書評:最新脳科学で読み解く「脳のしくみ」



書評:最新脳科学で読み解く「脳のしくみ」
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 「人間経済科学」において考察する「人間」の中心が「脳」にあることは否定できません。したがって「脳科学」は「人間経済科学」を構成する主たる要素の一つです。

 特に本書は、生科学的な脳の機能の解説だけではなく、脳と人間の行動との関係性に重点を置いた話が中心であるため、「人間経済科学」の観点からも貴重な内容にあふれています。

 「行動経済学」でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンと相棒のエイモス・トヴェルスキーの研究に触れた部分もあります。

 興味深いのは、映画からの引用が多いこと。「レナードの朝」、「レインマン」、「アルジャーノンに花束を」など脳機能に障害を持った主人公が登場する映画は山ほどありますし、なんらかの形の「記憶喪失」がテーマとなった映画は無数にあります。もし、これらのテーマを、映画で使用できないとしたら、映画産業が成り立たないかもしれません・・・。

 それだけではなく、行動経済学者で「予想通りに不合理」などの著者の、ダン・アリエリーも無類の映画好きで有名です。「脳=人間の心理・行動」を観察することと、映画を鑑賞するということには、何か共通の要素があるのでしょう。事実、映画には「人生(人間の行動)のすべて」が描かれていると言っても過言ではないですからね・・・。


 本書は、脳に関わる極めて興味深いテーマを、非常にわかりやすいタッチで簡潔に述べています。見かけは一種のノウハウ本のようですが、内容はきちんとした最新脳科学の研究に基づいています。

 例えば、「胎児にクラシックを聞かせると良い」、「人間の脳のうち実際に使われているのはごくわずかで、残りはほとんど使われていない」、「アルコールを摂取すると脳細胞が破壊される」など、世間に根強く定着している誤った俗説がなぜ誤りなのかをきちんと論理的に説明しています。

 念のため、脳に影響が無いのは「適度の」アルコール摂取であって、「大量のアルコール摂取」は脳に悪影響を与えますのでご注意下さい(適量とは、本書にも書かれていますが、夫婦二人で<適量には男女差がある>ワイン1本程度までです)。

 コラムが多数あり、それぞれとても楽しい内容なのですが、例えば章の最後にまとめる等してもらった方が読みやすいかもしれません。

 巻頭の<脳をどれくらい知っている>のクイズは是非やってみてください。
 世の中の<脳に関する通説>がどれほど間違っているかがよくわかります。

 ちなみに、人間の脳が創り上げた「神」という妄想についても触れています。その中でも傑作なのが、米国の某アニメで「未来には宗教が無くなっている」という話。

 しかし、宗教が無くなっても世界は「同じ<無神論の>教祖を信じる三つの派閥に分かれて争っている」というのです。まるで同じ神様を信じているのに血みどろの戦いをしている現在の三大一神教のようです(ユダヤ教・キリスト教ではヤハウェ、イスラムではアッラーと呼びますが、全く同じ神のことを指します)。

 しかもその教祖が「宗教は妄想である」の著者で、無神論者として有名なリチャード・ドーキンス。これには、爆笑しました!

 人間が「宗教という妄想」から脱出しても、「地球温暖化(教)」、「環境保護(教)」などの妄想にのめり込んでいるのは、結局人間にとって「現実」はあまりにも厳しくつらいので、「妄想」なしでは生きていけないということでしょう。

 また逆に言えば、人間の脳は「厳しい現実から自らの自我を守る保護機能として「妄想」する能力」を備えているともいえるでしょう。

 「人間経済科学」的観点から最も興味深いのが「ブランド」という妄想です。物理的には全く同じ商品なのに、商品の隅っこにブランドロゴが入っているだけで、何倍、何十倍もの代金を支払うのは「妄想効果」によるものです。

 人々に「妄想を与え洗脳する宗教」がどれほど儲かるかは、「坊主丸儲け」という言葉が如実に示していますが、「ブランド戦略によって人々の妄想をかきたて」高額品を売るシステムは「ブランド丸儲け」という言葉で表現できるでしょう。

 人間の脳機能を理解し十分活用することは、ビジネスにおいても極めて重要なことです。


(大原浩)


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書評:種の起源(上)



書評:種の起源(上)
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 1859年出版ですから、今から160年ほど前のことになります。
 この年には、スエズ運河が起工(完成は1869年)され、この年に起こった太陽嵐において、リチャード・キャリントンが初めて太陽フレアを観測しています。

 日本では、安政の大獄が起こり、吉田松陰が斬首刑に処せられています。


 確かに、「昔」のことですが、アダム・スミスの国富論が出版されたのは、1776年ですから「種の起源」刊行の百年近く前。アイザック・ニュートンが『自然哲学の数学的諸原理』を刊行したのは1687年、さらに100年以上前の話です。

 今ではごく当たり前になっている進化論の歴史は、他の自然科学などと比べると意外に新しいのです。


 この原因は、キリスト教(ローマカトリックおよびその分派)が欧州を支配していた中世の「暗黒時代」を抜きにして語ることはできません。

 簡単に言えば、当時の欧州は「将軍様」ならぬ「法皇様」が独裁的に支配する、現代で言えば北朝鮮のような地域であったのです。

 魔女裁判の卑劣さ残酷さは有名ですが、<拷問で死ねば無罪、生き残れば有罪>(結局どちらにしろ死ぬ運命)などというでたらめの上に、罪を認めず生き残れば生きたまま丸焼きにされるという恐ろしい刑罰が待っています。

 銃殺する北朝鮮の方がよほど人道的といえるでしょう(ちなみに、ギロチンは人道上の必要から発明されました。死刑執行人が首を跳ねる場合、失敗することがよくあり、半分首がつながったまま、死刑囚が苦しむからです)。


 ガリレオ・ガリレイが、地動説をめぐりドミニコ会修道士ロリーニと論争になったのが1615年。1633年の第2回異端審問所審査で、ローマ教皇庁検邪聖省から有罪の判決を受け、(幸運にも・・・)終身刑を言い渡されます。

