携帯電話キャリアの競争環境

 ソフトバンクモバイルの携帯電話純増数が、2007年5月に引き続き6月もトップも獲得した。4月まで10ヶ月連続で1位に君臨し続けたAUは2位、業界の盟主たるNTTドコモは3位に沈んだ。

 ソフトバンクの躍進の理由は明確だ。同社携帯宛に1時から21時まで国内通話し放題で月額980円の料金プラン、ホワイトプランという奇策である。同プランには6月単月で100万人が加入したと見られ、同社の加入者約1650万のうち契約者は約35%に達する。

 現時点で最も勢いがあるソフトバンク。だが同社の将来は安泰なのだろうか。同プランは携帯電話事業会社に禁断の扉である際限のない価格競争に突入するとすれば、体力に劣る同社には勝目がないだろう。それは決して起こりえない未来ではないだろう。

 現実に同社は世界1高いといわれた日本のネット接続料金を、自社の参入により世界一安いものに作り変えた。魅力的な市場めぐり参入が相次いだ固定系ブローバンド市場は、今後新規参入があるとはとても考えられない、厳しい戦場に変わった。同様のことが携帯電話市場に起きないとは誰も思えないだろう。

 また節度のある競争を想定してみたい。
現状では(トラフィックの増大等の理由から)不可能と考えられるが、全社がホワイトプランに近い形のプランを導入したとする。
そのときの各社のシェアを仮に、

NTTドコモ 50%
AU     30%
ソフトバンクモバイル 20%

としよう。
自社の加入者同士が(特定の時間内)無料で通話できる場合、消費者にとって一番価値のある携帯電話キャリアはどこだろうか?言うまでも無く最大のシェアを誇るNTTドコモだろう。

ネットワークの外部性と呼ばれる効果だが、加入者数がそのサービスの価値に正のバイアスを与えるのである。

こうした状況下では、ソフトバンクは(NTTドコモと)同一の料金では現状のシェアを維持することは不可能で、シェアを保つために他社比で低価格でのサービス提供を強いられる。そして各社にとって居心地の良い(シェア変動の無い)水準で、相応の利益を分け合うシナリオも考えられる。そのとき得られるソフトバンクの利益は決して大きいものではないだろう。

これまで携帯電話事業はネットワークの外部性は大きなウェイトを持つことは無かった。それが自社通話と他社通話で明確に料金を変えるホワイトプランのようなサービス体系が導入されたことで、否応無しにネットワークの外部性について強く意識される。

子会社にネットワークの外部性によって日本のネットを制したといえるヤフーを子会社に持ち、また自らもネットワークの外部性によってADSL市場を制したソフトバンクは、携帯電話市場でも同効果を味方につけることが出来るだろうか。

ソフトバンクの収益は携帯電話事業が大半を占める。同社への投資はこうした疑問を解消してからの方が無難といえるだろう。

>終わりに
今回の記事はソフトバンクの強み(ヤフーとのコラボ等)には触れずに書いており、あくまでリスク要因を指摘しただけのもの、と理解していただきたい。

>執筆終了のご挨拶
更なる修行のため、アナリスト修行僧は旅立ちますので今回で一旦執筆終了となります。またいつの日か修行の成果をお披露目できる事を楽しみにしております。

アナリスト修行僧

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保守的な会計手法に対する市場の評価について

 今回はゲームソフトウェア業界を例に、保守的な会計手法に対する市場の評価(バリュエーションにプレミアが付与されるか)について考えたい。

 ゲームソフトウェア会社はゲームの開発費を資産計上(勘定科目はゲーム仕掛品など)するのが普通である。
 この会計手法は費用と収益を対応させるという会計の原則に沿った処理である一方、不採算に終わる可能性の高いゲームの開発費も資産化するため費用として発生しないなど、財務の健全性(保守性)を損なっている可能性がある。

 そこでゲームの開発費を逐次費用計上している、保守的な会計手法をとっているゲーム会社、コーエー(9654)について調べてみたい。
 はたして保守的な会計手法を採る同社は市場から高評価を与えられているのだろうか?

