新興国の動きから

 まず、先日PPS会社を経営している友人に会う機会があったので、実際の電力供給力について聞いてみたのですが、彼曰くは「原発の稼働が無くても供給力はある」とのことでした。以下、彼の言葉をそのままに。

「関電は厳しいながらも未稼働の火力発電設備もあるし、発電設備を持つ民間会社との相互融通ができれば不足には至らない。今までは電力会社が独占を守るための規制や、それら競合を排除する歴史があったため、相互融通の環境整備が間に合っていないだけ」
「東電に至っては東京湾沿いにまだ発電設備余力を持っているし、民間企業も節電慣れしつつあるため、東電管内は殆ど心配していない」
「あえて心配なのは東北電力。設備余力に乏しく、ピーク時には最も節電や電力融通が必要なエリアと思われる」
「もちろん燃料費等の費用は増加するが、共同購入などの手立てにより原価低減努力が可能であり、試算よりはコスト圧縮が出来る。今までは売り手側の言い値で買ってくれる上客だったため、誰も文句を言えなかった」
「総コスト原価方式であるため、コスト削減を全く意識しないドンブリ経営をしていた。どの電力会社も相当の水ぶくれ状態にある。本業の電力と関係の無い事業の売却や天下り会社の切り離しなど、監督官庁との癒着を切れれば想定以上のコスト削減が可能」

 彼は、監督官庁や電力業界からのプレッシャーでなかなか事業拡大が出来なかった立場でしたから、少々厳しい見方をするとは思いますし、色々と不満も聞きました(笑)。

 まあ、親方日の丸で地域独占、潰れる心配の無い、赤字になる心配の無かった独占企業(役所以上に役所)なのに、役職員の誰もが民間企業トップクラスの報酬を得ているなんて変な業界ですよね。表面上は「民間企業だから」と言いつつ、裏の顔は霞が関の巨大隠し金庫(打ち出の木槌)であり、利権創出装置ですから、そんなものなのでしょう。


 ここのところ新興国市場の動きに特に注意しておりますが、先日のインドではインド準備銀行(RBI)の動きが注目されました。4月の金融政策決定会合での諮問委員会の提案を覆して、スラバオ総裁が独断で50bpsの大幅利下げに踏み切ったことと、RBIがインドルピーの買い介入を実施したとの観測もあったことです。
 中国もブラジルもそうですが、景気減速懸念を持った新興国政府が明確に利下げに動き始めています。つまりそれだけユーロ混乱による景気低迷とリスクマネーの巻き返しに敏感となっている。あるいは実際に金融市場の停滞(与信の低迷)がこれらの国で顕在化しつつあるという事ではないでしょうか。

 日本のマスメディアは経済音痴で有名ですので海外のニュース、特に動きの速いマネーマーケットに付いてはインターネットによる海外のニュースに頼らざるを得ませんが、海外市場ではユーロ対策がどんどんと進んでいると感じます。いよいよこの夏のESMの発効を待ってギリシャのユーロ離脱への準備が鮮明になってきているのではないでしょうか。
 余り詳しくはありませんが、ギリシャは日本以上に政治改革、構造改革が必要とされているようですから、この歴史あるギリシャ国民は祖国の将来の為に、それこそ日本国民以上の覚悟をもって政権交代に進む決意を持ったのでしょう。

 朝の7時前後から緊急性の低い話題を取り上げて電波を無駄に使っている場合ではありませんね。先日も読者の方から、NHKの体たらくぶりと、ビジネスマンに人気の高い番組のBSへの移行を指摘するコメントなども頂戴しています。
 今朝(5/16)の日経新聞社説では「道路公団人事への疑問」などもありましたが、問責決議を受けた(明らかに役人の手先(苦笑))前田国交大臣をはじめとして、弱った民主党執行部の間隙をぬって既得権益の立て直し(焼け太り)に奔走している木端役人や、そこから利権を得ている木端政治家達には本当に猛省していただきたい。ユーロ問題で揺れている欧州や経済テコ入れに注力している新興国などの環境を利用して、日本は今こそ国益の追求に必死にならねばいけないときです。
 1980年代後半から90年代にかけて、近隣諸国との領有権問題を片付ける絶好のチャンスを次々に逸してきた致命的失敗を、もうこれ以上繰り返してはならないはずで、日和見の外務省にもそろそろ国益を考えた行動を強くお願いしたい。

