じ「王朝」が、約1300年続く世界でも稀有な安定した国です。また3・11(東日本大震災)の直後、ファミリーレストランの店員の誘導で避難した顧客たちが、翌日以降、未払いの代金を支払うために続々と戻ってきたというとてつもなくモラルが高い国でもあります。

 米国、英国、フランスなどの先進国といわれる国々でさえ、このようなときにはしばしば略奪や暴動が起こりますから、日本人の高いモラルに世界中が驚愕しました。

 私が日本人であるという贔屓目を割り引いても、世界で最も安心して資産を預けることができる国は日本です。その次がスイスあたりでしょうか?

 金融ビジネスにおいては、このような国家の安定性・信頼がとても重要です。その意味で、超安定国家日本において「金融ビジネス」が発展するのは自然な成り行きといえるでしょう。

 銀行や証券に代表される既存の金融業は、他人のお金をぐるぐる回転させて儲ける商売ですから、基本的に高効率・高回転のビジネスです。しかし、銀行や証券は「規制業種」という面から、内部の腐敗が避けられません。
 いくら会社が儲かっても、その会社の経営者や従業員が自分の懐を札束でいっぱいにすることに熱心で、株主のことなど忘れているようでは、投資する意味がありません。

 また、「護送船団」といわれる手厚い保護を受けてきた日本の銀行や証券はひ弱で国際競争に打ち勝っていけるとは思えません。

 しかし、それ以外の金融業は、今後の日本を牽引する大きな核となると考えます。


●これからの日本を牽引する銀行や証券会社以外の金融


 リースやクレジット会社はもちろんです(オリックスも優良成長企業です)が、米国では、GEやGMなどのメーカーで、金融部門の利益が会社の屋台骨を支えています。もっとも、リーマン・ショックで痛手を受けたことなどから、GEなどでは、金融部門を縮小しメーカーとしての本業に集中する方向です。

 ただ、金融機関などの口車に乗って、本業とかけ離れた金融ビジネスを行なわない限り、メーカーの本業と一体化した金融ビジネスの将来は明るいと考えています。

 日本でもトヨタや日立において、製品を販売する利益を金融子会社が稼ぐ利益が上回る日が近づいています。メーカーの金融子会社の業務は実際のところ多岐にわたるのですが、あえて単純化すれば「昔は自動車を売っていれば儲かったのに、最近は儲けが薄くなった。気が付くと、今まではおまけだと思っていた自動車を売るためのクレジットやローンの方がもうかる商売になっている!」という感じです。

 トヨタ自動車は、昔「トヨタ銀行」と揶揄されたほど財務基盤がしっかりしていますから今後が期待できます。

 例えば銀行や証券が構える立派なオフィスは、とてもコストがかかるものです。もちろん、その費用は、預金者が受け取るべき金利、安くなるはずの取次手数料という形で顧客が、また、増えるはずの純利益という形で株主が負担しています。

 それに対して、トヨタや日立は、企業そのものが持つ信用力で金融ビジネスができますから、大理石で飾られた無駄な支店など必要ありません。

 メーカーだけではなく、流通も頑張っています。今後ネットがその役割の多くを代行するにせよ、店舗はあれば便利なものですし、ゼロになることは無いでしょう。
 小売業の場合、店舗の一角に「相談コーナー」を設けるだけで、きわめて低コストの金融店舗の運営ができます。

 コンビニは、ただ物を販売するだけでは無く、公共料金の支払い、メール便、情報端末、ATMの設置など狭い店舗を有効に活用することによって発展しました。その流れが、他の小売業にも波及しつつあります。


●ポーター賞受賞


 (銀行や証券会社以外の)金融業の中でも大いに注目される、流通系カードで首位の企業がクレディセゾンです(現在、3500万枚のカードを発行し、年間取扱高は6兆円)。2012年にポーター賞を受賞したのも、同社のビジネスモデルの確かさの証明といえるでしょう。