 ゲームソフトウェア会社の来期予想PER(6/18日終値、利益は会社予想ベース)を計算してみた。

コーエー(9654) 21.8倍
スクエア・エニクス(9684)27.8倍
カプコン(9697)22.7倍
バンダイナムコホールディングス(7832)19.4倍
コナミ(9766)23.1倍

 スクエア・エニクスの27.8倍を除けば、概ね各社20倍前後のPERで市場から評価されている(スクエア・エニクスの突出した高PERは会社予想が保守的であることが要因であろう)。

 この結果によれば、同社は市場平均並みのゲーム会社と評価されている模様である。保守的な会計手法を採るプレミアは同社の当社のバリュエーションに反映されていないのだろうか?

次にコーエーの業績について注目したい。

 歴史シュミレーションゲームや三国無双シリーズで有名な同社だが、国内のゲーム市場が頭打ちになる中で、成長市場である北米市場に対応したゲーム製作が出来なかった。そのため業績はここ数年伸び悩む結果となっている。

 以上の結果から同社に対する市場の見解は、
「ゲーム会社としての成長性は不透明、ただし会計手法は保守的なため競合他社と同レベルのバリュエーションが妥当」
というものであろう。

 このことから、保守的な会計手法を採ることによりバリュエーションにプレミアムが付く、との結論が示されたと言える。

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アプリックス(3727)について(2)

 以前執筆したアプリックスについてフォローしたい。

 前回アプリックスについて執筆時、同社に対する見解を「JBlend」に対する市場の評価は過大、ただし携帯電話の開発費を軽減するミドルウェアフレームワークの立ち上がりを見極めての投資は妙味あり、と述べた。

 それ以後の経過を述べる。
2/21に06年12月期の決算を発表した。併せて07年12月期の会社予想についても発表、注力のミドルウェアフレームワークについては17億円と、まずまずの見通しだった。
 だが主力の「JBlend」に対する会社予想は減収見込みとなる弱気な計画。

 この段階で業績未達を見込んで軟調に推移していた株価は、完全に下落トレンドに入った。

 「JBlend」に頼った成長には限界があるとの私の見解通りの業績予想だった。この段階までは完全に私の予想通り・・・
 だが魔の5月15日。アプリックスは業績の下方修正を発表。ミドルウェアフレームワークの見込み顧客が開発計画を変更した、として76億円の巨額の無形固定資産の除却損を計上した。

 同社はミドルウェアフレームワークの開発費を、ソフトウェア仮勘定及びソフトウェア資産として資産計上していた。だが同製品の出荷が当面見込めなくなったことで、これを取り崩し特別損失として費用化したものだ。

 「JBlend」が牽引する成長には限界が見える、だがミドルウェアフレームワークの立ち上がりで成長継続、との私の見解はここに来て誤りであったと認めざるを得ない。

 ミドルウェアフレームワーク立ち上げ失敗は、アプリックスの成長路線の挫折を意味する。巨額の特損よりもこのことのほうが遥かに重い。
 当面株価は下落し、その居所を探る展開が想定される。

 アプリックスの蹉跌は、我々にBSの膨らんだ企業への投資の危険性を認識させる。
 資産計上された費用(開発費等)は、先送りにされ蓄積した膿のようなもの。
会社の目論見が外れた場合にはこれが一度に噴出しPLを蝕む。会社が過去に計上した利益の正当性は問い質され続けるものだ。

 このことから企業の採る会計方針を、バリュエーション評価に反映すべきといえる。

 携帯用ブラウザで有名なACCESS(4813)という企業がある。同社はアプリックスのミドルウェアフレームワークと似た機能を持つ、プラットホームを開発した。
 当然巨額の開発費をかけているが、同社は(アプリックスのように資産計上せず)開発費を逐次費用として計上している。そのため同社への投資は、アプリックスに対するものより相対的に低リスクとなるといえる。
 このことから、仮にACCESSとアプリックスが同様の純利益を計上していても、(PERが高く評価されることで)ACCESSの方が高い時価総額が付与されるべきといえる。

 同様の事例はゲームソフト業界にも見られる。

 次回は各ゲームソフト開発会社がゲームソフト開発費をどう処理し、そのことを市場はどのようにバリュエーションに反映しているのかを記事にしたい。

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ERPパッケージ開発企業について

 ERPソフトウェアとは、企業の経営効率を上げるために、基幹業務を統合的に管理するためのソフトウェアパッケージである。J−SOX法により企業の内部統制を強化する必要性からERPパッケージの需要は拡大傾向にある。