 恐らく、ギリシャの次回選挙となる6月中旬にはギリシャのユーロ離脱、及びデフォルトの可否、その他南欧諸国の動きなどの方向性が見えつつあると思われます。日本政府および日本国民にとっては千載一遇のチャンスとなるのか、または世界恐慌の引き金になるのか、十分に注意して見守りたいですし、金融市場はこの5月〜6月のどこかが最も暗い時期になるのではないかと考えています。
 ユーロ市場に相当の混乱があったとしても、今年後半の米国景気、新興国景気が大きく落ち込まなければ、今年後半からの投資市場には期待を持ちたいところです。

(街のコンサルタント)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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億の近道2012/05/17


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投資情報メールマガジン                   2012/05/17

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指していただきたいと考えております。各種分析やコラムを参考にして、「億」
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             −本日の目次−
        (本日の担当:街のコンサルタント)

     ◆コラム「新興国の動きから」:街のコンサルタント

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◆コラム「新興国の動きから」

 まず、先日PPS会社を経営している友人に会う機会があったので、実際の
電力供給力について聞いてみたのですが、彼曰くは「原発の稼働が無くても供
給力はある」とのことでした。以下、彼の言葉をそのままに。

「関電は厳しいながらも未稼働の火力発電設備もあるし、発電設備を持つ民間
会社との相互融通ができれば不足には至らない。今までは電力会社が独占を守
るための規制や、それら競合を排除する歴史があったため、相互融通の環境整
備が間に合っていないだけ」
「東電に至っては東京湾沿いにまだ発電設備余力を持っているし、民間企業も
節電慣れしつつあるため、東電管内は殆ど心配していない」
「あえて心配なのは東北電力。設備余力に乏しく、ピーク時には最も節電や電
力融通が必要なエリアと思われる」
「もちろん燃料費等の費用は増加するが、共同購入などの手立てにより原価低
減努力が可能であり、試算よりはコスト圧縮が出来る。今までは売り手側の言
い値で買ってくれる上客だったため、誰も文句を言えなかった」
「総コスト原価方式であるため、コスト削減を全く意識しないドンブリ経営を
していた。どの電力会社も相当の水ぶくれ状態にある。本業の電力と関係の無
い事業の売却や天下り会社の切り離しなど、監督官庁との癒着を切れれば想定
以上のコスト削減が可能」

 彼は、監督官庁や電力業界からのプレッシャーでなかなか事業拡大が出来な
かった立場でしたから、少々厳しい見方をするとは思いますし、色々と不満も
聞きました(笑)。

 まあ、親方日の丸で地域独占、潰れる心配の無い、赤字になる心配の無かっ
た独占企業(役所以上に役所)なのに、役職員の誰もが民間企業トップクラス
の報酬を得ているなんて変な業界ですよね。表面上は「民間企業だから」と言
いつつ、裏の顔は霞が関の巨大隠し金庫(打ち出の木槌)であり、利権創出装
置ですから、そんなものなのでしょう。


 ここのところ新興国市場の動きに特に注意しておりますが、先日のインドで
はインド準備銀行(RBI)の動きが注目されました。4月の金融政策決定会
合での諮問委員会の提案を覆して、スラバオ総裁が独断で50bpsの大幅利
下げに踏み切ったことと、RBIがインドルピーの買い介入を実施したとの観
測もあったことです。
 中国もブラジルもそうですが、景気減速懸念を持った新興国政府が明確に利
下げに動き始めています。つまりそれだけユーロ混乱による景気低迷とリスク
マネーの巻き返しに敏感となっている。あるいは実際に金融市場の停滞(与信
の低迷)がこれらの国で顕在化しつつあるという事ではないでしょうか。

 日本のマスメディアは経済音痴で有名ですので海外のニュース、特に動きの
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す。いよいよこの夏のESMの発効を待ってギリシャのユーロ離脱への準備が
鮮明になってきているのではないでしょうか。
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要とされているようですから、この歴史あるギリシャ国民は祖国の将来の為に、
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はじめとして、弱った民主党執行部の間隙をぬって既得権益の立て直し(焼け
太り)に奔走している木端役人や、そこから利権を得ている木端政治家達には
本当に猛省していただきたい。ユーロ問題で揺れている欧州や経済テコ入れに
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ならねばいけないときです。
 1980年代後半から90年代にかけて、近隣諸国との領有権問題を片付け
る絶好のチャンスを次々に逸してきた致命的失敗を、もうこれ以上繰り返して
はならないはずで、日和見の外務省にもそろそろ国益を考えた行動を強くお願
いしたい。