 ガリレオの「それでも地球は回っている」は、あまりにも有名な言葉ですが、それから200年以上経ったこの時代でも、本書の中から「それでも生物は進化している」というダーウィンの心の叫びが聞こえてきそうです。


 「進化論」が今でも狂信的なキリスト教徒から攻撃を受けるのには理由があります。それは、この世や生き物は「神が創造した」という天地創造説を真っ向から否定しているからです。
<現在の人間が「偶然」の積み重ねで出来上がったなどとはとても信じられない>、
<例えば眼のような複雑な器官が偶然でできるわけが無い。それは、倉庫の中に並べたジャンボ・ジェットの部品が台風で、偶然組み立てられると言っているようなものだ>
という反論があります。

 この反論は、今でも繰り返し狂信的キリスト教徒などが主張し、リチャード・ドーキンスもその著書の中で詳細に批判しています。しかし、実はその答えはすでに本書の中に書かれているのです。


 進化というのは「可能性をすべて試す」わけではありません。そんなことをしたら、組み合わせの数は、宇宙を例えに出さないといけないほどになります。

 「自然選択」というのは、「有用な性質だけを残す」という点が重要なのです。例えば、足の裏に眼がある動物はいません。そのような組み合わせは、生存の上で全く役に立たないからです。同様に、耳や鼻も足の裏にはありません。

 このように、「自然選択」というのは、不必要な組み合わせを最初から排除しているので、数学的な確率論で考えるよりも、はるかに簡単に進化を実現できるのです。

 例えばオーストラリアの有袋類の多くが哺乳類によく似ているのを見ると、地球環境に適応し生存するのための「進化」の選択枝は意外に少ないことがよくわかります。

 150年前の本書に明快な答えが書かれていることに対して狂信的キリスト教徒などがいまだに進化論の欠陥だとして攻撃しているのを見ると、彼らがいかに本書を読まないで非難しているかが分かります(もっとも彼らは聖書もちゃんと読まず、書いてあることを平気で全否定したり、書いてもいないことを平気で主張しますが・・・)。


 また、本書がアダム・スミスの国富論の100年以上も後に出版されたということも忘れてはなりません。

 スミスは、著書の中で「権力者(国王、国家等)が強力なコントロールをしなくても、人間の自律的な営みによって、経済はきちんと循環する」と主張しています。

 いまではごく普通に思えるこの主張も、当時としては革新的でした。そもそも欧州では、長年にわたって、国家(土地、人民)は、国王や法王の私有物であり、彼らがどうしようと勝手であったわけです。

 ところが、スミスは「国民の最大幸福のための富国を実現するためには、国民の自由な活動を見守るのが一番良い」と主張したのです。「神」、「国家」、「国王が恣意的に経済をコントロールしようとしても良い結果は出ないということです。
 もし、彼らの政策がうまくいくように見えたら、それはもともと経済が自立的にそちらの方向に進もうとしていただけにすぎません(ところが、いまだに政治家や経済学者は、「神の代理人」であるがごとく、色々な政策を立案実行しますが、うまくいかずにいつも言い訳をしています)。

 もちろん、何でも自由にしてよいというわけではありません。国防(軍備)は、国家の最優先事項であるとしていますし、今はやりの言葉で言えば「相撲協会」のような商工業者の利権組織を肥大化させないためには、国家の介入が必要であるとしています。


 私も、軍事とマネー以外の社会・経済活動については、インターネットをはじめとする通信手段の発達によって「自律的進化」の道筋ができたのではないかと思います。

 軍事については改めて申し上げることは無いでしょう。隣国が「ミサイルを撃ち込むぞ」と脅しているときに、国家が軍隊を持たなければ話になりません。

 また、人類は「マネ・サピエンス」と呼んでもいいくらい、金銭への執着があります。金銭のためなら、他人の命を平気で奪う人々が少なくありませんから、こちらも「自律型」は当分お預けです。
 今騒がれている仮想通貨も、ビット・コインのように完全なオープンなものでは無く、銀行団のような「中央」があるクローズ型が主流になっていくと思います。


 ダーウィンがスミスの本を読んだのかどうかは確認できませんが、当時の大ベストセラ―、古典ですから、多分読んだのではないかと思います。スミスも教会にはかなり気を使って「神」の御心のような話を書いていますが、キリスト教が支配していた時代であるということを考慮に入れなければなりません。

 象徴的なのが「神の見えざる手」。国富論には一度も登場しない(「道徳感情論には登場する」」言葉が、こんなに有名になった背景には、狂信的キリスト教徒の「神は偉大だ」というプロパガンダがあったのでしょう。

 ダーウィンの主の起源の発刊が大幅に遅れたのも、創造説を唱える教会勢力からの攻撃を恐れたからです。実際、1782年にスイスで行われた裁判と処刑が、ヨーロッパにおける最後の魔女裁判であるとされるので、本書刊行時には、異端審問にかけられる可能性を否定できませんでした・・・。


 そのような環境の中でダーウィンが勇気を振り絞って本書を刊行したおかげで、今日のバイオテクノロジーをはじめとする、生物学・遺伝学の飛躍的発展があるのです。


(大原浩)


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ドラッカー18の教え 第10回

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産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
1月号連載記事


■人間には人物を見分ける能力など備わっていない


●富を生み出すことができるのは人間だけである


 「富を生み出すことができるのは人間だけである」。まったくその通りです。どれほど優れた機械やソフトウェア―でも、まず「人間が意志を持って機械やソフトウェアをこの世に誕生させなければ、それらの製品そのものがこの世に存在しない」ということになります。
 つまり、それらの製品にとって人間は「創造主=神」ということになります。
 もちろん、それらの製品は、人間が意図をもって作動・運用しなければ、何の富も生み出さず、単なる物体にしかすぎません・・・

 また、地中に眠る原油や鉄(銅)鉱石でも同じことです。
 地下資源は、地球の歴史の中で数千万年、数億年単位で存在していましたが、人類がたった数千年前に文明と呼ばれるものを生み出すまで、それらの地下資源はただ存在するだけで経済的価値など全く存在しませんでした。もっといえば、それらの地下資源が現代のように重要な意味を持つようになったのは、せいぜい数百年ほど前からの出来事です。
 もちろん、地下資源の性質に何らかの変化があったわけではありません。
 人間(社会)が変化したことによって、地下資源の経済的価値が大きく変化したのです。