 今回から、ERPパッケージ開発企業について述べたい。

 今回はワークスアプリケーションズ(4329)を紹介したい。
 国内のERPパッケージ開発企業は中小法人向けのパッケージを開発する企業が、中心である。大規模法人(従業員1,000名以上)を対象とした、パッケージの開発ではSAP等海外企業のシェアが高い。
 だが同社は大規模法人を対象とした、パッケージの開発を行っており国産ソフトウェア企業として期待している。

 同社の強みは、顧客ごとの調整が必要無いためコスト競争力が高いパッケージを開発・保有していることである。
 大規模法人に対する同社のパッケージは、同業他社のものよりランニングコストも含め、20%程度低価格である可能性が高い。
 そのコスト優位を活かし、後発ながら人事給与ソフトでは大規模法人向けにシェア60%を占めることに成功した。

 だが現在同社の主力製品となっている人事給与パッケージ市場の成熟化は進んでいる。大企業のERPパッケージの入れ替え期間は8年以上と考えられ、他社のシェアを奪うことにも限度がある。

 そのため今後同社の成長を占う上で重要なのは会計ソフトウェアの成長になる。通常、ERPパッケージソフトウェアは小型案件を積み上げて実績を作ってからでないと、大型案件を受注することは困難である。
 それにも関わらず、J−SOX法の追い風があったにせよ、2006/6期から参入した会計ソフトウェアの大型案件の立ち上がりが早く、2006/12中間期時点で会計ソフトウェアは5.6億円の売上高を計上した。また同一規模の法人に対する導入価格(単価)を比較すると会計ソフトウェアは、人事給与ソフトウェアに比し2倍程度であるため潜在市場が2倍程度大きいと考えられる。

 同社の業績は、これまで多額の研究開発コストがかかるパッケージソフトの販売に依存していため安定性に欠ける面があった。しかし研究開発コストがかからない上、ストックビジネスである保守サービス事業の伸長で、今後は利益成長が安定すると考えている。保守サービス事業はパッケージソフトを導入した顧客に対し、その導入価格の20%ほどを保守サービス料として毎期受け取るビジネスモデルとなっている。
 同事業により、売上高の着実な上積み期待でき、同社の収益の下振れリスクを軽減するだろう。

 足元の業績も会社計画を超過気味である。ただし上ぶれたについて利益については、R&Dの前倒しや人材採用の拡大に使うとしている。

 今期予想でPER40倍弱、来期予想PERで30倍程度とバリュエーションは割高である。中長期的に15%以上の利益成長を遂げる可能性が高いと考えるため、ほぼフェアバリューと考えられる。
 割高なバリュエーションを許容できれば、投資対象になるだろう。
 「優れた企業」であることは確かであるため、株価が下落すれば大きなチャンスになると考える。

(アナリスト修行僧)

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アルファシステムズ(4719)

 アルファシステムズ(4719)に注目している。

 同社は通信の基地局機器、通信ネットワークや携帯電話の組み込みソフトを開発している。主要顧客はNTTグループ、富士通系である。
 同社の業績は、通信基地局向け機器の組み込みソフト開発がメインである性質上、NTTグループの設備投資動向に強く依存する。

 2007/3期の第3四半期の実績は、売上高167億円(前年同期比13.3%増)、営業利益16.7億円(同61.9%増)、となっており足元好調である。
 NGN(IPによる次世代ネットワーク)関連の設備投資拡大に牽引されて、固定網の基地局装置向け組み込みが貢献した。受注好調のため、人員の稼働率が上昇している。それにより粗利益率が25.7%(前年同期比2.5ポイント改善)となった。足元の2006年11月、12月、2007年1月の受注高も前年同期比7%増程度で推移しており好調を継続していると見てよいだろう。

 期ずれの懸念が強い業界のため同社は計画を慎重に見ているが、私は会社計画を10%ほど上回る30億円(前年比35%増)程度の経常利益を予想している。

 2008/3期は、次世代ネットワーク構築のスケジュールは加入系のシステム構築が始まることから、NGN関連売上高はさらに加速する見通しである。好調な2007/3期をさらに20%ほど上回る36億円ほどの営業、経常利益を予想する。