 恐らく、ギリシャの次回選挙となる6月中旬にはギリシャのユーロ離脱、及
びデフォルトの可否、その他南欧諸国の動きなどの方向性が見えつつあると思
われます。日本政府および日本国民にとっては千載一遇のチャンスとなるのか、
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市場はこの5月〜6月のどこかが最も暗い時期になるのではないかと考えてい
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為替市場動向〜欧州選挙後はリスク回避市場〜

 5月も中旬。新緑が美しい季節ですが、天候は大変不順。寒気と暖気の摩擦が続いているようです。天候へのリスク管理にも気を配りたいところです。

 さて、今年は「選挙」が注目材料になると年初から言われてきました。中でも欧州債務問題に大きな影響があるフランスの大統領選挙、ギリシャの総選挙の結果は、今後の欧州債務問題や通貨ユーロへの危機感を増幅して市場のリスクはオフに急激に傾きました。リスク資産とされる株式、通貨では高金利通貨や資源国通貨が売られ、現金化のために金(ゴールド)などの貴金属も売られ、米国債、日本国債などの比較的安全資産への逃避が起こっています。以前にこのメルマガでお伝えしたように、欧州では多少安定化したと言われた4月にも資金が他国からドイツ国債へ集中して利回りが過去最低になるという現象が続いていましたし、リスクオンで買われる通貨の軟調は年初からの傾向でもありました。

 選挙がらみでいえば、そのドイツでもドイツ最大の人口をもつ西部の州議会選挙で現在の首相メルケル氏率いるキリスト教民主同盟が過去最悪の大敗を喫したという報も気になるところです。ユーロ圏では比較的経済が良好なドイツがギリシャなど問題国への支援をして、国民には緊縮財政を強いるという現政権へのドイツ国民の不満が増大しているのかもしれません。いずれにせよ、国民の不満は欧州各国で高まっているようです。
 欧州債務問題は2008年の金融危機を契機にギリシャ財政危機、PIIGS、欧州全体へ波及して危機感が高まってきたわけですが、元々欧州財政における社会保障費の国家負担は大きいものでしたので、金融問題のみならず根が深い問題へ踏み込まなくてはならないでしょう。

 為替市場における年初来の対米ドルでの通貨プラス・リターンのトップは台湾ドル(+2.47%)2位英ポンド(+2.12%)、シンガポール・ドルは3位でプラス1.59%。ワースト1はブラジル・レアルのマイナス8.55%で2位のスウエーデン・クローネ(−5%)3位の日本円(−4.48%)に比較して断トツ。豪ドル、南ア・ランドが4,5位に続きます。

 これまでリスク回避場面で買われると言われてきた日本円に少し変化が見られます。米ドルの対主要通貨バスケットの指標であるドル指数(ICE取引所上場)は5月初めの78.86(5月1日終値)から直近5月15日終値では81.22に上昇。1月高値81.37に迫る勢いで米ドル上昇の動きになってはいます。今回の欧州ショック(+米金融機関の巨額損失)によるリスク回避市場で日本円は多少買われましたが80円前後で安定した動きです。
 このように一時つけた84円水準からは円高方向に戻してはいますが、ここが踊り場でトレンドは円安なのか、はたまた円高方向へ逆戻りするのか判断に迷う場所にいます。
 そのドル・円相場をまず金利差で見てみると、2年債の金利差は昨年夏に0.02%まで縮小していたのに比べ直近では0.16%程度まで拡大してきており米ドル買いの背景とも考えられます。長期の米ドル金利は質への逃避現象で利回りが1.76%まで低下していますが、金融政策の今後への見通しを最も反映しているとされる2年物金利は低位ながら安定しており今後の更なる緩和への期待は大きくないと見られます。米国の経済指標はまちまちではありますが、インフレ率は一時大きく低下した時期を経て、現在は目標水準の+2%程度まで上昇が見られることも背景でしょう。
 日本サイドの背景としては、貿易決済におけるドル建て決済の赤字額が20兆円程度あり、輸出減に加えて発電用の原油や天然ガスの輸入が増えているのが背景になっていると推測されます。このような主な背景がドル・円相場を底を支えているとも考えられ、リスクオフ状態で円を逃避通貨として買わない理由ではないかと思いますし、円高への急激な回帰にはなりにくいと思う根拠でもあります。