●人間ほど厄介なものは無い

 したがって、地下資源や機械などと違って、「人間の頭の中で生み出され保管される」知識が経済の重要な要素となる知識社会において、「人間だけが富を生み出すことができる」とドラッカーが主張するのも当然のことです。

 そして、その「唯一富を生み出す人間をマネジメントすることが経営の最重要課題である」ことにも疑いの余地がありません。

 しかし、その経営・経済にとって最も重要な要素である人間のマネジメントほど難しいものは無いということも、ドラッカーの指摘する通りです。しかし、この最も難しい課題を避けていては、経営に失敗します。


●人事の責任は全て任命者が負わなければならない

 「人間」というキーワードで組織を考える場合、最も重要かつ目立つマネジメントは「人事」でしょう。一般従業員だけではなく、役員にとっても自分自身の人事は仕事をするうえで最大の関心事でしょうし、さらには、同僚、上司、部下の人事も大変気になるはずです。

 しかし、その人事がなかなかうまく機能しないことが、マネジメントが成功しない最大の原因です。マネジメントは「誰をマネジメントするのか」が始まりですが、そこでつまずいてしまっては、すべてが前へ進まなくても当然です。

 現在行われている大半の人事の最大の問題点は「任命された側に人事の責任を負わせる」ことにあります。例えば、A氏が営業部から経理部へ人事異動を命じられたとしましょう。もし、A氏が思ったほど経理の仕事で実力を発揮できなくても、それはA氏の責任ではありません。もちろん、A氏は任命された経理の仕事に全力を尽くすべきですが、もしA氏に経理の仕事を遂行する能力が欠けているとしたら、いくら努力をしてもそれはほとんど徒労に終わります。


 続きは「産業新潮」
 http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
1月号をご参照ください。


(大原浩)

*2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立します。HPは先行して2月にはアップされます。


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書評:国富論(下) 国の豊かさの本質と原因についての研究



書評:国富論 (下) 国の豊かさの本質と原因についての研究
アダム・スミス 日本経済新聞出版社
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[「経済学」の本格的始動]

 物理学と呼ぶべきものがギリシャ時代・ローマ時代に無かったわけではありません。しかし、現代物理学の基礎を構築しその後の発展をもたらしたのがサー・アイザック・ニュートンであることに異論はないでしょう。

 同じく「進化論」の礎を築き、「進化」という全く新しい概念(今では当たり前のことのように思われていますが、キリスト教的世界観が根強く支配していた当時は、簡単に言えば「エデンの園を追われた人類はどんどん退化しているのだから、元の完全な状態に戻らなければならない」というような世界観が支配していました)を生み出したのが、チャールズ・ロバート・ダーウィンです。

 同様に、それまで混沌としていた社会・経済を冷静かつ鋭い分析力で整理整頓し、体系化したのがアダム・スミスです。言ってみれば「経済学の父」ともいうべき偉大な人物です(本業は道徳哲学の教授ですから、まさに「一から独力ですべてを成し遂げた」わけです)。

 アダム・スミスの「科学的手法」のベースは「豊富なデータ」と鋭い観察眼による「現地現物」という二つの要素に大きく依拠しています。

 まず、「豊富なデータ」という部分においては、この本が出版されたのが日本で言えば江戸時代の前半であるということを考慮しなければなりません。

 国富論が出版されたのが1776年(1789年の第5版が生前の最後の改訂版)。享保の改革で有名な第8代将軍徳川吉宗が没したのが1751年。安永5年(1776年)には平賀源内がエレキテルを発明し、独立戦争に勝利したアメリカの独立宣言も行われています。

 このような時代に本書に収録されているようなデータを集めるというのは、当時の欧州が文化的・経済的に高度な発展を遂げていたと言っても、並大抵の努力ではできません。この豊富なデータの裏打ちによる分析が本書の説得力を高めています。

 二つ目の「現地現物」は、トヨタ生産方式の根幹をなすものですが、「例え社長や役員であっても、本社に閉じこもっていないで、工場の現場や販売店で【現実】を見てから判断を下す」ということです。本書でも、アダム・スミスの商売(ビジネス)、貿易どころか庶民の生活に至るまでの精通ぶりには驚かされます。象牙の塔に閉じこもらずに、庶民の中に飛び込んで色々と調べたのは事実のようですし、そのおかげで本書でも【経済行動における人間の本質】が生き生きと描かれています。

 【社会や経済を人間の営みとしてとらえる「人間経済科学」】もこのアダム・スミスの視点を継承しています。


[マルクス経済学と近代経済学による暗黒時代]

 江戸時代中期には、素晴らしい経済に関する理論体系が完成していたのに、その後250年経っても、経済理論は進化するどころかむしろ退化しています。

 その原因は、マルクス経済学と(いわゆる)近代経済学にあると言えるでしょう。

 マルクス経済学がすでに破たんしていることは、だれの目にも(一部の共産主義狂信者は除く)あきらかですので、ここではあえて論じません。

 近代経済学の最大の過ちは数式で人間の営みを理解しようとしていることです。

 例えば「国富論」には、数式・方程式の類は一切出てきません。また、現代のビジネスにおける賢人の代表である、ピーター・F・ドラッカー、マイケル・E・ポーター、ウォーレン・E・バフェットたちの著作や発言に数式・方程式が出てくることもまずありません。
 もちろん、経済の根幹を為すビジネスにおいて数式や方程式など全く必要が無いからです。それなのに、経済学で数式・方程式をぶんぶん振り回すのは馬鹿げた行為です。

 特にバフェットは「投資に必要なのは足し算、引き算、掛け算、割り算だけだ。もし、投資に高等数学が必要であれば私が成功することは無かっただろう」と述べています。投資家として成功しただけではなく、一代で米国を代表する企業帝国を築き上げた事業家でもある彼の言葉は重みがあります。