 他のカード会社が、どちらかといえば【稼ぐ中高年男性】に注目しているのに対して、買い物をする一般の人々、特に【消費する】女性にターゲットを絞り込んでいるのが特徴です。例えば、セゾンカードの顧客の約70%が女性です。


<続く>


続きは、産業新潮
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バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第14回

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11月号連載記事


■ナンバーワン企業その2 良品計画

●日本発のブランド

 良品計画という社名に聞き覚えが無くても、「無印良品」は大概の方がご存知でしょう。私は、かなり以前から「「無印良品」=良品計画は凄い!」と言い続けています。

 例えば、地下鉄などの車内で若い女性が手に持つ紙袋。そこに書かれているブランド名や企業名がつい気になってしまいます。彼女たちが買い物帰りであれば、その店の商品が売れているということであり、紙袋が再利用されているのであればそのブランド(ロゴ)の紙袋が人前でも恥ずかしくない、あるいはそのロゴを見せびらかしたいということです。

 そのようなブランドやロゴの大半が横文字(アルファベット)であり、カタカナ表記であることさえ稀です。ですから、「無印良品」と漢字で大書きされた茶色の紙袋を持って、若い女性が颯爽と地下鉄の車内に乗り込んでくるのは特筆に値します。

 例えば、三越や伊勢丹は伝統と格式を誇るデパートですが、彼女たちが社名(店名)を漢字で大書きした紙袋を持ち歩くとは思えません。また、トヨタのレクサスは高いブランドイメージを持っていますが、「トヨタ自動車」と印刷された紙袋は持ち歩きにくいでしょう。世界のSONYは東京通信工業から社名を変更しました。

 つまり、これまでは日本のブランドは欧米風を装う(アルファベット表記)必要がありましたし、現在でも大勢は変わりません。その中で「無印良品」は、クールジャパンを牽引する「漢字ブランド」の代表格として健闘しています。海外では、漢字を読めない人々が多いので「MUJI」というアルファベットのロゴも併用されていますが、クールジャパンの「漢字ブランド」の地位は揺るぎません。

 ちなみに、日本にあこがれ尊敬しているほとんどのアジアの新興国では、ひらがなやカタカナを使うことがカッコいいとされます。例えば「無印良品」ではなく「無印の良品」と表記するのです。なぜかといえば、漢字だけでは彼らには中国語との区別がつかないので「の」というひらがなを入れることで日本製品としてのイメージを強調するのです。かっこ悪い「メイドイン・チャイナ」は売れないので、「の」がつく日本製をアピールするわけですが、これは日本人がやたら横文字(アルファベット)表記するのと同じ現象です。


●効率的ファブレスメーカー

 無印良品の最大の独自性は「ブランドでは無いブランド」という世界に類を見ないコンセプトですが、その「ブランド」をしっかりと支えているのが緻密なオペレーションです。

 雑貨・衣料・食品などを扱う日本企業としてはかなり早い時期(しかも会社としての設立以前)から、海外調達、生産に取り組んでいます。

<続く>

続きは、産業新潮
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バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第13回

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10月号連載記事


■ナンバーワン企業その1 トヨタ自動車

●武士道と通じるトヨタの社風

 トヨタの「社風」ですが、「カイゼン」と「現地・現物」という二つの言葉に集約されます。

 まず「カイゼン」は、企業の中で行っている業務をより良いものにするための努力を積み重ねることです。
 「現地・現物」とは、たとえ社長や役員であっても必ず製造(作業)現場で製品に触れ、自分の目で確かめてから判断することです。どちらも、日本的な精神を感じますが、数多くの日本企業の中でもトヨタのこだわりはダントツです。

 「武士道とは死ぬことと見つけたり」とは葉隠の中の有名な言葉ですが、あえて誤解を恐れずに言えば、「トヨタ生産方式とは工場を止めることと見つけたり」です。

 トヨタ生産方式の技術的側面はかなり公開されており、トヨタ自動車がジャパン・バッシングの中で、米国での初めての工場をGMと合弁で始めたときも、競争相手であるGMにノウハウを全面的に提供しました。そして、GM時代にはお荷物だった工場を、合弁事業での改革によって、GMの中でもトップクラスの生産性を誇る工場に変えました。しかしながら、それから数十年たった現在でもGMは全体としては「ダメ企業」です。