 逃避通貨といえば、円やスイス・フラン、が直ぐに浮かびますが、このところ逃避通貨として買われているのが英ポンドと言われています。かつては高金利通貨で動きも激しく取れるときは大きいながら、やられる時も大きく変動率が高いと言われてきた英ポンド。英国も緊縮財政で景気後退に苦しんでおり、先日の地方選挙でも現政権・保守党が大敗しており政治は難しい状況です。とは言え、一部には緊縮財政政策の効果が出て景気も底入れするという見方や、(いろいろ問題があるにせよ)とりあえずロンドン市場は腐っても鯛というか老舗市場なので市場として高い流動性もあることが買い材料とも言われています。ただ、英国の輸出の47%以上半分近くは欧州向けなので対ユーロで強くなってきたポンド(現在、0.7970近辺、年初から4.5%ポンドが上昇して中期のサポート0.80を割り込んできました)は価格競争力低下につながる懸念もありますので中期的なトレンド継続性に注目していきたいと思っていますが、短期的には未だ低下余地があると見ております。

 ギリシャは連立内閣の合意が得られず、早ければ6月10日に再選挙となりました。直近の世論調査では急進左派連合SYRIXA(若い党首)の支持が伸びていると報じられました。共産党以外はユーロ離脱を謳っていないので、ユーロ離脱があるならIMF総裁も連呼しているように融資規約を実行(ラガード総裁はimplementationを連呼されていました)できず、7月にも資金繰りがつかなくなる状況が現実味を帯びて来た時かもしれません。
 IMFが優しい救世主でないことは知られています。貸した方も借りた方も泥まみれ状態が続きそうです。そんな中、通貨ユーロは悪材料をかなり織り込んではいますので、対米ドル1.26台で一度サポートされる可能性も高くありますが、政治がらみも含み神経質な地合いなので先読みしすぎないことが肝要かと思います。

 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

*本号の情報は5月15日のニューヨーク時間の終値レベルをベースにしています。

式町 みどり拝

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億の近道2012/05/16


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             −本日の目次−
          (本日の担当:式町みどり)

 ◆コラム「為替市場動向〜欧州選挙後はリスク回避市場〜」:式町みどり

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◆コラム「為替市場動向〜欧州選挙後はリスク回避市場〜」

 5月も中旬。新緑が美しい季節ですが、天候は大変不順。寒気と暖気の摩擦
が続いているようです。天候へのリスク管理にも気を配りたいところです。

 さて、今年は「選挙」が注目材料になると年初から言われてきました。中で
も欧州債務問題に大きな影響があるフランスの大統領選挙、ギリシャの総選挙
の結果は、今後の欧州債務問題や通貨ユーロへの危機感を増幅して市場のリス
クはオフに急激に傾きました。リスク資産とされる株式、通貨では高金利通貨
や資源国通貨が売られ、現金化のために金(ゴールド)などの貴金属も売られ、
米国債、日本国債などの比較的安全資産への逃避が起こっています。以前にこ
のメルマガでお伝えしたように、欧州では多少安定化したと言われた4月にも
資金が他国からドイツ国債へ集中して利回りが過去最低になるという現象が続
いていましたし、リスクオンで買われる通貨の軟調は年初からの傾向でもあり
ました。

 選挙がらみでいえば、そのドイツでもドイツ最大の人口をもつ西部の州議会
選挙で現在の首相メルケル氏率いるキリスト教民主同盟が過去最悪の大敗を喫
したという報も気になるところです。ユーロ圏では比較的経済が良好なドイツ
がギリシャなど問題国への支援をして、国民には緊縮財政を強いるという現政
権へのドイツ国民の不満が増大しているのかもしれません。いずれにせよ、国
民の不満は欧州各国で高まっているようです。
 欧州債務問題は2008年の金融危機を契機にギリシャ財政危機、PIIG
S、欧州全体へ波及して危機感が高まってきたわけですが、元々欧州財政にお
ける社会保障費の国家負担は大きいものでしたので、金融問題のみならず根が
深い問題へ踏み込まなくてはならないでしょう。