 また、経済は人間の営みであるという正しい認識を持てば、経済は「観察」によってしか理解できない、ということがはっきりわかります。

 「動物学」の中でも、人間にもっとも近いサルの社会を理解するときに、数式や方程式を使うでしょうか?彼らの社会を理解するには、まず観察。そして可能な範囲での実験を繰り返します(念のため、物理学と違って全く同じ条件での再現実験は難しい)。彼らの社会を一発で解き明かす数式や方程式など存在しません。

 それなのに、サルよりもはるかに複雑で巨大な人間社会の営みである経済を、ニュートン力学や相対性理論のように一発で謎を解き明かす方程式などありえません。

 ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)は、ロバート・マートンとマイロン・ショールズというノーベル経済学賞・受賞者をはじめとしてそうそうたるメンバーをそろえていましたが、1998年に破たんしました。

 それでも、なぜいまだに経済学者が数式・方程式を振り回すのか?それは「お経は意味が分からなくて長いほど有り難い」のと同じです。

 まったく意味が分からないサンスクリット語のお経を聞かされても足がしびれるだけですが、なんとなくお経を詠んでいるのが「徳の高い僧侶」のような気がします。

 同様に、一般の人には良くわからない方程式を振りかざしていると、中身は無くてもなんとなく立派な学者に見えるというわけです。


[モンゴル互助会と大学教員]

 アダム・スミスは、もしかしたら自分の後の時代に正しい考え方が後退して、<中世のキリスト教が支配する暗黒時代>に似たような時代がやってくることを予見していたのかもしれません。

 彼は、今の流行りで言えば大相撲のモンゴル互助会(裏には日本人の闇組織があるとのことですが、確かなことはわかりません)のような、少数の人間が利権を求めて結束することについて、非常に憂慮していました。

 <利権を求めて結束する>というのは、人間の本能に近いもののようで、現在でも大相撲に限らずどこでもみられる光景です。

 スミスは、自身が大学教授であるにも関わらず、象牙の塔の教員たちについても鋭い指摘をしているのです。

 そもそも、ギリシャなどの古代文明において教員(家庭教師)は、自由市場で取引されて言いました。評判の良い家庭教師がいれば、その家庭教師を十分な給料で呼び寄せて学び、評判が良くない家庭教師には仕事が無かったわけです。
 現在の日本の塾・家庭教師や予備校などはある程度それに近いシステムと言えるかもしれません。

 ところが、大学なるものが生まれて様相が一変します。同じ内容を学んでも、大学の卒業証書があるかないかで、その社会的効果に大きな違いができました(スミスの時代にはすでに、卒業証書やどの大学を卒業したかで就職等に有利・不利があったようです)。

 こうなると、教員は生徒に単位(卒業証書)を与えるか与えないかを決める絶大な権限を持ち、ユーザー(生徒や学費を出す親等)から学問の内容に関する適切な評価を受けなくなります。

 その結果、教員の質が低下するとスミスは断言していますが、まさに現在その状態であると言えるでしょう。つまり、大学教員互助会によって収入と身分が保証されているため大学教員は腐敗しているということです(もちろん大相撲に貴乃花がいるように、少数の良心派派は当然存在すると思いますが…)。


[神の見えざる手]


 この有名な言葉は、実は「国富論」の中には一言も書かれていません。スミスの別の著書「道徳感情論」に登場する言葉なのです。また、国富論の主要なテーマは「神の見えざる手」ではありません(利権集団に後押しされた政府が無駄な規制を行うことは国富を損なうから、人間の自然な営みに任せた自律型経済を志向しているのは確かですが、完全自由放任主義でもありません)。

 「神の見えざる手」という言葉だけが独り歩きしている現状は、「印象操作」です。マルクス経済学者や近代経済学者が、国富論の都合の悪い部分を包み隠すために行っているプロパガンダだともいえます。

 国富論の全容を正しく読者の皆様にお伝えしたいのは山々ですが、なにしろ邦訳で1000ページ(しかも大判の専門書スタイル)にも及ぶ大著です。今回は、ほんのさわりの話ですが、機会を改めて、少しづつ皆様にお伝えしたいと思います。

*2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立します。HPは先行して2月にはアップされます。

 「国富論」についても、さらに詳細なレポート、論文等を発表していくつもりです。


(大原浩)


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書評:人類は絶滅を逃れられるのか



書評:人類は絶滅を逃れられるのか 知の最前線が解き明かす「明日の世界」
スティーヴン・ビンカー、マルコム・グラッドウェル、マット・リドレー他箸
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 「日本人はディベートが下手だ」と、非難がましく言うマスメディアを中心とした人々がいますが、ディベートが得意だからと言って自慢するようなことではありません。

 例えて言えば、ディベートは商品の包み紙、すなわち「見た目」です。表面的な印象を重視し中身に乏しい欧米人は、確かにディベートという包装紙で自分を飾る必要があるでしょう。

 しかし、日本を筆頭とする東洋文化圏では中身を重視(特に精神的なもの、お歳暮などの贈答品は別・・・)するため、見た目にそれほど重きを置きません。「自分がこれだけすごいんだ(正しいんだ)」という主張をするための技術を磨くことよりも、(自分の)中身を高めることに注力します。

 一瞬の勝ち負けは別にして、長い目で見てどちらがあるべき戦略なのかは<ディベート>するまでも無いでしょう・・・


 本書は、「赤の女王」や「繁栄」等の名著を執筆したマット・リドレーの名前があったため、思わず手に取ったのですが、内容はかなり上滑りです。

 訳者前書きにもあるように、ディベート会場は大いに盛り上がったようですが、それはプロレスの「金網デスマッチ」に観客が熱狂するのと一緒で、<その場の興奮>にしかすぎません。活字にするとほとんど内容がありません…

 ディベートでは、よく言葉尻をとらえた揚げ足取りが行われますが、本書でも「明るい未来」の肯定派に対する、否定派の執拗な揚げ足取りが散見されます。

 まるで、日本の明るい未来を実現すべく懸命に努力している政治家に対して、日本の将来を真っ黒にしたい(外国勢力や共産主義勢力に日本を支配させたい)政治家やマスコミが懸命に足を引っ張ろうとしている姿を見ているようです。