 懸念材料は順調な受注をこなす為の人材の確保だろう。現在、システムエンジニアの雇用市場は逼迫している。同社の業務はネットワークのコアな部分にかかるシステム開発であり、対応できる外注先がほとんど無い。そのため外注への依存度が10%程度と低く、人材確保は最重要課題である。
 大手のシステム構築業者及びメーカーが採用を拡大しており、採用環境は楽観視できない。だが好調な業績から業績連動型の賞与が増加したことなどが要因で、足元の離職率が例年の約7%から4%程度に低下することで採用難を補っており、長期的な業績拡大に支障は無いと考えている。

 長期の視点で見た場合、ネットワークマネジメントシステム(ネットワークの管理を行う機器向けの組み込みソフト)事業が成長分野として有望と考える。全てのネット家電にアドレスを付与することが可能になるIPv6の進展や、携帯と固定電話の通信網の融合などネットワーク管理の需要は増加する一途であり、長期的な業績拡大が予想される。

 足元は非常に好調な同社であるが、2008/3期はNGN設備投資の本格化でさらに加速する可能性が高い。
 2007/3期比で20%程度の営業利益成長が予想され、2008/3期の予想PER20倍には割安感が強いと考える。

アナリスト修行僧

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SI業界(2)

<日本最大のSIer(システム構築業者)、NTTデータ>

 前回SI業界は土建業に非常に近いという内容を述べた。そのため元請け→下請け→孫請けといった仕事(金)の流れが存在する。よって元請けの経営状態が悪いのに、下請けの業績が良くなるわけがない(こういった構造はどこの業界にもあるだろうが、土建、SIはもっとも顕著)。業界全体の景気動向を探るには、元請けに注目すべきである。

 業界の先行きを占うために、今回は日本最大のSIer、NTTデータ(9613)に業績動向について述べたい。

 前回、SI業界は全体的に好況であると述べた。07/3期第三四半期のNTTデータの決算はそれを裏付けるように好調である。

 営業利益638億円(対前年同期比2.2倍)、経常利益610億円(同1.3倍)となった。営業利益率は4.8%から9.2%へ、4.4ポイントの改善を示した。長らく低収益に甘んじてきたことが信じられないような躍進である。

 07/3期は05/3期から三ヵ年中期経営計画の最終年である。発表時点では誰もが不可能と思った売上高1兆円(05/3期は850億円)、営業利益750億円(800億に修正、05/3期392億円)の計画は完全に射程圏内に捕らえた。
 売上高は計画線上から若干の下振れ、営業利益については若干の上ぶれ(20億程度が妥当な見方か)での着地が想定される。

なぜここまで収益性が改善したのか?

 社内システム整備費用が減った事に加えて、委託料などの販菅費の削減が効いている。また減価償却費の減少が貢献した。

 こうした状況を受け、株価は右肩上がりを継続している。予想ベースのPER35倍程度の高バリュエーションが許容されるかは、今後の収益成長次第だろう。私はそれが可能と考えている。

 2007年1月22日発売の日経コンピュータによると、NTTデータは非公式に箱売り(PCまたはサーバー売り、システム構築時に一緒に売る)拡大の指示を子会社に対して出している、とある。以下、それを事実として話を進めたい。

 箱売りによる売上は、粗利が取れなく通常(システム構築に比べ)低採算である。このような低採算事業を拡大しようとするのだろか。おそらくは上述したように、中期経営計画に対し、売上は若干苦しく、利益は余裕がある現状を考えてのことだろう。
 利益については余裕があるので、箱売りで売上の帳尻を合わせにいっている状況と考えられる。
 投資家からみれば、利益が計画上ブレなら十分だが、経営者としては売上も達成しないと満足できないのだろう。

 このことが示す状況としては、今期の(大幅な改善を示した)利益率は、まだ箱売りによって低く見せられているという事実だろう。08/3期は売上さえ拡大すれば、利益率の向上を伴い収益はさらに拡大するだろう。
 受注高は06/3期は7236億円で終わったのに対し、07/3期は9000億円程度で着地しそうである。08/3期の売上拡大はほぼ間違い無いだろう。今期のように箱売りで売上を稼ぐ必要は無くなる。

