ドリームライナーと呼ばなくなったのは理由あり?



 ボーイング787、ドリームライナーが就航して5年以上が経過し、初期に導入された機体から順に大規模整備を迎えている。

 787が低燃費であることは広く知られており、我々素人から見れば炭素繊維を使った機体は軽い、つまり自動車同様に軽ければ燃費がいいと考えがちです。

 しかし787に関する調査をしているとどうも違うらしい。

 787はボディなど一次構造材の約50%を炭素繊維が占め相当軽いと思われがちです。
 しかし樹脂を含浸、縦横方向に接着剤を使って積層させ、部位にもよるが厚いところで2〜3cmと、アルミ合金の2〜3mmと比較すると分厚い機体であるとウェブ上で記載している方がいる。
 いくら軽い炭素繊維でも積層させれば重くなる訳で、実際は軽くない様だ。
 離陸重量ばかり記載され機体重量が公表されていないが、従来機の767より重いのが事実のようだ。

 今月に入り頭の片隅で787を考える生活が続く日々でしたが、証券界の先輩が日系エアラインのベテラン整備士を呼んで下さいまして、先週金曜日に空港近くで飲み会となった訳です。

 一般に787の燃費は従来機より約20%優れているとの発表されていますが、約半分が新しいエンジンによる効果です。

 エンジンはロールス・ロイスのトレントまたはGEのGEnxから選択でき、JALはGE製を選びました。ところがこのエンジン、上空の積乱雲を通過すると氷結するケースありと、2013年には3万フィート以上では積乱雲など活発な雲の周囲90kmの飛行禁止とボーイングが飛行規程を変更しました。
 JALさんついてませんね。

 3〜4年前にIHI工場見学の際、このエンジンの対策を聞きましたところ、ソフトウエアでの修正と聞いておりましたが、ベテラン整備士の方によりますとヒーターを付けたとか。上空1万メートルの気温はマイナス50度で、コンプレッサ後段側は300度以上ですが、前段は冷えるんですね。

 ちなみに積乱雲はレーダーに映るものの、左右どちらから回避した方がいいか、やはり経験と勘により優れたパイロットがいる訳です。
 着陸の時、スッとうまく降りる機長とドカーンと突き上げの来るケースがありますよね。
 乗客が多少ドスーンと突き上げを感じる程度に摩擦を考えながら着陸することで、特に悪天候では有効だとか。


 さて787の燃費ですが、ボーイング、エアライン側とも約20%改善と発表してますが、比較対象がわかりません。しかしベテラン整備士によると、787の燃費は767より20%を大きく超えているそうです。
 あまりの高燃費に私は自分の耳を疑い2度も聞き直してしまいましたが、何でも乗客1人当たり燃費では自動車に追いついたと。しかも灯油成分に近いケロシンはガソリンよりも安い。767は速度が遅く到着までに時間がかかるが、787は足が速いと。あのギザギザのカウリングも燃費に貢献しているとか。

 エンジンに次ぐ燃費低減効果は主翼だそうです。炭素繊維複合材の特徴である剛性を利用し大きく“しなり”、後退翼とし抵抗が少ないのがポイントかと考えてましたが、単純にそんなことではないと。自分で今まで思っていた主翼の理論が完全に崩れてしまい理解不能に陥ってしまいましたが、簡単に言えばボーイングの設計力がポイントだとか。

 結局、エンジンと主翼の効果が燃費低減の大半だという訳ですよ。


 では炭素繊維を使用したメリットは?

 2020年頃登場する次期777Xは主翼を炭素繊維複合材で作り、胴体はアルミ合金に戻した、これが答えです。
 炭素繊維複合材をほぼ全ての部位に使用した787のデビューで、炭素繊維は今後も広く採用されていくとの認識が証券界にあったと思いますが、航空業界ではアルミ回帰なんだそうだ。
 次期737Xは一次構造材全てがアルミ合金という。

 しかし737MAXのアルミ機体と777Xのアルミ回帰は理由が異なるらしい。
 炭素繊維を使うと機体価格が上昇し国内線で飛ばすとはコストメリットがなくなるという。LCCはローコストの機体を欲しがるし、国内線で使われる通路一本のナローボディでは、炭素繊維複合材を多用した機体ニーズがないそうだ。つまり高い機体だが遠方まで高度を高く飛ぶとコストメリットが出てくるようだ。