 なお、「人類滅亡」については、紀元前から色々な説が流されてきましたが、ミレニアム(1000年紀)、1997年7の月、2000年問題、マヤ歴の終わり(2012年)をはじめとする無数の滅亡説のうち、どれか一つでも当たっていたら、現在我々は存在していないということを直視するべきです。

 しかしなぜ、こうも繰り返し「人類滅亡説」が出てくるのか?
 それは、進化的に人間がネガティブな情報に過敏に反応するよう生まれついているからです。

 例えば古代において、Aというリスクを顧みない<イケイケどんどん>な人と、神経過敏で心配性なBという人とを比べれば、どちらが長く生き残り、より多くの子孫を残すであろうかは明白です。

 人類が生きてきたほとんどの時代は、常に生命の危険にさらされていたので、ネガティブな情報に過敏に反応する個体の方が生き残りやすいのが道理です。

 したがって「人類滅亡」というのはキリスト教を含めた大概の宗教の殺し文句で、<信じなさい、あなただけは救われる>という言葉で多くの信者を獲得してきました。

 「地球温暖化教」もその一つで、「信じなさい、そうすれば(あなたも含めた)人類は滅亡から救われる」という言葉だけで、ほとんど何の科学的証明もせずに、世界中の多くの人々を洗脳してきたのは驚くべきことです。


 ただ、このディベートの聴衆の3000人のうちの多くの人々が「人類滅亡説」を含む人類の未来に対して健全な意見を持っているのが救いです。


(大原浩)


【大原浩の書籍】

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書評:国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)



書評:国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)
アダム・スミス 日本経済新聞出版社
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 人間とサルの違いは何か?
 世界のあらゆる分野の研究者の頭を悩ましてきた問題であり、私が子供の頃から興味を抱き、いまだに明確な解答を得ることができずにいるテーマでもあります。

 サルをはじめとする多くの動物は原始的な道具(例えば木の枝)を使用しますし、イルカはコミユ二ケーションに言語(音波)らしきものを使用することはよく知られています。また、脳のサイズも、人間だけが特別大きいというわけでもありません。

 コイン(トークン)も、サルに教えれば、すぐに使い方を覚え、食べ物と交換したり「売・買春」(オスがメスにコインと交換に交尾を求め、メスがそれに応じる)も活発に行われます。売春が世界最古の職業であるとよく言われますが、本当かもしれません・・・。

 しかし、マット・リドレーがその著書「繁栄」で指摘するように、人間の行う交換は(換算の必要が無い)単純な等価交換だけではありません。
 例えば、サル同士が「自分の背中をかいてもらったら相手の背中をかく」という交換をすることは珍しくありませんが、リンゴ一個を渡すかわりに背中を30分かいてもらうなどという取引をするサルを見たことはありません。
 このような価値の換算が必要な高度な交換は人間特有の行動であると言ってもよいでしょう。このような価値の換算を行うのは、極めて高度な知的活動であり、人間固有の行為なのです。

 また、人間の行う交換には「交換の(実質的)先延ばし」というさらに高度な行為が含まれます。前述の「換算による交換」においても、現代においては「貨幣」がその仲介役として大きな役割を果たしますが、「交換の先延ばし」においては、さらに貨幣が重要なものとして位置づけられます。

 例えば、魚10匹と山菜一かごを交換したとしましょう。どちらもすぐに消費しないと腐ってしまいますから、交換はそれで終わりです。ところが、塩と山菜を交換した場合、塩は保存可能です。そこで塩を受け取った人々は、それを自分で消費するのではなく、機会をうかがって、その塩をさらに別なものに交換することができます。これが「交換の先延ばし」ということです。

 ちなみに、古代ローマにおいて(古代世界においてはほとんどの地域で)、塩が貴重なものであったため、ローマ兵の給与は塩で支払われていました。つまり塩が通貨の役割を果たしていたのです。また、サラリーマンの語源(大正時代から使われるようになったといわれる)はラテン語で塩を意味する「sal」だとされていて、これは英語の「salt」の語源でもあります。


 本書は、古代ローマからはるか時代が下った1776年に出版されました。
 当時の通貨の中心は銀貨、金貨、それに銅貨です。記述の内容から受ける印象では、銀貨が流通(価値尺度)の中心であったようです。しかし、紙幣はもちろんのこと、銀行の当座貸し越し機能、金融機関などによる信用創造(融通手形など好ましく無いものも含めて・・・)など、現代の通貨・金融取引の基礎となるシステムはすべてそろっていました。

 スミスは、それらの貨幣の根源的価値を基本的に「労働を購入できる力」と定義しています(2次的には穀物などの生活必需品を購入できる力等)。

 まだ前半を読んだだけですが、スミスの鋭い観察眼や理論体系の構築力には恐れ入ります。今から250年前にニコラウス・コペルニクスの「地動説」やニュートン力学に匹敵するような偉大な理論が発表されていたのです。

 しかし実は、コペルニクスの地動説は、紀元前に活躍したギリシャのアリスタルコスの地動説の再発見でしかありません。彼以降、アリストテレスやプトレマイオスの説が支配的だったのは事実ですが、特に中世ヨーロッパを現在の北朝鮮並みの状態にし、魔女裁判などで無実の人々を生きたまま焼き殺した残虐極まりないキリスト教(カトリック)が世の中の科学や思想を退化させたために失われた偉大な知識が地動説だったのです。

 経済学においても、スミス以降「マルクス経済学」や「近代経済学」なるものが生まれましたが、社会や経済に果たした役割は中世ヨーロッパのキリスト教と大きく違うとは言えません(マルクス経済学の破たんはごく一部の狂信者以外のだれの目にも明らかですが・・・)。

 したがって、本書を読んだとき、まさにアリスタルコスの地動説を再発見したような衝撃を受けました。現代のわれわれが直面しているほとんどの金融・経済問題の根源に対する深く鋭い考察が行われています。

 唯一欠けているのは、ドラッカーが鋭く指摘した「知識」および「知識社会」の問題です。
 スミスが生きた時代には、「知識の経済価値」は微々たるものであったので致し方ないでしょう(ただし、生産性の向上における「知識」の重要性には気付いています)。

 ニュートン力学は、相対性理論や量子論などによってさらに偉大な発展を遂げましたが、「アダム・スミス理論」も、ドラッカーなどの優れた「観察者」の研究成果を付け加えながら(社会の進化と共に)益々発展するでしょう。