 トヨタ生産方式が固定的なものではなく、常に「カイゼン」されることによって成長するので、少しでも努力を怠ればトヨタのように不断の「カイゼン」を行っている企業に差を広げられるということもあります。

 しかしより根本的な理由は、トヨタ生産方式の根幹である「不良品が出たときにその場で工場を止める」ということが、普通の企業には簡単にできないという点にあります。
 容易に想像できると思いますが、例えば自動車工場の生産ラインの1個のネジに不良品が出たからといって、生産ラインを止めてひとつ前の工程での問題をチェックすれば、莫大な損失が出ます。
 通常は、大量に生産した後、検査係が不良品を撥ねるという方式です。しかし、トヨタ自動車は、「現地・現物」によって製造工程を徹底的かつ合理的に研究した結果、不良品が出たその場で対応した方が「製品の品質を向上させることができる上に、最終的には生産コストも下がる」という結論が出たので、何の迷いも無く「工場を止める」ことができるのです。

 もちろん、経営者と従業員の信頼関係も必要不可欠です。役員が破格の報酬を受け取り工員とは別の特別食堂で昼食を取るような欧米企業では、現場の一従業員が(いくら会社から指示されたからといっても責任追及を恐れて)不良品が一つ出ただけで工場を止めるというような大それた決断はできません。

 それに対して、社長・役員であっても作業服を着て現場に足しげく通い、会社の一体感を重視するトヨタを始めとする日本企業では、工員も会社の一員としての責任を自覚しやすくなります。
 またトップダウンでは無く、ボトムアップ型の文化が根付いていますから、たとえ一工員であっても会社を代表して重大な決断を行うことに抵抗が少なくなります。また、「個人の責任を追及するのではなく、原因を探究し全員で解決策を考える」という思想も浸透しやすいはずです。

<続く>

続きは、産業新潮
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バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第12回

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9月号連載記事


■競争戦略の核心その4 社風

●決算書や数字のデータだけで企業の良し悪しはわからない

 バフェットやドラッカーは、現代の会計システムの問題点をしばしば指摘します。バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムは、その名著「証券分析」などで、具体的な事例を使って、合法的な会計基準の変更をいくつか行うことで、高収益会社をぼろ会社に見せたり、その逆にぼろ会社を高収益会社に見せかけることがいとも簡単にできることを証明しています。
 また、ドラッカーは、「会計を学んで1年もすれば、減価償却の基準を変えることによって、ほとんどあらゆる利益を損失に変えることができることを知る。また、近い将来と遠い将来のニーズの評価次第でいかようにも会計を操作でき、これらに大きな影響を与えることのできる支出項目はとても多い」とその著書「現代の経営」の中で述べています。

 そのため、バフェットは「本質的価値」という概念を用いて、バークシャーなどの企業を「会計上の価値」ではなく、「本当の価値」で評価する試みを続けています。

 また、ドラッカーは「税務当局や株主に過去の事実を報告するための会計」ではなく、「経営者が会社の将来のために何を行うべきか判断するための会計」を提唱しています。

 例えば、「間接費」とひとくくりにされてしまいがちな費用こそ「知識労働者」の労働の質を分析するために詳細に分析する必要があるデータです。また、新鋭の設備を導入したことによって、生産性が向上し費用が低減したことなども会計に反映しなければなりません。
 その他、改善すべきポイントは無数にあるのですが、最も重要なことは「今の企業の運用のための費用・資源と、企業の将来の発展のための費用・資源は完全に分離しなければならない」ということです。