 しかしワイドボディでは様相が異なる。787の性能向上が素晴らしいなら777Xも全て炭素繊維にすればいいハズだが、なぜか胴体をアルミに戻してしまった。

 787のうたい文句の一つがメンテナンスフリーの方向。実際に就航してみると、これが厄介だったと。整備が大変らしい。

 自動車の様に電装化を進めた787は革新的だが、今でも大変なのが落雷問題。
 飛行中はスタティック・ディスチャージャー(細い管または針金のようなもの)を通じて空気中に放電させている。導電性の高いアルミでも無傷ではない様だが、炭素繊維は銅やアルミの様に高い導電性を示さないため、電気の逃げ場が少なく繊維を痛めるとの技術報告が古くから見受けられる。
 そのため787では導電性を高めるため炭素繊維複合材と塗料の間に薄い銅が敷かれている。銅のラップまたはメッシュのイメージらしい。
 この銅を通じて雷の電流を大気に逃しているが万全ではなく、落雷によって接着剤が高温になり炭素繊維が剥がれてしまうという。落雷と言っても上空だから横から、下から雷が飛んでくるんだろう。

 日本は落雷が多いことが有名で、季節的には夏場、地域では日本海を飛行するとやられることが多いとか。修理では炭素繊維専門のチームが活躍する。
 落雷による頻度こそ教えて頂けなかったが、頭を痛めている様だ。
 あのデカい機体だから修理箇所の特定も大変そうで、そのうえ修理費用はアルミ合金の○割増しだとか。正確には○○割増しかな?


 いまから5年以上前に東レの名古屋研究所を見学した。
 その前に化学企業の研究員に炭素繊維の長所と短所を聞いていたので、自動車用途を前提に寿命の面で満足できる接着剤は世の中にないとの話は本当かと質問しましたら、研究員の方があっさり認めたのには驚きました。
 落雷の場合、寿命とは関係ありませんが、落雷対策で新しい接着剤が開発されては試すことを繰り返していても、雷の超高圧だと温度は300度を軽く超えるそうで、その温度は教えて頂けなかった。ただ雷に耐える接着剤の目処は立っていないという。

 そうしたことから2020年頃就航予定の777Xが胴体をアルミに戻すのは、落雷の影響が大きいらしい。
 燃費低減効果も機体の軽量化ではなく、エンジンと抵抗の低い主翼の効果ですからね。


 私は787の搭乗経験がないからわかりませんが、炭素繊維は腐食に強いため湿度を高く、剛性が高く窓枠が大きく取れるためキャビン内は快適だそうですね。アルミ機体だと腐食防止で砂漠の湿度状態でしたから、乗客にとっては願ってもないことです。

 次期777Xの胴体に使われるアルミ合金では従来品よりリチウム含有量を増加させ、軽量化と腐蝕性を向上させメンテナンス性に優れるとボーイング副社長が言及しています。別の幹部はReturn to metalとの表現を使っています
し、上述のベテラン整備士の方は、この10年はアルミ回帰と言っておりました。

 一次構造材はやはり金属への回帰の様です。
 一方、キャビン内では落雷電流の心配はありませんから、軽量化が見込める炭素繊維の役割は増えそうです。但し焼成時間の問題がありますが。


 日本カーボンという企業があります。炭化珪素繊維(炭素繊維ではありません)の製造に成功したのは世界で宇部興産と日本カーボンの2社のみで、日本カーボンの同製品が737MAXと777Xに搭載されるエンジンで使用されます(宇部製は777XのGE9Xエンジンで使用されると聞いている)。
 日本カーボンの製品はニカロン、ハイニカロン及びタイプSで、このハイニカロンとタイプSでは熱に加えて放射線による架橋が行われています。

 特許ではγ線やβ線など放射線によりと記載されていますが、前駆体であるポリカルボシランの架橋、つまりゾル化からゲル化への進行では真空またはHe雰囲気でも5MGy以上の線量でないとゲル化が開始されず、15MGyで完了するとも特許が原研から出されています。
 しかしコバルト線源でもKGy/hであり不融化終了まで1か月以上の日数が必要となる。ならば電圧をガンガンかければ大量の線量を放つベータ線が有効だ。β線の数KGyを使うが、こちらは秒あたりの線量だから威力は凄く、約2時間の架橋で1500度まで昇華しSiC繊維に変異するとか。でも冷却は大変そうですね。
 熱伝導を考えると水素がベストだけど危険だから、入手し難いHeなんでしょう。
 ホギメディカルさんも医療キットでは梱包してから段ボール丸ごとβ線で照射殺菌しています(かつて見学した筑波工場がそうでした)。