 なお、冒頭の「人間とサルの違い」というテーマに関して、本書を読んで浮かんだインスピレーションが「マネサピエンス」(カネサピエンス)という言葉です。読者の創造通り、ホモサピエンスとマネーやカネという言葉を合わせた、私の造語です。

 しかし、人間とサルの違いが結局「マネー」(貨幣)を使うか使わないかというところにあるのだとしたら、人類を「マネサピエンス」と呼ぶのが一番合理的だと思います。

 人類がマネーを主な媒介手段とする「交換」によって、驚異的な発展を遂げてきたことについては、前述の「繁栄」をぜひ読んでいただきたいと思います。


 そして、現在注目されているのが(少なくともこれまでの基準では)価値の無い通貨です。

 1971年に「ニクソンショック」が起こるまでは、ドル紙幣と金との交換はいつでも(一定の換算率で)行えました。つまり、少なくともドルについては、紙幣が単なる紙切れではなく、交換価値を持つ金に準じた商品であったのです。

 ニクソンショック以降、世界各国の政府は交換価値を持たない紙幣を印刷し続け、ドルを中心としたマネー(紙幣)は世界中にあふれています。この砂上の楼閣は半世紀ほど続いていますが、今後どのような展開が待ち受けているのかわかりません。

 「交換価値」という呪縛を離れたマネーを獲得した人類がますます発展するのか、それとも「交換価値」の無い紙幣は単なる紙切れにすぎず、リーマンショック以上の大混乱を引き起こして、紙幣は紙くずになるのか、現時点では全く予想ができません。

 さらに、紙幣には少なくとも「国家の保証」がつきますが、現在脚光を浴びているビットコインをはじめとする仮想通貨にはそれさえありません。砂上の楼閣の上に、さらに砂上の楼閣の屋上屋を建てたようなものです。例えば、古代において貝殻や石貨が通貨として流通した時期・場所がありましたが、現在貝殻や石貨では何も買えません・・・。

 通貨(マネー)は本書でも重要なテーマになっていますが、あくまで「交換価値」を持つのが通貨の本質です。「金本位制」などと言うと、苔むした感じがしますが、交換価値を持たない通貨が何らかの意味を持つとは思えません。別に金と交換する必要はありませんが、なんらかの「購買力」を保証することが、通貨(マネー)の本質であるはずです。

 仮想通貨などの仕組みが今後も機能するのかどうかを考える前に、本書を一読することを勧めます。


(大原浩)


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書評:ブロックチェーンの未来



書評:ブロックチェーンの未来 金融・産業・社会はどう変わるのか
翁百合他編著、 日本経済新聞出版社
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 多くの分野にわたる多数の執筆者が小論文形式のコメントを執筆し、それを編集したスタイルです。

 少しまとまりが無い感じがしますが、ブロックチェーンの未来とその産業・社会に与える影響について、一本筋道の通った論述を行うのは(少なくとも現在においては)困難な作業ですから、百花繚乱形式で、色々な立場からの意見を集約した本書の価値はかなりあります。

 世間では、ブロックチェーンの応用の一つの形がビット・コインなどの仮想通貨であると認識されているようですが、歴史をたどれば、ビットコインが先に生まれ急速に発展することによって、その中核であるブロックチェーン技術が他の仮想通貨にも採用されたのです。そして、世の中の注目を浴びるようになったというのが真相です。

 ビットコイン(ブロックチェーン)の生みの親とされるサトシ・ナカモトという人物がいったい誰なのかわからないということ自体、相当胡散臭い話ですが、彼自身あるいはその周辺の信奉者にも共産主義的妄想を感じます。

 共産主義は、ある時代、世界中の若者を中心とした多数の人々を巻き込み暴力(革命)に走らせました。

 その結果生まれたのが、ある程度発展はしたけれども(資本主義的政策のおかげで…)、暴力と恐怖によって支配されるチャイナやロシア(旧ソ連)のような共産主義独裁国家やアフリカなどでよくみられる、貧しい上に社会が混乱している独裁国家です。
 カンボジアのポルポト政権下で行われた大虐殺は有名ですが、毛沢東やスターリンが行った、ヒットラーをはるかに上回る大虐殺は、いまだに真剣に議論されることがあまりありません。

 英国の宰相チャーチルは「20歳までに共産主義の影響を受けない若者は情熱が足りない。20歳を過ぎて共産主義を信奉している人間は知性が足りない」と看破していますが、共産主義者が唱えることは確かに立派です。しかし、それはあくまで「口先の話」です。

 例えば「平等に分けよう」という理念に反対する人はあまりいないでしょう。しかし、実際の共産主義国家(あるいは共産党)が行っていることは、共産党員(さらには党幹部)がまず分け前の大部分をかっさらい、わずかな残りを大多数の国民に施し、その分配が「平等」だと称しているわけです。ですから、国民の不満を恐れざるを得ず、暴力と恐怖による支配が必要不可欠なのです。

 共産主義国家のこのような悲惨な現実を生み出しているのは「共産主義には(口先だけにしても…平等に)富を分配する機能はあっても、富を生み出す機能が無い」ということが最大の原因といえるでしょう。

 新たな富を生み出すことができないので、今ある物の分捕り合戦となり、共産党員などの権力者が一般国民を抑圧するという図式になるわけです。

 ブロックチェーン(オープン型)も、管理者=中央権力が存在しない民主的(草の根)組織であるということが喧伝されますが、共産主義同様「立派な話」には十分注意しなければなりません。

 まず、管理者や国家・警察などの権力は大概悪者にされますが、彼らが(少なくとも現在までは)、社会的に重要な役割を果たしてきたことを忘れてはなりません。

 まず、ソマリアをはじめとするアフリカのいくつかの国々を考えてみましょう。これらの国々では、子供が生まれてから5歳まで生き延びる確率は極めて低いといわれます。6歳ともなれば、少年兵としてマシンガンで多くの人々を撃ち殺すようになります。