 教育研修費用を例にとりましょう。社員の教育研修をしたからといって、今年の決算の売り上げがすぐに向上すると考える経営者はいないでしょう。あくまで企業の将来の発展のための投資です。
 新卒の採用も同じ理屈です。彼らが、入社してすぐに稼いでくれるわけではありません。しかし、その費用は現在の会計では「今年の費用」として計上されます。
 ドラッカーが例示するある米国企業では、新事業を一生懸命推進しようとするのですが、何年たっても一向に進みません。なぜなら、その会社の幹部の給与は毎年の担当部署の業績によって決定するのですが、当面の間たいした売り上げを見込めないのに対して巨額のコストがかかる新事業を積極的に推進すると、彼らの報酬が下がるのが分かっていたからです。
 この問題は、新事業に関する売り上げと費用の数字を、幹部の報酬を決定する業績の数字とは別枠で扱うことで解決しました、つまり、「今の企業の運用のための費用・資源と、企業の将来の発展のための費用・資源を完全に分離」したわけです。


●社風は最高の競争力

 数字やデータだけで、企業の実力を判断できないとしたらどこを見たらよいのでしょうか?
 計数化が困難な競争力はたくさんありますが。その中で最も重要なのは「社風」だと言えるでしょう。

<続く>

続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/9月号をご参照ください。


(大原浩)


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こずかいを増やせば勉強するか?

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―<金の卵>は<金の卵>であったか?−


■少子高齢化はプラス

 今回は、日本経済に対する悲観論の根拠としてよく登場する少子高齢化についてお話します。

 たしかに、現在の人口構成を見れば、今後の日本の少子高齢化はほぼ間違いありません。
 しかし、少子高齢化は欧米先進国はもちろんのこと、アジアをはじめとする新興国の多くでも抱える問題です。特に、南朝鮮(大韓民国)の少子高齢化は日本をはるかに上回るスピードで進行しており、近いうちに少子高齢化の度合いで日本を追い抜くはずです。
 また、チャイナはようやく中進国の仲間入りをしたばかりなのに、すでに労働人口が減少を始めつつあります。つまり、チャイナや南朝鮮(大韓民国)は経済がまだ十分成熟する前(先進国入りする前)に、少子高齢化に直面せざるを得ないので、その将来ははるかに日本より暗いということです。


 しかも、発想を変えれば、日本は「高齢化先進国」であるわけですから、その医療や介護に関する先進ノウハウでグローバルなビジネスを展開できます。日本の「おもてなしの心」は、「日本ブランド」の形成に大いに役立っていますが、高齢者向けのビジネスではその心遣いがさらに重要です。

 また、世界中で若年失業者の増加が懸念され、欧米では一般失業者の2倍程度の比率(一般失業率が10%であれば、若年失業率が20%)に達しており、深刻な社会問題となっています。スペインでは若年失業率が50%を超えるという驚くべき事態です。

 それに対して、日本の失業率は欧米に比べてきわめて低い水準です。また、少子高齢化が進行しているため若年失業率を緩和している部分があります。

 さらに、日本での今後の若年労働力確保において、移民政策はその副作用の強さから推進すべきではないと考えますが、日本には眠れるすばらしい労働力があります。女性です。

 日本の女性の社会進出度合いは、先進国としてはかなり低い水準にあります。彼女たちが他の先進国並に活躍するだけで、少子化による若年労働力の不足という問題にはほとんど対処できます。


■金の卵は金の卵であったか?

 そして、思い出さなければならないのは、日本が「高度成長」と呼ばれる輝かしい時代を謳歌していた時は「人手不足」であったことです。
 当時は、国内で急速に工業や商業が発展したことや、親の世代では少数派であった高校・大学への進学が一般化したことで、工場や商店での単純労働を担う労働者の不足が深刻化したことが社会問題になっていました。
 ですから、雇用主による中学卒業生の争奪戦はすさまじく、マスコミが彼ら中卒を極めて貴重な存在であるという意味で「金の卵」と称したというわけです。