 β線の強い線量を利用し、コスト面で焼成時間が勝負となる炭素繊維でも活用しようとの特許や技術資料が散見されます。今月某企業での取材で、ゲル化を図りプリプレグを放射線で焼く特許が御社にあるとの話をしましたところ、後日特許番号を教えて欲しいとの連絡が来ました。何かありそうですね。

 航空業界での炭素繊維は一次構造材では使用範囲の減少、反対に2次構造材やキャビン内では広がりですかね。

 リチウム?航空機で増加すると相場は更に上昇かな?


 考えると銘柄が浮かんできますね!


(億近産業調査部係長)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)


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日々雑感

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 前回、足下の価格低迷が厳しいDRAM業界と、それに合わせて来年の半導体の設備投資のイメージを書かせていただきました。明るいニュースがしばらくでにくい両産業でしたが、今回は明るくなりつつある産業、液晶装置について少しお話したいと思います。

 みなさん御存じのように、液晶パネル業界は昨年非常に厳しい状況にありました。需給が緩んだことにより、パネル価格の下落が止まらず、収益悪化が避けられない状況にあったのです。が、各社、設備投資を絞ったり、稼働を調整することで、ようやく今年の春頃に価格が底を打ちました。逆に、好調はPC(特にノートPC)需要を背景に、パネル価格が上がりだしたのです。現状もまだ高値圏で推移しております。価格が高値で安定しているのは、絞った設備投資のおかげで新しいキャパがあまりでていないことが背景にあると思われます(値上がった製品は、基本PCモニターやノートPC向けで、TV向けのパネルは32インチのみで値上がりを見せました)。

 このように、価格が反転したおかげで各社の業績、キャッシュフローは急改善を見せております。そして未だに需給は崩れていない、となると当然その先に来るのは次の設備投資となるわけです。LPLやAUの08年の設備投資のガイダンスは、対07年で増加を示しておりました。すでに良い兆候は表れており、先日発表された東京エレクトロンや大日本スクリーンの7−9月期の液晶向けの受注は急改善を見せております。受注を開示していない液晶装置メーカーも、改善傾向にあるのは間違いないとコメントするなど、来年は液晶装置各社の業績が結構楽しみになってくると思っています。こういった足下の動向を踏まえ、来年の液晶設備投資見通しは25−30%前後の伸びと予測されている証券会社が多いのだと思います。

 昨日出たアルバックの1Qの決算は前年同期比で大減益、なおかつ受注も良いとはいえない水準でしたが、株価は下がりませんでした。株価のメッセージとしては、「保有している方は、目先の収益で買っているわけではない。液晶設備投資が来年強いのはわかっているでしょ?」と言っていたのだろうなと思っております。ニコンも液晶装置市場の回復の恩恵を受けることができる企業だと思っています。

(億近産業調査部)

<スローガン>
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日々雑感

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 DRAMのスポット価格の下げが止まりません。DDR2/512MB/533MHzは、ついに1.01ドルになりました(執筆時現在)。業界内で相対的な競争優位性を持っていると考えられる、エルピーダメモリでさえ、余裕でフルコストを割っているでしょうし、キャッシュコストでさえ割っている水準だと思われます。DRAMメーカーの7−9月の決算は散々でしたが、現状の価格はその時よりも下がっております。このままいくと、10−12月期はもっと厳しい決算を各社迎えるのでしょう。

 今後の価格推移にもよりますが、エルピーダメモリでさえ、若干の黒字もしくはトントンぐらいが現状のイメージです。1Gbit品へのシフトを進めているエルピーダですが、この1Gbit品もまた値段が崩れております。512MBよりは、それでも1Gbitに移った方が、現状競合も少ないでしょうし、逆ザヤも小さいでしょうから軸足を移すこと自体は良いことなのですが…。
相対的な競争力の差から、エルピーダメモリは次の上昇トレンドでは非常に楽しみな存在なのですが、なかなか投資のタイミングとしてはきっかけをつかみづらく、とても難しく感じております。業績トレンドとは別の視点で株価を見た場合、PBRが1.1倍近辺まで来ておりますので、いい加減下値はない気もするのですが、なんだかんだでスポット価格次第という感じもしております。