 また、米国の西部開拓時代には、保安官はいても大した権力も無く、いわゆる悪党の天国でした。

 そして、現代の日本。世界的に治安が良いことで有名なこの国でも「警察を廃止しろ」という声は聞いたことがありません。特に、夜道を歩いているとき、後ろからキラリと光るものを持って大男が追いかけてきたとき「警察は無駄だ」と思う人はいないでしょう。

 もっとも、「憲法9条教」の狂信者は、「軍隊など無くても一緒に酒を組み交わせば平和的に解決できる」などといいますが、世界中のどの紛争地帯でも彼らの姿を見かけたことはありません。もちろん共産主義同様「口先だけ」の話です。

 同じようにブロックチェーン(オープン型)も、管理者がいない無法地帯です。ビットコイン(仮想通貨)もアングラマネーの流通(洗浄)によく使われますが、管理者のいない無法地帯を制御するのは決して簡単でありません。

 確かに、インターネットそのものは自治がそれなりに成り立っているようですが、それでも違法行為は絶えません。それが現在でもインターネット上の資金決済においてクレジットカードや電子マネーなどのような伝統的(中央集権型)決済が主流である理由です。

 また、ブロックチェーンは後から改ざんできない工夫がなされているため、かなり硬直的な設計になっています。したがって、スタートした後、様々な問題が生まれても、改良することが困難です。つまり、一度設計すると勝手に増殖して誰もコントロールできない仕組みなのです。

 建前としては、参加者の合意によって民主的に解決するということになっていますが、これまでのハード・フォークやソフト・フォークでの混乱や、これらのシステムが、ソマリアなどの無法地帯や、チャイナやロシアからもアクセスすることができることを考えれば、「理想主義的草の根運動」で、解決できる手法が今後生まれるとも思えません。

 要するに政府の無い民主的理想世界は、あくまでおとぎ話の中だけであって、本当の「無政府状態」は、邪悪な人間が闊歩する世界であるということです。

 もちろん帳簿技術としてのブロックチェーンは革新的であると思います。
 15世紀にヴェネチア商人によって体系化された<複式式簿記>以来の大発明かもしれません(ちなみに世界中の企業で複式簿記が採用されているが、日本の地方公共団体は最近やっと複式簿記に切り替えたばかりだし、日本国に至ってはいまだに単式簿記(いわゆるお小遣い帳)を使っている)。

 したがって、無法地帯になるであろうオープン型のブロックチェーンではなく、中央管理者が存在する「クローズ型」のブロックチェーンがこれから大きく発展していくのではないでしょうか?


(大原浩)


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ドラッカー18の教え 第9回



産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
12月号連載記事


■責任を負わなければ権限は無い。危機においてこそリーダーの真価が問われる


●古代では暴力と恐怖による支配が当たり前だった


 人間社会が始まった時から、常に権力者は存在しました。秦の始皇帝、アレクサンダー大王、カエサル(シーザー)、ナポレオン等々数限りありません。彼らはほぼ例外なく、本来外敵から自国を守るはずの軍隊を国民に向け、「暴力とそれに伴う恐怖」で人々を支配しました。今から考えればひどい話ですが、古代社会から近代の初期に至るまでは「法の支配」などという考えも確立されず、権力者が権力と恐怖で人民を操るのはごく当たり前のことだったのです。

 しかし、近代に入ってからは、すくなくとも先進国では、「法の支配」が優勢となります。どのような権力者でも、まったく人民を無視した政治を行うことは不可能になりました。これには、グーテンベルグ以来の活版印刷技術の普及も大いに貢献しました。それまでは一人が1年に一冊しか作成できない(そのため現在の価値でいえば一冊数百万円以上した)写本でしか知識を得ることができなかった(実際には購入できず知識を得ることはできませんでした…)人民が、数百部・数千部単位で一度に印刷できる印刷技術を手に入れたのです。まさに「情報革命」です。

 知識を持たない人民であれば恐怖と暴力で支配するのはたやすいでしょうが、知恵をつけた人民は権力者にとって厄介な存在で、彼らの意見もある程度取り入れなければ、政治がうまく運ばなくなります。


●知識社会では暴力と恐怖による支配は通用しない

 ただ、西洋を中心とした先進国では「法の支配が」確立しているにもかかわらず、発展途上国や後進国では相変わらず暴力と恐怖による支配が圧倒的に優勢です。特に共産主義国家のほとんどが恐怖と暴力による支配を基本としています。
 近代の三大虐殺王は第1位・毛沢東、第2位・スターリン、第3位・ヒットラー(虐殺した人間の多い順)ですが、このうち二人が共産主義者であり、ヒットラーも「国家社会主義」を標榜していました。

 私は「アラブの春」は大失敗であったと思います。西洋的基準で言えば「民主主義は至高のもの」ですが、民主主義は社会的基盤などの条件がそろわなければ、むしろ害悪となりえると考えています。

 その意味で、今でもチャイナなどの発展途上国や後進国が暴力と恐怖で支配されているのは、歴史的必然です。

 しかし、恐怖と暴力で支配されている国が、経済的な部分において先進国となることはありえません。それは次のたとえ話でよくわかると思います。

 王様の壮大な陵墓を建設するために人民が集められます。彼らは心の中でどのように考えていても、監督官の鞭におびえながら、過酷な環境な中で重い石を運ぶ重労働を行うでしょう。

 それに対して、現代の最先端のバイオ研究所をイメージしてください。豊富な知識と高い教養を備えた研究員の周りを、マシンガンを持った監督官が取り囲んだ場合、仕事の効率は上がるでしょうか?むしろ研究の邪魔になって、出るはずの成果も出なくなるはずです。あるいは、創造性を要求される広告グラフィックやコピーの制作現場でも一緒です。

 チャイナなどでは、海外に留学してそのまま研究を続けるチャイニーズに対して「本土の家族の安全は保障できないよ…」などという脅しをかけて帰国させるようですが、そのような脅迫行為も長期的には無意味でしょう。


 続きは「産業新潮」
 http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
12月号をご参照ください。


(大原浩)


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書評:会社四季報 業界地図 2018年版

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会社四季報 業界地図 2018年版
東洋経済新報社
 http://amzn.to/2iUJNLR