 しかし、彼らが「金の卵」と呼ばれることはもうありません。
 なぜなら、「人手不足」という深刻な問題に直面したメーカーを中心とする日本企業が、ロボットによる自動化に真剣に取り組み、それを成功させたからです。現在では「金の卵」と呼ばれていた労働者が行っていた単純作業の多くがロボットにとってかわられています。

 つまり「人手不足」こそが、日本のロボット産業の発展を促したというわけです。

 それに対して、同じ時期の欧米では日本のような深刻な人手不足は存在せす、むしろ「移民」という手軽で安い労働力(少なくとも当時はそう見えた)が大量に流入したため、工場生産のロボット化・自動化は大幅に遅れました。


■こずかいを増やせば勉強するか?

 マスコミを含む多くの人々が、マイケル・ポーターがいうところの【要素条件】(例えば石油などの資源・安い労働力・政府の支援など)を満たせば産業が発展するという幻想を抱いていますが、それは全くの間違いです。

 例えば、産油国の中できちんと産業を発展させたのは米国(輸出量でなく産油量では世界のトップクラスです)くらいのものです。
 ナイジェリア、ベネズエラをはじめとするその他の産油国の政治・経済は混乱していますし、サウジアラビアなどではオイルマネーをばらまいて、何とか政権を維持しています。

 また、スイス・ドイツ・イタリア・北欧諸国・シンガポール・香港・台湾など、戦後発展を遂げた国々の大部分は要素条件に恵まれていません。


 企業や国家の【競争力の本質】というのは大きなテーマですので、機会を改めて論じたいと思いますが、確実に言えることは、『子供に立派な勉強机や高価な参考書を買い与えたり、(やる気を高めると称して)こずかいの額を増やしたりしても、それだけで成績が良くなるわけではなく、むしろ逆効果になることが多い』ということです。

 「あれとこれを買ってくれたら、勉強するからさあ・・・」と言われて、何かを買い与えてもまずうまくいきません。もし買い与えるなら、勉強の結果を出してからにすべきですし(バフェットも企業経営者や従業員の報酬に関して同じことを言っています)、そもそも、勉強をすることが自分自身の将来にとって重要だということが分かっていないようではどうしようもありません。

 「俺、会社の経営頑張るからさあ・・・若くて安い労働力を十分用意しといてくれる?」と国(親?)にねだるような、三流経営者を物事の基準にする必要はありません。世の中には、親や先生に言われなくても自分の将来のために勉強を自ら行う学生は十分いますし、他人(国)に頼らず自らの力で経営課題を解決しようとする志の高い経営者も決して少なくありません。

 そして、そのような志の高い経営者・従業員を擁する企業こそが、産業や国家の競争力となるのです。志の低い企業(個人)に何を与えても効果が無いどころか甘えを助長させて腐敗させるだけです。


 日本は少子高齢化という難題を事実上世界で最初に突き付けられましたが、それを解決すれば世界に誇る圧倒的競争力を獲得することになりますし、たぶんそれを実現するでしょう。

 ただし、課題を解決するためには、高い志と能力が必要ですから、日本のように1300年以上にわたって文化を蓄積し幾多の困難を乗り越えてきたわけではない国々が、日本と同じように課題を解決できるかどうかは未知数です。


■高度人材の受け入れ

 欧米で過去行ってきた低賃金労働者(移民)の受け入れの結果がどうなったかは、ここで述べるまでもありません。そもそも、外国人であるというだけで、低賃金の労働をするのが当然という考え方が間違っています。
 移民第一世代は、本国での苦しい生活を体験していますから、移民できたことに少なからず感謝しているはずですが、第二世代・第三世代にとっては、移民先こそが故郷です。たとえ国籍を持たない外国人であっても、国民意識を持つようになります。もし、国籍を取得したらなおさらのことでしょう。

 反対に、低賃金労働者を受け入れた欧米諸国は、彼らがそのままでいることを望みますがそうはいきません。しかもシンガポールのように、入国の際に移民からパスポートを取り上げて、必要が無くなったら強制送還するというような荒療治もできません。