 ここまでDRAMメーカーの収益状況(金回り)が悪くなった場合、当然投資の決断も先延ばしもしくは絶対額を減らす傾向になるのが自然だと思われます。DRAMメーカーの半導体設備投資に占める割合はざっくり50%程度だと考えられるので、ここがマイナス成長となればいくらNANDのほうで設備投資が増えてもオフセットは難しく、MPUメーカーやファンドリーの設備投資動向も不透明ですので、来年のトータルの半導体設備投資はマイナス成長と考えるのが、現状では妥当な説明になるのではないでしょうか。だから、来年の半導体設備投資は−5%から−10%を予想されている証券会社が多いのだと思います。
 このような前提で考えたとき、昨日の東京エレクトロンの「来年の半導体設備投資はフラットから+5%を予想」というのは、違和感を持ってしまう方が多いのだと思います。

 結局、先のことはよくわからないものですし、見通しも状況が変化に応じて当然変わっていくものではありますが、現状ある材料を並べて見通しが立たない(立ちにくい)となかなか評価しづらいのも事実ではないでしょうか。それが、エルピーダメモリや半導体製造装置株がさえない一つの要因なんだと思います。逆にいえば、見通しが明るい方に変わり始めたら、株価の上昇もものすごく早いんだろうなぁと思っております。特に東京エレクトロンのPERは、来年度40−50%減益をも織り込んでいるのでは??というような水準ですから。

(億近産業調査部)

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村田(6981)のリチウムイオン電池事業

 村田製作所が取り組む、今後の新規事業の一つとしてリチウムイオン電池事業があります。本格的な業績貢献はまだ先になりますが、彼らのリチウムイオン電池事業がどのあたりをターゲット市場にとらえ、どういった特性をもった製品なのか、現状で見える範囲でご紹介したいと思います。

〓ターゲット市場、業績貢献の時期〓

1)パワー系:Auto向け(ハイブリッドカー)、電動工具向け
2)モバイル系:携帯電話、MP3、ノートPC

・基本的には、主力のターゲット市場はパワー系だととらえている。
 (モバイル系は競争が非常に激しいというのが村田の言い分。)
・電動工具向けのサンプル製品の出荷が下期より始まり、規模は小さいものの早ければ08年度から若干の売上が立つ可能性。
・それ以外はサンプルの出荷目途は立っていない。

ただし、イメージとして、

・車向けは2010〜2011年ごろから業績貢献。
・急速充電のモバイル向け製品は3年程度での実用化を目指し、その後の業績貢献を目指す。

 安全性が高く、高速充電と非常にモバイル系での躍進に期待がかかりますが、業績貢献まではやや時間がかかる印象です(3年〜)。電池事業はやはり少し時間がかかりそうですので、この1〜2年の業績はMLCCの需給動向によるところが大きいのではないかと、現状では思います。技術開発により実用化や業績貢献までの時間が短縮される可能性もないとはいえませんが。。。
 ただ、時間はかかりそうだとはいえども、やはり事業のポテンシャルはあるのではと感じました。

 というのは、発火・爆発しにくいという特性によるものです。詳しくは、下記をご参照ください。

■リチウムイオン電池の発火・爆発の仕組み

〓発火・爆発の仕組み〓

 リチウムイオン電池の破裂・発火等の主因は、1)内部短絡(ショート)、2)過充電、3)外部短絡、4)外部加熱による熱暴走の4つがあげられます。過去、さまざまな発火事故が起きたリチウムイオン電池業界ですが、その事故のほとんどは1)が原因だそうです。

 リチウムイオン電池は、プラス・マイナスの電極の間にセパレータ(絶縁体)を挟み、それらをくるくる巻いて渦巻き状にして作られます。しかし、セパレータに傷が入ってしまうと、下記のような手順で発火してしまうのです。

1)セパレータに傷が入る。
2)プラスとマイナスが直接ふれてしまう
3)内部短絡(ショート)が起きる
4)発熱し、セパレータが割れる
5)異常加熱が始まり、発火につながる。

 内部短絡の原因はここであげたセパレータへの傷、だけでなくセパレータへ異物の混入も挙げられます。セパレータへの傷、セパレータへの異物混入ともに製造段階で起きることがほとんどだとのことです。
 過去の具体的な事故原因としましては、ソニーは製造工程でセパレータに金属粉が混入、松下は製造工程でセパレータに傷がついた、三洋は電極が変形してセパレータに傷がついたというものです。