 収益性の向上はさらに継続すると見てよい。

 売上高1兆円を超える規模でのPER35倍超は割高といえる水準かもしれない。しかし改善傾向が続く収益性がそれを支えるため、当面株価は堅調に推移することが想定される。

 終わりに、今回は業界全体の動向に触れるために、NTTデータについて述べた。これだけの大企業で来期予想PER35倍という高バリュエーションは投資先としての妙味があるとは正直微妙なところだろう。
 しかしこの業界で投資銘柄を探すには、NTTデータは避けて通れない。この企業を分析することは、他の有望企業を探す上で非常に重要だ。

 NTTデータを見たことで、2008/3期もSI業界は好調である確度が高いことが確認できた。次回からは、NTTデータの受注動向から08/3期に強い計画を出しそうな企業を探っていきたい。

(アナリスト修行僧)

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SI業界(1)

 システムインテグレーション(大規模なシステム開発を行う、以下SI)業界は、ITバブル以来の好景気に沸いている。この業界はゼネコン業界と非常に近いものがあり、プライマリーと呼ばれる元請が大規模な事案を受注し、下請けに仕事を発注する。そのため業界全体の景気に、個別企業の業績が連動しやすい。

 SI業界の景気が良くなった理由は複数ある。不良債権処理に目処をつけた金融機関の発注の増加、NTTの次世代通信網に絡んだ案件の増加、J−SOX法関連の案件の増加等々外部環境の好転が強い追い風になっている。需要過多で、受注単価の上昇が起きている。

 加えて企業の自助努力も大きい。ゼネコンに例えるなら、材料の値段も計算しない、工事に何日かかるかも分からない(よって人件費がどれくらいかかるのか分からない)業者ばかりだった。そんな状態のため突然大きな赤字案件が出てきて、業績の下方修正など頻繁に行われた。しかしここ1,2年は受注時における採算管理、システム構築中のプロジェクト管理を徹底して、赤字案件が急減している。

 長らく低収益構造に喘いできたSI業界に、今強い追い風が吹いている。好況は、今後数年間は継続するだろう。

テーマは、
(1)上流のコンサル工程への特化
(2)オフショアの活用
(3)ストックビジネスへの転換
などが考えられる。

こうした観点から、今後の有望企業を探っていきたい。

***



<前回の記事(アプリックス)について>

 スーパーエルフさんから、掲示板に頂いたコメントを拝見しました。ちょっと書き込めない状況なのでこちらで、返信させていただきます。

 EPSの算出を間違っていました。10倍にして読んでください。
 バリュエーションについてですが、将来収益で評価したため、PERを割り引きました(収益でなく)。
 あと、あまりにも長くなるのであえて記載しなかったのですが、Javaの技術支援の売上が将来減少に転じるであろうこと、主力商品の単価下落、BSに資産計上されている多額の研究開発費などの要因を考慮の上で算出しました。

当然ですが前回の記事は、当該企業への投資を推奨するものではありません。

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アプリックス(3727)について

【お知らせ】
 本日、新執筆者が登場です。新鋭の若手、「アナリスト修行僧」氏です。本人によると、「IT業界について勉強中、愛読書は少年ジャンプ」とのことです。ではご堪能下さい。

◆コラム「アプリックス(3727)について」

 アプリックス(3727)についての私の見解を述べたい。
一言で表現するなら、「JBlend」に対する市場の評価は過大、ただしミドルウェアフレームワークの立ち上がりを見極めての投資は妙味あり、である。

以下にその理由を述べたい。

■「JBlend」に対する市場の評価は過大である、と考える理由について■

 アプリクスはJavaアプリケーションを動作させるためのソフト「JBlend」を展開する。同ソフトの携帯端末向けのシェアは高く、会社資料によればJava搭載端末の20%、携帯電話全体の10%に搭載されている。