 そつなく、非常にきれいにまとめられた本です。

 見開き2ページで(例外もある)、各業界の概要がすっと頭に入りますし、会社四季報がベースになっているので、個別企業の解説が必要最小限の内容に限定されていますが。非常にわかりやすいです。

 しかも、他の出版社から発行されている「業界地図」と違って余分な付録が無いところも好感が持てます。職人技に支えられた「実用美」さえ感じさせます。

 ただ、企業や業界に対しての「切り込み」はあまりありません。しかし、このようなタイプの本にはむしろ必要ありません。一種の「辞典」、「百科事典」ですから、必要なことが掲載され、検索しやすく、短時間で概要が把握できれば良いのです。


<161>リサイクル・中古業界の動向は私も注目しています。

 ブックオフが世間にデビューした頃は、<個人から仕入れて個人に売る>という高収益モデルや、<マニュアル化した値付け方法>などに感銘を受けましたが、今では中古市場も拡大とともに近代化されて、それらがごく普通の手法になりました。

 逆に現在では、Eコマースの発達によって<個人から仕入れて個人に売る>ビジネスモデルが、厳しい試練にさらされています。いわゆる<CtoC>がネット上で活況になれば、個人でも中古品の取り扱いができますから、中古品取り扱いチェーンの独占は崩れます。

 もちろん、仲介者や調整者としての業者の役割はある程度残るでしょうが、個人間取引はほとんど費用がかかりませんから、売買によって大きな利ザヤを稼ぐのは難しくなるでしょう。

 ただ、その中でもいくつかの例外はあると思います。例えば「まんだらけ」が扱うようなコレクターズアイテムは、仕入れの機会が限られます。コレクターというのは、収集した商品に非常に執着する(だからこそコレクターであるわけです・・・)ので、なかなか集めたアイテムを売りません。まとまって売られるのは、亡くなったときが大半です。遺族にしたら、膨大な収集品をいちいちネットで売るのは大変ですし、価値もわかりませんから、「まんだらけ」のようなブランド力のある業者が、まとめて査定して引き取ってくれるのはありがたいことです。

 また「コメ兵」は、ネットでの個人間売買において「鑑定」するサービスを始めましたが、高級品については、プロフェッショナルの関与を望む顧客が一定数はいると思います。

 まだ混沌とはしていますが、非常に興味を惹かれる業界です。


(大原浩)


【大原浩の書籍】

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  http://goo.gl/MKtnf6

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 著者:甘粕正 <アマゾンキンドル版>
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★「賢人バフェットに学ぶ・投資と経営の成功法則」
 昇龍社(アマゾン・キンドル版)
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★「バフェットからの手紙」に学ぶ(2014)大原浩著 昇龍社<Kindle版>
 http://goo.gl/Blo6KT

★「バフェットからの手紙」に学ぶ(2013)大原浩著 昇龍社<Kindle版>
 http://goo.gl/iz1GUV


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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書評:道徳感情論(第4部〜7部)



道徳感情論(第4部〜7部)
アダム・スミス 箸、村井章子+北川知子訳、日経BP社
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 本書を読了して感じたのは、あくまでアダム・スミスは、ギリシャのアリストテレスやエピクロス、ローマのキケロ等に連なる(道徳)哲学者であるということです。

 彼は本書の中で、共感=(社会への)同調の重要性を説いています。日本的な表現で言えば「世間様」「お天道様」に恥じない行為こそが、各個人に求められるのだという主張を繰替えしているわけです。

 自分の本能を適切にコントロールすることが、個々人の「徳」を高めるのに極めて重要であり、それができない本能が優勢な人間は、「下劣な下司野郎」だというわけです。

 スミスの定義によれば、銀行・証券を含む金融機関のほとんどの人間は下劣な下司野郎ですし、金儲けに血眼になっている投資家の大半も同様です。

 しかし、スミスが、利己心を他の多くの偽善的哲学者と違って否定はしていないのも事実です。「人間には血が通っていて、良いところも悪いところもある」というのが、スミスの主張の根底にあります。

 ドラッカーは非常に優れた観察者で、その優れた観察眼で、コンサルタントとして実際の企業の仕事の現場を詳細に観察しました。そして「マネジメント」をはじめとする多くの分野で素晴らしい経営理論を生み出しました。

 本書においても、スミスの的確な(内面も含めた)人間観察の鋭さと、その複雑な心理の確かな体系化には驚かされます。しかも、机上の空論を論じるのではなく、目の前にいる人間の心の動きをしっかりと捉えることによってその行動原理を解き明かします。

 「国富論」におけるスミスの「利己心」に関する記述も、この根本的理解が無ければ全く理解ができないはずであり、それを怠ってさもわかったような顔をしている経済学者はもちろん偽物です。

 そもそも、本書の冒頭は「人間というものをどれほど利己的とみなすとしても、なおその生まれ持った性質の中には他の人のことを心にかけずにはいられないなんらかの働きがあり・・・」という一文から始まっています。

 <利己心の塊=金で動く>人間が経済(市場)を動かすなどという妄想を抱くのは、その理論を構築する経済学者たちが、まさにそのように公徳心の無い<下劣な利己的野郎>だかではないかと思います。

 もちろん、私自身も下劣な利己的野郎である、銀行員・証券マンや投資家を見てきましたが、彼らが必ずしも成功していないというのも事実です。

 特に投資において、利己的野郎の成功確率は極めて低いのが現実です。
 私は「投資のアドバイスをお願いします」といわれると「まず禅寺で修行してきてください」と答えます。

 自分自身の心(利己心)をきちんと制御できない投資家が成功するはずがありません。もちろん、投資をするということそのものが利己心に基づいているわけですが、その利己心を抑え理性で判断するべきなのです。そうしなければ、他人や市場ではなく、自分の欲望によって地獄に突き落とされます。

 ところが、ほとんどの投資家は本能のままに投資を行い、いつも損をしています。

 バフェットが、世界一の投資家として成功できたのは、投資(企業分析)の技術もさることながら、自分の欲望をコントロールできる強力な自制心があったからです。

 なお、本書には、アマティア・センによる序文が収められていますが、非常に的確な内容です。


(大原浩)


【大原浩の書籍】

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