まとめますと、
 内部短絡(ショート)→異常発熱→セパレータが割れる→異常発熱・発火

という流れでして、その内部短絡(ショート)を起こす原因としては2つあり、1)セパレータに傷がつくこと、2)セパレータに異物が混入すること、のどちらかです。当然ですが、両方一緒に起こっても発火します。

〓村田のリチウムイオン電池〓

 村田のリチウムイオン電池が発火しないのは、「放熱性が高い」ことによるものです。
 材料は若干違えども、同じリチウムイオン電池ですから理屈的には発火する可能性があります(リチウムは水を加えただけで燃えてしまう様な物質です)。
ただ、上記の1)→3)の事象が起きたとしても、放熱性が高いがゆえに、着火するほどの異常加熱にはならないそうです。実際に、リチウムイオン電池にくぎを刺し、無理やりショートを起こす実験をしたそうですが、発火は確認できなかったとのことです。

 では、何故、放熱性が高いのか?それは、製品の構造によります。

<従来製品>
プラス・マイナスの電極間にセパレータを挟み、くるくる巻いて渦巻き状にして作る

<村田の製品>
くるくる巻くのではなく、正極材、負極材、セパレータを積層していく

 同一体積でこの2つの製品を比べた場合、積層タイプのほうが表面積が大きくなり、それが放熱性の高さにつながっているとのことです。積層技術はまさにMLCCの技術で、これとセラミックの原料(リチウムマンガン酸化物)を正極材に利用できる、という2点が村田がリチウムイオン電池事業をものにできると踏んでいるコアの技術となります。

(億近道産業調査部)

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PS3の値下げはまだ?

 9月20日から4日間、幕張メッセにて東京ゲームショウが開催されました。
 個人的にはPS3の値下げの発表を注目していたのですが、今回はそれはありませんでした。現状発売されているタイトル群では、値下げをしても需要を喚起できないというソニーの判断でしょうか。

 ちなみに、USではすでに100ドルの値下げを先行的に行いましたが、ソニーによりますと、値下げ後2週間で値下げ前の5週間の2.3倍の売り上げだったそうです。短期間のデータでありますが、効果はあったように思えます。

 ただ、年末にかけていくつかPS3向けで大型タイトルが出ることが確認された点はよかったのではないでしょうか。

タイトル           発売日    一口コメント

ウイニングイレブン2008  11/22 シリーズ全体で800万本の売上

三国無双5          11月予定 コーエーの代表シリーズ

グランツーリスモ5プロローグ 12/13 シリーズ累計4300万本の売上

メタルギアソリッド4    2007年中 シリーズ累計2100万本の売上

 こういったソフトが発売される(された)タイミングにあわせて、値下げをするというのならば、良くわかる話だと思います。
 ただ、ウイニングイレブン、三国無双などはPS3の独占ソフトではなく、Xbox360を持っているユーザーだと、PS3を買うモチベーションにならない可能性もあります。
 独占ソフトの減少傾向は、ソニーのゲーム事業の課題の一つと言えるでしょう。
 自社製のソフトを増やすことも解決策の一つとして挙げられますが、いきなり任天堂のようになることは難しいでしょう。

PS3の台数増→ゲームソフト会社の開発意欲増→更なるPS3の台数増→…という良い循環になるには、タイトルがまだ足りず、価格もまだ高いという印象を受けます。ブルーレイが見れるといわれても、我が家のようにTVがブラウン管では意味のない話ですから。。。
 薄型TVの普及率が30%を超えた程度では、ブルーレイが見れるという売り文句は大きい効果を持たないと思います。

 PS3自体の生産台数は、4月以降の調整局面を経て、8月からだいぶ上がってきているようですが、それを踏まえても会社計画の1100万台を達成するのは現状のPS3を取り巻く環境を考えると、難しいといえると思います。

(億近産業調査部)

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四半期決算の功罪

 日本に四半期決算が本格的に導入されたのは、確か03年だったと記憶しております。それまでの年二回の決算発表(中間、本決算)から、年4回の決算発表(第一四半期、中間、第三四半期、本決算)になったことで、投資家はよりタイムリーに決算数値や業績動向を知ることができるようになりました。

 これは間違いなく良い点だと言えると思います。
 ただ、その一方で四半期決算に株価が大きく影響される面も出てきています。

例えば、

・決算数値がコンセンサスよりも弱い。
・会社としては計画通りだが、年度で増益計画にもかかわらず四半期で減益だった。

こういうケースですと、大体の場合は次の日株価が大きく売り込まれてしまいます。
「そんなに売り込まれる決算かなぁ」という声があることは確かだと思いますが、最近は上記のようなケースに当てはまってしまうととりあえず売られるものだ、という前提に立っている投資家が多いのだと思います。