 為替市場における年初来の対米ドルでの通貨プラス・リターンのトップは台
湾ドル(+2.47%)2位英ポンド(+2.12%)、シンガポール・ドル
は3位でプラス1.59%。ワースト1はブラジル・レアルのマイナス8.5
5%で2位のスウエーデン・クローネ(−5%)3位の日本円(−4.48%)
に比較して断トツ。豪ドル、南ア・ランドが4,5位に続きます。

 これまでリスク回避場面で買われると言われてきた日本円に少し変化が見ら
れます。米ドルの対主要通貨バスケットの指標であるドル指数(ICE取引所
上場)は5月初めの78.86(5月1日終値)から直近5月15日終値では
81.22に上昇。1月高値81.37に迫る勢いで米ドル上昇の動きになっ
てはいます。今回の欧州ショック(+米金融機関の巨額損失)によるリスク回
避市場で日本円は多少買われましたが80円前後で安定した動きです。
 このように一時つけた84円水準からは円高方向に戻してはいますが、ここ
が踊り場でトレンドは円安なのか、はたまた円高方向へ逆戻りするのか判断に
迷う場所にいます。
 そのドル・円相場をまず金利差で見てみると、2年債の金利差は昨年夏に0.
02%まで縮小していたのに比べ直近では0.16%程度まで拡大してきてお
り米ドル買いの背景とも考えられます。長期の米ドル金利は質への逃避現象で
利回りが1.76%まで低下していますが、金融政策の今後への見通しを最も
反映しているとされる2年物金利は低位ながら安定しており今後の更なる緩和
への期待は大きくないと見られます。米国の経済指標はまちまちではあります
が、インフレ率は一時大きく低下した時期を経て、現在は目標水準の+2%程
度まで上昇が見られることも背景でしょう。
 日本サイドの背景としては、貿易決済におけるドル建て決済の赤字額が20
兆円程度あり、輸出減に加えて発電用の原油や天然ガスの輸入が増えているの
が背景になっていると推測されます。このような主な背景がドル・円相場を底
を支えているとも考えられ、リスクオフ状態で円を逃避通貨として買わない理
由ではないかと思いますし、円高への急激な回帰にはなりにくいと思う根拠で
もあります。

 逃避通貨といえば、円やスイス・フラン、が直ぐに浮かびますが、このとこ
ろ逃避通貨として買われているのが英ポンドと言われています。かつては高金
利通貨で動きも激しく取れるときは大きいながら、やられる時も大きく変動率
が高いと言われてきた英ポンド。英国も緊縮財政で景気後退に苦しんでおり、
先日の地方選挙でも現政権・保守党が大敗しており政治は難しい状況です。と
は言え、一部には緊縮財政政策の効果が出て景気も底入れするという見方や、
(いろいろ問題があるにせよ)とりあえずロンドン市場は腐っても鯛というか
老舗市場なので市場として高い流動性もあることが買い材料とも言われていま
す。ただ、英国の輸出の47%以上半分近くは欧州向けなので対ユーロで強く
なってきたポンド(現在、0.7970近辺、年初から4.5%ポンドが上昇
して中期のサポート0.80を割り込んできました)は価格競争力低下につな
がる懸念もありますので中期的なトレンド継続性に注目していきたいと思って
いますが、短期的には未だ低下余地があると見ております。

 ギリシャは連立内閣の合意が得られず、早ければ6月10日に再選挙となり
ました。直近の世論調査では急進左派連合SYRIXA(若い党首)の支持が
伸びていると報じられました。共産党以外はユーロ離脱を謳っていないので、
ユーロ離脱があるならIMF総裁も連呼しているように融資規約を実行(ラガ
ード総裁はimplementationを連呼されていました)できず、7月にも資金繰り
がつかなくなる状況が現実味を帯びて来た時かもしれません。
 IMFが優しい救世主でないことは知られています。貸した方も借りた方も
泥まみれ状態が続きそうです。そんな中、通貨ユーロは悪材料をかなり織り込
んではいますので、対米ドル1.26台で一度サポートされる可能性も高くあ
りますが、政治がらみも含み神経質な地合いなので先読みしすぎないことが肝
要かと思います。

 最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

*本号の情報は5月15日のニューヨーク時間の終値レベルをベースにしてい
 ます。

式町 みどり拝

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