 そしてその結果、テロの嵐を招くことになります。

 したがって、日本の過去・現在の制限的な移民政策は極めて正しく、誤った開放的な移民政策を行ってきた欧米諸国はこれから高いつけを払っていくことになります。

 ただし、高度人材と呼ばれる、高い教育を受け高度な知識を持つ人々に関してはこの限りではありません。ドラッカーが指摘するように、現在は「知識」こそが重要な生産要素であり、この知識をどのように獲得するのかが競争力を決定づける重要なものだからです。

 例えば、シリコンバレーのように、世界中のトップクラスの頭脳が集積する場所が、日本国内に多数できるのが理想です。

 そして、治安が良く高い文化レベルを維持している日本は、このような高度人材にとって望ましい移住先の一つであるはずです。


(大原浩)


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バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第11回

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産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
8月号連載記事


■競争戦略の核心その3 仕入れ力(節約力)

●差別化とコストコントロール

 バフェット流で「ブランド力」と表現される内容は、ポーター的に言えば「差別化=競争力」と言えますし、ドラッカーの表現を借りれば「イノベーション」に相当するでしょう。

 これら三つの内容は、全く同じではありませんが、同じことの違う側面に注目して違う表現をしているといえます。

 例えば、一神教であがめる神はすべて同じ(イスラムは旧約聖書も新約聖書も経典の一つとして認めているし、イエス・キリストは周知のようにユダヤ人のユダヤ教徒であり、ユダヤ教の聖典である旧約聖書を認めている)なのに、イスラムではアッラー、ユダヤ教・キリスト教ではヤハウェ(エホバ)と呼び、それぞれ全く違った宗教としてお互いに敵対しているようなものです。

 また、バフェット流で「仕入力」と表現される内容は、ポーター風に言えば「コストコントロール」、ドラッカーにおいては「業務の科学的分析」に相当します。

 要は「企業・(製品・サービス)の価値を高める」ことと、「より安いコストで企業を運営し、より低価格で製品(サービス)の価値を高める」ことが「競争戦略」の両輪ということです。


 今回は「より安いコストで企業を運営し、より低価格で製品(サービス)の価値を高める」=仕入力に注目するわけですが、簡単そうに見えてなかなかできないのが「コストコントロール」です。


●本当に節約しているのか

 コストコントロールというと、まず思いつくのは仕入(購入)コストの引き下げ、人件費のカット、無駄な経費(出張費など)の節約といったところでしょうか?

 もちろんそれらの経費のコントロールは大事ですし、びた一文無駄な費用を使ってはなりません。しかしながら、一つ一つの業務にかかる費用を一生懸命節約しても、会社全体のコストの削減になるとは限らないというのが、ポーターが強く主張するところです。

 例えば、品質・安全に関係が無い自動車工場の作業工程の一つを減らして、コスト削減に成功したとします。製造工程の中だけを考えているのであれば何の問題もなく、コスト削減の立役者として拍手喝さいを浴びるでしょう。
 ところが、そのわずかな作業工程の変更が、自動車のエンジン音に微妙な影響を与えたとします。その車種の独特のエンジン音が気に入っていた顧客の一部は購入をためらうかもしれません。
 あるいは、その事実を親切に教えてくれる顧客がいたとしたら、販売店で調整して元のエンジン音を復活させなければなりません。

 逆に、工場が導入を希望していた最新鋭の製造装置の導入を「値段が高いし、まだ古い設備が十分使える」として却下したとします。もちろん、生産そのものは続けることができますが、旧型の機械の製造効率は新型に比べて劣りますから、その分余分な人件費、(長時間運用による)余分な光熱費などがかかります。
 さらには、旧型の装置の方が、故障率が高いとすれば、修理している間工場が稼働しなくなる(大規模工場がストップするとその損失は大きい)という望ましからざるコストも発生するということです。

<続く>

続きは、産業新潮
http://homepage2.nifty.com/sancho/8月号をご参照ください。


(大原浩)


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