 こういった現象に加え、機関投資家も目先のパフォーマンスに対して非常にシビアになっており、「短期的に売り込まれるなら売ってしまえ」、「3ヵ月でパフォーマンスが上がらない銘柄は押し目買いなんて必要ない」という意見が大勢を占めている気すらします。

 これはロングショートのみならず、ロングオンリーの機関投資家でもそうなってきている気がします。

 だから余計に、下がったところに大きな買いが入らない、が、上がりだしたらみんなで一斉に買うものだから一瞬で株価が織り込んでしまう。
 こういう傾向に最近のマーケットはあるように感じます。

 「四半期決算で株価が動く」という前提に立った場合、どうしても取材内容は次の四半期の利益にフォーカスした格好となります。
 がしかし、固定費の出方一つでその利益水準は大きく変わり、前年同期の伸び率も大きく変わるのです。

 この質問にどれだけの意味があるのか、という疑問を持ちつつも、多くの投資家は「償却費の出方、R/Dの出方・・・」を聞いているのではないでしょうか。

 四半期決算であれだけ株価が動かれては、それもわからなくはありません。
 ただ、これではただの季節労働者だなぁっと思ったりするのも確かなのではないでしょうか。

 こういった季節労働をこなしつつも、景気サイクルを乗り越えるような企業を見つけ、投資していきたいものです。

(億近産業調査部)

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薄型テレビの動向

 TVメーカー各社によりますと、06年の薄型テレビの値下がりは25−30%(製品ミックスを加味しないベース)だったようです。当然各社にとってこの値下がりは、厳しいものでありました。
 一般消費者を相手にしたビジネスで、かつ普及期に入りだした製品が、ハイペースで値下がりすることは驚きに値しません。この値下げがなければ、新規の需要開拓は難しいともいえるのではないでしょうか。
 しかし、TVメーカー各社は、今年度の初め声を揃えたかのように、「今期の薄型TVの値下がりは、去年ほどではない」とおっしゃっていた気がします。上記のような大前提に立てば、この発言は冗談にしか聞こえないのも事実です。

 が、製品価格を追っていきますと、値下がりのペースは事実落とされていたのです。

 値下げをしなくても需要が強い需要があったからでしょうか?
 残念ながら、それは違ったようです。
 当然、前年同期比での台数は伸びておりますが、四半期比での伸び率に異常が見られはじめたように感じます。

通常これまでの薄型TVは、
1)10−12月期のクリスマス商戦で非常に強い需要
2)1−3月期は、10−12月期の反動で四半期比減
3)しかし、4−6月は四半期比増
という季節性を持った製品でした。

が、今年の4−6月期はどうも1−3月期比で横ばい程度に終わった可能性が高い気がします。
これは明らかに「値下げ不足」が招いた結果だと思います。

更に、台数成長よりも深刻な問題かもしれない点が、
「大型サイズの需要(46インチ以上)が思ったほど伸びていない懸念」です。
従来、TVメーカーは値下げを大型化というミックスの改善で、補っていた面があります。住宅のサイズが有限である以上、大型化の終焉は遠くない未来にやってくることは誰もが想像していたことです(65インチを超えると、人の顔が実物以上のサイズになるそうで、精神的にも良くないそうです。。。)。

 いずれはそういう時期が来るという覚悟を持っていたかもしれませんが、「早すぎる。。。」というのが、メーカー側の印象ではないでしょうか。
(従来、シャープは10Gの投資を決定するかどうかは、「65インチ以上の需要動向がどうなのか、という点を見極める必要がある。」というようなことを発言されていました。が、今回の10Gのリリースなどを見ても、42インチの取れ数を明記していることなどから加味して、大型TVの需要への自信がなくなっているような気がします。)

 ただ、1)数量増の低調さ、2)大型TVの需要の鈍さの両方とも、私は「値下げ」である程度クリアできる問題だと思っています。
 昨年並みのペースで、値段が下がっていくのなら、普及率から考えても需要は喚起できるという認識です。今年のスタートの伸び悩みの元凶は、明らかに「価格戦略のまずさ」にあったという仮説です。