顧客は携帯端末メーカで、売り方は前払いロイヤリティと、後払いロイヤリティ(「JBlend」を搭載した端末が売れた台数に応じてアプリックスに収入が入る方式)の2種類あるが、単純化するため後払いロイヤリティのみで販売していることとして以下の話を進めたい。全て後払いであるとして推定した「JBlend」の単価は(同社は明らかにしていないものの)45円程度と考えられる。

グローバル市場におけるJava搭載端末はおよそ50%。「JBlend」を評価し、有望とする見解は以下の2つのまだ同社が占めていない市場を評価してのことだろう。1)Java搭載端末のうち同社が取っていない部分(携帯全体の30%ほど)と、2)これからJavaが搭載される部分(携帯全体の50%ほど)である。
これらの市場を制し、同社の業績も順調に拡大する、との見解には危険な部分がある。

その理由は、上述した「JBlend」の平均単価45円は二つの価格帯を合成した結果であるからだ。「JBlend」はさまざまな価格帯があり(プロファイルやエクステンションと呼ばれる部分が違う)、当然であるが高機能なものほど単価が高い。ワンセグなどに対応しているものは国内中心である。そのため国内での平均単価を70〜80円ほど、海外での平均単価を15〜20円ほどと私は考えている。

上記の2つの市場を同社が取れることは間違いない。実質上標準化されつつある「JBlend」にはそれくらいの魅力がある。競合は端末メーカの内製であるが、Javaに特化して多くのメーカと取引のある同社とはコスト面から勝負にはならない。

しかしその2つの市場を取る意味はどこまであるのだろうか?
海外での平均単価を15〜20円と考えているとの話を述べた。しかしまだ取っていない市場の平均単価はさらに低い。おそらく3〜5円といった世界である。
長期的には、現在高価格で販売しているものが拡大することもほぼ間違いないだろう。しかしそのころには単価の下落も無視できない。

このような要因から、「JBlend」の将来性に期待し、高いバリュエーションを許容するのは危険極まりない。

それではなぜ投資妙味があると考えるのか?
それはミドルウェアフレームワークに高い可能性があるからだ。
同社は現在、LINUX及びBREW双方のソフトウェア実行環境に対応する、ミドルウェアフレームワークを開発中である。ミドルウェアフレームワークはプラットホームの共通化を促し、携帯電話端末の開発コストを削減させる効果がある。
携帯電話は少量多品種化の流れが進んでおり、開発コストの回収が難しくなっている。
また3Gの時代に入り携帯の開発コストは平均で100億円程度と、2Gの時代は50億円程度だったのに対し高騰している。

ミドルウェアフレームワークの重要性は非常に高い。
「JBlend]の平均単価を45円程度と試算しているという見解を述べた。
ミドルウェアフレームワークの単価は500円程度になると試算している。携帯電話製造の主要コストであるシステム構築とテストの部分(販売台数によって異なるため一概には言えないが、100万台程度の販売台数の場合40%がシステム構築及びテストといわれている)を節約するためこのくらいの単価でも採用メーカには十分メリットがある。
ミドルウェアフレームワークの潜在的な市場規模は「JBlend」の10倍以上になると判断でき、同社の潜在成長力は大きく上昇すると考えられる。

ミドルウェアフレームワークの出荷は、今年上期から始まる。
ミドルウェアフレームワークの動向を見極め、同社への投資を検討したい。

◆おわりに◆

「JBlend]について悪く?書きすぎたが、現在同製品による成長は継続している。世界4位の携帯メーカ、韓国のLGへの納入も決まった。本格的な立ち上がりには2年ほどかかる見込だが、05年の販売実績5,400万台(Java搭載端末は半数程度か?)の同社へ納入するインパクトは小さくないだろう。
そろそろ決算発表だが06/12期の業績は計画未達確実な状況である。最近の株価の下落の一因になっている。

バリュエーションにも少しだけ:同社の収益は、のれんの償却や費用の資産化の有無に大きく影響を受けている。営業CFの過去水準と比較すると、過去最高だった2003/12期の10.4億円を、2006/12期は第3四半期終了時点で20.2億円と大きく上回っている。収益力は確実に高まっており、のれんの償却の消える2007/12期には黒字転換が予想される。
私の予想する09年12月期のEPSは5,500円。
これにPER18倍を乗じた99,000円を目標株価と考える。

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