 昨年同様、松下がPDPを値下げすることをきっかけに、9月以降価格下落ペースが加速する気がします。そうしなければ、TVメーカーが思い描くような需要の伸びは期待できない印象です。
 TVメーカーの収益性という点からすると、やはり今年も厳しい年となるのでしょう。あれだけシェアの高い、ソニーでさえ赤字なのですから。。。

(億近産業調査部)

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儲けのための仕組みづくり

 本日は、「儲けのための仕組みづくり」と題したコラムを書きたいと思います。たいそうな題名ではありますが、今までの取材から得たものであり、例のごとく学術的ではありませんのであしからず。

 儲ける(利益を最大化する)にあたって重要なことといえば、何を思いつかれますでしょうか。
 例えば、液晶業界の環境がよければ、そこに属しているセットメーカーのA社、B社、C社、部材メーカーのA社、B社、C社、装置産業のA社・・・・は良い事業環境にある可能性が高いといえるでしょう。
(もちろん、それぞれの企業によって業界環境が良くても、何らかの問題を抱えていることで事業環境が良くないことはあると思いますが、ここでは例を簡略にさせていただきます。)

ただ、どうでしょうか。
「業界環境が良いから業績も良い、業界環境が悪くなったら業績も悪い」ということでは、何のために経営者がいるのか良く分からないともいえるのではないでしょうか。

 マクロ的な要因(アメリカ経済、業界環境、為替などなど)がどうあったとしても、何とか成長していくんだ!!っという心意気があってほしいものだと思います。
(大企業はどうしようもないケースが往々にしてあると思いますが。。。)

 では、業界環境が悪くてもその悪影響を最小化できる企業とはどういう企業なのでしょうか。

 その答えは、「シェアが高い企業」だと思います。
 ありきたりな答えではありますが、シェアが高ければ業界のマイナス成長を下回るマイナス幅で終わる可能性が高いと思います(最悪でも同等のマイナス幅)。それは、業界環境が悪くなると下位メーカー(限界企業)が商売を大幅に削減される可能性が高いからです。

「売上高の減少幅の差に加えて、持っている固定費でレバレッジがかかり減益幅の差に効いてくる」

これがトップ企業と限界企業の収益の差だと思います。
こういったことが背景にあり、多くの企業はシェアアップを求めるわけです。

 儲けのための仕組みづくり、他社よりも同事業で儲けるためには、高シェアであるということがひとつあげられると思います。高シェアであること自体がひとつの差別化ではありますが、ここからもたらされる波及効果といたしましては、

1)購買や生産面で規模の経済が働く
 →利益率アップに繋がる
2)自社がトッププレイヤーであるがゆえに、先行きが他社よりは見通しやすい
 →正確な決断が下しやすい(あくまで相対比較として)
3)業界内で、価格戦略でリーダーシップが取れる可能性が高い
 →戦略的な値下げでライバルにダメージを与えることができる?
4)ライバルの戦意喪失(市場の伸びだけを求め、シェアアップを望まない)
 →事業の安定性の向上

 あげればまだまだあり、それくらい高シェアであることは企業が儲けるために重要なことなのです。
儲けのための仕組みづくりの第一歩は、高シェアを求めるということだと思います。そのために、差別化をしたり、参入障壁を設けるのですから。

(億近産業調査部)

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続 ハードディスクのこれから

 前回、「ハードディスクのこれから」というコラムを書かせていただきました。一話完結だったのですが、ふとひとつの仮説が頭をよぎったので、今日はその仮説について書かせていただきます。

前回のまとめとしては、
1)ハードディスクとフラッシュメモリは市場をすみわけるだろう。
2)ハードディスクが生きながらえるためには、とにもかくにも記録密度を高め、記録あたりの単価でフラッシュに差をつける必要がある。

ということを書かせていただきました。

 基本は全く変わっておりませんが、もうひとつの可能性を全く違った切り口で示してみたいと思います。

 当たり前ですが、「ライバル品よりも、良い品質かつ低コストで大量生産」することができれば、新製品が既存製品を置き換えていくでしょう。前回のコラムはここにスポットをあてて、書かせていただいたつもりです。
 ただ、まったくこの考え方が当てはまらないケースもあるのではないか、ということが最近頭に浮かびました。

それは、

「既存製品における、重要な部材メーカーが事業(生産)を止める、ないしはキャパシティ増強をストップする」
というケースです。 

 めったに起こらない、レアケースだと思いますが、近年ですとHOYAの1インチハードディスク向けのガラス基板がこれにあたるのではないでしょうか。HOYAはこの分野で、非常に高いシェア(70%前後)を持っていると思われます。
 フラッシュメモリに対して、1インチの未来がないと判断したHOYAは実際に、上記のような決断をしました。
 後の日本電産の永守社長の恨み節にもあるように、「HOYAがやってれば、1インチはまだまだいけた」のかもしれません。
 フラッシュ搭載のiPodナノの発売も、数年先だったのかもしれません。携帯電話にハードディスクが搭載されることがメジャーになっていた?のかもしれません(これは一番あやしいですが。。。)。

 HOYAは、未来がない、需要がないと思われる製品はばっさり切ってしまうということを決断できる企業なのでしょう。

 前置きが長くなりましたが、2.5インチでもこのようなことがもし起これば、このときばかりは「ビットコストの差が〜倍あるので大丈夫」だとか言ってられなくなるでしょう。
 この仮説はあくまでただの仮説にすぎず、まったく実現する可能性の有無や確度を無視しています。
 常識的に考えた場合、HOYAのこの事業は、全体の売上に対する構成比も小さくないですし、ハードディスク産業全体に与える影響も1インチのときと比べ物になりませんので、簡単に決断できることではないでしょう。

 本日は、あくまで可能性や話の確度を無視したただの仮説として書かせていただきました。

 ありえないと思われることでも、頭の片隅においておくだけで、それなりに投資の役に立つこともあるのではないでしょうか。

(億近産業調査部)

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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

ハードディスクのこれから

 日本電産をはじめとする、ハードディスク関連と呼ばれる株がさえません。足元では生産調整が入っており、2.5インチでの第二世代のハードディスク(120GB/プラッタ)の開発競争に各社力を入れているのが現状です。第一世代である80GB/プラッタは、一瞬でお役ごめんとなってしまったようです。プレスリリースで確認する限り、サムスン電子は第二世代を飛び越し、160GB/プラッタの開発に成功し、量産もスタートさせるようです。量産ラインの歩留まりにもよりますが、表面上確認できるかぎりでは一番開発が進んでいると思われます。

 残りの5社(富士通、東芝、HGST、シーゲート、WD)の状況は外からではなかなかわかりませんが、もれ聞こえてくる話では、各社第二世代の開発に苦しんでいると聞きます。この開発競争の結果いかんでは、2.5インチ市場でシェアが激変する可能性もあるのではないでしょうか。
 そんななか、フラッシュメモリの代替の脅威も迫ってきております。ビットあたりの価格差は、1.8インチはともかく2.5インチはまだ余裕があります。しかし、1)データの転送速度、2)バッテリーの長寿命化、3)PCの軽量化など、フラッシュメモリを採用する材料は目白押しです。欠点がないわけではありませんが(書き換え回数が限られる、価格がまだ高い)、技術の進歩で欠点を補うことは可能のようです。価格も微細化が後押しし、下がる傾向にあることは間違いないでしょう。

 とすると、ハードディスクは市場からなくなってしまうのでしょうか。
 よく言われるのが、「用途や価格帯で棲み分けが進む」ということですが、私も同じイメージを持っています。

・PCで動画を見たり保存したりするような方は、大容量のハードディスクを求めるでしょう。
・仕事で持ち運びを主とするような使い方をする方は、少しでも軽くバッテリーが長持ちするフラッシュメモリを求めるでしょう。価格との相談になりますが。
・企業側が情報漏えいを避ける目的で、社員のPCに大容量のストレージは必要ないと判断するような企業は、フラッシュメモリ搭載のモデルを求めるでしょう。(ただしこの場合は、サーバーサイドに巨大なストレージを持つ必要があり、ハードディスクの需要はこちらで高まると思われます。)

 用途で棲み分けられるのが基本的な考えですが、消費者の中で「価格」というものはかなり重要な要素ですので、ハードディスクもしぶとく残っていくのではないでしょうか。動画の保存は文書ファイルなどとは比べ物にならない記憶容量を必要とし、かつその動画が高精細になろうものなら、それはまた巨大な記憶容量を要することとなります(圧縮技術との兼ね合いにもよるのでしょうが)。今以上に、PCで動画を楽しむ世界になるのであれば、ハードディスクの未来はそれほど暗くはないでしょう。

 フラッシュメモリとの競合という観点では、ハードディスクはこれからも記憶容量を高め続ける(ビットあたりの単価の差を維持、ないしは広げる)ことが一番重要だと思います。

(億近産業調査部)

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